弊カルデアはNTR同人誌に侵食されて特異点になったんで別カルデアと共に人理修復します 作:NTRは嫌いな男
本当に申し訳ない(メタルマン並感想)
「どう? やれそう?」
「いやー………キツいでしょ」
いくら、魔術に疎い俺でも感じ取れるレベルの魔力が汚染マシュから放出されたのを見て、来るタイミングをミスったかなぁと恐怖で軽く体を震えながら思っていると、オリオンが話しかけてきたので素直な感想しか言えなかった。
何しろ、彼女が保有していた圧倒的な攻撃力はゲーティア由来の部分が多かった為、聖杯によるブーストがあるとは言ってもここまで暴走した状態になるとは思ってもいなかったからだ。
その結果、一旦は戦う意志を消失したものの汚染されていないサーヴァント達がいる事を思い出したので、自分を奮い立たせて銃口を汚染マシュに向けると彼女も自分の宝具をこちらに向けてきた為、相打ち覚悟で引き金を引こうとした瞬間、汚染マシュに異変が発生した。
「あっ!?」
「………マジかよ」
なんと、彼女の右腕が爆ぜたのだ。
戦闘経験が凡人から毛が生えた程度の俺の認識能力では、彼女が第三者からの攻撃を受けた結果として右手が爆散したのではなく、勝手に自爆した様に見えたので汚染マシュの魔力が四散するのを確認してからサーヴァント達にどう見えたかを確認した。
すると誰も彼女に攻撃してないし、攻撃しようとした瞬間に自壊したとの反応が返ってきたのでそこから導き出せる答えは1つだけだった。
「そうか、体が持たなかったか」
第2ラウンドを覚悟したのに、何とも呆気ない終わり方にやるせない気持ちになりながら慎重に近付くと、マシュの体は右腕が爆ぜたのを皮切りに陶磁器がひび割れて粉々になるかの様に体の至る所がボロボロになっていくのが見て取れた。
予想にはなるが、彼女の体はサーヴァントとは違って生身の体である以上はビーストであるゲーティアを体内に押し留める為、大量に使われた聖杯の効果に耐え切れなかったと思われる。
いわば、大量に聖杯を使わなければゲーティアを押し留める事ができないが、ゲーティアがいなければ体を維持できない程にまで聖杯のバフを受けた彼女の体は、ゲーティアが居なくなった時点でいつ自壊してもおかしくない状態だったという訳だ。
何という呆気ない終わり方。
何という不完全燃焼な決着の付け方。
何という後味の悪さ。
カルデアが爆破された日、彼女の手を取らなかった事から始まったこの惨劇の終点がこれになるのであればあの日、彼女の手を取ったのだが後悔先に立たずとはよく言ったものだ。
「せん、ぱ………」
「すまんな、マシュ。あの日、手を取れなくて。ありがとうよ、なんだかんだで先輩と言ってくれて。そして、こんな俺を地獄の底から恨んでくれて構わないよ」
「あ、ぁ………」
その為、助けを求めるかのようにマシュは残った左腕を俺に伸ばしてきたので今度こそ、彼女の手を取ってあの日に手を取れなかった事に対する謝罪と出会って数時間の間柄なのに、妙な雑学を色々知っている俺を先輩と言ってくれた感謝の言葉を口にした後で彼女にとっては残酷な事を告げた。
何しろ、霊基に関しては何とも言えないが肉体の方は急速な崩壊が進んでいるので、サーヴァントに目線を向けて助ける事が可能かを無言で尋ねると一様にして首を振ったからだ。
(一歩間違えれば、スプラッタな光景になっていたんだろうが傷口から出た瞬間に崩壊でもしているかのように出血がない。それだけ、体に負担だったのか)
マシュの手を取らなかったあの日から、今日までの仕打ちの他に彼女を助ける事ができない俺に対しての言葉だったのだが、その言葉にマシュは安心したかの様に笑みを浮かべると体の崩壊は一気に進んで灰の様なものへと変わった。
これにて、今回の特異点の首謀者がいなくなった訳だが問題なのは
「ん? 何この揺れ」
役目を終えた特異点は消えるだけと言う事だ。
つまり、今いる洞窟が消滅に向けて崩壊し始めるかの様に揺れ始めたのでメリュジーヌ以外のサーヴァントは一旦、霊体化してすぐに移動できる様にしてもらった後で、メリュジーヌに脱出を手伝ってもらって大慌てで洞窟から出る事にした。
「何とか、戻って来れたんだが………」
「こっちもこっちで酷いね」
メリュジーヌと共に洞窟を抜け出し、汚染されていないサーヴァントが全員いるかの点呼を終えるのと同時に洞窟の入り口まで崩れ落ちた為、マイルームに戻れねぇなと思いながらカルデア内を見渡すとレフボム時と同じ様にカルデア内の至る所で火災が発生していた。
その為、急いで司令室に戻ると立香が数名のサーヴァントと共にまだ残っていたので声を掛けた。
「まだ残っていたんだな?」
「はい。事の顛末だけでも聞いておきたいかなって」
「そうか………彼女はダメだったよ。個人的には聖杯を大量に使った反動だと思っとるよ」
「そう、ですか」
俺の言葉に、立香は寂しそうに返したので話を続けた。
「さっき、君に渡したデータを持って君の世界に戻りな」
「大河さんはどうするんですか?」
「まだまだやる事があるんでな。一足先に行ってくれ」
「………」
「色々、言いたい事もあるだろうが死ぬつもりはないよ」
すると、俺に聞いてきたので残る事を伝えると立香は複雑な表情を浮かべたので、口角を上げながら彼女を見ながら言って転送室にあるコフィンに入る様に促すと彼女のサーヴァントが連れて行ってくれた。
その為、コフィンが正常に稼働して立香が元の世界に帰還したのを確認してから司令室を後にして、カルデアスが設置してある部屋に入ると言峰神父が待っていた。
「彼女は行ったかね?」
「勿論。元の世界に帰還する所まで確認した」
「そうか。では、汚染されたマシュ・キリエライトからの手紙を読みたまえよ」
「あぁ、そうだな」
言峰神父の言葉に促されて、懐にしまった封筒を取り出して持っていたナイフで封を切ってから、中にある紙に書いてある内容を読むとそこそこ長かったがまとめると以下の3点。
・この世界は異聞帯(並行世界)の中にある特異点である事
・どう足掻いても剪定の為に修復される運命である事
・それを確定させる為に迷惑を掛けて申し訳ない事
「………要は全部、無駄骨って訳かよ」
「事実を知った今の感想を聞かせてもらってもいいかね?」
「ショックっちゃあ、ショックだが一定の納得感はあるよ。物語の中に異物が入っている感覚って言えば良いのかな。俺がカルデアに呼ばれた時点でおかしいと思っていたからな」
実際、ゲームとしてのfgoを知っていても内容を詳しく知らないボンクラな俺が言峰神父を始めとするサーヴァント達のお陰とは言え、物語に登場しないモブキャラ同然の奴が第七特異点まで攻略できた事自体がおかしいのだ。
いやまぁ、二次創作ではよくある話ではあるのだが俺いる世界ではゲームや映画と言った物語上の物ではなく、実際の出来事であり、人理が消滅する云々を聞かされた以上はそれを回避しようと、NTRに汚染されたサーヴァントやカルデア職員の襲撃を躱しながら必死に行動してきたのだ。
そう言った行動が全くの無意味だった、と言われちまった以上は残ったサーヴァント達の力を結集した所で何の意味がないので、後はどうやって消滅を切り抜けるかに考えをシフトするしかない。
「ふむ、その表情から察するにどうやって消滅を切り抜けるかを考えている感じかね?」
「なぁんで分かるんですかねぇ?」
「こう見えても神父として真摯に信者の告解を聞いていたのでね。ある程度は察する事ができるのだよ」
「そうですか。じゃあ、聞きますけどどうしたら良いっすかね。俺1人の頭だと袋小路に入って抜け出せないんですが」
「ほう、何故かね?」
「何故? それは………っ」
最早、この世界は消滅が確定している以上はどうしようもない。
仮に、聖杯の力で人理焼却をなかった事にしても特異点として修正される以上は延命措置にしかならず、いつ無事なサーヴァントがNTRに汚染されるかが分かったものじゃないのでいい加減、特異点を修復する仕事を辞めたいのだ。
だからと言ってこのまま、何もしないという訳にもいかないので言峰神父に聞いてみると思考の穴を突かれた形になった。
何しろ、今までの俺は今の世界を形を変えてでも存続させる方向で考えていたのだが彼の言葉で別の方法、つまりは今の世界から別の世界に行く事を考えても良いのではないかと気付いたからだ。
正直、この世界の終末が決まっている以上は個人の力ではどうする事もできないので今までの行動を180度、反転させて個人の荷物をまとめてとっとと他の世界に逃げ出すしかないだろう。
「仮に、他の世界に逃げ出しても逃げた先で問題になったりしませんかね?」
「さぁ? 行ってからのお楽しみ、と言っておこう」
「その言い方だと絶対、問題が発生するじゃないですかヤダーッ!」
「フッ」
その為、問題を解決できなかった事に対する引け目をかなり感じながら改めて言峰神父に聞いてみると、笑みを浮かべながらはぐらかされたので行った先で何かしらの問題が発生する事はほぼ確定したと言っていい。
言峰神父は、信仰心は本物なものの性悪神父でもあるのでこう言った所で食えないサーヴァントだと実感しながら歯軋りしつつ、別の世界に行こうか悩んでいると言峰神父が霊体化し始めた。
「あれ? 座に帰っちゃうんです?」
「勿論だとも。私がすべき事は全て終わったのだから」
「そうですか。今までありがとうございました。色々と聞いていただいて」
「あぁ。肴の足しぐらいにはさせてもらう」
「かーっ、ぺっ。その程度の悩みって事ですか」
彼の反応から、性悪神父なのを改めて感じながら軽い口調で別れの挨拶を済ませてから、真っ赤に光るカルデアスがある部屋を出て燃え盛るカルデアの通路を見渡すと丁度良く魔王ノッブと伊吹童子と遭遇した。
「まだ居たんだね」
「なぁに、そんな不安な顔をしていたら帰るに帰れないだろうて」
「寂しかった?」
「まぁ、そうだな。ちょいと心細かった」
そして、彼女達が左右から俺に肩を組みながら聞いてきたので素直に答えると感心した様な表情になったのだが、これから行う事に対して1人でやるには荷が重い。
一応、人1人分を他の世界に移動させるだけなら聖杯が1つあれば何とかなるが、人理を焼却させない為に死ぬ思いをしながら頑張ってきた事を考えると、どうしても引け目や今まで腐った組織とは言っても積み上げた実績を無に返す事に対する未練だったりを感じずには居られない。
「そうそう。1つ、伝え忘れてたわ」
「そうじゃのぅ。ここまで一緒にきた中で物好きな連中からの言伝じゃ」
「なんじゃらほい」
『行った先で待ってる』
「? ………!?」
(行った先って言ったぁ!?)
その言葉を認識し、理解するまで数秒を有してから伊吹童子と魔王ノッブを交互に見ると彼女達の手元にはそれぞれ1つずつ、計2つの聖杯があったので行った先って事は俺が別の世界に行く事を確信しているかの様な言い方だ。
「さ、流石に全員じゃないよな? AUOとか、山の翁とかは役目は終わったと言わんばかりに退去すると思うんだけど」
「そうじゃのう。汚染されなかった連中の中で1割ほとじゃったか」
「てぇ事は5人程か。てか、行った先で受肉でもすんの?」
「まぁまぁ、それは行った時のお楽しみ。それでどうするの?」
その為、確認の為に聞いてみると言峰神父みたいに契約を解除して退去した様に全員で別の世界へ行かず、俺と一緒に別の世界に行ってもいいかなと思えるサーヴァントだけが先に行った様である。
まぁ、本人の気質からも絶対に一緒に行かないだろうと思えるサーヴァントもいるから全員で来られても逆に困惑するし、そこまで傲慢にはなれないので一旦、司令室まで行って燃え盛るカルデアに於ける電力網などを確認し、立香達がコフィンを使ってこっちに来ない事を確認した。
炎上中、下手に電気や魔力が残っているとコフィンを使った転送した直後に酸欠でぶっ倒れる、なんて事になりかねないので確認すると館内の照明や空調設備が未だに動いているのが不思議なぐらいには、被害が広がっていた。
それを確認していると、非常用の発電機などにも火が回った様で照明が切れて炎の光が煌々と光るだけになった為、酸欠でぶっ倒れない内に俺も魔王ノッブ達の導きによって別の世界へと転移した。