君と出会えた僕は、最高のトレーナーになりたい   作:ティファールは邪道

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五話:奇想の応用(アイディア)と真の目的

盆地の底に落ち、全身にやどりぎのタネを付着させられたコドラは、激しい怒りを込めて咆哮した。

その眼差しは恐怖よりも憤怒の色が濃い。

 

「コノハナ! てんげんつう!」

 

ソウヤは叫び、同時にコノハナの背後にまわる。

コノハナは目元に青白い光を宿すと、自身の体に『じんつうりき』を発動させた……。

 

-ギュンッ!

 

コノハナの体が、一瞬で加速する。コドラの巨体から放たれた『アイアンヘッド』が、空間を叩くのと同時に、コノハナは紙一重でその攻撃を回避したのだ……。

 

てんげんつう……

技の一つであるじんつうりきの応用で、相手に送る力を自身に使うことで自身を強化できる……

 

今回行っているのはてんげんつう(天眼通)……

未来や対象の前世、死後の行方を見ることが出来る能力である……

 

ゲーム風に言うなら、かいひがぐぐーんと上がる、だろうか?

 

「そのまま暫くてんげんつう維持、コドラの動きを予測しろ! それが回避の鍵だ!」

 

ソウヤの言葉にコノハナは、てんげんつうで得た未来の映像を信じ、盆地の底を駆け回る。

 

「『乱』!」

 

コノハナは、葉の数を極限まで増やした『葉っぱカッター』を、広範囲にわたってコドラの目元目掛けて放った。速度は遅いが、広範囲を覆う大量の葉が、コドラの視界を奪う。

 

「グアァ!」

 

コドラは目を細め、視界を遮られたことに苛立ちを見せる。

 

「Set!」

 

ソウヤは叫び、右手をコドラの足元一点に突き出す。

それを聞いたコノハナはすぐにそちらを向く

 

「ショット!」

 

コノハナは、口から威力を一点に収束させた『あくのはどう』を高速で放つ。

それはまるでドリルのようにコドラの足元を狙い、突き刺さる。

 

「『やどりぎのタネ』! 吸収を急成長に切り替え、目隠し!」

 

ソウヤの指示で、コノハナの放ったタネは、高速で穴のなかにはいる……

そして、急激に成長を開始した。

タネがコドラの鋼の体に巻き付き、体力を奪うことはないが、コドラの顔の周りを覆い、目隠しのように絡みつく。

 

「しんそくつう!」

 

その言葉にコノハナは体に纏ったじんつうりきを調整する

 

次に行うのは、加速する力……

ゲーム風に言うなら、すばやさがぐぐーんと上がる応用技

 

「『刃』!」

 

コノハナは両手の持った二枚の葉っぱカッターに力を収束させ、二刀流の剣のように構えると、コドラの側面を高速で走り抜ける際に、その葉をコドラの関節の隙間に叩き込む!

鋼の体を持つコドラも、その一撃に思わずうめき声を上げてしまう……。

 

「コノハナ、まだいけるか!?」

 

「コォノッ」

 

コノハナは、疲労を隠し、渾身の力を込めて吠える。

ソウヤとコノハナの奇抜な連携は、オヤブン個体であるコドラの猛攻に対して、互角の立ち上がりを見せた。

ソウヤの指示に合わせて繰り出される応用技の数々は、コドラを混乱させ、攻撃のテンポを狂わせる……。

 

しかし、さすがはオヤブン個体と言うべきか、コドラのタフネスは並大抵のものではなかった……。

 

「ガァァァァッ!!!!」

 

コドラが吠えると同時に、地面から鋭い岩が生えて来て襲いかかる

 

「(岩石封じ!?……違う、ストーンエッジか!)……貫くぞ、『点』!!」

 

「コォオァォォ……ノォッ!!!」

 

一枚の葉に力を収束させて、放たれる葉っぱカッター……

溜めがあるため隙を作ってしまう弱点があるが、それを補う程の速さと貫通力が岩の刃を断ち斬りながらコドラに向かう……

 

ーズドンッ!!

 

「ゴァッ!!?」

 

岩を両断しながらコドラに届いたその手裏剣は、凄まじい音と共にコドラを後ろに押し出してしまうが、それだけだった……

 

「固すぎだろ……(やっぱり火力が……それに体力がもう……)」

 

長期戦になるにつれ、ソウヤとコノハナの体力はみるみる削られていく……。

特に、常に『じんつうりき』を自身にかけているコノハナの疲労は深刻だった。

 

「クッ……」

 

ソウヤも、これほど長時間、集中力と発想力をフル回転させるのは初めてだった。

呼吸は乱れ、まだ表に出ていないが、指示にも焦りが混じり始めていた……。

 

それを感じたのか、コドラの動きも変化してきた……。

 

「ゴァッ!!」

 

今度は岩を飛ばしてくる……

体力が少なくなってるのに気付いたのか、飛び道具で戦うことにしたらしい……

 

「 SET!ラッシュ!」

 

コノハナは、玉状の『あくのはどう』を連続で吐き出し、岩を撃ち落とさせる。

 

その間にコドラはコノハナにアイアンヘッドを放とうとする……

 

「まずい!(避け……無理だ、間に合わない!!)」

 

ソウヤはコノハナの前に立ち、コドラの攻撃からコノハナを護ろうとする……

 

だが、

 

ーダイノーズっ!!磁力フルパワー!!

 

鈍く光る頭部を突き出した状態のコドラは、ソウヤの目の前で止まった……

 

「っ……やっと来た……っ!!」

 

それを見たソウヤの顔は、不敵に歪んでいた……。

そう、ソウヤの真の目的は、コドラを倒すことではなかった……。

ソウヤは、己の限界を超えるほどのこの大勝負を、ポケモンスクールから近いこの場所で展開した時点で、既に勝利への布石を打っていたのだ。

 

シャリタツとメタモン、この二匹をバトルに参加させなかったのも、それが理由……

 

「ソウヤくん、大丈夫!?」

 

「連れてキタワヨォォォッ!!お願いだから、無事でいなさいよネェッ!!」

 

「メタ~……」

 

盆地のふちから、あの厳しい担任の教師の声とシャリタツの泣きそうなオネェ言葉、そして、メタモンの心配そうな声が響いた……。

 

それを聞いたソウヤは、安心したのか力が抜けて、パタン、っと腰を落とし、コノハナも疲れがピークになったのか、同じように倒れるのだった……




今回のポケモンの応用技

葉っぱカッター
本来は鋭い葉を複数相手に飛ばして斬りつける技だが、
飛ばす数を増やして遅くする代わりに広範囲の目眩まし、または延焼を起こしてダメージを与える『乱(らん)』、一枚にすべてのエネルギーを収束させて超高速貫通攻撃にした『点(てん)』、二枚の葉に力を収束、装備して二刀流とする『刃(じん)』の三つを習得

あくのはどう
Setの掛け声と右手の指しによる簡易指示と、貫通性を高めた"ショット"、球状にして断続的に放つ"ラッシュ"を習得

じんつうりき
自身に纏うように使うことで回避率強化の"てんげんつう"、機動力強化の"しんそくつう"を習得
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