Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...- 作:LN58
秋。それは芸術の秋であり、読書の秋であり、文化の秋である。
現在、学園都市:キヴォトスでは各自地区の季節の風物詩となる学園祭が盛んに開催されていた。
それはミッション系のお嬢様学校として知られる【トリニティ総合学園】も例外ではなく“トリニティ
その裏で学園祭期間では組織間の関係性を抜きにして幅広く交流を深めることが求められているのを絶好の好機とみなして、
生徒会組織【ティーパーティー】の権威が失墜したエデン条約の騒乱を経て【トリニティ総合学園】の旧弊を取り去り、これまで啀み合って足を引っ張り合っていた派閥同士が手を取り合って開放的な雰囲気を作り上げる建前で、
自分たちのマイナスイメージを払拭するべく【シスターフッド】代表:歌住 サクラコと【救護騎士団】団長:蒼森 ミネが率先して自らアイドルコンテストに参加しようと奮闘していたのであった。
しかし、アイドルコンテストに飛びついてみたものの、肝腎のアイドルというものが何なのかがよくわかっていない【シスターフッド】と【救護騎士団】の代表たちであり、
しかも、代表同士で話をさせると必ず話が拗れることから緩衝材となる【シスターフッド】伊落 マリーに協力を仰いでアイドルユニット【アンティーク・セラフィム】を結成することになったのだが、
【ティーパーティー】ホストに匹敵する立場となった【シスターフッド】と【救護騎士団】の代表同士の意見が事ある毎に衝突するので、このままでは二進も三進もいかないということでタジタジとなった伊落 マリーが公正な第三者として“シャーレの先生”に助けを求めるのは自然な流れであった――――――。
一方、【太陽倉庫】もとい【怪特隊 特務班】でも飽食の秋を堪能しており、怪獣災害の発生も収まっている状況ということで今のうちに楽しい思い出作りのために
せっかくキヴォトス中でいろんな学園祭が開催されているので、それを見て回って祭り屋台の料理を食べ歩くことをアユム先生に勧められ、大食漢である大木田 ソラトのために各自地区の学園祭のパンフレットや食券が用意されていたのだが、
これに対して、意外にも『メテオカイジュウの特訓がしたい』と言い出したのが怪獣使い:星見 コウセイであり、県大会で第3位入賞が青春の思い出である元スポーツマンにとって秋とはスポーツの秋でもあった。
その熱意を受け、現在は【怪特隊】代表である【ティーパーティー】元ホスト:百合園 セイアはトリニティ自治区にあるプライベートキャンプ場を貸し切りにし、そこで思う存分に特訓をしてくるように快く送り出していた。
そして、【太陽倉庫】に見回りに来る顔馴染みのおまわりさん:中務 キリノが“トリニティ
そういう意味では大木田 ソラトも星見 コウセイも学園祭期間を非常に楽しみにしており、それまでにメテオカイジュウの特訓を済ませておこうと張り切っていたのだった。もちろん、応援するからには全力ということで、ペンライトを使ったオタ芸の特訓も欠かさなかった――――――。
そんなわけで、アユム先生が伊落 マリーの付き添いで【トリニティ総合学園】における派閥抗争を氷解させる一手として【シスターフッド】代表:歌住 サクラコと【救護騎士団】団長:蒼森 ミネによるアイドルユニット【アンティーク・セラフィム】のプロデュースに携わった一方、
トリニティ自治区にある広大なプライベートキャンプ場を【ティーパーティー】の権限で貸し切りにして、ウルトラマンオメガとメテオカイジュウが地響きを立てる迫力満点の打ち込み稽古に励んでいたのだった。
当然、デジタルネイティブ世代が生きる 現在のこの情報社会、どこから情報が漏れるのか わかったものじゃない――――――、
怪獣災害に駆けつけてくれる みんなのヒーロー:ウルトラマンオメガがトリニティ自治区の山奥で秘密の特訓をしているなんて噂がどこからか流れるのだが、そこは【ティーパーティー】の絶大な権限で情報管制が行われており、基本的にフェイクニュースであるとして 決して【正義実現委員会】を動かすことはなかった。
と言うのも、学園祭期間は必然と他校の生徒や他の自治区の住人たちが押し寄せて来るのだから、エデン条約の時ほどの厳戒態勢にはならないものの、【正義実現委員会】を総動員したトリニティ自治区の警戒態勢はそう簡単に解かれることはない。人を動かす余裕なんてないので他のことには基本的にはかまってられないのだ。
そもそも、キヴォトス滅亡に繋がる最重要案件である 怪獣出現の報なら まだしも、これまでにネットでフェイク動画が大量に作られているウルトラマンオメガの出現の報は基本的にデマであると一蹴できる土壌ができあがっているため、
わざわざ秋の風物詩といえる学園祭期間に山奥に行ってまで 怪獣退治の時にしか姿を現さない上に 現れたとしても10分も地上に存在しない ある種 幻の存在といえるウルトラマンオメガとお供の怪獣の姿を追い求めることにどれだけの
なので、【ティーパーティー】元ホスト:百合園 セイアの目論見通りに怪獣使い:星見 コウセイの秘密の特訓は人の目を気にすることなく盛大に行われることになり、山奥であっても移動にはライトビートルが使えるので 会おうと思えば すぐに会いに行けるぐらいの距離感にあった。
今年の“トリニティ
アユム先生もまたキヴォトス各地の学園祭を過酷なスケジュール調整を行って訪ね回る中、“トリニティ
もちろん、現在は【ティーパーティー】ホストの座を退いて【怪特隊】代表として新たな道を進んでいた百合園 セイアにしても、アユム先生はもちろん、【怪特隊 特務班】の大切な仲間である大木田 ソラトと星見 コウセイのことをもてなす準備を整えており、久方振りの平和な母校の日々を堪能できるはずだった――――――。
しかし、ここで ある意味においては【ゲヘナ学園】と同レベルの【トリニティ総合学園】の派閥抗争が再燃し、些細な誤解から突如として内戦の危機を迎えてしまったのである!
これにより、エデン条約の騒乱で権威が失墜したとは言え、腐っても生徒会組織として絶大な権限を有し続ける【ティーパーティー】ホストとして、エデン条約の騒乱の再現にならないように今度こそ冷静かつ賢明な判断を下して場を収めようと手を尽くそうとする桐藤 ナギサの決意を嘲笑うかのように、誤解が誤解を生んで収拾がつかない事態に発展していたのである。
しかも、最悪なことに プライベートキャンプ場で特訓していた大木田 ソラトと星見 コウセイからの定時連絡が途絶えたことを知らせる緊急連絡が【怪特隊 特務班】を率いる立場のアユム先生と百合園 セイアに届いてしまい、【トリニティ総合学園】と【怪特隊 特務班】がまさかの同時に危機を迎えていたのだ。
この極めて難しい状況、すでに【ティーパーティー】ホストの座を退いている身として発言力が弱いことを自覚して 現在は【怪特隊】代表である百合園 セイアが【怪特隊 特務班】の危機に対応し、
エデン条約の騒乱における立役者にして“キヴォトスを救った英雄”であるアユム先生が【トリニティ総合学園】の内乱の危機に対応することにして、分かれることとなる。
こうして、病弱の身でありながら 以前から【ミレニアムサイエンススクール】の生徒会長である“ビッグシスター”調月 リオと秘密裡に協力関係を結んでアグレッシブに潜入活動をするようになっていた“預言の大天使”百合園 セイアの【怪特隊 特務班】を救う極秘任務が始まる――――――。
メテオカイジュウの特訓のためにキャンプに来ていたソラトとコウセイの前に出現したのは“宇宙海賊”として悪名高い海賊宇宙人:バロッサ星人であった。
不意の出現に対応できなかった大木田 ソラトをダダ星人の縮小光線銃で瞬間的に人間標本に変え、渦巻き模様の掌でコウセイを催眠状態にしてキャンプ場のコテージを改装した自身のアジトに拉致したのである。
そして、アジトで拘束されたコウセイが目覚めたところでザラブ星人の宇宙語翻訳機を使ってバロッサ星人が自己紹介を行うと、『人間標本カプセルに容れたソラトを
まさかの事態に完全にお手上げといったところだったのだが、そのまま部屋でバロッサ星人が眠りこけていた隙に人間標本になったコウセイを謎の少女:ギルダに横取りされ、それに気付くことなく
と言うのも、ソラトたちからの定時連絡が途絶えたことで異常を察知した百合園 セイアがライトビートルで現場に向かうと、キャンプ場全体が貸し切りとなる以前からオフシーズンで利用者がいないはずのコテージの扉が開いているのに気付き、意を決して単身でコテージに足を踏み入れると、中はなんと成金趣味の悪趣味な内装に模様替えされていたのである。
そして、縮小化光線を浴びせられて人間標本になっていた星見 コウセイをヘイローを持たない謎の女性:ギルダが着せ替え人形のように弄んでいるところを発見し、背後から音も立てずに抑え込もうとしたところ、うっかり音を立ててしまったので そのまま飛びかかってギルダと揉み合いになった。
ヘイローを持たないキヴォトスの外の存在であるギルダの力は見た目に反して地球人を凌駕する身体能力を持つキヴォトス人に匹敵するものがあり、元から病弱で貧相な体つきの百合園 セイアとしては長期戦になると不利であった。
そこで愛銃を手放して相手の気を逸らした隙に超音波威嚇装置:ソニッターによる目眩ましを至近距離で浴びせると、閃光に驚いたギルダは思わず飛び跳ねて壁に頭を打ち付けてしまうのであった。
その弾みでギルダの正体が“化け物妖怪”としか言いようがない 自身も醜い姿だと思っている バロッサ星人の妹であることがバレることになり、
なんでも、この惑星から360光年離れた惑星:H-4126でこの惑星を観察した際に森と湖に囲まれた美しい城での騎士と姫の恋模様を観測したことからこの惑星の現生人類を気に入ったらしく、
遠くないうちに予言されていた文明滅亡の危機による現生人類の滅亡に備え、人間標本に代表されるフィギュア蒐集が趣味の兄がメテオカイジュウのついでに攫った人間標本を横取りして、保護という名目で監禁しようとしたことを正直に話すのだった。
そして、ギルダの目から見て美しいオス個体とみなした騎士役の星見 コウセイの他にも、姫役のメス個体もセットで揃えたいということで ちょうどよくアジトに入り込んできた 可愛らしい女の子の百合園 セイアも一緒に連れて帰ろうと強請るのだが、
そのことをミッション系のお嬢様学校の頂点に君臨する令嬢の一人である百合園 セイアは人間を
その結果、身体が縮んだままのコウセイが指示を出したメテオカイジュウが小さいままの状態で一斉にバロッサ星人に反撃を仕掛け、更にはコウセイとセイアを捕まえようと追いかけてきた妹:ギルダが兄:ザーゴンと兄妹喧嘩を始めたことで、その隙にセイアが縮小光線銃を奪い取ってソラトとコウセイを元のサイズに戻すと一目散に【怪特隊 特務班】は外へと逃げ出したのであった。
怒った兄:ザーゴンは外に出たところでモルフォ蝶の鱗粉を浴びて巨大化。惑星アップルの鬼怪獣:オニオンの金棒を武器にソラトが変身したオメガと渡り合うが、コウセイが特訓で身につけたメテオカイジュウ3体の連携攻撃に完全に翻弄され、最強の力:ヴァルジェネスアーマーの前には手も足も出せずに完全に追い詰められることとなった。
だが、トドメを刺される寸前にギルダに庇われ、そこへバロッサ星人の母までも登場。母親に悪事がバレて叱られても駄々を捏ねていたが、最後は 兄妹共々 滅びゆく運命の惑星から帰還させられたのであった。
こうして、一時はソラトもコウセイも人知れず人間標本にされてどうなるかと思われていたが、【怪特隊】代表として体を張った百合園 セイアの活躍によって無事に解放されることになり、侵略宇宙人の異形には遭遇したことがないがために“化け物妖怪”と呼ぶ他なかったバロッサ星人も退散したことで事件は秘密裡に解決されるのであった――――――。
星見 コウセイ「いやぁ、本当に助かったよ、セイア」
星見 コウセイ「セイアが来てくれなかったら、俺たち 今頃 あの“化け物妖怪”に宇宙に連れ去られていた……」
百合園 セイア「ああ。正直に言って、私だけで駆けつけて何とかなってホッとしているよ……」
百合園 セイア「けど、まさか、【ティーパーティー】が管理しているプライベートキャンプ場にあのような宇宙人が――――――」
大木田 ソラト「バロッサ星人だな」
百合園 セイア「そう、そのバロッサ星人のアジトに利用されていただなんてな……」
百合園 セイア「すまない。こちらの完全な落ち度だ。オフシーズンで利用者がなかったとは言え、あのような輩に施設を利用されていたとは……」
星見 コウセイ「いや、ソラトでも対応することができなかったんだし、こればかりはしかたがないよ」
大木田 ソラト「でも、コウセイ、あの連携はスゴク良かったぞ。特訓の成果が出ていたな」
星見 コウセイ「ああ。これもセイアがプライベートキャンプ場を貸し切りにしてくれたおかげだ」
百合園 セイア「そうかい。手応えがあったようで、そいつはよかった」
百合園 セイア「さて、私はすぐに中央に戻るとするよ」
百合園 セイア「学園祭期間中ということで人手が回せない以上、今回の事件の現場検証は後回しになると思うから、ソラトとコウセイは可能な限りの現場保存や現場写真を頼む」
大木田 ソラト「かなり急いでいるみたいだけど、【トリニティ】で何か起こったのか、セイア?」
百合園 セイア「それがだね。何がどうなってかは知らないが、【シスターフッド】と【救護騎士団】が学園祭でクーデターを起こすだなんてことになって、アユム先生が対応に向かったというわけなのさ」
星見 コウセイ「は、はあ? 俺たち、キャンプなんてしている場合じゃないじゃん! それに、アイドルコンテストは!?」
百合園 セイア「わからない。ただ、私の経験上、おそらくは取るに足らない些細な誤解から騒ぎが大きくなったんだと思う」
百合園 セイア「情けないことに、【トリニティ】は【ゲヘナ】以上の伏魔殿になっていてね。何かにつけて“救護”を叫んでおきながら 肉体言語で全てを解決しようと力押しで暴れ回ろうとする【救護騎士団】に、聖書解釈の副産物か 話した内容を言葉通りに素直に受け取ることができなくなって制御不能の【シスターフッド】が水と油の関係になって、ますます政治面の混乱に拍車が掛かっているわけなのさ」
百合園 セイア「本当はそういう誤解や食い違いをなくすために【シスターフッド】に代わって政治を司るようになったのが【ティーパーティー】の役割だったんだけどね……」
百合園 セイア「こればかりはエデン条約の時にやらかしてしまった私たちの責任ではあるんだけれど……」
百合園 セイア「だから、クーデターだなんて大それたことにはならないとは思う。アユム先生が話を聞けば すぐに解決するような 本当に些細なことだと思っている」
百合園 セイア「けど、長年に渡って慣習となったものを昨日今日で変えることは難しいというわけで、まだまだアユム先生の指導が必要不可欠なのを再認識させられたね」
百合園 セイア「今はそんな学内のことでグダグダしている場合じゃないと言うのにね……」
百合園 セイア「あのバロッサ星人とかいう輩が気になることを言っていただろう、コウセイ」
大木田 ソラト「そうなのか、コウセイ?」
星見 コウセイ「ああ。この惑星は滅亡の時は近いとか何とかで、だから、その前にせめて保護しようって……」
星見 コウセイ「なあ、ソラト? あいつらは俺たちのことを何者なのかを最初から理解して標本にして持ち帰ろうとしていたみたいだったけど、それ以上に宇宙人になら理解できる何かが
星見 コウセイ「それって何なのか、思い出せないか?」
大木田 ソラト「それは……」
大木田 ソラト「………………」
大木田 ソラト「――――――」
百合園 セイア「すまないが、私は戻る。後のことは任せたぞ」
星見 コウセイ「あ、うん。ありがとな、セイア」
大木田 ソラト「……すでに何か大変なことがこの惑星で起きている?」
――――――それが 怪獣たちの“目覚めの刻”?
この惑星の文明に危機が迫っています。この惑星の人間は間もなく滅びるでしょう。
たとえ、滅びゆく種族でもね。人間は仲間と一緒にいるのが幸せなの。
アユム先生「いやはや、楽しかったね、学園祭」
アユム先生「いろいろ見所があったと思うけど、ソラトさんやコウセイくんはどこの学園祭が一番だったかな?」
大木田 ソラト「俺は【トリニティ】のやつだったかな。キリノがアイドルコンテストってやつに出て、みんなでペンライトを振ってオタ芸ってやつをして盛り上がったんだ」
星見 コウセイ「ああ、俺も“トリニティ
星見 コウセイ「と言うより、あの時はセイアにプライベートキャンプ場を貸し切りにしてもらって特訓をしていたから、いろんな意味で思い出深いんだよな」
百合園 セイア「まあ、バロッサ星人とか言う輩に人間標本として連れ去られそうになっていたことだし、」
百合園 セイア「本当に些細な誤解から【トリニティ】で内戦が起きそうになっていたということで、エデン条約の失態でホストの座を退いた身の私としても忘れられない学園祭になったよ……」
アユム先生「……本当にねぇ。マリーと急いで駆けつけなかったら、更に恥の上塗りになるところだったね」
百合園 セイア「ああ。またしても、為政者としてまともな対応をしようとしたナギサが貧乏くじを引かされることになったな……」
百合園 セイア「話を整理すると、あれはアイドルコンテストに参加しようとしていたサクラコの言葉遣いが何も無いところに火を点け、ミネの受け答えが火に油を注いだ結果なんだがね……」
百合園 セイア「まあ、発端となったのがサクラコとミネが自分たちのアイドルユニットの
百合園 セイア「隣人愛の教えを説く学園で 派閥の代表たちがこうも相互理解を欠いて こんな些細なことで縁日に内乱の危機を招くことになろうとは、これでは【ゲヘナ】のことを笑えないな……」
大木田 ソラト「それって、なんでなんだろうな?」
星見 コウセイ「まあ、部外者の俺にはわからないことだらけだけど、話を聞いていると【トリニティ】って生徒同士で“友達”って感じがしないよな」
大木田 ソラト「あ、たしかに。【正義実現委員会】のように上下関係はあっても友達付き合いをしている感じが、そのサクラコやミネ、ナギサからはしないんだよな。互いに嫌い合っている感じしかしてこなかった」
アユム先生「ああ、さすがだね。さすがだよ、コウセイくん、ソラトさん」
アユム先生「政治面で【トリニティ総合学園】が抱えている問題ってまさしく派閥の代表同士が気心知れた仲じゃないんだよね。だから、誤解を解くのが面倒なことになっていてね。これが致命的な問題を招いたわけで」
アユム先生「だからね、私としては【トリニティ】のイメージアップをするのだったら、【アンティーク・セラフィム】には桐藤 ナギサを加えた大物ユニットにするべきだったと思うね」
百合園 セイア「そうだね。エデン条約の時の反省と課題の解決はまだまだこれからだ」
百合園 セイア「で、バロッサ星人の一家が迷惑をかけたお詫びに持ってきたという このマンダリン草饅頭なんだけど」
大木田 ソラト「ああ! これ、めちゃくちゃ美味いんだよ!」
アユム先生「だから、みんなで分け合おうとしていたのに、ソラトさんが――――――」
星見 コウセイ「ああ。ソラトのやつ、独り占めしようとしていたんだ」
百合園 セイア「待て。待つんだ、アユム先生、コウセイ」
百合園 セイア「記憶喪失のソラトが知っているものということで味の保証がされているだろうことは間違いないだろうが、」
百合園 セイア「それはバロッサ星人やソラトにとって美味しいものなのであって、私たちの身体に合ったものかはわからないだろう?」
百合園 セイア「毒見ぐらいはした方がいいのではないか?」
星見 コウセイ「ああ……」
百合園 セイア「そもそも、そのマンダリン草饅頭の原料と思われるマンダリン草はどういった植物なんだい?」
大木田 ソラト「そうだな。ちょっとまってくれ。たしか、マンダリン草ってのはたしかマンモスの主食で――――――」
アユム先生「あ、アウトオオオオオオオオオオオオオ!」
星見 コウセイ「へ」
アユム先生「――――――今、『マンモス』って言った? マンモスって氷河期あたりの古代ゾウってことだよね?」
アユム先生「つまり、この間 手を焼いた 古代粘菌:エドマフィラより時代は新しいけど、
星見 コウセイ「そ、そういうことになるのか!?」
百合園 セイア「絶滅したマンモスの主食ということは、そのマンダリン草も絶滅しているわけなんだね」
百合園 セイア「つまり、そのマンダリン草饅頭に使われている原料は宇宙人たちが栽培したものになるわけか」
百合園 セイア「私は遠慮しておくよ」
星見 コウセイ「お、俺も……」
アユム先生「じゃあ、せめてマンダリン草の成分分析のために1つだけちょうだい。マンダリン草の危険性や利用法についてもいろいろと教えて」
大木田 ソラト「わかった、アユ姉」
星見 コウセイ「あ、危ねえ。なんてものを食わせようとしていたんだ、あの宇宙人」
中務 キリノ「お邪魔します、コウセイさん!」
星見 コウセイ「おお、キリノ。【プリティードーナッツ・ポリスガールズ】、良かったぞ」
大木田 ソラト「ああ。最高だった。一緒にペンライトを振り回すのが楽しかった」
アユム先生「うんうん。可愛かったよ、キリノ。フブキもね」
中務 キリノ「ありがとうございます。一生懸命がんばった甲斐がありました」
百合園 セイア「どうやら無事に企業のタイアップに、【ヴァルキューレ】のイメージアップに貢献できたみたいだね」
中務 キリノ「はい。それでドーナッツ屋の売上が急増した感謝感激の御礼ということで、たくさんのドーナッツをいただくことになりました」
中務 キリノ「ですが、学園祭期間中の差し入れとして、すでにたくさんのドーナッツをいただいてましたので、」
中務 キリノ「それで【太陽倉庫】のみなさん――――――、いえ、【怪特隊】のみなさんにお裾分けです。秋の新作がたくさんありますよ」
星見 コウセイ「うおおおお! ありがとう、キリノ!」
アユム先生「わーい!」
大木田 ソラト「おお!」
中務 キリノ「セイア様もどうぞ」
百合園 セイア「いや、ここでの私はただのセイアだよ、キリノ」
百合園 セイア「ドーナッツのお礼と言ってはなんだが、【ティーパーティー】で淹れている紅茶を飲んでいきたまえよ」
中務 キリノ「え、いいのですか、そんなお高いもの!?」
百合園 セイア「ああ。地域の安全にいつも貢献してくれているから、【怪特隊】の拠点として安心して利用できているからね」
アユム先生「あ、そうだ、コウセイくん」
星見 コウセイ「何、アユ姉?」
アユム先生「聞けば、バロッサ星人から見て 騎士役が似合っていたって話じゃない」
アユム先生「分析に出していた衣装、クリーニングに出して持ってきたから、今度 カラオケに行く時とかに これを着て 盛り上げてよ」
星見 コウセイ「え、ええええ!? 何 言ってんだよ、アユ姉?!」
中務 キリノ「何の話ですか、アユム先生?」
アユム先生「学園祭期間にコウセイくんが宇宙人に騎士と姫の恋愛物語を演じる役者として連れて行かれそうになった話」
中務 キリノ「そ、それは本当ですか!? 大丈夫でしたか、コウセイさん!?」
星見 コウセイ「ああ、見ての通りだ。セイアに助けてもらった」
アユム先生「それでさ、キリノと一緒に劇をやろうよ。人気 出ると思うよ」
星見 コウセイ「いや、俺には【太陽倉庫】のバイトと【怪特隊】の仕事があるし!」
中務 キリノ「ほ、本官も市民対応ということならやぶさかではありませんが、“
アユム先生「ちがうんだよ、キリノ!」
中務 キリノ「え」
アユム先生「私はキリノが見たいの! キリノがいいの!」
中務 キリノ「せ、先生……」
アユム先生「やってくれるかな、キリノ?」
中務 キリノ「は、はい……」
アユム先生「嬉しい!」ギュッ
中務 キリノ「はぅううう……」プシュー・・・
アユム先生「よし! じゃあ、コウセイくんも!」
星見 コウセイ「いや、俺はやらないからな、アユ姉!?」
百合園 セイア「フフッ」
大木田 ソラト「どうした、セイア?」
百合園 セイア「いや、サクラコとミネの成功にマリーが必要不可欠だったのを考えると、私もきみたちの力になれたんじゃないかと思って」
大木田 ソラト「ああ。セイアが居てくれたおかげで、俺たちは今日を迎えられている」
大木田 ソラト「ありがとな、セイア」
百合園 セイア「うん」
――――――だから、これからもよろしく頼むよ、私が愛する隣人たちよ。