Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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第2話 俺と宇宙人と先生 ~AFTER Trip-Trap-Train~

 

アユム先生「あ、私、こういう者です」スッ

 

星見 コウセイ「――――――【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の、石堂 アユムさん?」

 

星見 コウセイ「ああ、もしかして“シャーレの先生”ですか!? 噂はかねがね! 今回の怪獣についても調査を?」

 

アユム先生「はい。実は、本職は【怪獣防災科学調査所 SKIP】の技術開発者なので、今のキヴォトスで一番に怪獣に詳しいのは私なんです」

 

アユム先生「今、調査ロボットで一帯を隈なく調査していたところ、人間の生体反応が見つかったので確認しに来たわけです」

 

星見 コウセイ「す、すげえ!」

 

アユム先生「……………?」

 

アユム先生「あの、見たところ、私と同じ地球人だと思うのですが、【SKIP】をご存じない?」

 

星見 コウセイ「え? いや、知らない知らない! 俺、たしかに地球人だけど【SKIP】なんて知らない!」

 

アユム先生「じゃあ、【GGF】や【SKaRD】は? アースガロンっていう対怪獣兵器のことは?」

 

星見 コウセイ「え、何ですか、それ? そんなものがあるんですか!」

 

アユム先生「ああ、なるほど。もしかすると、あなた方は()()()()()()()()()()()()のご出身――――――、更なる並行世界の地球の生まれですか」

 

星見 コウセイ「そ、そういうことになるんですかね?」

 

星見 コウセイ「あ、そうだ。俺は星見 コウセイです」

 

星見 コウセイ「こっちは――――――」

 

 

――――――ああ、えっと、こいつは、大きな、大きだ……、そう、オオキダ ソラトぉ!

 

 

大木田 ソラト「……『オオキダ ソラト』?」

 

星見 コウセイ「うん!」

 

大木田 ソラト「俺?」

 

星見 コウセイ「うん!」

 

大木田 ソラト「俺はオメガだけど――――――」

 

星見 コウセイ「のおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

アユム先生「…………?」

 

大木田 ソラト「空……、ソラト……」

 

大木田 ソラト「おお、いいな」

 

星見 コウセイ「ああ!」

 

アユム先生「……えっと、それでどうしてコウセイさんとソラトさんはここに? 十分な装備もなく遭難していたのはなぜなんですか?」

 

星見 コウセイ「え、えっとぉ……!」

 

大木田 ソラト「苦っ……」カジッ ――――――だいこんスティック。

 

大木田 ソラト「味が薄い……」カジッ ――――――きゅうりスティック。

 

星見 コウセイ「あ、こら! 食糧を分けてもらっているんだから、贅沢 言うな!」

 

アユム先生「あ、こちらこそ、ちゃんとした糧食を用意してなくて ごめんなさい。遭難者がいる可能性を考えて非常食を用意しておくべきでした」

 

アユム先生「今度からはしっかりと準備しておきます。防災の初歩的なことを忘れていました」

 

星見 コウセイ「あ、いや、こちらこそ――――――」

 

大木田 ソラト「――――――思い出した」

 

大木田 ソラト「あいつ、ドグリドだ。すっごい毒をプシューって出すやつ」

 

星見 コウセイ「……『ドグリド』?」

 

アユム先生「え、待って、なんで知っているんですか?」

 

星見 コウセイ「ああ。さっき見たんだよ」

 

アユム先生「え、怪獣を? でも、あなた方は()()()()()()()()()()()()のご出身のはずじゃ……?」

 

星見 コウセイ「あ、えっと、こいつは怪獣の出現を予知して 最近 キヴォトスにやってきて研究してたんだ」

 

星見 コウセイ「ソラトは従兄弟なんだけど、超ぉがつくほど天才で、高校を出て一人で研究してたんだな。えっと、何年も山に籠もって」

 

星見 コウセイ「俺は たまたまぁ? その前からキヴォトスで住み込みのバイトをしていたから、ソラトはその伝手を頼ってぇ?」

 

 

アユム先生「――――――もしかして【ゲマトリア】ですか?」

 

 

大木田 ソラト「ん?」

 

星見 コウセイ「……今、何て?」

 

アユム先生「ごめんなさい。考え過ぎだったかも。もしかしたら、()()()()()()()()()()()()()()の可能性もありましたね」

 

大木田 ソラト「ありがとう。えっと、アユム」スッ ――――――空になった野菜スティックのタッパー。

 

アユム先生「あ、はい……」

 

大木田 ソラト「行くか。食い足りないけど。まあ、動けそうだ。うん」クルッ

 

星見 コウセイ「おい、『行く』って、どこへ?」

 

大木田 ソラト「さっきチラッと見えたんだよ、ドグリドの寝床」

 

アユム先生「――――――!」

 

 

スタスタスタ・・・

 

 

大木田 ソラト「――――――」キョロキョロ

 

星見 コウセイ「へえ、工学博士なんですか。それって本当にすごいですね」

 

星見 コウセイ「それがどうして“シャーレの先生”に?」

 

アユム先生「はい。元々は手先が器用でまっすぐに線を引いたり 写生するのが得意だったりで、進路は工学系か美術系のどちらかを考えていたんですけど、」

 

アユム先生「私がいた地球では K-DAY(西暦2008年)以来 怪獣が世界各地に現れるようになって、」

 

アユム先生「そこで怪獣災害の発生や甚大化を防ぐために地域に密着して科学調査や避難誘導を行っている【怪獣防災科学調査所 SKIP】が設立されて、」

 

アユム先生「怪獣災害の発生が顕著だった星元市(西暦2024年)分所で活躍していた特別調査員のおじさん(石堂 シュウ)や相棒だった怪獣生物学の調査員(飛世 ユウマ)の方に憧れて、工学系と美術系の才能のどっちも活かせる【SKIP】の技術開発者になったんです」

 

アユム先生「つまり、設計技師;インダストリアルデザイナーが私の専門なんです」

 

アユム先生「あ、正確には怪獣生物学も履修してますね。【SKIP】の人間として必須ですから」

 

星見 コウセイ「ああ、そっか。スケッチとかしますもんね」

 

アユム先生「もっとも、私が技術開発者として名を上げる頃には怪獣災害もほとんどなくなって、【SKIP】も役割を終えたということで年々予算が減らされていって、転職を考えるように言われていたんですよね」

 

星見 コウセイ「なるほど。それでキヴォトスに来たんですね」

 

星見 コウセイ「でも、俺も地球からキヴォトスに来たわけですけど、もういろいろと大変だったんじゃないんですか?」

 

星見 コウセイ「専門は怪獣災害対策や機械工学なのに、銃声や爆発音が絶えないキヴォトスであちこちの自治区の問題解決のために 毎日 体を張っているわけなんですよね?」

 

星見 コウセイ「怖くないですか? 俺が住み込みでバイトしているところは比較的治安が良いところで事件に巻き込まれたことはないですけど、最初は本当に命の危機を感じて悲鳴を上げながら逃げ回ってましたよ」

 

アユム先生「そうなんですけど、怪獣災害対策の第一は安定した秩序と信頼できる防衛体制の構築なので、やれる人間が頑張るしかないんです」

 

アユム先生「それに、たくさんの生徒たちが私のために力を貸してくれますから。優しさや平和を求める心に地球人とのちがいなんてなかったんです」

 

星見 コウセイ「俺も。来たばかりで右も左もわからない俺のことを【ヴァルキューレ】の生徒たちが 一生懸命 守ってくれて、それからも見回りに来てくれていて、本当に感謝しています」

 

星見 コウセイ「あ、この間の怪獣のこと、ソラトが言うには“グライム”って言うらしいんですけど、何かわかりました?」

 

アユム先生「――――――『グライム』」

 

アユム先生「驚くことに、あれもキヴォトスの生物だそうです。あれで爬虫類に近いって」

 

大木田 ソラト「……この辺のはずなんだけどなぁ?」キョロキョロ

 

大木田 ソラト「あ、ちょっと待ってて」ガサッ

 

 

タッタッタッタ!

 

 

アユム先生「待って、ソラトさん! 奥に入るなら、怪獣以外にも野生動物がいるかもだから、ロッピーで周囲の確認をして――――――!」

 

アユム先生「……不思議な人ですね。職業柄、たくさんの人に会って話をしてきましたが、キヴォトスに来てから初めてのタイプです」

 

星見 コウセイ「あ、巨人の方はどうなんですか? 味方ですよね? 怪獣と戦ってくれていたし……」

 

 

アユム先生「当然です! ウルトラマンですから!」ドン!

 

 

星見 コウセイ「……う、『ウルトラマン』?」

 

アユム先生「そうなんです! 私が知っているウルトラマンは銀色の巨人で、キヴォトスに現れた真っ赤な巨人はいろいろとちがいが大きいようですけど、あれは間違いなくウルトラマンです!」

 

アユム先生「実は、星元市を度重なる怪獣災害から救ってくれた銀色の巨人こそ、シュウおじさんが名付け親となった 私たちの永遠のヒーロー:ウルトラマンアークなんです!」

 

アユム先生「必殺技は腕を十字に組んで放つアークファイナライズ! 他にも数々の必殺技や武器を持ち、それらの地球側での呼称に相棒のユウマさんも関わっているんです!」

 

アユム先生「だから、キヴォトスにも現れたあの真っ赤な巨人にもウルトラマンとして相応しい名前をつけてあげたいんです!」

 

星見 コウセイ「お、おお……」

 

星見 コウセイ「よ、良かった。良かったよぉ、ソラトぉ……」ホッ

 

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 

 

アユム先生「やっぱり、ドグリドは両生類が怪獣化したものだから、ダム湖を新たな棲み処にするために――――――!」

 

仲正 イチカ「でも、あいつ、ダムを真正面から破壊しようとしてるっすよ!? ダムが決壊したら棲み処にするどころじゃなくなるっすよ!?」

 

アユム先生「あんなにもでっかくなったところで、どこまでいっても脳ミソはイモリでしかないか」

 

アユム先生「くっ! こんな山奥のダムに大部隊を集められないし、ダムの決壊はもう避けられない……!」

 

アユム先生「ダムの下流にある居住区全てに避難命令を出して、アロナ! 私たちは少しでも時間を稼ぐ!」

 

アユム先生「ロッピーはドグリドの急所を探って!」

 

ロッピー「ロッピーにおぅまかせですわ~!」

 

アユム先生「ガロンちゃんはロッピーが探り出した弱点をいつでも狙えるようにレールガンの準備を!」

 

ガロンちゃん「ガオガオー!」

 

アユム先生「コウセイくん! ソラトさん! あなたたちも早く! ダムが決壊するから! ここは私たちが食い止めるから!」

 

星見 コウセイ「ああ!」

 

大木田 ソラト「――――――!」バッ ――――――オメガスラッガーを手に取る!

 

星見 コウセイ「人前で大きくなるの、禁止! 元に戻るのも!」ガシッ

 

星見 コウセイ「もし見られたら、カレーライス! 作ってやらないからな! 焼きそばも!」ドン!

 

大木田 ソラト「それは困る……」

 

大木田 ソラト「わかった」タタッ・・・

 

 

アユムの頑張りを無駄にはしない!

 

 

オメガスラッガーにオメガメテオをセット!

 

 

 

シュワーッ!

 

 

 

仲正 イチカ「あ、あれは――――――!」

 

アユム先生「ああああ! ウルトラマンだああああああああああああああああ!」

 

アユム先生「行けええええええ! やっちゃええええええ! ウルトラマン!」

 

仲正 イチカ「……巨人がダムを守っている? 先生の言う通り、あれは私たちの味方?」

 

星見 コウセイ「大丈夫ですか!?」

 

アユム先生「あれ、ソラトさんは?」

 

星見 コウセイ「あいつとははぐれたけど大丈夫です! 今はダムからの避難を早く!」

 

仲正 イチカ「そうっすよ! あの巨人が時間を稼いでくれている間に安全な場所へ!」

 

アユム先生「ああ、いけないいけない! 今はそれが最優先だった!」

 

星見 コウセイ「さあ、掴まってください! 行きますよ! せーのッ!」ググッ

 

ダム職員「ああ、ありがとう……!」

 

星見 コウセイ「ほら、役に立ったろう?」

 

アユム先生「うん! あとで感謝状を送るよ、コウセイくん!」

 

 

アユム先生「ドグリド! 両生類が跳びはねるみたいに、毒ガスの噴射を利用して――――――!?」

 

 

アユム先生「なるほど、まるでアークアイソードとアークエクサスラッシュを足して2で割ったみたいな武器ね、頭の宇宙ブーメラン!」

 

 

アユム先生「なんてこと!? フグみたいに毒袋が破れたら周囲に毒が撒き散らされちゃう! あれじゃあ、倒せたとしても危なくて後始末ができない!?」

 

 

アユム先生「え、何、あの五角形は? それで両手を十字に組んで――――――! あの構えはもしや――――――!?」

 

 

レティクリュート光線!

 

 

水棲毒獣:ドグリド 撃破!

 

 

星見 コウセイ「うおおお! すっげえ、何だ、あれ!」

 

アユム先生「もう100点満点! 腕を十字に組んで必殺光線! そして、怪獣を倒したら空を飛んでいく!」

 

アユム先生「これよ! これがウルトラマン! みんなを守る永遠のヒーロー!」

 

アユム先生「それが私の眼の前に――――――! ああ、もう、最高ッ!」

 

仲正 イチカ「………先生」

 

仲正 イチカ「あ、コウセイさん、あれってお連れの方じゃ――――――」

 

星見 コウセイ「あ、本当だ」

 

 

大木田 ソラト「あ、あ、あ、もうダメ。ダメ。どうにもなんねぇ。あ。疲れたぁ……」ヨロヨロ・・・

 

 

星見 コウセイ「誰にも見られなかったか?」ヒソヒソ

 

大木田 ソラト「見られなかった」

 

星見 コウセイ「それなら よし」

 

大木田 ソラト「それより腹が減った……」

 

アユム先生「ソラトさん! ソラトさん! 見た? 見ました? あの真っ赤な巨人の大活躍!」

 

アユム先生「これで世間も巨人が人類の味方であると信じてくれること間違いなし!」

 

大木田 ソラト「当然だろう。俺がアユムの頑張りを無駄にするわけ――――――」

 

星見 コウセイ「わあわあわあわあわあっと!」

 

大木田 ソラト「あ?」

 

星見 コウセイ「正体を知られるの、禁止!」ヒソヒソ

 

大木田 ソラト「ああ……」

 

アユム先生「どうしました?」

 

星見 コウセイ「ああ、いえいえ、何でも……」

 

星見 コウセイ「それじゃあ、後のことは専門家に任せるとして、俺たちはこの辺で」ガシッ

 

星見 コウセイ「ほら、帰るぞ! 掴まれ!」

 

大木田 ソラト「うん……」ヨロッ・・・

 

アユム先生「ありがとね。あとで感謝状を贈りに行くから」

 

星見 コウセイ「じゃあな、アユ姉!」

 

アユム先生「……え、『アユ姉』? 私のこと?」

 

星見 コウセイ「え? だって、年上だし? 俺、アユ姉のこと、マジで尊敬だし!」b

 

大木田 ソラト「ああ。俺も“尊敬”だ、アユ姉」b

 

アユム先生「いや、“アユ姉”って……」クスッ

 

アユム先生「ソラトさんも同い年ぐらいだと思いますけど?」

 

大木田 ソラト「そうなのか?」

 

 

仲正 イチカ「――――――」ピキピキ・・・

 

 

星見 コウセイ「じゃあな、アユ姉、また!」

 

大木田 ソラト「じゃあ」スタスタスタ・・・

 

星見 コウセイ「人前でそういうことを言うのはやめろって何回言ったらわかんだよ!?」ガミガミ

 

大木田 ソラト「はらへった~~~」グラッ

 

星見 コウセイ「あ、重い重い重い! ちゃんと歩けって!」ヨロヨロ・・・

 

 

アユム先生「……イイ」ニッコニコ

 

仲正 イチカ「――――――『何が』っすか、先生?」

 

アユム先生「あのふたり、イイ感じだと思わない?」

 

仲正 イチカ「まあ、そうっすね」

 

仲正 イチカ「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思ってハラハラしてたっすけど、今の発言を聞いて安心できたっすよ」ボソッ

 

アユム先生「え、何?」

 

仲正 イチカ「なんでもないっすよ」

 

仲正 イチカ「さあ、先生、指示を。怪獣の後始末を始めるっすよ」

 

アユム先生「あ、そうね。そこはしっかりとしておかないと」

 

アユム先生「ああ、今日は最高の日になったねぇ!」

 

仲正 イチカ「そうっすか……」

 

 

仲正 イチカ「――――――()()()()()()()()()()()()()」ジロッ

 

 

仲正 イチカ「初対面の先生に“アユ姉”だし、今日一日だけで距離の詰め方が半端ないっす。先生も“シャーレの先生”以外の見方をされて満更でもなさそう……」

 

仲正 イチカ「どうするっすかね? 先生の好みに合わせてパンツスタイルの制服にした方がいいっすかね?」

 

仲正 イチカ「先生、あれで 結構 夢女子で、我らが【ティーパーティー】のホスト3人でそれぞれのカップリングを絵に描いて楽しんでいるぐらいの猛者っすからねぇ……」

 

仲正 イチカ「まあ、デスクワークに飽きてチラシの裏や隅っこに描いている落書きを見れば、最近のマイブームがわかるっすから、これは情報共有しておいた方がいいっすよね」

 

仲正 イチカ「とりあえず、ここ しばらくの先生のマイブームはあの二人になることは間違いないっすね」

 

 

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