聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか 作:フェイト・
「はぁ……はぁ……はぁ……な、何とか、辿り着いた……」
場所は霧が立ち込めるダンジョン10階層。
「でも、
今のエレンは『精霊
さらには……。
『『『ブグッゥゥゥ……』』』
「……『オーク』かぁ。ご丁寧にモンスターを誘き寄せるトラップアイテムがバラまかれているし、ゾロゾロと他のモンスターも集まってきている」
エレンの周囲を取り囲む大量のの『オーク』。それに周囲には強烈な異臭を放つ血肉がばら蒔かれており、その匂いに釣られて他のモンスターが次々と集まってきていた。
「───悪いけど、先を急いでいるんだ」
そう呟いたエレンは【
「【
エレンが振るったのは
「──────やり過ぎた」
モンスターの返り血を浴び真っ赤に染まったエレンは小さく呟いた。周囲のモンスターを一掃することはできたが、周囲には【
「おいっ!さっきのモンスターの叫び声はなんだッ!?」
「ひ、ひでぇ……。これ全部モンスターの死骸だぞ!?」
「ウッ、ウェェェェェェェェェッッ!!?」
「───ん?」
すると、霧の中から一団の冒険者パーティが現れた。どうやらさっきのモンスターの断末魔を聞きつけてやってきたようだが、モンスターの大量の死骸と血で染まった周囲を目にして絶句。嗅覚に敏感な獣人の女性に至っては胃の内容物を吐いてしまっていた。
「あ、あの~~~~~~」
『『『─────────!!!』』』
エレンは追っている外套を被った集団を見てないか尋ねようと声をかけると、冒険者パーティの全員が一斉にエレンの方を振り向いた。彼らに声をかけた存在は、頭の上から足の下まで血で真っ赤に染まり切った存在。
「あ、あの………」
「ぎゃーーーーーーーーーーーーッッ!!?」
「化け物だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?」
「お、置いていかないでぇぇぇぇッッ!!?」
「…………」
エレンが声を掛けると、声を掛けられた冒険者パーティは持っていた荷物を捨てて一目散に逃げて行った。確かに今のエレンは血で全身が真っ赤に染まり、周囲には大量のモンスターの死体と血の海が出来上がっているが、いくら何でも悲鳴を上げて逃げなくてもいいのでは?と、この時のエレンは思った。
「外套を纏った集団を見てないか聞きたかったんだけど──────ん?」
回復魔法の炎で全身に付いた血を浄化していると、ふとっ、足元の視線を落としたエレン。
すると、エレンの足元に、冒険者の物と思われる大量の『足跡』を発見した。無論、この足跡はさっきのパーティの物とは別物。エレンが見つけた足跡は10階層の
「……行ってみるか」
『足跡』の先を目指して行動を開始したエレン。上昇した
「オゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!」
「!! 『インファント・ドラゴン』……!?こんな時に───」
霧の奥から姿を現したのは『上層』に置いて事実上の『階層主』と呼ばれる
エレンの行き先を妨害するように現れた小竜。これにエレンは全力で地面を蹴り一気に加速。【
「邪魔ッ!!」
「──────カァッ!!?」
エレンの一撃をもろに食らった『インファント・ドラゴン』。その威力は小竜の首の骨を完全に砕き、頭蓋骨には大きな罅が入り『インファント・ドラゴン』の命はあっと言う間に刈り取られた。大きな巨体はすぐ近くの岩壁へとぶつかり、その衝撃で岩壁には
「───これは……
倒れた『インファント・ドラゴン』によって破壊された岩壁の奥から現れたのは
通路には照明などは1つも無かったが、『
「……これ、最初見た時は分からなかったけど、この『扉』に使われている素材って『オリハルコン』だよね」
エレンは『扉』に手を触れ、この『扉』に使われている大部分の素材を言い当てた。様々な素材とヒューマンや全
エレンが装備している【
「───あの宝玉。もしかして……」
エレンは紅の宝玉に向けて手をかざし魔力を放出した。すると、紅の宝玉が光を放ち反応をすると、重厚な音を立てて上へと動き、『扉』は
「……あの宝玉。ヴェルフが造った『魔剣』と
『扉』に埋め込まれている紅の宝玉から、ヴェルフの造った『魔剣』と似た気配を感じたエレンは放出した魔力に『開け!』と念じてみたところ本当に開いてしまったことに驚いた。
「───さて、足跡はこの『扉』の方向に伸びていた───つまり、あの外套を纏った集団はこの中に入っていった、と」
『扉』の先を魔石灯の灯りがついているが、薄暗い通路が遥か奥まで続いていた。明らかに何者かの手によって作られた人工物。下手をすれば、この先は何があるか分からない未開拓領域。上級冒険者が簡単に命を落とし場所の可能性が高い。
「殴り込みじゃオラァァァッ!!!命さんとベルを返しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!」
この場に一人。大馬鹿野郎が人口迷宮───通称『クノッソス』の奥へと消えていった。
***
「でも、驚いたよね。まさかダンジョン内でイシュタル様と合流するなんてね」
「それに、『あれ』はなんだったんだろうね?明らかに人工物だったし……アイシャは何か知らないの?」
「さぁね。この世には知らないくてもいいこともある。お前達は何も考えなくていいさ」
ベルと命を連れ去った外套の集団は、【イシュタル・ファミリア】の
そして、目的を果たした
さらに、仮面の人物の後をついていくと、ダンジョンの壁の一部から謎の扉が出現。その後は仮面の人物の後を付いていき、謎の人工物へと入りしばらく歩いていくと、今度は旧地下水路へと辿りついた所で
「でも、凄かったよね!あの【
「そうだねぇ。
「……追いかけてくるかなぁ?」
「安心しな、レナ。仮にあの『扉』を見つけたとしても、あの雄には開ける手段ない。仮に『扉』を開けれたとしても、よっぽどの
『『『オオオオオオオオオオオオオオオッ!』』』
『邪魔じゃオラァァァァァァァァァァッッ!!!』
「…………でも、アイシャ」
「ん?」
「相手は【
「…………」
『いや、まさかなぁ……』と呟いたアイシャは、この後の『儀式』の準備をするために、他のアマゾネス達に先を急ぐように号令を出した。
***
「…………タナトス」
「ん?どうしたの、バルカちゃん?」
「
「…………侵入者?この
不健康そうな真っ白な肌と亡者のような容姿したヒューマンの男がタナトスと呼ばれる男神に声を掛ける。声が掛かった男神は何事かと思うと、まさかの内容に呆然と立ち尽くしていた。
「始祖の扉が次々と開けられる……
「──────ちょっと待って、『扉』が開けられる?もしかして『鍵』を持っているのッ!!?」
「いや、そんな風には見えない……どういう意味だ?もしかして、我らの血族なのか?」
「その侵入者の場所はッ!?」
「10階層だ」
バルカの言葉を聞いたタナトスを頭を抱えた。この男神は現在の
バラバラになったなった冒険者達は
「(10階層から侵入者?ロキかアストレアが差し向けた救援?いやいや!
頭を抱えたタナトスは必死に事態の状況把握に努めようとした。それでも、侵入者の意図が全く分からなかったが、少なくとも『扉』の操作が可能な人物をロキとアストレアの眷属達との接触を阻止するように、バルカに指示を出した。
「バルカちゃん。俺の眷属を向かわせてぇ!!なんとしても10階層で侵入者を仕留めて!!」
「…………無駄だ」
「──────なんて?」
「
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
台座に満たされている水を覗き込み、そこから映し出された映像を見ていたバルカの言葉に、タナトスの大声が
「自爆は!?僕の眷属ちゃん達の頑張りはどうなったの!!」
「
「噓でしょッ!?」
バルカの報告にまたしても大きな悲鳴染みた声を上げるタナトス。そして、一体何が起こっているのか確かめるため、バルカが覗き込んでいる台座へと直行した。
「─────────ハハハ。マジかぁ~~~~」
水面に映る映像を見たタナトスから乾いた笑い声が漏れ出た。水面には大勢の白装束を纏った集団が
ここまで読んでいただきありがとうございました。
エレンが『扉』を開けることができた件についてですが、今作には初代ダイダロスは“精霊の血を引いている”といった設定となっている影響です。
そして、ヴェルフと同じようにその子孫にも精霊の血は受け継がれていますが、初代ダイダロスがダンジョンに魅入ってしまった影響で『呪い』へと反転してしまっており、これが『血の呪縛』となっています。(他にも、エレンが『神秘』を獲得している事も影響しています)