Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...- 作:LN58
大木田 ソラト「どうも! ソラトでーす!」
大木田 ソラト「この間ね、お小遣いをもらって、いろんなラーメンとか食べたけど、」
大木田 ソラト「今回もまた、お小遣いをもらっちゃいましたー!」ジャラジャラ・・・!
大木田 ソラト「なので、クレープを食べようと思って、」
大木田 ソラト「今、キヴォトススタジアムシティに来てます!」
星見 コウセイ「おい、ソラト」
大木田 ソラト「お、コウセイだ」
星見 コウセイ「ここに居たのかよ」
星見 コウセイ「あ、俺のお小遣いを持って、また何してんだよ?」
大木田 ソラト「このもらったお小遣いでクレープを食べようと思って」
星見 コウセイ「ああ…………」
大木田 ソラト「甘いの、好きでしょう?」
星見 コウセイ「いや、そうだけど」
大木田 ソラト「俺も大好きだもん」
星見 コウセイ「この前、一人でいろいろやられて大変だったんだから、気をつけろよ」
星見 コウセイ「てか、さっきから何に向かって話してるんだ?」
大木田 ソラト「え、みんな」
星見 コウセイ「……『みんな』?」
大木田 ソラト「うん。やっほー」
大木田 ソラト「俺ね、オオカミくんやミチルの真似している。配信」
大木田 ソラト「配信してんだ、これ」
星見 コウセイ「繋がってんの、これ?」
大木田 ソラト「ちゃんと笑顔であいさつして」
星見 コウセイ「や、やっほー……」
大木田 ソラト「やっほー!」
星見 コウセイ「おい、被ってる」
大木田 ソラト「勢い、大事だからね。やっほー」
大木田 ソラト「クレープ、食べよう!」
星見 コウセイ「おう!」
大木田 ソラト「足りるかな? コウセイの分、あるかな~?」
星見 コウセイ「ちょっとしかないじゃん」
大木田 ソラト「お、コウセイの分もあるね」
大木田 ソラト「じゃあ、1個ずつ買おう。しかたない」
星見 コウセイ「俺も食えるのか?」
大木田 ソラト「うん!」
大木田 ソラト「俺が奢ってやるよ」
星見 コウセイ「これ、俺のだけどな」
大木田 ソラト「そうだった」フフフ・・・
大木田 ソラト「きたー! クレープ!」
星見 コウセイ「スゴイ」
大木田 ソラト「作ったんだよ、これ。俺、デザイン」
星見 コウセイ「ウソ!?」
大木田 ソラト「ホント」
大木田 ソラト「これ、『“腹減りの刻”ソラトの腹ペコクレープ』」*1
星見 コウセイ「実は、これは俺も」
大木田 ソラト「ええ!? そう!?」
星見 コウセイ「『“俺の朝飯”バナナクレープ』」*2
大木田 ソラト「じゃあ、食べる?」
星見 コウセイ「うん」
星見 コウセイ「いただきます!」
星見 コウセイ「う~ん!」b
星見 コウセイ「カスタードが入っているんですよ!」
星見 コウセイ「聞いてる?」
大木田 ソラト「ん?」
星見 コウセイ「聞いてる?」
大木田 ソラト「聞いてる 聞いてる」
星見 コウセイ「メチャクチャ美味いです」
大木田 ソラト「おいしー!」
星見 コウセイ「アイスも入っています」
大木田 ソラト「これ、スラッガー」
星見 コウセイ「あー! 崩れちゃったじゃん!」
大木田 ソラト「だって、食べ物だから、食べるのが大事でしょう?」
大木田 ソラト「うん、おいしい」
大木田 ソラト「アイスは何?」
星見 コウセイ「アイスはバニラアイス」
星見 コウセイ「食べる?」
大木田 ソラト「ちょっと、これ、もらう」
星見 コウセイ「いやいや……」
星見 コウセイ「良い子のみんなは真似しちゃダメだよ、これ。ちゃんとスプーンで食べてね」
星見 コウセイ「行儀悪いな!」
大木田 ソラト「おいしい」
大木田 ソラト「ディップって言うんだよ、これ」
星見 コウセイ「……『ディップ』?」
大木田 ソラト「うん。最近 学んだ。アユ姉に学んだ、ディップ」
星見 コウセイ「いつ教わったんだ、それ?」
大木田 ソラト「ううん? いつだろうねぇ?」
――――――そして、特に言うことがなくなった二人は最後にみんなに向けてピースした後、黙々とクレープを頬張ったのだった!
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星見 コウセイ「えと、これで収録は良かったんですかね、アユ姉?」
アユム先生「いやー、大変いいものを見させてもらいましたー」ホクホク
アユム先生「こういう自然なやりとりの中に見出すものがあるんでね!」
星見 コウセイ「は、はあ……」
アユム先生「でも、楽しかったでしょう、コラボメニューの監修って言うのも?」
星見 コウセイ「まあ、新鮮ではあったかな。自分が食べてみたいと思う理想のクレープを予算とにらめっこしながら組み立てていくってのは」
大木田 ソラト「ああ。みんなのために 一生懸命 考えて作ったクレープは最高においしかった~」
星見 コウセイ「突然、アユ姉にクレープの食べ歩きに連れて行かれた時は何が始まるのかと思ったら、コラボメニューの監修ってことで【怪特隊 特務班】に依頼がねぇ……」
アユム先生「まあ、そういう宣伝戦略の一環って話」
アユム先生「度重なる怪獣災害による被害はもちろん、その悪影響で経済も落ち込んできているわけで、こうして“キヴォトスを救った英雄”だなんて持て囃されているアユム先生の【怪特隊 特務班】を積極的にメディア露出させて
アユム先生「私はもちろんウルトラマンオメガのお弁当をね、提案させてもらってます」*3
アユム先生「まあ、カネナリ社長に奢ってもらった豪勢な弁当と比べたら、1,500円のそこそこのお値段なんだけどね。人気の駅弁の定番商品ぐらいの値段設定ね」
アユム先生「あと、甘い物もね、用意していたんだけど、それは実際に買ってみてね」 *4
星見 コウセイ「いやぁ、1,500円もする弁当を新年早々にご馳走してもらっただけでもアユ姉様々です!」
大木田 ソラト「ああ。いつも【太陽倉庫】で食べているのとは全然ちがう味だった。というか、肉なんてあまり食えないしな」
星見 コウセイ「おい、いつも俺が作っているやつが不味いって言いたいのか、ソラト?」
大木田 ソラト「それはちがう。コウセイが作る料理は何でも美味いけど、それとはちがった美味さを感じているんだ」
大木田 ソラト「それって何でなんだろうな? コウセイが作る料理は安いし量も少ないんだけど、すごくお腹が満足するんだ!」
星見 コウセイ「お、おう。そうか……」
アユム先生「
大木田 ソラト「ん、どうした、アユ姉?」
アユム先生「いえいえ、いつもごちそうさまです、ソラトさん、コウセイさん。大変すばらしかったです、今のは」
大木田 ソラト「????」
星見 コウセイ「えっと、これでコラボメニューの撮影は終わって、次の撮影はっと」
初めて怪獣が出現した日:K-DAYを迎えてから新年を迎えた学園都市:キヴォトスでは怪獣災害のない束の間の平和が訪れていた。
その一方で、怪獣災害は止む気配がなく、学園都市:キヴォトス全体から見れば 実際に怪獣災害に見舞われた地域というのは割合としては少ないのだが、
それでも、天変地異とも言える怪獣災害が今やリアルタイムで見ることができるようになったことで、フェイク動画が氾濫したとしても、ネットを通じてすぐに怪獣の恐ろしさが知れ渡るようになり、人々の心に不安や恐怖を着実に植え付けていったのである。
そのため、正月三が日の初詣客は数多くの神社で過去最多を記録しており、元旦に9つの地域で代表する神社を生配信を利用して“キヴォトスを救った英雄”アユム先生と一緒に参拝するという変則的な団体参拝が罷り通ったのも、それだけ人々の心が揺らいでいる現れだった。
そうした中、人々は早くも来年もまたこうして新年を迎えられることを切に祈りながら、そうならなかった時を想像して、卒業シーズンも控えているということで、正月三が日から堰を切ったようにキヴォトス各地で思い出作りが盛んとなったのである。
そうした思い出作りの様子や成果がSNSや動画共有サイトに大量に投稿されることになり、それがデータとして集計されて公表される前から、人々は思い出作りがキヴォトスで大きな流行となっていることを肌感覚で理解していたのだ。
そして、【太陽倉庫】を拠点としている【怪特隊 特務班】の面々もそうした流行に乗ることが先駆けて年の瀬の会議で決められており、それがコラボメニューの監修と宣伝動画の撮影となり、それは非常にマニアックな内容となっていた。
ここ、【キヴォトススタジアムシティ】は2年に一度の開催である“晄輪大祭” 正式名:キヴォトス大運動会の伝統的な開催地としてスポーツの聖地として栄えていた。
“晄輪大祭”そのものは【キヴォトス連邦】が成立する以前の【オデュッセイア海洋高等学校】の生徒たちが船上で鍛錬のために開催した体育祭が始まりとされ、
現在では【連邦生徒会】直下の【行政委員会】主導で開催され、学園の垣根を越えたキヴォトス最大級の合同体育祭として、各学園の実力をアピールする機会として白熱した学園対抗戦が繰り広げられてきた。
更に、敵対関係にある学園同士でも武器を置いて協力し合うことが不文律となっており、古くからキヴォトスの平和維持に貢献してきた極めて重要な国家行事に位置づけられていたのである。
そして、2年に一度の開催である“晄輪大祭”は再び時が巡って 今年 開催の年となるわけなのだが、
その前年となる昨年はK-DAYの到来によって怪獣災害が次々と起こるようになり、その対抗策として学園の垣根を越えた防衛チーム【NDF】や調査チーム【怪特隊】が年内に結成されたのは、国家の統合という面で言えば 大変喜ばしいことではあるのだが、
とにかく、世の中の風潮が『勇気を持って怪獣に立ち向かうか、安全な場所を求めてキヴォトスから逃げ出すか』の二択に絞られ、明らかに平和の祭典である“晄輪大祭”をやろうという余裕のある雰囲気ではなくなっているのだ。スポーツで勝つために身体を鍛えることの意義が怪獣災害に立ち向かう大義に押し潰されているのだ。
そのため、怪獣たちとの地上の覇権を争う生存競争のために軍事主義へと傾きつつあるキヴォトスの風潮に一石を投じるために、【連邦生徒会】生徒会長代行:七神 リンや【怪特隊】代表:百合園 セイアが“キヴォトスを救った英雄”アユム先生を交えて早期に“晄輪大祭”の開催の意義と是非を諮ることになっていたのである。
つまり、スポーツの聖地【キヴォトススタジアムシティ】とアユム先生たち【怪特隊 特務班】がコラボすることで、たしかに怪獣災害に対抗するために軍事力を強化するのは急務ではあるのだけれど、敵を倒すことばかりに狂奔するのではなく、仲間たちと切磋琢磨して互いの成長を称え合う健全な精神性を失わないようにする布石を打つのである。
事実、軍事力への傾倒が行くところまで行った結果が時空漂流獣:クロノケロスの親子が謎の兵器群に襲われていた破滅の未来なのだと心底震えることになった【怪特隊】代表:百合園 セイアは平和の祭典としての“晄輪大祭”の意義を大いに認めることになり、【NDF】や【怪特隊】の枠でもっと平和の心や団結心を生み出す内容への変更を求めたのである。
その新たな枠組みや理念を形にするべく、2年に一度の“晄輪大祭”の開催を絶やさぬよう、年の瀬からすでに知恵者たちは動き出していたのであった。
なので、スポーツの秋を越して到来した冬のオフシーズンではあったものの、【怪特隊 特務班】が【行政委員会】から依頼を受けることになり、その手始めとして冒頭のコラボメニューの監修と宣伝動画の撮影というわけであり、これ以外にも実に様々な活動を行うことになったのだ。
と言うより、元々がキヴォトスでは希少なヒトの成人男性である大木田 ソラトと星見 コウセイに需要があることに目をつけた宣伝戦略であり、スポーツの聖地【キヴォトススタジアムシティ】での撮影は何日も続いた。
何を隠そう、彼ら自身も初めての場所となる平和の祭典が開かれるスポーツの聖地に【太陽倉庫】に働きに来ているアリウス生たちを引き連れて見学ツアーに参加した後、
2年に一度の“晄輪大祭”の開催を告知するプロモーション映像の撮影に協力する契約書にサインをすると、【NDF】【怪特隊】との強力なコラボを宣伝する
その結果、陸上競技のユニフォームに着替えた大木田 ソラトが砲丸投げに挑戦して世界新記録を叩き出したり、星見 コウセイが県大会3位の昔取った杵柄で意外に引き締まっている脚で綺麗なフォームで走り抜けたりするシーンも寒空の下で撮影され、実にアユム先生の趣味が全開の撮影となっていたのだった。
基本的に撮影のエキストラは【連邦生徒会】公認を目指しながら外の世界で社会勉強をしている【アリウス分校】の生徒たちであり、
その中には外の世界で社会勉強をしているアリウス生たちを見回る【ニコメディアトゥループ】リーダー:梯 スバルの姿もあり、いずれは【アリウス学園】として正式に外の世界の一員となった時は平和の祭典である“晄輪大祭”に出なくてはならないのだと理解した。
そして、エキストラを演じるに当たって、地球人を凌駕した身体能力を持つ ヘイローを宿した生徒たちが一通り陸上競技に挑戦してみることになり、軍事教練と比べてなんてことのないような単純動作の運動のどこにキヴォトス中が熱くなれるものがあるのかと不思議でいっぱいのようあった。揃いも揃ってハテナマークが浮かんでいる姿が見える。
実は、そうなるだろうことを見越して、日々多忙を極めているアユム先生のやることは常に一石何鳥にもなるように仕組まれており、
今回はキヴォトスでも希少なヒトの成人男性である大木田 ソラトと星見 コウセイを
その一方で、今年の“晄輪大祭”は【トリニティ総合学園】が主催校に名乗りを上げることになり、【アリウス分校】との歴史的和解の舞台にするため、すでに【ティーパーティー】【アリウススクワッド】の間で平和の祭典の開催への取り組みが真面目に行われていたのである。
そのため、一緒に“晄輪大祭”を楽しめるように世事に疎い【アリウス分校】の生徒たちに基本的な価値観を共有させる任務を帯びて、撮影のエキストラとして数多くのアリウス生たちを招いて、大運動会の体験会をさせると同時にその道のプロの指導を受けてスポーツの楽しさを理解できるようにする課外授業を行わせていたのである。
実際、学生時代の夢破れて 今は自分探しの旅をしている ただの地球人:星見 コウセイの身体能力は隔離された環境でひたすら戦闘訓練に明け暮れていた【アリウス分校】の生徒たちの足元に及ばないものの、県大会入賞者のアドバイスを受けてフォームを修正することで驚くぐらいタイムが縮まったことで尊敬の念とやる気が自然と湧き上がるのだった。
極めつけは、星見 コウセイとは正反対に素人丸出しのやり方で各種目で一通り好成績を叩き出し、中には非公式ながら世界新記録をその場で叩き出している大木田 ソラトの能力がいかに人間離れしているのかを実感することで、外の世界には驚くような人物がいっぱいいることを想像できるようになったのである。
他にも、“晄輪大祭”には『生徒が限界と可能性を試す場』という側面と共に、多くの生徒が活躍できるようルールの調整を重ねてきた『お祭り』としての性質があるため、
陸上競技に代表される 個人の能力を極め合う スポーツ競技、運動会の定番となっている みんなで力を合わせる グループ競技、運動が苦手な生徒も楽しめる レクリエーション競技が競技種目としてバランス良く採用されており、
本当は冬場にやるようなものじゃないのだけれど、ベアトリーチェの下でシゴカれてきた【アリウス分校】の生徒たちなら季節外れであっても初めてのことに一生懸命に取り組んでくれると見込んで、いろいろな競技種目に挑戦することになり、
その中で自分や周りも知らなかった意外な才能を発揮して一着をとったり、よくわからないまま競技に参加してみて運を味方にして一着をとったり、これまでの【アリウス分校】の常識からすればありえないような競技内容や競技結果に一喜一憂して心を弾ませることになったのだ。
とにかく、それで“晄輪大祭”は楽しいものだと思うようになり、その日が来るのを待ち遠しくなり、【アリウス分校】の取り組むべき学校行事として受け入れられることを願った。
だからこそ、新しいキヴォトスの仲間を迎え入れるために学園の垣根を越えて生徒たちが真冬のスポーツの聖地に集まったのは決して偶然などではなかった。
これもまた新年を迎えて各地で自然発生した流行である思い出作りにうってつけの機会ということで、季節外れのスポーツの聖地【キヴォトススタジアムシティ】で“晄輪大祭”に参加予定の【怪特隊 特務班】のプロモーション映像の撮影があり、そのエキストラに参加できる交流会や競技種目の体験会も行われると聞けば、たくさんの生徒たちが思い出作りのために駆けつけてくるのだ。
結果、“晄輪大祭”本番に向けて調整のためにやってきたガチ勢から、正月に“晄輪大祭”の競技種目の体験会をするという物珍しさからやってきたカジュアル勢も集まり、実に様々な理由でオフシーズンの【キヴォトススタジアムシティ】は千客万来となったのである。
そうした中で、ベアトリーチェに支配されて徹底的な戦闘訓練を叩き込まれていた【アリウス分校】の生徒たちの実力の高さが徐々に知れ渡っていくことになり、それが自信や称賛に繋がっていき、いつの間にか、外の世界で友達がたくさんできるようになっていったのだった――――――。
大木田 ソラト「無事に開催されるといいな、“晄輪大祭”」
白洲 アズサ「ああ。前回の開催も実は 相当 危ぶまれていたらしいから、今回も無事に開催できるといいな」
浦和 ハナコ「前回の“晄輪大祭”は“連邦生徒会長”の失踪に端を発してキヴォトス各地で様々なトラブルが相次いでいたわけなんです。【トリニティ】と【ゲヘナ】の間でも“連邦生徒会長”が結ぼうとしていたエデン条約をめぐる緊張状態にありましたからね」
浦和 ハナコ「そういったキヴォトス各地の様々なトラブルを“シャーレの先生”が解決していったことで、無事に例年通りの開催ができたというわけなんです」
浦和 ハナコ「ですから、“晄輪大祭”という平和の祭典の開催を実現させたことはアユム先生の数々の偉大な功績の中でも上位に位置する偉業なんです」
大木田 ソラト「そうなんだ」
白洲 アズサ「前回、選手宣誓をしたのはその時は【補習授業部】じゃなかったハナコと【アビドス】のアヤネだったな」
浦和 ハナコ「はい。あの時は どこの派閥に属していない使い勝手のいい駒として あの場に送り出されていました」
白洲 アズサ「今回は【トリニティ】と【アリウス】の和解の象徴ということで、私が選手宣誓をしないとだから、いろいろと教えて欲しいんだ」
白洲 アズサ「実は、私なりに予習しようと思ってハナコの選手宣誓の映像を閲覧していたんだが、なぜか検閲されていて ほとんど何を言っているのかがわからなかったんだ」
浦和 ハナコ「ああ、それはたしかにそうなっちゃいますね」
白洲 アズサ「私は【アリウス】を捨てた身だ。私を【トリニティ】に送り出した 私の家族と言えた【スクワッド】にはこれまで何もしてこなかった……」
白洲 アズサ「私は【トリニティ】で居場所を与えられて大切な仲間たちとの衣食住に怯えることのない日々を送ることができるようになった一方で、」
白洲 アズサ「ベアトリーチェに反旗を翻した【スクワッド】が外の世界でかつての仲間たちに追われ続ける日々を送っていることを知っていながら……」
大木田 ソラト「アズサ……」
浦和 ハナコ「アズサちゃん……」
白洲 アズサ「それどころか、【アリウス】に【スクワッド】が帰還を果たした時も私は完全に部外者だった。それまでやそこでどんな苦難があったのかをアユム先生に聞いて後から知るばかりだった」
白洲 アズサ「怪獣が【アリウス】に現れたことを知った時は 居ても立っても居られなくなったのに もう終わったことだと理解して、私はもう【アリウス】に関わることはないんだと思っていたんだ……」
大木田 ソラト「いや、そんなことはない。アツコたちはずっとアズサのことを――――――」
白洲 アズサ「知っている。先生が私を家族と引き合わせてくれたんだ」
浦和 ハナコ「はい。私も【アリウス生徒会】生徒会長となる秤 アツコさんといろいろたくさんお話することができました」
白洲 アズサ「だから、【トリニティ】と【アリウス】の和解の象徴にそんな私が選ばれたからには絶対に失敗することは許されない……」
大木田 ソラト「そこまで根を詰めることはないと思うな、俺は」
浦和 ハナコ「そうですよ。あくまでも“晄輪大祭”は平和の祭典なんですから、ライバル校の粗探しのために論う輩なんて出てこないし、前回の私の選手宣誓より酷いことには絶対になりませんから、アズサちゃんは自然体でいていいんです」
浦和 ハナコ「ともかく、選手宣誓の練習を今日ここに集まっているアリウス生の前でたくさんすることですよ、アズサちゃん」
白洲 アズサ「あ、ああ……」
大木田 ソラト「大丈夫だって。みんなで勉強を頑張れるように応援するのが【補習授業部】なんだから、俺もアズサがアリウスの子たちと仲良くなれるのを手伝うから」
白洲 アズサ「ありがとう、ソラト。【怪特隊 特務班】の怪獣博士としてアリウス自治区に出現した怪獣の対処にも向かってくれたし、【太陽倉庫】に社会勉強でバイトに来ているアリウス生のことも面倒を見てくれて、私にできなかったことをしてくれて」
白洲 アズサ「やっぱり、ソラトは大きいな。先生やリーダーも大きいけど、ソラトはもっともっと大きい。怪獣からアリウス自治区を守ってくれたウルトラマンオメガは途方もなく大きい……」
白洲 アズサ「先生がソラトさんを見習うように言っていた理由がようやく理解できた……」
大木田 ソラト「よーし! みんなと仲良くなりに行くぞ、アズサ!」
大木田 ソラト「外の世界にはたくさんいろいろなものがあってワクワクすることを俺とアズサでいっぱい話すんだ!」
白洲 アズサ「わかった、ソラト!」
大木田 ソラト「ハナコも行くぞ!」
浦和 ハナコ「はい、ソラトさん!」
大木田 ソラト「
浦和 ハナコ「
白洲 アズサ「おお!?」
大木田 ソラト「ユピアイエー!」
浦和 ハナコ「ユピアイオー!」
大木田 ソラト「ユピアイエー!」
浦和 ハナコ「ユピアイオー!」
大木田 ソラト「ユピアイエー!」
浦和 ハナコ「ユピアイオー!」
浦和 ハナコ「アズサちゃんも一緒に!」
白洲 アズサ「わ、わかった!」
黒舘 ハルナ「拝見しましたよ、コウセイさん。ソラトさんとクレープを食べる動画」
星見 コウセイ「そ、そうでしたか……」
黒舘 ハルナ「本当に素晴らしかったです!」
黒舘 ハルナ「あまりにも素晴らしくて、早速 食べに行きましたよ、今日ここで!」
星見 コウセイ「え、そう? そいつはよかった!」
星見 コウセイ「…………どうやら、キヴォトス最悪のテロリスト【美食研究会】の爆破対象にならなくてすんだみたいだ」ホッ
星見 コウセイ「実は、俺もいいものを作れたと思って気に入っているんだ、あのクレープ」
黒舘 ハルナ「クレープ自体は値段相応と言ったところで、どちらかと言うとソラトさんのクレープの方が美味しかったと思いますわ」
星見 コウセイ「え、そうだったの……」
黒舘 ハルナ「ですが、アユム先生が仰っていた通り、コウセイさんのクレープとソラトさんのクレープを食べさせ合いっこすることで至福に包まれるんです」
星見 コウセイ「う、ううん……?」
黒舘 ハルナ「やはり、美食というのは味や値段、サービスだけじゃなく、人間の感情に訴えるものがあってこその思い出の味というわけですわね」
黒舘 ハルナ「ソラトさんが コウセイさんの作った焼きそばが一番好きだと言うのも そのようなものなのでしょう」
星見 コウセイ「あ、あいつ、アカリと食べ歩きに出た時にいろいろと言い触らしたみたいで、後で大変だったんだけど……」
黒舘 ハルナ「だから、私は素敵に思いますよ、コウセイさんのこと」
星見 コウセイ「へ」
黒舘 ハルナ「私にとってはフウカさんの料理が手放せないように、ソラトさんにとってはコウセイさんの作る料理が魂を揺さぶるものだったみたいです」
黒舘 ハルナ「それだけ 誰かの心に響く 素晴らしい美食を生み出せるコウセイのことを私は尊敬していますわ」
星見 コウセイ「は、はあ……、そりゃあ、どうも……」
黒舘 ハルナ「ですので、コウセイさん。私は今度の“晄輪大祭”には【怪特隊】としてソラトさんとコウセイさんが参戦するのを楽しみしています」
星見 コウセイ「いやぁ、いくら県大会3位だったからって、あれからもう走っていないから 本気でやるとなると 物凄くしんどいし、そもそも俺は社会人だし……」
黒舘 ハルナ「ですので、『社会人の部を追加する』方向でソラトさんとコウセイさんの参加を実現させるみたいですよ、先生としては」
星見 コウセイ「あ、アユ姉!? 何してくれちゃってるの?!
黒舘 ハルナ「まあ、いいではありませんか、コウセイさん」
黒舘 ハルナ「コウセイさんの作る運動会のお弁当を食べることができるようになるのですから、これほど素晴らしい提案は他にはないですよ」
星見 コウセイ「俺が運動会に参加して そのためにお弁当を作ってきて 【美食研】に摘み食いされるのが前提!?」
黒舘 ハルナ「ええ、もちろん。【美食研究会】は“EAT or DIE”が活動理念ですから」
黒舘 ハルナ「大丈夫ですよ。前回の“晄輪大祭”には大食い大会がありましたから、ソラトさんも十分に【怪特隊】の一員として活躍できますから」
星見 コウセイ「一応、アユ姉から“晄輪大祭”の種目を見させてもらったけど、たしかに俺たちがキヴォトス人相手に勝てそうなのってそれぐらいしかないよなぁ……」
黒舘 ハルナ「ほらほら、コウセイさん、“晄輪大祭”が楽しみになってきましたでしょう?」
星見 コウセイ「うん。まあね」
黒舘 ハルナ「ですので、どうか、コウセイさん」
――――――いつまでもソラトさんとの友情が不滅であることを切に願いますわ。
生塩 ノア「前回の“晄輪大祭”は本当に楽しい思い出がいっぱいでしたね、先生」
アユム先生「うん。おかげでいろいろと捗ったわー」
生塩 ノア「……ユウカちゃんが先生のことを本気で好きになったのも“晄輪大祭”の時でしたよね」
生塩 ノア「先生は悪い大人です。ユウカちゃんの初恋泥棒です」
生塩 ノア「だと言うのに、先生はユウカちゃんだけじゃなく、それ以外の人たちのことも弄んで、果てはリオ会長までも……」
生塩 ノア「ユウカちゃんはキヴォトスに来たばかりの先生が初めて会った生徒の一人なのに……」
アユム先生「人聞きの悪いことを言うねー、ノア」
アユム先生「連日連夜の大会準備で疲労困憊のユウカと引き合わせたのはどこの誰かなー?」
アユム先生「でも、おかげでユウカの可愛いところを思う存分たくさん見ることができたから満足かな」
アユム先生「それでユウカが借り物競走で 私のところにまっすぐ来て 私の手を引いていくんだから、いじらしくてドキドキしちゃった」
生塩 ノア「大会前日も実行委員で根を詰めていたユウカちゃんを励ますために先生が“チアガール”になって応援して回ったせいで、まだ本番じゃないのに その前夜からお祭り騒ぎになって大変でした」
生塩 ノア「それで大会当日、“晄輪大祭”名物の借り物競走が始まったら、先生はいつの間にか“応援団長”になっていて、ユウカちゃん、完全に目を白黒させて身悶えしながら先生の手を掴んだんですよね。可愛かったです」
アユム先生「でしょう! それで1着になって、ノアが私がお題として適切な借り物なのかを判定するのをハラハラドキドキしているユウカを落ち着かせるためにユウカの肩に手を乗せて抱き寄せたら、顔を真赤にしてぇ! あの表情、今 思い出しても たまらないねぇ!」
生塩 ノア「そして、私が合格判定を出してユウカちゃんが1位確定になったのに一安心した時、観客からお題が“好きな人”だったんじゃないかって騒がれたところに――――――!」
アユム先生「私がユウカの手に跪いて、その手の甲にキスしちゃいましたー!」
アユム先生「会場の興奮は最高潮! 私も最高に『ハイ!』な気分になってぇ! 顔を真赤にしながら全力疾走で逃げていったユウカの姿も最高に愛らしかった!」
生塩 ノア「それで“晄輪大祭”が終わるまで先生と顔を合わせづらくなったユウカちゃんでしたけど、結局 後夜祭のキャンプファイヤーに先生を誘っていたんですよね」
アユム先生「そうそう。こうやって私がユウカの肩を抱き寄せていると、連日連夜で大変だったから、いつの間にか寝息を立てていてね。その寝顔があまりにも愛おしくて、しばらくずっとユウカのことばかり描いてた」
生塩 ノア「先生にとって絵を描くことが
アユム先生「うんうん。ユウカちゃんのことをお嫁にしたいと思う人間はたくさんいると思うよ。報われて欲しいよね。幸せでいて欲しい」
生塩 ノア「そんなことを言う人は嫌いです、先生」
生塩 ノア「そう仰るなら、先生が責任を取ってユウカちゃんをお嫁にもらえばいいんです」
アユム先生「え、それは嫌だな。お手伝いロボットがいないと生活ができないようなダメ人間の私にはもったいない子だから、ユウカの良さをドブに捨てるようなことは絶対にしたくない」
生塩 ノア「……先生!」
アユム先生「恋愛と結婚は別のことだから。恋愛は一緒に居て楽しいから楽しむもの、結婚は楽しくなくても生涯を通じて支え合うもの」
アユム先生「私のことは“近所のおねえさん”だと思って学生の間は存分に憧れて、卒業の日を迎えたら自分の可能性や思い描いた夢のために巣立っていくのよ」
アユム先生「あなたたちは私の人生の付属品なんかじゃない。ひとりひとりの人生があるのだから」
アユム先生「だからこそ、『学校は社会の縮図』だなんて言葉を拡大解釈した結果みたいな『学園そのものが社会』のために、子供たちの才能や情緒が育ち切る前に社会の歯車として酷使されて使い潰される学園都市:キヴォトスで送る灰色の青春に彩りを豊かにしようと思ってね」
アユム先生「要は、そういう人生の楽しみがあるってことをね、人生の先輩である“近所のおねえさん”が手取り足取り丁寧に教えてあげているのよ」
アユム先生「理解できた、ノア?」
生塩 ノア「は、はい……」
生塩 ノア「思い返してみると、何から何まで、あの時の先生は用意がよかったですね」
アユム先生「当然。借り物競走に出るのが本当はユズだったのは本人から相談を受けて知っていたから、そうなると『人見知りの激しいあの子だと棄権になりかねない』=『ミレニアムの総合優勝が遠退く』ってことで、十中八九【ゲーム開発部】に親身に接していたユウカが交代するだろうと山を張ってたわけ」
生塩 ノア「でも、お題の内容次第で先生が選ばれるとは限らなかったはずです。むしろ、“応援団長”に着替えたのが無駄になった可能性の方が大きかったはずです」
アユム先生「その時はその時ということで、別に。大会前日の“チアガール”と同じように、大会当日の“応援団長”として、誰よりも【実行委員会】のメンバーとして頑張り通しているユウカのためにサプライズで応援していたから、無駄にはならないよ」
アユム先生「その上で、現実に起きることを誇張する」
――――――想像力を解き放て。
アユム先生「“晄輪大祭”の名物である借り物競走に言い伝えられている伝説が現実のものとなる瞬間を思い描いて全ての準備を済ませておく」
アユム先生「幸運は用意された心のみに宿る」*7
アユム先生「当たるも八卦、当たらぬも八卦。現実になったら面白いけど、想像するだけでも楽しいから、現実に起きることは誇張したもの勝ちだよ、人生なんて」
アユム先生「人を好きになるのも、人を愛することができるのも、とっかかりから現実に起きることを誇張して、その人とのことを誇張すれば、誰のことだって好きになる。愛することができるようになる」
アユム先生「ただ、どんなに欠点が目立ってもキラリと光るものをみんな持っているんだって信じてさえいれば……」
生塩 ノア「さすがですね、先生」
生塩 ノア「でも、ユウカちゃんが先生と顔を合わせることができなくなった隙に、同じ実行委員のアコさんやハスミさんにもデレデレしてましたよね、先生」
アユム先生「うん! いつもとはちがう姿であっても、しっかりと個性を主張しているもんだから、ユウカのおまけでいっぱい絵に描いちゃったんだよね!」
アユム先生「ああ、そうか! 今年はアリウスの子たちがブルマを穿いてくれるんだよね! 普通に体操服を着ているだけなのに見ているとムラムラしてくるマリーのような逸材が見つかるといいな!」
アユム先生「可愛い女の子は何人いてもいいんだから、誰に憚ることなく『可愛い』って言ってあげれば みんな幸せになれるもんなんだよ」
アユム先生「ノアも知っているでしょう。ユウカも可愛い子が大好きで【ゲーム開発部】を甘やかしてきていることぐらい」
アユム先生「だから、私がユウカの趣味嗜好を理解して、ユウカ自身もまた可愛い女の子として可愛がってあげれば、必ず応えてくれるから」
生塩 ノア「……先生」
アユム先生「まあ聞いて、ノア」
アユム先生「そういう意味だと、【連邦捜査部
アユム先生「私は 今 私の瞳に映る“運命”に出会ったかもしれない気分になった」
生塩 ノア「……先生」
アユム先生「その女の子が私と同じ傾向のギフテッドなのは【セミナー】での役割や働きぶりを見て、すぐにわかった。仲間に出会えたと思った」
生塩 ノア「私も自分と同じ能力を持つ仲間に出会えたと最初は思っていました」
生塩 ノア「でも、実際はそれどころではありませんでした」
生塩 ノア「先生は 見たものをそのまま まるで写真のように描くことができるのに、そこに遊び心をいくらでも付け加えることができるんです」
生塩 ノア「先生がユウカちゃんに渡したたくさんの似顔絵は本当に写真のようにユウカちゃんという存在を精密に描いているのに、絶対にユウカちゃんがしないような表情や仕草をした絵が普通に混ざっていたことに衝撃を受けたんです」
生塩 ノア「正直に言って、生まれて初めて誰かに嫉妬しました」
生塩 ノア「ユウカちゃんのことを誰よりも記録している私が見たことのない表情や仕草をユウカちゃんが先生に見せていたのかと思うと、外からやってきた得体の知れない大人に対する警戒心が強まっていったんです」
アユム先生「裏返すと、それで私はまた可愛い女の子の興味を引くことができたんだよね」
生塩 ノア「はい。『好きの反対は無関心』と俗に言われているように、先生のことに興味を持った時点で負けだったんです」
生塩 ノア「だから、先生が種明かしにその場で私の似顔絵を描き始めたと思ったら、2枚目は私のようでいて私じゃないとわかるような繊細微妙な絵を仕上げてきて……」
アユム先生「そうだよ。人を好きになるコツは『痘痕も笑窪』って言うように誇張した表現で相手を見るようにしていくこと。しっかりと相手の特徴を観察した上で、美点となるものでキャラクター性を練り上げていくの」
アユム先生「そうしたら、いくらでも想像が膨らんで新しい魅力になるものを試していける」
アユム先生「だから、会う度に新しい魅力に気付かせていけるってわけ」
アユム先生「これが想像力だよ。記憶したものを組み合わせるのはAIのやること。人間の素晴らしさは まさにAIが導き出す合理性や論理では計り知れない 突拍子もない非合理や不条理な行動や発想にあるんだよ」
生塩 ノア「だから、今の先生は ユウカちゃんにも内緒で 私と二人きりの密室で私の肩を抱き寄せてくれているんですか?」
生塩 ノア「ごめんね、ユウカちゃん」
アユム先生「誰に言っているの、それ? 『二人きりの密室』って観覧車の中なんだから、そうなるよね?」
生塩 ノア「そういうのがお好きかと思いまして。先生が投稿している作品は全て閲覧済みです」
アユム先生「うん、大好きだよ。ノアは 何と言うか 凄く好みのタイプなんだよね」
生塩 ノア「それはアカリさんやハナコさんよりもですか? もしくはノノミさん以上?」
アユム先生「な、なんでその子たちの名前が……?!」
生塩 ノア「わかりますよ、先生の好みのタイプのことは。記録通り 完璧に」
生塩 ノア「だから、あえて訊きます」
生塩 ノア「……先生、私じゃダメなんですか?」
アユム先生「うん、ダメ」
アユム先生「ごめんね、ノアちゃん」
アユム先生「結婚可能年齢に達していないから論外」
生塩 ノア「即答。やっぱり、ダメでしたか」フフッ
生塩 ノア「先生は 散々 私たちの心を弄んでおきながら、現実的なところでキッチリし過ぎです」
生塩 ノア「そんな理由で消去法で選ばれることになるアカリさんが気の毒です」
アユム先生「ううん。私の人生の伴侶になるのなら、銃弾一発で死にかねない絶対的の弱者の私の危機に颯爽と助けに来る人間じゃないとね。その上で、“シャーレの先生”を支えるためにキヴォトス中どこにでもついていってくれる人じゃないとね」
アユム先生「じゃないと、きっと後悔することになる。家で私の帰りを待つことになる人が」
生塩 ノア「……そういうお考えになるのは、やはり先生がギフテッドだからですか?」
アユム先生「うん。それもある。私はお手伝いロボットがいないと生活ができない要介護者です」
アユム先生「でも、だからこそ、私は自分の幸せの在り方を自分で考えて貫き通したいと思ってる」
生塩 ノア「たくさんの女の子の心を弄ぶことになってもですか?」
アユム先生「逆に考えるのよ、ノア」
アユム先生「なぜあきらめる必要がある? なぜ迷う必要がある? 奪い取れ! 二兎を追う者は二兎とも取れ!」
アユム先生「ノアも自分の欲望に素直になって、私のこともユウカのことも好きでいればいいじゃない」
アユム先生「少なくとも、私はそうした。そうやって各学園の生徒たちとお近づきになってお泊まり会をしてきたから、今日のキヴォトスと私がある」
アユム先生「でも、それとは別に私には子供の頃の夢として『ウルトラマンと共にありたい』とも願っているから、ソラトさんとコウセイくんと一緒の怪獣退治に 今一番 熱中しているわけで、」
アユム先生「みんなのことが嫌いになったわけじゃない。けれども、私の中の優先順位は何も変わってない。ただ、時代が変わったの」
生塩 ノア「じゃあ、こうして先生が私と向き合ってくださっているのは、怪獣災害が収まった束の間の平和な時間が訪れたからなんですか?」
アユム先生「うん。平和になったら怪獣災害の専門家は要らなくなるわけだから、その時は“怪特隊の母”を辞めて“シャーレの先生”に戻っているよ」
生塩 ノア「それを聞いて安心しました。そうなると、やっぱり平和が一番ですね、先生」
アユム先生「たぶん、平和なままだったら、私はアカリと生涯契約を結んでいたと思うけどね」
生塩 ノア「じゃあ、やっぱりダメです、先生」
アユム先生「ノアはわがままだなぁ」
生塩 ノア「先生がさっき教えたことです。『二兎とも取れ』って」
アユム先生「うん。さすがは優等生。【セミナー】の書記なだけはある」
生塩 ノア「はい。ですから、今から二人きりの時間を私と先生だけの記録にしますね」
アユム先生「あ」
――――――観覧車の中で生塩 ノアは膝の上に乗って対面ハグを繰り出し、アユム先生の顔を胸元に埋めて、観覧車が1周するまでずっと抱きしめ続けるのであった。
ちきゅう には そんな ことば が いっぱいある。
よし! よっしゃ! やった! ばんざい!
やっほー! イェイ! オッケー!
かいてるだけで げんき が でてきた。
ユピアイエー! ユピアイオー!