Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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第11話 グライム再び ~喰積の前にいささか一番勝負の後の祭り~

 

 

爆進細胞怪獣:エルドギメラ 出現!

 

 

ジュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 

 

ウルトラマンオメガ 敗北!

 

 

アユム先生「オメガが……、ウルトラマンが……、負けた……」

 

アユム先生「あの怪獣はいったい……!?」

 

太平 ナダカ「アユム先生!」

 

アユム先生「ハッ」

 

アユム先生「ナダカ隊長、後のことはお願い! グライムを捕食したとなれば、保管してある最初のグライムの遺骸を囮にして時間稼ぎができるはずだから!」

 

太平 ナダカ「アユム先生はどうなさるおつもりです?」

 

アユム先生「付近に民間人の反応を確認しました。民間人の保護にロッピーと向かいます」

 

太平 ナダカ「わ、わかりました……」

 

アユム先生「……いい?」パシッ

 

太平 ナダカ「あ」

 

アユム先生「今回は記念すべき初実戦でこんなことになったけれども、ね?」

 

アユム先生「結局のところは最後に勝てばいいのだから、今は次に繋ぐためにいかに情報優位性の確保と戦力の損耗を抑えるかにかかっているから!」

 

アユム先生「みんな! これは負け戦なんかじゃない! 勝つための前進と考えて!」

 

アユム先生「さあ、胸を張って! 元気よく! 撤退よ!」

 

太平 ナダカ「………………」

 

アユム先生「ほら、ここで活躍して【連邦生徒会】入りを果たして【SRT特殊学園】を復活させるんでしょう?」

 

アユム先生「常日頃『安心せえ。私がちゃんと防衛室長を引き継いだる!』って元防衛室長(不知火 カヤ)に物申していたんでしょう?」

 

アユム先生「だったら、声を出して指揮を執ってちょうだい」

 

太平 ナダカ「!」

 

太平 ナダカ「わかりました、アユム先生!」

 

太平 ナダカ「聞いたな、今の! アユム先生のお言葉! これは負け戦やない! 勝つための前進や!」

 

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 

 

アユム先生「これでよし」

 

アユム先生「ロッピー! ビークルモード!」

 

ロッピー「ロッピーにおぅまかせですわ~!」

 

アユム先生「さあ、行こう! 急いで!」

 

アユム先生「……これであの二人だったら、()()()()ね」

 

アユム先生「ん、あの怪獣、獲物を獲って満足したのか、その場からいなくなったか……」

 

アユム先生「幸先がいい。命拾いできた」

 

アユム先生「でも、それが命取り。次に会ったら もう容赦しないから」

 

 

――――――そう、ヒーローは敗北にも苛まれても 必ず立ち上がって 最後には勝つものよ!

 

 

……ソラト!

 

……うぁあ。

 

お、おい! ソラト! ソラトぉ!

 

……ぶ、無事だったか。

 

……よ、よかったぁ。

 

……あぁ。

 

………………。

 

……ソラト?

 

……ソラト!

 

……ソラトぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

 

 

再び現れた熱線怪獣:グライムを麻酔薬が装填されたミサイルで眠らせて捕獲するという 防衛チーム【NDF:National Defence Force】初となる 軍事作戦が展開される中、

 

突如 現れたメテオカイジュウ:トライガロンによって最初の麻酔弾で眠気に襲われていたグライムを叩き起こすことになり、次の麻酔弾で作戦が完遂されるのを妨害されることになった。

 

この事態に関して、謎の巨人:ウルトラマンオメガとその仲間であるメテオカイジュウの介入も想定内だったとは言え、『()()()()()()()()()()()()()()()()』という考えが“シャーレの先生”を兼ねる“SKIPのおねえさん”石堂 アユムの脳裏に過ぎり、『()()()()()()()()()()()()?』と思いながら、グライムを倒してくれるなら それはそれでと グライム捕獲をあきらめていたところ――――――、

 

しかし、メテオカイジュウの出現は常にオメガが怪獣と交戦してからであり、今回 トライガロンが先に出現したのはどうにも違和感があった。何か、いつもとはちがう ()()()()()()を“シャーレの先生”として数々の修羅場を潜り抜けてきたアユム先生は戦場の空気から感じ取っていたのだった。

 

その悪い予感は的中し、正体不明の新たな怪獣が地中から現れてグライムに迫り、続いて現れたウルトラマンオメガとトライガロンの攻撃を諸共しない謎の怪獣に対し、グライムが最後の抵抗となる熱線攻撃を繰り出すもビクともしない。

 

その最期は謎の怪獣の尻尾から展開された“第2の口”によって全身を丸ごと溶かされて瞬間的に捕食・吸収されてしまうという凄惨なものであった。

 

そして、なんと謎の怪獣の身体に グライムを捕食したことで その右肩を突き破るように熱線を発射するグライムの角とトゲが出現し、

 

ただでさえ、強力な怪獣がグライムを捕食・吸収したことで強化形態となり、その圧倒的な怪力と手数を兼ね備えた猛攻の前に追い詰められ、尻尾で縛り上げられたオメガは至近距離から熱線で撃ち抜かれて光の粒となって消えてしまったのである。

 

あまりの激戦によって初実戦となる【NDF】の野営地は怪獣の攻撃に巻き込まれて大きな被害を受けることになり、目の前でウルトラマンオメガが敗北した衝撃から茫然自失となっていた隊員一同だったが、

 

そこは怪獣災害の専門家である【SKIP】キヴォトス分所 所長となった“SKIPのおねえさん”石堂 アユムの一喝と的確な指示によって態勢を立て直し、作戦が失敗した時の手筈通りに撤退の準備に取り掛かることになった。

 

幸い、謎の怪獣はオメガを撃破した後、周囲に敵が居なくなったことに満足したのか、はたまた次の獲物を求めてか、地中に潜って そのまま姿を消し、怪獣とまともに戦う術を持たない【NDF】は辛うじて全滅の危機を免れることができたのだった。

 

やはり、数々の怪獣災害を記憶している地球人のノウハウと対応力は怪獣災害に見舞われたばかりのキヴォトス人たちの防衛チーム【NDF】の精神的支柱となっており、初実戦で作戦失敗にも関わらず、【NDF】は隊列を整えて正々堂々と帰還を果たした。

 

それは『見敵必殺』と『計画通り』の四文字は怪獣災害にはないことが周知徹底されていた証であった。

 

あるのは『試行錯誤』と『臥薪嘗胆』の四文字であり、勝つまであきらめない精神が【NDF】の隊員に求められた資質であった。

 

 

さて、初見で怪獣を撃破できれば言うことはないが、そうでなかった場合のリカバリーが怪獣災害対策の重要なポイントである。いわば、防衛チームが怪獣退治の仕事をする時間の前後にあたる予習と復習の時間こそが調査チームの大きな存在意義である。

 

激戦の中でしっかりと撮影された戦闘映像を何度も見返しては分析にかけ、ここで謎の怪獣の名称は『ギリシャ神話の怪物:キマイラに似ている』『ドラゴンボールに出てくる人造人間:セルの吸収能力に似ている』というアユム先生の呟きをまとめたメモを【オデュッセイア海洋高等学校】の生徒が勝手に拾い上げたことで爆進細胞怪獣:エルドギメラと命名されることになった。

 

そして、エルドギメラが登場するまでに出現した直近の古代怪獣:リオドや熱線怪獣:グライムの様子から、エルドギメラに捕食されるのを恐れて逃げ回っていた可能性が示唆され、それだけの強烈な威圧感を放つ怪獣ならば、怪獣に対する嗅覚が鋭い 自称:怪獣研究家も何かしら感じ取っていた可能性が高い――――――。

 

怪獣研究家として【NDF】が作戦を展開している現場に駆けつけて その激戦の中で攻撃に巻き込まれて 身体を打ち付けて意識を失ってしまっていた大木田 ソラトが目を覚ますのを待って、アユム先生は快気祝いに【太陽倉庫】から連れ出すのだった――――――。

 

 

鰐渕 アカリ「はじめまして、【美食研究会】鰐渕 アカリです。これから一緒に美味しい物を食べましょうね」

 

アユム先生「ソラトさん、ここは2時間食べ放題コースの店だから、いっぱい食べて元気を出してください」

 

大木田 ソラト「ありがとな、アユ姉。何から何まで。アユ姉が背中に貼ってくれた湿布がよく効いたよ」

 

星見 コウセイ「………………」

 

アユム先生「じゃあ、席はアカリとソラトさんがこっちで、私とコウセイくんはあっちの奥の席だから」

 

星見 コウセイ「え? 俺とソラトが一緒じゃ――――――?」

 

アユム先生「ほら、フードコーナーに近い方が移動の手間が省けるでしょう。その方がアカリとソラトさんも都合がいいでしょう」

 

アユム先生「それに、今のコウセイくんはあまり食欲がないみたいだし、私も大食いできないし、それなら少しだけ私の長話に付き合ってもらおうと思って」

 

星見 コウセイ「は、はぁ……」

 

――――――

 

鰐渕 アカリ「あなたが大木田 ソラトさんですね。噂はかねがね。いっぱい食べるみたいですね」

 

大木田 ソラト「ああ。それでコウセイの家計を圧迫することになったから、そろそろ居候を辞めるべきだと思っててな」

 

大木田 ソラト「【SKIP】からの報酬だけじゃ家計も苦しくなってきたし、せっかくアユ姉がキヴォトスでの戸籍を用意してくれてたからさ、いい感じに毎日たくさん食べられるだけの勤め先を探しているんだ」

 

鰐渕 アカリ「そうだったんですか。それなら、いい感じにたくさん食べることができるお店のリストを共有してあげますね」

 

大木田 ソラト「お、いいのか」

 

鰐渕 アカリ「いっぱい食べるからって『美食家じゃない』というわけではありません。私は美味しい物を『いっぱい』食べる美食家ですから」

 

鰐渕 アカリ「そうやって印象に残ったお店をみなさんにお知らせするのが【美食研究会】の役目です」

 

鰐渕 アカリ「でも、たくさん食べて満腹感を得るためには お金がかかってしかたがないですよね……」

 

大木田 ソラト「ああ。アユ姉が何か言ってくれたおかげで【山海経】から定期的に美味しいものが届くんだけど、調べたら物凄く値の張るものばかりでコウセイのバイト代じゃ賄えないものばかりだった」

 

鰐渕 アカリ「それは羨ましいですね。私も美食家として 常日頃 美味しいものを食べ回るだけの活動資金を持ち合わせていますが、それでも誰かに奢ってもらえたら嬉しいとは 常々 思っています」

 

鰐渕 アカリ「どうですか、ソラトさん。世の中にはフードファイターというものがあって、大食い大会で美味しいものを誰よりもたくさん食べて賞金をもらう生き方もあるんですよ」

 

鰐渕 アカリ「私は大食い大会で常連となるチャンピオンで、巷では“ブラックホールの胃袋を持つ”だなんて言われてますから」

 

鰐渕 アカリ「ソラトさんの食べっぷりなら十分に大食い大会で上位入賞を狙えると思いますよ」

 

大木田 ソラト「へえ、そいつはいいなぁ」

 

 

鰐渕 アカリ「でも、そんな私でも『怪獣の大食いには敵わないなぁ』って思っています」

 

 

大木田 ソラト「怪獣に興味があるんだ、アカリは」

 

鰐渕 アカリ「はい。怪獣については【美食研】でも 度々 話題になっていて、どんな味わいなのか、凄く興味があります。それであの巨体ですから、何人もの人がたくさんお腹を満たすことができて最高じゃないですか」

 

大木田 ソラト「そういう考え方はしたことがなかったな……」

 

鰐渕 アカリ「それで 先日 現れた新種の怪獣:エルドギメラですよ。尻尾の“第2の口”で一瞬で他の怪獣を捕食して その場でパワーアップしちゃうんです」

 

鰐渕 アカリ「私、食べれば食べるほど強くなるんです。そして、力で解決するのは嫌いで『大食い大会で勝負を決めればいいのに』って 常日頃 思っているんですけど、さすがに『コレはない』と思うんです」

 

大木田 ソラト「どうして?」

 

鰐渕 アカリ「なんというのか、食べることが生き甲斐の私たちだからわかるんです」

 

鰐渕 アカリ「あの怪獣も食べることが何よりの喜びみたいに感じているとは思うんですけど、あれはまるで過食症か、満腹中枢が壊れているみたいな、楽しいんだけど苦しそうなんです」

 

大木田 ソラト「…………『楽しいんだけど苦しそう』」

 

 

俺がいればもっと上手くやれたはずだ!

 

 

お前は悔しくないわけ? 一生懸命に戦っているのに!

 

 

やっぱ、普通の攻撃じゃダメなんだよ。

 

 

いけ、トライガロン!

 

 

ちょっと待てって!

 

 

大木田 ソラト「たしかに、そうかもしれないな……」

 

鰐渕 アカリ「ソラトさん?」

 

大木田 ソラト「あいつは……、コウセイは……」

 

大木田 ソラト「俺はコウセイに無理をさせているのかもしれないな……」

 

――――――

 

アユム先生「まあまあ、コウセイくん。そんなに固くならないで。私とコウセイくんの仲じゃない」

 

星見 コウセイ「う、うっす……」

 

アユム先生「推しのオメガが負けたのは相当ショックだろうけど、それがきみの食欲を奪っていい理由にはならない」

 

アユム先生「きみにはオーナーから任された倉庫の管理人をやらないとなんだから、精のつくものをちゃんと食べて働ける体力をつけないと」

 

星見 コウセイ「ち、ちがうんだ、アユ姉! お、俺は――――――!」

 

アユム先生「まあ、聞きなさい。食欲がないなら、プロテインドリンクを飲んで空腹感を満たしなさい、一旦ね。頭の中を整理するんだったら、まずはコンディションを整えないと。スポーツマンでしょう」

 

星見 コウセイ「わ、わかったよ、アユ姉。とりあえず、何か持ってくる……」

 

アユム先生「よろしい」

 

 

アユム先生「お、やっぱり、スポーツマンらしく、タンパク質重視だね」

 

星見 コウセイ「まあ、アユ姉に言われたことだし、せっかくのバイキングだから体力のつくものを食べておきたかった」

 

アユム先生「で、ラジオのアンケートで『オメガを支持する』が49%で、『支持しない』が37%、『どちらとも言えない』が14%なのを、まだ根に持っているわけなの?」

 

星見 コウセイ「だ、だって、あいつは……、オメガは、今まで誰よりもみんなのために体を張ってくれたのに、どうして…………」

 

アユム先生「いやいや、あのラジオ番組でのアンケートで支持率:49%はなかなかのものだと思うけど?」

 

星見 コウセイ「はあ? 過半数にもなってないのに!?」

 

アユム先生「そう、過半数にもなっていない。けれど、割合というのはあくまでも母数に対するものだから、ラジオ番組のリスナー程度の母数で正確な支持率なんてわからないよ」

 

アユム先生「だって、ここはキヴォトスだよ? 中央政府である【連邦生徒会】の統制と秩序が失われて、実質的に群雄割拠の時代を迎えていて まともな世論統一もできていないし、腹癒せや金儲けのためなら何だってする 不正や暴力が当たり前の犯罪天国で 支持率なんて言ったもん勝ちみたいなものじゃない?」

 

アユム先生「それに、これまでキヴォトスに現れた怪獣のほとんどは都市部に現れていないから、怪獣の被害を受けた人たちの総数もキヴォトス全体からみれば1%にも満たないから、精々がフェイク動画のネタとして利用されるのが関の山」

 

アユム先生「唯一 都市部に現れたテリジラスが罪のない人たちを食い殺した凄惨な事件が起きても、常日頃から【ヴァルキューレ】が対応できない頻度で犯罪がわんさか起きているせいで、それさえも一過性のニュースというコンテンツとしてすぐに消費されてしまった……」

 

アユム先生「わかる? 怪獣災害のことを自分とは無関係だと思っている人間がキヴォトスではこれだけたくさんいるわけだから、オメガの活躍も実際に多くの目撃者がいて公的機関も認めたものなのに実在しないものとして扱う陰謀論もあるんだよ?」

 

アユム先生「はっきり言って気にするだけ無駄。正確な数字にならないのはわかりきっているから」

 

星見 コウセイ「そ、そんな……」

 

アユム先生「そんなコウセイくんのために、【山海経】での支持率を調べてもらったよ」

 

アユム先生「オメガを伝統的な英雄と結びつけた京劇が人気を博した【山海経】でのオメガの支持率はなんと8割超え!」

 

星見 コウセイ「おお!」

 

アユム先生「どう? 満足した?」

 

星見 コウセイ「ああ。ありがとう、アユ姉」

 

アユム先生「まあ、数字なんてこんなものだから」

 

アユム先生「だから、数字を出すことは大切なことではあるんだけど、数字に惑わされて本当に大切なことを見失ってはダメだよ」

 

アユム先生「それこそ、前にコウセイくんが話してくれたよね?」

 

アユム先生「オリンピック選手を目指して走り続けて最終成績が県3位。でも、それを自分の誇りにして悔いはないんでしょう」

 

アユム先生「勝つためならドーピングとか他の選手の妨害工作だってすればいいだなんて思わなかったでしょう?」

 

星見 コウセイ「ああ。そんなことをして失格になったら、数字を出す以前の問題だよ」

 

アユム先生「なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を他人がケチをつけられないように、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に気を揉むのはお節介が過ぎるんじゃないの?」

 

星見 コウセイ「――――――ッ!」

 

アユム先生「まあ、居候のソラトさんを養っている身のコウセイくんとしては傍から見て不満に感じることがいっぱいあるのは当然のことだよね」

 

アユム先生「そもそも、私もそうだけど、記憶喪失のソラトさんがすぐにキヴォトスの生活に馴染めたということは、それだけ地球の常識から掛け離れた世界観に適応できる()()()()()()()()()を持っているからであって、」

 

アユム先生「コウセイくんは地球人として真っ当過ぎるから、キヴォトスに未だに馴染めないのも無理もないことだよ」

 

星見 コウセイ「俺は、そんな…………」

 

 

アユム先生「でも、だからこそ、ソラトさんはずっとコウセイくんのことを頼りにして、()()()()()()()()()()()ように感じてきているみたい」

 

 

星見 コウセイ「え?」

 

アユム先生「ソラトさん、私に割のいいアルバイトとか良い物件の探し方を訊いてきたよ? 知らない?」

 

星見 コウセイ「ソラトが――――――?」

 

アユム先生「うん。最初はカネナリ社長の下でバイトリーダーしていたサオリに影響されてアルバイトについて調べていたみたいだけど」

 

アユム先生「ソラトさんも優しいから、その優しさから きっとコウセイくんのためにしてあげられることを考えた結果、自立を考えるようになったのかもしれないよ」

 

星見 コウセイ「ど、どうしてそんなことがわかるんだよ、アユ姉?」

 

アユム先生「そりゃあ、生徒が大人の真似事をしている学園都市:キヴォトスで“シャーレの先生”をやってきましたから。働き口で困っている生徒や労働契約でトラブルに遭った生徒たちの指導を嫌になるぐらいしてきたし」

 

アユム先生「だから、なんとなく、働こうとしている人の動機や背景っていうものがわかるというか、どれくらい真剣なのかが嫌でもわかっちゃうんだ」

 

アユム先生「つい最近、リオドが現れた時の帰りの電車賃、私に払わせたことを気にしていたしね」

 

アユム先生「今日、バイキングでソラトさんとアカリを引き合わせたのも、彼女、大食い大会の常連チャンピオンだから、ソラトさんの毎日の食事を満たせる割のいい仕事がないかで話をさせてみようと思ってね」

 

星見 コウセイ「ああ…………」

 

アユム先生「そういうわけだから、ソラトさんは真剣だよ。冗談なんて言わない性格なのはコウセイくんが一番わかっているはず」

 

アユム先生「となれば、あとはコウセイくんのソラトさんに対する気持ち次第だよ」

 

星見 コウセイ「…………『俺の気持ち』?」

 

アユム先生「そう。ヒーロー活動;ソラトさんの場合はアマチュアの怪獣研究家で、私の場合は怪獣災害のプロなわけだけど、」

 

アユム先生「ヒーロー活動をするためには対立すべきヴィランの存在が必要不可欠で、私たちは怪獣災害に巻き込まれた人々の苦しみを飯の種にしている弱者ビジネスをしているのよ」

 

星見 コウセイ「いや、それはさすがにちがうんじゃ――――――」

 

アユム先生「ちがわない。怪獣災害がなくなったら御役御免になって職探しをしなくちゃならなくなって、それで地球からキヴォトスに転職してきた私が言うんだから間違いない」

 

星見 コウセイ「…………アユ姉」

 

アユム先生「つまり、ヒーローなんてものは平和なご時世では不要な存在」

 

アユム先生「なのに、悪が滅びるまで戦うなんて御題目を唱えて永遠の正義を謳っているけど、実際には悪が滅びて困るのは悪を倒すことが存在理由のヒーローの方なわけ」

 

アユム先生「どう? そう考えたら、ヒーロー活動なんてやるだけ無駄だと思わない? 存在理由そのものが矛盾していると思わない?」

 

星見 コウセイ「いや、それはちがうと思う、絶対に」

 

アユム先生「それはどうして?」

 

星見 コウセイ「だって、たしかに倒すべき悪がいなくなったらヒーローは不必要な存在になるかもしれないけど、倒すべき悪がいなくなるまでは誰かが助けを求めているから悪は悪なんじゃないのか?」

 

星見 コウセイ「俺さ、最初の怪獣:グライムが現れた時に街中がパニックになって、避難所で女の子が泣いているのに誰も気づかないでいるのが我慢ならなくて、俺とソラトで女の子のお母さんを探してあげたことがあるんだ」

 

星見 コウセイ「それでソラトのやつ、俺のことを“優しい”って言ってきてさ

 

アユム先生「そうなんだ」

 

アユム先生「それって、誰かに褒めてもらいたくて、人気取りのためにやったこと?」

 

星見 コウセイ「ううん。そんなんじゃない。俺はただ――――――」

 

星見 コウセイ「俺はただ…………」

 

星見 コウセイ「あ」

 

 

アユム先生「私ね、シュウおじさんとユウマさんに教えてもらったんだ、ヒーローの条件」

 

 

星見 コウセイ「――――――『ヒーローの条件』?」

 

アユム先生「うん。一般人(みんな)にはヒーローの抱えている事情なんてわからないけど、みんなの変わらぬ日常を守りたいと願うヒーローなら、()()()()()()()()()()()()()()()だから、ヒーローにはヒーローとしての視点と一般人(みんな)としての視点の両方が同時に備わっているんだって」

 

アユム先生「だから、ヒーロー活動に一生懸命になるだけじゃダメで、本当のヒーローになりたいならヒーローになれない人たちの物の見方や考え方もよく理解して立ち回らないと、大衆(みんな)から支持を得るのは難しい」

 

アユム先生「だって、怪獣のことを よくわからない わけがわからない 理不尽の極みである災害の化身だって みんなが怖がっているんだから、その怪獣を倒してしまえる身元不明の正体を明かさないヒーローのことを手放しに信用できるかと言えば、そんなわけないでしょう?」

 

アユム先生「ほら、スーパーの野菜だって生産者の顔が見えた方が安心して買えるでしょう。それと同じこと」

 

アユム先生「広く支持を集めたいなら身元不明の何者かであってはいけないのに、胸襟を開くこともしないで他者からの理解を得られるわけなんてないよ。それでうまくいくなら底辺配信者は苦労しないって」

 

アユム先生「だから、本当に悪が滅びてヒーローの存在が必要なくなる時が来れば、正しいヒーローには一般人(みんな)の視点があるおかげで普通の生活に戻れるわけで、正しくないヒーローはいつまでも必要ないのにヒーローで居続けるから社会から爪弾きにされるしかない」

 

アユム先生「そのことをわかっているか、わかっていないか――――――、それが本当の意味で平和を愛しているヒーローの証なんだって」

 

アユム先生「ヒーローが守りたいと願っているのは、そういうヒーローの力を普段は必要としていない とてもよくありふれた ともすれば退屈に思えてしまう 普通の人々(みんな)の暮らしのはずなんだから」

 

星見 コウセイ「たしかに、言われてみれば……」

 

星見 コウセイ「あまり考えたこと なかったけど、それじゃあ、ソラトは――――――」

 

星見 コウセイ「それなら、どうしてアユ姉は俺たちのことをここまで気にかけてくれるんだ? 今日だってバイキングに連れていってくれるし、仲間になる以前から俺たちのことを何かと気にかけてくれているのは?」

 

アユム先生「そんなの、絵に描くぐらい好きだからだよ? 二人のこと、とっても気に入っているからに決まってるよね? 命懸けの怪獣災害の現場に信頼できない人間と一緒に居たいだなんて思わないよ、普通?」

 

アユム先生「それだけ人間としての魅力的を感じたわけなんだから、もっと自信を持っていいよ、コウセイくん」

 

アユム先生「特に、このキヴォトスだと一般人代表みたいなコウセイくんの中にある人の良さがおいしい水のようにすーっと身体に染み渡るんだ。キヴォトスの水は未だに地球人の私には合わなくて」

 

アユム先生「あるいは、異常者しかいない集まりの中に普通を貫き通している人間もある意味では異常者ってことを考えれば、そこに価値があると思わない? 所が変われば、ね?」

 

星見 コウセイ「ありがとう、アユ姉」

 

アユム先生「元気が出たみたいだね」

 

星見 コウセイ「うん。アユ姉のおかげだよ」

 

星見 コウセイ「やっぱり、アユ姉って“みんなの先生”なんだな。今更だけど、スゴク納得した」

 

アユム先生「面と向かって聞きづらいことだろうけど、時間はそこまで残されてないと思うから」

 

 

――――――あの怪獣:エルドギメラとの決戦までには答えを出しておくようにね。

 

 

 

 

 

アユム先生「今日は本当にありがとね、アカリ」

 

鰐渕 アカリ「ごちそうさまでした、アユム先生」

 

鰐渕 アカリ「ソラトさん、よい人ですよね。ソラトさんのこと、私に紹介したくなったのもよくわかります」

 

鰐渕 アカリ「少食の先生とちがって、ソラトさん、いっぱい食べますからね。食べ歩きに誘ったら、いろいろ新鮮で きっと楽しいと思います」

 

アユム先生「間違っても【美食研究会】の活動には加担させないでよね。【SKIP】の特別調査員待遇なんだから」

 

鰐渕 アカリ「大丈夫ですよ。先生と同じ地球人だってことで無理はさせられませんから」

 

アユム先生「本当はバイキングの後のいつもの岩盤浴に二人を誘いたかったんだけど、コウセイくんのために【太陽倉庫】を出て自立しようかどうかをソラトさんが考えているわけだから、それに対してコウセイくんがどうしたいのか 気持ちの整理をつけさせないとだからね」

 

鰐渕 アカリ「やっぱり、毎日 自由に食べ歩きができないのってかわいそうな人生ですよね。二人で一本のバナナを分け合って食べていたみたいですし」

 

アユム先生「そうだよね。私もアカリと一緒にバイキングに来た後、一緒に岩盤浴ができないのは嫌だなぁ」

 

鰐渕 アカリ「……さり気なく、私のこと、お金のかかる女だって思ってます?」

 

アユム先生「()()()()()()()()()()素敵な女性とおつきあいさせてもらっていると、私は思っているけど?」

 

アユム先生「正月に見せてくれた晴れ着姿と言い、アカリにはしっかりと愛情を注いで輝かせたいから」

 

鰐渕 アカリ「……わかってます。先生が生徒を大切に思うのは当たり前のこと」

 

鰐渕 アカリ「でも、先生。実は私、“普通”ってあんまり好きじゃないんです!」

 

鰐渕 アカリ「だから、この後の時間は私のことだけを“特別”だと思ってください」

 

アユム先生「いいよ」

 

鰐渕 アカリ「とか言って、本当は他にも好みの表情(かお)の生徒のことを誘っているんですよね?」

 

アユム先生「バレちゃったか」テヘッ

 

鰐渕 アカリ「わかりますよ。私が先生の好みの表情(かお)だとするなら、他に思いつく生徒が3人はいますから」

 

鰐渕 アカリ「【セミナー】書記:生塩 ノアさん、【補習授業部】浦和 ハナコさん、【アビドス廃校対策委員会】十六夜 ノノミさんですよね?」

 

アユム先生「な、何のことかな~?」シレッ

 

アユム先生「でも、キヴォトス滅亡の時に一番印象に残る活躍をしたのはアカリだと思っているから」

 

アユム先生「できれば、一番【シャーレ】のお仕事で連れ歩きたい生徒だと思っているんだよね~」

 

鰐渕 アカリ「そんなことを言っても騙されませんからね、先生」

 

鰐渕 アカリ「責任はちゃんと取ってくれないと困ります」

 

鰐渕 アカリ「岩盤浴って良いですよね。岩盤浴着の下には何もつけないから、素材本来の旨味がハーブを蒸した蒸気と共に溢れ出してローストビーフみたいになるんです」

 

鰐渕 アカリ「本当に先生のことをいただいちゃおうかな~★」

 

アユム先生「私もアカリのお胸にたわわに実ったメロンとか、お腰につけた美味しそうな大きな桃にかぶりつきたいな~」

 

鰐渕 アカリ「先生になら あげてもいいですよ、私のメロンも桃も全部。私も先生の全部をいただきたいです」

 

アユム先生「わ~い、ありがとう~! じゃあ、私のローストビーフとアカリのフルーツを交換だね~!」

 

 

アユム先生「まあ、K-DAYが来なければ 今頃そうなっていたのかもしれないけどね……」スン・・・

 

 

アユム先生「まだ私の全てを誰かにあげるわけにはいかないから……」

 

アユム先生「エルドギメラを倒さない限り、キヴォトスに未来はない……」

 

アユム先生「だから、今はごめんね」

 

鰐渕 アカリ「そうですか。とても残念です」

 

鰐渕 アカリ「でも、これからもいつでも呼んでください、先生」

 

アユム先生「うん。アカリのこと()大好きだから、また一緒に」

 

鰐渕 アカリ「もう、先生は本当に意地悪です」

 

 

アハハハハ・・・・・・

 

 

アユム先生にとって【美食研究会】鰐渕 アカリはとんでもなく評価が高い生徒であった。

 

キヴォトス屈指の犯罪発生率を誇る無法地帯【ゲヘナ学園】でも最悪のテロリスト集団と知られる【温泉開発部】が部長:鬼怒川 カスミの優れた頭脳によって統率された組織力に裏付けされているのに対し、

 

鰐渕 アカリが所属する【美食研究会】はたった4人の同好の士だけで【温泉開発部】に並ぶ悪名高さのため、その実力は少数精鋭の【アビドス廃校対策委員会】【便利屋68】【アリウススクワッド】に並ぶと推測される。

 

とは言え、【風紀委員会】の御用になるほどの大犯罪を率先して起こす主犯は気に入らない店を次々と爆破しまくる爆弾魔である【美食研究会】会長:黒舘 ハルナであり、

 

他の3人は黒舘 ハルナが美食を追究するために常軌を逸した計画に便乗して暴れ回るため、黒舘 ハルナと美食さえ絡まなければキヴォトス基準でおとなしい部類の生徒たちなので意外と扱いやすい。

 

そして、ゲヘナ最強である【風紀委員会】委員長:空崎 ヒナを前にすると【温泉開発部】部長:鬼怒川 カスミは心を折られてしまうのだが、【美食研究会】はそのゲヘナ最強の風紀委員長が繰り出す過酷な懲罰を受けても牢屋の中ではケロッとしており、釈放されたら また集まって 常軌を逸した美食を追究しだすので【万魔殿】議長:羽沼 マコトに並ぶほどの非常にポジティブでタフな精神力を持っていた。

 

その上で、【美食研究会】のNo.2と目されている“ブラックホールの胃袋を持つ”フードファイター:鰐渕 アカリは、【美食研究会】としての数々の犯罪歴を度外視にすれば、アユム先生にとっては物凄く頼りになる生徒という認識であり、実際こうして2時間のバイキングや岩盤浴に誘うぐらいの仲となっていた。

 

基本的には笑顔を絶やさない明るいお姉さんであり、それでいて童顔で背丈もアユム先生(169cm)だいたい同じ(167cm)であることから互いに年長者として同じ目線の高さから会話がしやすく、

 

食べれば育つと自身でも語っている通りのモデル級のプロポーションで、とてつもない量を食べているのに体型は全く変わらず、ダイエットをしている様子もない常に自然体の鰐渕 アカリのワガママボディと好みの表情(かお)にアユム先生はメロメロであり、バイキングの後はしっかりと汗を流してデトックスしようという口実で岩盤浴に頻繁に誘うほどで、

 

対する鰐渕 アカリの方も岩盤浴で自分の目の前で身体の芯までしっかりと蒸されて色をつけたアユム先生の赤ら顔と肢体にゴクリと喉を鳴らし、思わずアユム先生の全身を舐め回してしゃぶり尽くそうとしていたぐらいには慕っていた。

 

というのも、童顔で 年長者としての落ち着きや余裕を感じさせる 明るくて優しい包容力のある性格かと思いきや 本性はかなり強かな鰐渕 アカリであり、怒った時や相手をからかう時には普段のゆるさはどこへやら、理路整然と相手を追い詰めていくドSのように振る舞うのだ。

 

こうした気質も“シャーレの先生”アユム先生と実は共通しており、昔の自分を見ている気分にさせられる妹分:【C&C】一之瀬 アスナと【補習授業部】浦和 ハナコとはちがった意味で、外見は月とスッポンぐらいちがうものの、内面は気が合う者同士ということで互いを尊重し合えたのだった。

 

また、基本的に【美食研究会】としての有名な悪行の数々は会長:黒舘 ハルナの発案した計画に便乗したものが大半だが、実は自分に被害が及ばないようにそそくさと逃げるといった動きをすることが多く、危機察知能力がずば抜けて高いことがわかる。

 

そのため、ゲヘナ最強の風紀委員長に懲らしめられてもケロッとしていられるタフさやたった4人の同好の士だけでキヴォトス最悪のテロリストと恐れられる実力の高さも加味して、

 

一発の銃弾が命取りになってしまう脆弱な地球人である石堂 アユムの護衛として見た場合、単体としてはアユム先生の妹分である【C&C】一之瀬 アスナと【補習授業部】浦和 ハナコ以上に安定した戦力として信頼しており、

 

何より、その危機察知能力と作戦遂行能力が最大限に発揮されたのが、空が赤く染まったキヴォトス滅亡の時;【<アトラ・ハシースの箱舟>占領戦】において<箱舟>の自爆シーケンスを止めるために地下1200m層:シャル・カリ・シャッリ回廊の端末にグレネードランチャーを発射して破壊した功績がアユム先生からの信頼を不動のものとしていたのである。

 

一方で、それはそれとして別の生徒に入れあげているのがアユム先生であり、誰からも“先生”とは呼ばれてはいるが、本人としては“学校の先生(teacher)”ではなく、“近所のおねえさん”として可愛い女の子に近づいては誑かしているわけであり、

 

同族の異性が稀という生活環境で男女の恋愛に普通に憧れを持つような多感な時期の年頃の女の子ばかりの学園都市:キヴォトスでは異性がまったくいないことから同性愛に向かうことも決して珍しくないため、

 

愛されたいがために誰にでも愛情を振りまく地球人:石堂 アユムは自然と恋愛に興味を持つ生徒たちから《良くない目》で見られるようになっていくのも時間の問題だった。

 

しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()ということで妹分にして非常に親身に接している生徒は普段の様子からして何かしら問題がある生徒であるため、その2人に関しては嫉妬よりも同情が引き立つのだが、

 

明らかに先生が求める相手というのが 愛されたいがために人を愛する人を優しく包みこんでくれる包容力と余裕を感じさせる おおらかな気質の できれば綺麗な人がいいという男のロマンみたいな存在になっており、

 

やはり、教育に良くないものを子供の頃の多感な時期にドンドン取り込んでいってしまったが故に、自身もイラストレーターであるために審美眼や趣味嗜好が薄い本に毒されているようだったのだ。

 

それでも、シュウおじさんとユウマさんの理解と援助によって真っ当な社会人としての立居振舞を身に着けることができ、ウルトラマンアークという永遠のヒーローの存在を胸に刻みつけたことで人の道を踏み外すことなく、こうして“キヴォトスを救った英雄”として称えられるまでになったわけなのだ。

 

だからと言って、自身の心的外傷(トラウマ)の原因にまでなった性欲を捨て去ることもできず、R18指定のエッチな行為も18歳になった生徒相手にしてもいいんじゃないかと考えているぐらいには、アユム先生も生徒のことを()()()()()で見ており、

 

そして、そんな自分の好みである生徒たちの中でR18指定に抵触しない生徒というのが【美食研究会】鰐渕 アカリ(高等部3年生)であるため、K-DAYが訪れたことで“キヴォトスを救った英雄”として怪獣災害に立ち向かう激闘の日々が始まらなければ、その段階でファーストキスを許した相手になっていた可能性が高かったのだ。

 

そういう意味では鰐渕 アカリは特別な存在であり、それ以外にも 自分のことを慕ってくれている R18指定のエッチな行為がOKな生徒たちは数多いものの、学生に過ぎない子供が大人の真似事をさせられている この学園都市:キヴォトスの過酷な環境で精神を摩耗して救いを求めてきているお労しい子ばかりのため――――――、

 

つまりは保護の対象であるため、真っ当な社会人として生きてきた身としては『かわいそうなのは抜けない』からこそ、『誰かとつきあうのなら 包容力と余裕を感じさせる相手じゃないと こっちの身が持たない』という現実的な側面もできあがっていたのである。

 

要は、“結婚と恋愛は別物”というわけであり、『自分の好みだけで生涯を共にする相手は絶対に選べない』というのが曲がりなりにも社会人の大人である石堂 アユムの至極真っ当な主張であった。

 

その意味では【美食研究会】鰐渕 アカリは K-DAYが到来したことで本職である怪獣災害のプロとしての働きも求められるようになったことで 更に激務に追い込まれてしまっている“シャーレの先生”でかつ“SKIPのおねえさん”である地球人:石堂 アユムを肉体面でも精神面でも資金面でも戦闘面でも支えられる逸材であり、

 

本当は“ブラックホールの胃袋を持つ”とまで評されている大食い大会の常連チャンピオンが2時間程度のバイキングで満足するはずもないわけなのだが、

 

石堂 アユムの活動や苦労を慮って2時間程度のバイキングでおとなしく満足して一緒に岩盤浴をするぐらいには相手に合わせているのだから、それは余程のことなのだ。

 

 

だからこそ、ようやく石堂 アユムは自分が欲しいと求め続けていたものに手が届きそうになっていた――――――。

 

 

が、ダメ。二人だけの時間、二人だけの秘密、二人だけの世界を作り上げる前に、自分たちが生きているキヴォトスでは危機が訪れて、放っておけば再び滅亡まで追いやられることになる。

 

これまで無敗だったウルトラマンオメガを倒すほどの怪獣さえも現れてしまったことで、これまで通りにあの真っ赤な巨人が現れた怪獣を倒してめでたしめでたしを期待する段階を過ぎているため、

 

条件があった(マッチングした) どちゃくそ好みの女の子との楽しい一時を味わいながらも 心はエルドギメラ討伐に向けられており、この間にもエルドギメラ討伐のための準備が【NDF】や関係各所で総力を上げて進められていた。

 

そして、キヴォトスを救うヒーロー:ウルトラマンオメガが再び立ち上がることを期待しているアユム先生としては、数少ない同業者だった怪獣研究家:大木田 ソラトやその従兄弟:星見 コウセイの様子も気掛かりであったため、しっかりと必要なことを見極めてバイキングに誘っていたわけなのである。

 

果たして、ウルトラマンオメガがエルドギメラに敗れた今、キヴォトスの命運はいかに――――――。

 

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