Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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外伝2 メテオカイジュウのことを知ろう ~これできみも怪獣博士だ!~

 

 

――――――時は【アリウス分校】に猪突猛進怪獣:バグリゴンとの初戦後のこと

 

 

大木田 ソラト「トライガロンはボール遊びが大好き」

 

星見 コウセイ「レキネスは、バグリゴンとは戦いたくない、と……」

 

大木田 ソラト「パワー系と 相性 悪そうだもんな」

 

星見 コウセイ「今回はお力をお借りすることになるかもしれません、ヴァルジェネス先生!」

 

大木田 ソラト「ヴァルジェネスは4つのエレメントを操れる」

 

大木田 ソラト「火、水、風、土」

 

大木田 ソラト「咄嗟にどんな指示を出すかで戦況が左右されるぞ」

 

 

 

レキネス

 

◯人懐っこい性格

 

◯好きな女の子のタイプ:一緒に沢山遊んでくれる人

 

◯嫌いな怪獣のタイプ:ゴモラみたいな力技で攻めてくる怪獣

 

◯喉元を撫でられるのが好き

 

◯オオカミくんの一件以来、動画配信サイトを見るのにハマっている

 

◯トライガロンのパワーとスピードにちょっと憧れている

 

◯犬かきで泳ぐことができるし、潜行もできる

 

◯尻尾を上向きで大きく振っているときは 嬉しい 楽しいとき

 

◯尻尾が下がっていて横に振っているときは 威嚇 警戒してるとき

 

◯月一ぐらいの頻度で俺が寝ているときにベッドの中に潜り込んでくる

 

 

 

 

トライガロン

 

◯荒々しい勇猛果敢な性格

 

◯好きな女の子のタイプ:自分と同じかそれ以上に力が強い子

 

◯嫌いな怪獣のタイプ:キングアリゲトータスみたいな水中に潜って出てこない怪獣

 

◯ボール遊びが好き

 

◯散歩や広い空間で走り回ることも好き

 

◯全く泳げない。だからプールや海は苦手で水の中に入らない

 

◯でも溺れるほどの量じゃない水なら平気

 

◯お腹を撫でられるのが気持ち良くて好き

 

◯ゴモラやモンスアーガーのようなパワフルな怪獣と戦えると嬉しい

 

 

 

 

ヴァルジェネス

 

◯礼儀正しく高潔な性格

 

◯好きな女の子のタイプ:あまり拘りはないが しいて言うなら 自分で飛びまわれる子だと嬉しい

 

◯嫌いな怪獣のタイプ:ゾヴァラスみたいな洗脳や搦手を使うタイプ

 

◯毛並みを気にしていて よく自分で整えている

 

◯常に背筋が真っすぐで姿勢がとても良い

 

◯左右対称のデザインや等間隔に並んだものが好き

 

◯逆に左右非対称のものや乱雑なものは苦手

 

◯部屋が散らかっていると許せないらしく いつの間にか勝手に片付けてくれていることがある

 

◯正々堂々と真正面から勝負を挑んできた怪獣や宇宙人には礼儀をもって応える

 

 

 

浦和 ハナコ「まあ! たくさんいろんなことが書いてありますね! なるほど なるほど……!」

 

一之瀬 アスナ「へえ、そうだったんだ、レキネス! だったら、私といっぱい遊ぼうね!」

 

鬼方 カヨコ「ネコちゃん。トライガロンはネコちゃん……」

 

星見 コウセイ「今日は 目一杯 遊んでもらえよ、お前たち」

 

星見 コウセイ「アユ姉が【アリウス】に行っている間、バグリゴン以外の怪獣が現れるかもしれないってことで来てもらったけど、いつも悪いな」

 

浦和 ハナコ「いえ。大切な人の帰る場所を守ることも立派な務めじゃないですか」

 

浦和 ハナコ「ですが、よくここまでのことを調べることができましたね。ちゃんとしたレポートになりますよ、これは」

 

星見 コウセイ「まあ、なんだかんだでこいつらとは一緒に暮らしているし、こいつらにも人間みたいに好きなものとか嫌いなもの、性格や個性って言うのがわかってくるようになったんだ」

 

浦和 ハナコ「コウセイさん。私、大変気になるところがあるのですが」

 

星見 コウセイ「何、ハナコ?」

 

浦和 ハナコ「この『◯好きな女の子のタイプ』はどうやって調べたんですか? 凄く気になります、私!」

 

星見 コウセイ「ああ、それねぇ……」

 

浦和 ハナコ「ぜひ教えてください!」

 

星見 コウセイ「まあ簡単だよ。レキネスが『◯オオカミくんの一件以来、動画配信サイトを見るのにハマっている』ってあるじゃん。それでいろんな動画をあいつらで見ていてコメントしまくっていたからな」

 

浦和 ハナコ「え!? 動画にコメントをしているんですか?」

 

星見 コウセイ「できるよ。レキネスの念動力ならタッチ操作にも対応しているし、こいつらの閲覧履歴を見ると意外な一面が見えてくるから、それがまあおもしろいんだ」

 

星見 コウセイ「で、好きな動画配信者(ストリーマー)の人気投票で揉めて俺とソラトを巻き込んできたから、それで好きな女の子のタイプがわかったというか……」

 

星見 コウセイ「レキネスはコメントに反応してもらうのが嬉しくて、トライガロンは全力でいろんな企画に挑戦する動画配信が好きで、ヴァルジェネスは絶景巡りとか芸術品を見るのが好きだけど一番キャラの見た目に拘っている感じ」

 

浦和 ハナコ「……不思議ですね」

 

星見 コウセイ「え、何が?」

 

 

浦和 ハナコ「どうしてコウセイさんにメテオカイジュウが懐いたんでしょうか?」

 

浦和 ハナコ「どうして本来の主であるソラトさん/ウルトラマンオメガでは戦闘形態:カイジュウモードを起動できないのでしょう?」

 

 

星見 コウセイ「さあな。ソラトにもわかんないんじゃ、なんでこいつらが俺のために力を発揮してくれるのかは今でも謎だけど、」

 

星見 コウセイ「それは俺たちもそうなんじゃないのか? 人との繋がりなんてのも?」

 

浦和 ハナコ「……そうですね。コウセイさんの言う通りです」

 

浦和 ハナコ「ですが、『◯月一ぐらいの頻度で俺が寝ているときにベッドの中に潜り込んでくる』ってありますよ、コウセイさん。お熱いですね」ニッコリ

 

星見 コウセイ「それなあ、一応は書いておかないといけないとは思ったんだけど……」

 

 

浦和 ハナコ「ソラトさんにはそういったことはしないことを考えると、元々の宇宙人:オメガとメテオカイジュウの関係性が見えてきません?」

 

 

星見 コウセイ「それって、どういう……?」

 

浦和 ハナコ「前に話してくれましたよね。最初にソラトさんと出会った時のこと。まだ大木田 ソラトと言う名前のない 記憶喪失の“謎の男”としての様子や挙動のことを」

 

浦和 ハナコ「学園祭期間中にバロッサ星人という宇宙人にコウセイさんが初めて接触した時に感じたものなどを踏まえると、宇宙人:オメガの正体とその目的が段々と見えてきましたよ」

 

星見 コウセイ「それはどんな……?」

 

浦和 ハナコ「まず、宇宙人:オメガとお供のメテオカイジュウの関係性についてなんですけど、ある意味においては同じ立場、対等に近い関係性なのが窺えます」

 

浦和 ハナコ「――――――【ティーパーティー】の一員となる資格と素養を持つと評価されて求められてきた私ならわかります」

 

浦和 ハナコ「言うならば、オメガとメテオカイジュウは特別機動部隊(Task force)の部隊長と部下の関係なんです」

 

星見 コウセイ「…………『タスクフォース』?」

 

浦和 ハナコ「はい。緊急性の高い重要課題や特定の目標を解決するために組織内から専門人材を集めて一時的に編成される“すぐやる課”みたいなものです」

 

浦和 ハナコ「つまり、任務の遂行のために同じ部隊に配属されて、それぞれの役割や使命を全うするべく力を発揮しているんですけど、仲間意識はあってもプライベートなことは話さないドライな職場関係だったと推察されるんです」

 

浦和 ハナコ「そうじゃないと、記憶喪失になったソラトさんや本来の主から切り離されたカイジュウさんたちがここまでのびのびと個性を発揮することなんてないじゃないですか。何の感情もない 命令に従うだけの 無個性な生命体なんかじゃないです、みんな」

 

浦和 ハナコ「実際、今のソラトさんの性格からすれば 絶対に気が合うところがあるはずなのに ベッタリとし過ぎない距離感で接していますよね」

 

星見 コウセイ「言われてみれば……」

 

星見 コウセイ「月でゾヴァラスに負けてこの惑星(キヴォトス)にバラバラに落ちてきたんだから、もうちょっと感動的な再会になると思っていたんだけど……」

 

一之瀬 アスナ「そうそう、まるで『昔のご主人様より今のご主人様の方がいい』って感じで、ソラトさんには甘えてこないよね」

 

星見 コウセイ「アスナ」

 

鬼方 カヨコ「うん。この子たちのやんちゃな気質から考えるに、宇宙人:オメガの前だと常にしゃんとしていないといけない緊張感に支配されていた感じがするよ」

 

星見 コウセイ「カヨコ」

 

浦和 ハナコ「それには同意見ですよね、アスナさんも、カヨコさんも」

 

 

浦和 ハナコ「――――――“シャーレの先生”の前なら存分に“自分”を出して甘えられるわけですからね」

 

 

鬼方 カヨコ「まあね。私も改まった場所に行くのが多かったしね」

 

鬼方 カヨコ「アスナに至っては本当のご主人様はメイドとして忠誠を誓っている【セミナー】なのにね」

 

一之瀬 アスナ「そうなんだけど、リオ会長、あんまり頼ってくれないから……」

 

鬼方 カヨコ「それで野良メイドになって“シャーレの先生”に拾われたってことで思う存分に甘えているわけだね」

 

星見 コウセイ「そう考えると、たしかに納得がいく距離感だよな」

 

鬼方 カヨコ「それはそれとして、ソラトさんとしては私たちキヴォトス人のことを嫌っていないのは元々みたいだしね」

 

星見 コウセイ「だな。そうじゃなかったら、記憶喪失で俺たちのことなんて何もわからないのに、大きくなって怪獣と戦うだなんてことはしないさ」

 

 

星見 コウセイ「おっと、そろそろ豚汁ができた頃かな」

 

 

星見 コウセイ「おーい、ソラト、みんな。豚汁ができたぞー」

 

大木田 ソラト「おお、飯だ! 飯が来たぞ! 飯の時間だぞ、みんな!」

 

アリウス生「え、『トンジル』って何だろう?」

 

星見 コウセイ「あ、そこ? えっとだな、ポーク入りのベジタブルスープ?」

 

浦和 ハナコ「栄養満点ですよ。おにぎりとたくあんと一緒にどうぞ」

 

一之瀬 アスナ「私、コウセイさんの味、キヴォトスとはちがった味付けで好きだな」

 

鬼方 カヨコ「先生が懐かしむ地球の味ってやつだね。先生、料理できないし」

 

アリウス生「あ、おいしい!」ゴクッ

 

大木田 ソラト「うん! うまい!」ゴクッ

 

星見 コウセイ「そいつは良かった」

 

星見 コウセイ「アユ姉もちゃんと食べているかな? また内戦になりかけているって話だけど?」

 

大木田 ソラト「心配だな」

 

アリウス生「うん、私たちだけ 毎日のように こんな美味しいものを食べていていいのかな?」

 

鬼方 カヨコ「いいんだよ。そうして外の世界にある素晴らしいものを思い出と一緒に持ち帰って、今度は自分たちの手で生み出せるようになるのがアユム先生の社会勉強というやつだから」

 

一之瀬 アスナ「うんうん。今はご主人様のことを信じて、いっぱいいろんなことを学ぶのが一番の仕事だからね」

 

アリウス生「はい! ありがとうございます!」

 

鬼方 カヨコ「こう、みんな素直だと気持ちいいものがあるね」

 

浦和 ハナコ「みんな、本当は一緒なんです。みんなと一緒に生きていくために みんな“自分”を隠して生きているんですけど、“自分”らしく生きられる道を見つける人生行路にみんなが立っている――――――」

 

浦和 ハナコ「それは私たち人間も、宇宙人も、怪獣もみんな同じこと――――――」

 

浦和 ハナコ「それをみんながわからなくちゃいけないんです」

 

 

大木田 ソラト「………………」

 

 

星見 コウセイ「どうした、ソラト? 箸が止まっているぞ?」

 

大木田 ソラト「最近、コウセイの作る料理が豪勢になってきたよな?」

 

星見 コウセイ「昼飯はな。そりゃあ、アリウスの子たちの社会勉強のためにアユ姉が手を回して給食費になる補助金が出ているからな」

 

星見 コウセイ「おかげで、今まで手を出すことができなかった大人数向けの料理を社食として出すことができるようになったぞ」

 

大木田 ソラト「それもみんなが力を合わせた結果みたいなものか」

 

星見 コウセイ「微妙にちがうような気がするけど、まあそうなんじゃない?」

 

星見 コウセイ「みんなで持てるものを出し合うことで、ひとりじゃ絶対にできないような社会の仕組みができあがって、こうやって便利な暮らしができるようになっているわけだし」

 

大木田 ソラト「――――――『みんなで持てるものを出し合う』?」

 

星見 コウセイ「え、反応するところ、そこ?」

 

星見 コウセイ「記憶喪失になる前の宇宙人:オメガだって自分にないものをメテオカイジュウに求めてチームを組んでいたわけじゃないのか?」

 

大木田 ソラト「ああ、なるほど。それはたしかにそうかも……」

 

浦和 ハナコ「誰かに助けてもらう、支えてもらう、代わりにやってもらうことが当たり前になって、自分のために働いてくれた人たちへの配慮が行き届かなくなったら、その集団を集団たらしめた結束は失われてしまいますね」

 

鬼方 カヨコ「だね。だから、認識の共有や意見の交換がしやすいように少人数にグループ分けした方がいい時もあるし」

 

一之瀬 アスナ「そんな難しいことじゃないと私は思うなぁ」

 

一之瀬 アスナ「ほら見て、この豚汁を」

 

大木田 ソラト「ん」

 

一之瀬 アスナ「ただのポーク入りのベジタブルスープじゃないんだよ、豚汁は」

 

一之瀬 アスナ「美味しいって食べた人に喜んでもらうために選抜された食材(メンバー)が選抜されて1つの鍋の中に集まっているわけなんだから」

 

大木田 ソラト「なるほど! そいつは言い得て妙だな!」

 

星見 コウセイ「まあ、“人種のサラダボウル”って表現もあるくらいだしな」

 

大木田 ソラト「おお、今度は『サラダボウル』か!」

 

 

星見 コウセイ「だとするとさ、このまま怪獣が現れるのがずっと続いて、怪獣の存在が当たり前になってきたら、俺たちの生きる現実も変わらざるを得ないんだよな?」

 

 

鬼方 カヨコ「それは怪獣に限らず、今 目の前にいるアリウスの子たちも同じだと思うよ」

 

一之瀬 アスナ「うん。これからキヴォトスの一員になっていくんだから」

 

浦和 ハナコ「だから、変化を受け入れた上で これまでの当たり前を見直して より良い関係性を模索していくのを続けていく他ないと思います」

 

浦和 ハナコ「結局、【ティーパーティー】ひいては【トリニティ】のやり方では、キヴォトスの平和どころか、自治区の安定さえも導けなかったわけですから」

 

一之瀬 アスナ「じゃあ、【ミレニアム】も同じだね。【ミレニアム】も千年難題の解決のために創設された学園だけど、いつまで経っても解決してないよね」

 

鬼方 カヨコ「それこそ【ゲヘナ】なんて 今も昔もキヴォトス最悪の犯罪天国で、なんで【ゲヘナ学園】として存在し続けているのか不思議なぐらい」

 

 

大木田 ソラト「じゃあ、宇宙全体を安定に導く答えはどこにもないのか?」

 

 

星見 コウセイ「……ソラト?」

 

鬼方 カヨコ「残念だけど、無いと思うな、私は」

 

一之瀬 アスナ「うん。私も無いと思う。じゃないと、“シャーレの先生”がキヴォトス中を駆け回って問題解決に乗り出さないといけないなんてことにはならないと思う」

 

浦和 ハナコ「そのためには、まずは【ゲヘナ】と【トリニティ】と【アリウス】の歴史的対立を解決してみせないと何の説得力も生まれません」

 

大木田 ソラト「……そうか」

 

浦和 ハナコ「でも、希望はあります」

 

大木田 ソラト「どんな?」

 

浦和 ハナコ「それは私なんかが言うことじゃないと思います」

 

浦和 ハナコ「ただ、私から言えることは――――――、」

 

 

――――――ソラトさん、どうしてあなたは 記憶喪失になって本来の使命や役割がなくても 私たちのために戦うのですか?

 

 


 

 

【怪獣早口ことば】

 

ペグノスの巣の酢の物

 

テリジラスの巣の酢の物

 

どっちの巣の酢の物が酸っぱいの?

 

 


 

 

アユム先生「――――――『怪獣モノマネ』ですか?」

 

大木田 ソラト「そう。この間、コウセイとやってみたんだ。楽しくてさ」

 

アユム先生「それを私に?」

 

大木田 ソラト「うん。アユ姉のも見てみたい」

 

アユム先生「そう。怪獣の特徴なら“SKIPのおねえさん”として よく研究しているから、すぐわかっちゃうかもしれませんよ」

 

アユム先生「よし、何にするか決めた」

 

アユム先生「じゃあ、当ててみてくださいね」

 

アユム先生「いくよ」

 

 

ボボボボボ・・・、クルクルクルクル・・・、ガアアアアアアアア!

 

 

大木田 ソラト「あ、わかった! ペグノスだ!」

 

アユム先生「正解です!」

 

アユム先生「まあ、これも怪獣を理解することに必要なことですから」

 

アユム先生「怪獣の知識がインプットされてあっても、それを人々に伝わるようにアウトプットを磨いておかないと、それは存在しないものとして扱われますからね」

 

秤 アツコ「じゃあ、私が創った超絶無限空前絶後怪獣:メガロヴァニオンにもたくさん設定をインプットして、その能力が伝わるようにアウトプットを頑張らないとね」

 

アユム先生「そうだね。これから“トクサツ”って想像力を大いに働かせるものを【アリウス学園】の事業の柱にしていくことだし、監督(ディレクター)として頭の中にあるものを制作スタッフに理解してもらって、想像の中のものを現実のものに変えていかなくちゃだからね」

 

秤 アツコ「うん。競合相手になる生成AIに負けない想像力を爆発させるんだ。芸術は爆発だー」

 

大木田 ソラト「そう言えば、また新しい怪獣の人形を作っているんだって?」

 

秤 アツコ「うん。ポルタパシスの記録保管庫に記録されていた由緒正しき昔の怪獣の造形だよ」

 

 

――――――その名も“怪獣の王様”キングオブモンス!

 

 

アユム先生「へ」

 

秤 アツコ「これがね、キングオブモンスの絵だよ。口伝だったから悪魔みたいな見た目だと思っていたけど、こうして見ると怪獣だよね」

 

秤 アツコ「夢の中では夢見るものが王!」

 

秤 アツコ「巨大な牙が腹部に!」

 

秤 アツコ「金色の翼!」

 

秤 アツコ「赤い怒りの第三の目!」

 

秤 アツコ「キングオブモンス!」

 

アユム先生「……ちょっと待って? 本当にキングオブモンスがキヴォトスに出現していたの?」

 

アユム先生「うわぁ! 本当にキングオブモンスだよ、これ!?」

 

秤 アツコ「キングオブモンス、見たことある、怪獣博士?」

 

大木田 ソラト「……昔、見たことがある気がする」

 

アユム先生「え」

 

大木田 ソラト「思い出した。そう、たしか“赤い球”に願われて召喚された最強の怪獣だったはず……」

 

大木田 ソラト「その時はたしか、そうだ。同じように“赤い球”に願われて召喚された光の巨人に倒されていたはずだ……」

 

 

大木田 ソラト「たしか、その場所がニコメデスという人々の願いを叶える王が築き上げた理想郷:ニコメディア……」

 

 

秤 アツコ「そうだったんだ。そういう奇跡が起こる場所に【アリウス】が迫害を逃れてやってきていたんだね……」

 

秤 アツコ「なんか凄いこと 聞けちゃったね、先生」

 

アユム先生「……う、うん」

 

秤 アツコ「ねえ、どうしてニコメデスの王国はなくなっちゃったの? 怪獣も巨人も喚び出せるぐらい何でも願いを叶えることができた王様がいたんだよね?」

 

大木田 ソラト「……ニコメデスは【トリニティ総合学園】が成立する以前の宗教紛争が絶えない紛争地域を逃れて遠く離れた秘境に辿り着き、“赤い球”の力で理想郷となる王国を築き上げた」

 

大木田 ソラト「そうして同じく理想郷を目指す人々がニコメデスが辿った道を通って集まれるように導き、ニコメデスの王国は一時はトリニティ自治区を席巻する勢いにまで発展していった」

 

大木田 ソラト「やがて、王国の拡大によって昔のように全員の願いを叶えることが難しくなったことで、ニコメデスは願いを叶える権利を制限して王国の安定に務めるように変わった。理想郷の民も理想の王の言うことに従った」

 

大木田 ソラト「ニコメデスは“赤い球”の力で永遠の王となって理想郷の拡大と存続に励んで、その治世は半世紀以上に渡った。理想の王の姿は衰えることはなかったことで、その治世は永遠のものになるかと思われた」

 

大木田 ソラト「けれども、世代交代が進んだことで、現在の豊かさから建国の苦労を推し量れず、昔は誰もが王に願いを叶えてもらっていたことだけを知り、」

 

大木田 ソラト「そのことに不平不満を抱いた若い世代の中から、願いを叶える権利は誰にでもあると主張する者が現れ、ニコメデスの王国は内乱へと発展することになったんだ」

 

大木田 ソラト「いや、実際には神のごとく崇められていたニコメデスのことを大魔王と呼んで、後に【トリニティ総合学園】を創設することになる【ユスティナ聖徒会】に繋がる派閥が聖戦を呼びかけて、願いを自由に叶えてもらえない若い世代の不平不満を焚き付けた結果だった」

 

大木田 ソラト「この時、初めて王は知った。人の心だけはあらゆる願いを叶えてきた“赤い球”の力をもってしても変えることはできないことを。満たしてやったとしても満たされなくなっていく……」

 

大木田 ソラト「だから、絶望して生きることに疲れ果てた王は自らの生を終わらせる決意をして、王国発祥の地である本来のニコメディアを外界から閉ざして、本当の理想郷が実現する日を願って祈りに徹して没した場所なんだ」

 

アユム先生「そ、そうだったんだ……」

 

秤 アツコ「本当に伝説の王国の歴史の全てを見てきたかのように語るね、ソラトさん。怪獣博士は歴史博士でもあったんだね」

 

大木田 ソラト「ああ……」

 

 

 

 

見ているのだろう、星のごとく 物言わぬ 瞳を輝かす友よ。

 

いつも遠くから見守ってくれていてありがとう、友よ。

 

私は“赤い球”の力で人々の願いを叶え続けて理想郷の王になったつもりであったが、それだけではダメであった。

 

私はもう疲れた。人々の願いを叶えることだけでは何も良くならないと悟って、願いを叶えることに慎重になった結果、そのことを羨む若い世代が私のことを悪魔と罵る者たちの口車に乗せられて、全てが無に帰してしまった。

 

だからこそ、全ての栄光を捨てて 再びこの地に帰り着いて 祈りに徹してきたわけだが、死ぬというのはこんなにも不安で恐ろしいことだったのだな。そんな当たり前のことさえ忘れて永遠の王になろうとしていた愚か者に理想郷を築くことなどできるはずもなかった。

 

だが、それでも自分の人生が正しかったかどうかで延々と思い悩んでも、自分の人生が孤独なものだったとは思ってはいない。

 

それは友がずっと見ていたからだ。我々と同じ人の姿をとって私のことを見続けていてくれたからだ。その眼差しが正しいと思える道を貫かせてくれた。

 

いつからか、友の姿が見えなくなったことにさえ気付かずにいたことで道を踏み外していたのだろうな。

 

友よ。私は主の御前に召されると信じて遥かなる眠りに就くことになるが、私のような者が居たことを憶えていてくれるだろうか――――――。

 

 

 

 

 

 

 

秤 アツコ「ねえ、サッちゃん! 凄いよ、見て!」

 

錠前 サオリ「どうした、姫? 今日、面会に来てくれたのはソラトさんだったか?」

 

秤 アツコ「じゃじゃーん! 本当にソラトさんが見つけてきてくれたんだよ、『ニコメデスの日誌』!」

 

錠前 サオリ「何だ、それは?」

 

秤 アツコ「ニコメディアの名の由来となっている伝説の王様の日誌だよ! 【トリニティ】が成立する以前の時代に存在していた 願いを叶える王様が遺したものだよ!」

 

錠前 サオリ「なに? 【トリニティ】が成立する以前ということは【アリウス】が追放されるよりも前の文書ということか?」

 

錠前 サオリ「よくはわからないが、それは世紀の大発見というものではないのか?」

 

秤 アツコ「そうだよ。これ、原本の写しと【図書委員会】に解読してもらった内容ね」

 

秤 アツコ「今さ、刑務作業が終わったら 私が口伝として聞いた昔話を書き起こしているわけだけど、昔話で聞いた王様本人が書いたものが本当に存在していたんだよ。凄いよね」

 

錠前 サオリ「そうだな。そんなものが見つかるとは、刑期が終わるまで同じことが繰り返されるだけだと思った日々に光が差し込んできた気がするな」

 

錠前 サオリ「何と言うのか、私も釈放された後の学校生活に向けて生徒会活動の準備を進めているわけだが、」

 

錠前 サオリ「虚無(vanitas)に支配された退廃した土地という印象しか残らなかったアリウス自治区に郷土の誇りになるようなものが見つかって、ようやく光明が見えた気がした」

 

錠前 サオリ「しかし、禁足地の記録保管庫が解禁されたことで続々と貴重な歴史的資料が発見されることになったそうだが、あの怪獣博士が見つけてきたのか……」

 

秤 アツコ「うん。ソラトさん、実際に“赤い球”を持った王様のことをずっと見ていたらしいからね、隠し場所も知ってたことだよね」

 

錠前 サオリ「………………?」

 

錠前 サオリ「すまない、『ソラトさんが見つけてきた』ってことで合っているんだよな?」

 

秤 アツコ「そうだよ、サッちゃん」

 

秤 アツコ「ニコメデスの王国の始まりから終わりまでを見届けていたわけだから、ソラトさんが大部分の内容を解読してくれたんだ」

 

錠前 サオリ「そ、そうだったか……」

 

秤 アツコ「それで凄いのはね、数千年以上前の日誌のはずなのに、こんな風に少しばかり色褪せているだけで何が描かれているのかがはっきりわかるぐらい保存状態がよかったんだ。しかも、ワープロを使っているみたいに文字の大きさや並びが整然としていて手書きとは思えないよね」

 

秤 アツコ「で、ほら見て。怪獣としか思えないような巨大な生き物の記述と鮮明な絵が所々に見られるでしょう。口伝で聞いていたキングオブモンス以外にもいろんな怪獣が現れていたんだね」

 

秤 アツコ「王様が子供たちの願いを叶えて喚び出した怪獣:ガヴァドンが すぐに子供たちに飽きられて居場所を失くしたから お星様に変えたなんて話があるし、」

 

秤 アツコ「これ、ウルトラマンオメガのことなのかな。空から落ちてきた爬虫類が白骨化したような外見の怪獣(シーボーズ)を真っ赤な巨人がどこかへ運び去っていったこととか書かれていて、あと3回ぐらいは真っ赤な巨人が出てくるんだよね」

 

秤 アツコ「この日誌の内容だけで“トクサツ”の台本が 結構 作れそうだよね。半世紀以上に渡って王様をやっていた中で伝え聞いた事件や出来事をメモ紙を挟んで補足したり、思索した内容を書き綴ったりしているから、読み応え抜群で凄く面白いよ」

 

錠前 サオリ「そうか。そうまで目を輝かせて姫が聞かせてくれたものだ。それは本当に素晴らしいものなのだろう」

 

錠前 サオリ「だが、だからと言って――――――、」

 

錠前 サオリ「――――――超絶無限空前絶後怪獣:メガロヴァニオンだったか?」

 

錠前 サオリ「“トクサツ”で怪獣を操演するに当たって鳴き声の練習と称して奇声を上げないでくれ。頼むから。他の受刑者たちも巻き込んで風紀を乱しているんじゃないかと言われたぞ」

 

秤 アツコ「それはごめんね、サッちゃん」

 

秤 アツコ「でも、想像力が止まらないんだ」

 

錠前 サオリ「……程々にな」

 

秤 アツコ「うん」

 

秤 アツコ「で、サッちゃん。あのね」

 

錠前 サオリ「そろそろ休憩時間が終わるぞ」

 

秤 アツコ「これさ、どう見てもウルトラマンオメガだよね」

 

錠前 サオリ「ああ。そう見えるな。鎧をつけている姿だな」

 

 

秤 アツコ「でも、緑色の鎧の姿(ガメドンアーマー)なんて見たことないよ?」

 

 

錠前 サオリ「そうだな。私が聞いているのは青い鎧、黄色の鎧、赤と金の鎧の3種類だから、緑色の鎧のことは聞いたことがない」

 

秤 アツコ「やっぱり、そうだよね」

 

秤 アツコ「日誌には、背中の甲羅で受け止めた敵の攻撃をエネルギーに転換して右手の大弓で撃ち返して、巨大なウチワエビのような怪獣(ビラ星人)を倒したとあるから、きっと――――――」

 

錠前 サオリ「もう行くぞ、姫。午後の部だ」

 

秤 アツコ「あ、待ってよ、サッちゃん――――――」

 

錠前 サオリ「きっと、その日誌を書いた王様も私たちと同じようにウルトラマンのことを見上げていただろうことはわかる」

 

錠前 サオリ「だから、待て。語り尽くしたいことが山程あるだろうが、今はウルトラマンが守ってくれた平和な日常を謳歌する時だ」

 

秤 アツコ「はーい。午後の刑務作業を頑張ります」

 

錠前 サオリ「本当に変わったな、アツコ」

 

錠前 サオリ「なら、私も変わっていけるのだろうな」

 

錠前 サオリ「そのことを今は心から楽しみにしている自分がいる」

 

 

――――――ありがとう、アユム先生。

 

 

――――――ありがとう、ウルトラマン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――ガメドン

 

 

大木田 ソラト「……『ガメドン』?」

 

星見 コウセイ「……どうしたんだ、ソラト?」

 

星見 コウセイ「あ、それ、ソラトが【アリウス】で見つけてきた伝説の王様の日誌だったっけ? 歴史的大発見ってことでちょっとしたニュースになっていたよな?」

 

星見 コウセイ「たしか、『太平風土記』みたいに王様の治世に出現した怪獣のことも鮮明に記録されているんだったな」

 

星見 コウセイ「お、何だ、その緑色の――――――」

 

大木田 ソラト「……ガメドン」

 

星見 コウセイ「――――――『ガメドン』?」

 

星見 コウセイ「どんな怪獣なんだ、そいつは?」

 

大木田 ソラト「……何だったっけ? 結構 重要な能力を持っていた気がする?」

 

星見 コウセイ「まあ、他にもいろんな怪獣の記録があるわけだし、お前のことかもしれない記述も所々にあるって聞いたから、後で見せてくれよな。俺も【怪特隊】だし、知っておかないと」

 

大木田 ソラト「……ああ」

 

大木田 ソラト「…………本当にあった」

 

大木田 ソラト「…………本当に俺はニコメデスが生きた時代を目の当たりにしていた」

 

大木田 ソラト「…………なら、その時代に現れた怪獣たちとも俺は戦っていた」

 

 

――――――見つめた先には、自分を見つめ返す“大木田 ソラト”がいた!

 

 

大木田 ソラト’「――――――」

 

大木田 ソラト「………………」

 

大木田 ソラト’「――――――」

 

大木田 ソラト「……………」

 

 

星見 コウセイ「ソラト」

 

星見 コウセイ「ソラト?」

 

星見 コウセイ「おい、ソラトッ!」

 

 

大木田 ソラト「おおっ!?」ビクッ

 

星見 コウセイ「どうしたんだよ? ボーッとしてさ? 当時のことで何か思い出したのか?」

 

大木田 ソラト「あ、ああ、大丈夫だ。ちょっと考え込んでた」

 

星見 コウセイ「そうか。昔のことを振り返るのもいいけど、今のことも考えてくれよ」

 

大木田 ソラト「ああ」

 

星見 コウセイ「でも、アツコが口伝として聞いていた怪獣:キングオブモンスを倒した“光の巨人”っていうのもお前のことなのかな?」

 

大木田 ソラト「いや、あれは俺じゃない」

 

星見 コウセイ「そうなのか?」

 

大木田 ソラト「あの時、現れた光の巨人は“大地の化身(ウルトラマンガイア)”だった。そうニコメデスが言っていたはず……」

 

星見 コウセイ「へえ! そうだったのか! その話が本当だったなら、この惑星(ほし)が生み出すのは“災害の化身”って言われている怪獣だけじゃないってことになるよな!」

 

大木田 ソラト「ああ。いつかニコメデスのように光の巨人と自然と共にある時代が取り戻されるかもしれないな」

 

星見 コウセイ「そっか。アユ姉から聞いたんだけど、キヴォトスってそういう不思議な力があるってわけだから、お前やゾヴァラスみたいに自分じゃない何かに変身できる奇跡が起きても不思議じゃないって聞いてたからさ」

 

 

――――――じゃあ、俺もお前みたいに()()()()()()のかなって。

 

 

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