少し疲れたので怪文書を書きたかった。

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水槽暮らし

 

 

   金魚をかおう。

 

 

 

僕は金魚が好きなわけではない。金魚が嫌いなわけでもない。でもかいたい。

 

 

水槽を買って水草を買う。ポンプを買って水道に繋げる。水は死なないように濾過して使う。

 

 

 

金魚1匹かうためにも多くの行程が必要だ。

 

 

毎朝早起きして電車に揺られて働いて怒られて馬鹿にされる。

別にそんな生活に嫌気が差したとか彩りが欲しいとかそんなことはない。

 

 

ただそれに理由が欲しかったから。だから金魚をかう。

 

 

だって金魚は僕がいないと生きていけないから。僕が温度調整を放棄すれば。水を換えなければ。餌を与えなければ生きていけない。

 

 

それを養うと云うことが生きる目的になる。

 

僕は金魚について詳しくない。金魚の違いなんてわからない。だから死んでしまってもすぐ換えを用意することができる。

 

それが金魚である必要はないけれど、犬や猫ではダメなんだ。

愛着が湧いてしまうから。

 

人は最もダメなんだ。

 

だって人間は僕なしでも生きていけるから。

 

それに人は考える生き物だ。だから怖い。

 

 

昔バスに乗っていた時。女子高生の会話が耳に入ってきた。

彼氏候補が云々と云うごくごく普通の内容。

 

『あの人』は頭がいいけど身長が低いとか。『あの人』は顔はいいけど性格がダメとか。『あの子』はそんなに可愛くないのに調子乗りすぎとか。はそんなたわいもない内容。

 

 

それをバス中に響き渡るように話す。

 

そこに出てきた『あの人』たちは僕の友人で、話していた女子高生は自分の初恋で、『あの子』はその人たちと普段仲良くしてる人であると言うのは今は別に関係ない。

 

 

 

それを公然の場で当たり前のように話す彼女達が怖かった。それを当然のように言える彼女達が、裏ではどんなことを言っているのか考えたくもなかったから。

 

 

別に女性が嫌いなわけでもないしその一例だけ見て判断したわけでもない。ただ若かった自分にとってその一例が強烈であっただけ。ただそれだけ。

 

 

だから僕は金魚がいい。金魚は喋らないから。なにも考えてなさそうだから。

 

 

実際に思考しているかなんて関係ない。していなそうに見えるなら、そう思えるならそれでいい。

 

 

そんな何も考えて無さそうな顔で、降ってきた餌を貪り食う。

命を手綱を他者に握られていることにも気づかない。

なぜ生きていられるかも理解していなそうな金魚だからこそ僕は飼いたい。

 

 

本来住むべき世界から隔離され、それを当然だと疑いすら持たなそうな金魚達。

 

 

代わりはいくらでもいる金魚達。

 

 

ただ与えられた物を食らう金魚達。

 

 

 

 

 

……………少し考えてみた。僕は金魚なのかもしれない。

 


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