Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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【最終章】本当の"目覚めの刻"。宇宙人(オメガ)が戦う理由(わけ)
第22話 星を見つめる人 ~ Unwelcome School~


 

 

アユム先生「おつかれ、セイア、ソラトさん」

 

大木田 ソラト「うっす、アユ姉」

 

百合園 セイア「ああ、先生。そろそろ会議の時間だったね」

 

アユム先生「セイアも肉体労働(倉庫バイト)が馴染んできたねぇ」

 

百合園 セイア「まあね。【ティーパーティー】は基本的に親衛隊を持たないし、戦闘は【正義実現委員会】に完全に任せっきりだから、身体を鍛えることは稀なんだけど、」

 

百合園 セイア「私の場合は 元々 病弱だから 意識して身体を鍛えておかないとだし、【怪特隊】の代表としてもね、頭と体の状態は常に万全にしておく必要がある」

 

百合園 セイア「そういう意味では単純労働ながら、私にはちょうどいいぐらいのエクササイズになっているかな、ここでのバイトは」

 

アユム先生「そう。やっぱり、キヴォトス人は地球人を凌駕する身体能力があるわけだから、小さい身体でも倉庫業もお手の物か」

 

百合園 セイア「いや、そうでもない。どんなに頑張ろうと思っても手が届かないのだけはどうにもならない。羽川 ハスミ(179cm)ぐらいとまでは言わないが、人並みの身長が欲しいと強く思ったのは初めての経験だよ」

 

アユム先生「そっか」

 

大木田 ソラト「なあ、アユ姉? 新しい防衛組織ができるんだろう? 最近もでっかい武器を造ってるのか?」

 

アユム先生「うん。まあ、そうかな」

 

大木田 ソラト「それで疲れた顔をしてんのかぁ」

 

アユム先生「うんうん。おもしろくないことをやっているとねぇ……」

 

大木田 ソラト「……『おもしろくない』?」

 

アユム先生「ソラトさんも知っている通り、私はあくまでも怪獣調査の専門家“SKIPのおねえさん(石堂 アユム)”であって、怪獣退治の専門家“SKaRDのおねえさん(イシドウ・アユム)”とはちがうから……」

 

百合園 セイア「……先生」

 

大木田 ソラト「……()()()()()()()“アユ姉”の話か」

 

アユム先生「うん。並行世界の私(イシドウ・アユム)は肉体が滅んでキヴォトスを破滅に導く“色彩の嚮導者”プレナパテスへと変異した後も、自分を慕ってくれた生徒たちの唯一の生き残り(シロコ*テラー)の幸せを願って 死してなお私に託して その使命を全うした――――――」

 

アユム先生「だから、今更 K-DAYを迎えて怪獣災害が激化した情勢でキヴォトス(ここ)から逃げようだなんて思わないけど、怪獣に対抗するための手段を確立するまでの時間が無さすぎる……」

 

アユム先生「並行世界の私(イシドウ・アユム)が生きた地球や、私が生まれ育った地球にしても、K-DAYを迎えて1年で滅ぶようなことにはならず、しっかりと防衛兵器や防衛戦略が確立して人類が独力で怪獣を撃破できるぐらいに戦力を充実させることができたわけなんだけど、」

 

アユム先生「今のペースだと、とてもじゃないけど地球の水準に防衛力が達する前にキヴォトスが滅亡を迎えそうな予感がヒシヒシとしててね……」

 

アユム先生「私をキヴォトスに喚んで失踪した“連邦生徒会長”のように全てを投げ出して逃げ出したくなる気分にもなってくるよ……」

 

大木田 ソラト「…………アユ姉」

 

アユム先生「ああ! セイア、ハグぅ! ハグして!」

 

百合園 セイア「もう、しかたないな、先生」

 

百合園 セイア「はい」ギュッ

 

アユム先生「ダメ! もっと! ここから逃げ出したい気分をもみくちゃにするぐらい力いっぱいに抱き締めて!」

 

百合園 セイア「なら、先生も!」

 

アユム先生「うん!」ムギュッ!

 

大木田 ソラト「………………」

 

アユム先生「ああ、生き返るぅ~! 可愛い女の子にハグされるの、本当に最高~!」

 

アユム先生「ってなわけでね。こんなふうに元気を分けてもらえないとやってられないとも思っているわけなんですよ、ソラトさん」キリッ

 

大木田 ソラト「だったら、アユ姉、俺がもっと――――――」

 

アユム先生「ダメだよ、ソラトさん」

 

大木田 ソラト「え」

 

アユム先生「いつまでもウルトラマンオメガに頼ってばかりいられないし、この惑星(キヴォトス)の問題は現生人類(キヴォトス人)で解決しないと」

 

大木田 ソラト「なら、それはアユ姉も同じだと思う」

 

アユム先生「え」

 

大木田 ソラト「アユ姉だって地球人だろう? この惑星の生まれじゃないのに、誰よりもこの惑星で生きる人たちのために頑張っているじゃない?」

 

大木田 ソラト「頼ることがいけないこととも思えない」

 

大木田 ソラト「俺はコウセイに頼りっぱなしだ」

 

大木田 ソラト「だからこそ、『力になりたい』って思ってる」

 

アユム先生「素敵だよね、そういうの」

 

百合園 セイア「ソラト」

 

百合園 セイア「なら、私たちキヴォトス人は先生やオメガの力になれるのかな?」

 

アユム先生「セイア」

 

大木田 ソラト「そうだな、セイア」

 

 

――――――もしかすると、『一緒にいられるだけで嬉しい』って思っているかもよ?

 

 

私はいつものように【怪特隊 特務班】の拠点となっている 大屋日の出ビル【太陽倉庫】を出た。

 

もしかしたら、これが“大木田 ソラト”との今生の別れになるかもしれないと思いながら、その姿を、その表情を、その仕草を、その言葉を、その存在を記憶に刻みこんだ。

 

私だって、本当は“大木田 ソラト”とは別れたくない。むしろ、居てもらわないと“連邦生徒会長”が想定していた本当の滅亡の危機である“目覚めの刻”を乗り越えるための戦力が不足してしまうのは明らかだ。

 

それでも、私は、私には、私だから、“大木田 ソラト”を引き留めることが許されなかった。

 

他ならぬ並行世界の私自身(イシドウ・アユム)が“色彩の嚮導者”プレナパテスへと変異しても使命を全うしたことを考えれば、記憶喪失になった“オメガ”に本来の使命に立ち戻るように協力することが筋のような気がして。

 

そう、今はひとりこの惑星(キヴォトス)で“大木田 ソラト”として現生人類(キヴォトス人)と共に暮らし、共に戦い、共に喜びを分かち合ってくれているわけだが、

 

記憶喪失になる以前はこの惑星(キヴォトス)を侵略しようとしていたゲネス人と人知れず戦ってくれていたわけであり、成層圏の向こうでこの星を見つめ続け、現生人類(キヴォトス人)からは決して認知もされなければ、感謝の言葉をかけられることのない孤独な任務に就いていたのだ。

 

となれば、あくまでも地球から自分の意志で転職してきた私とは異なり、現生人類(キヴォトス人)に深く関わることをよしとはしない立場の存在であるのは明らかであり、月面の戦いで侵略宇宙人の生体兵器:ゾヴァラスの脅威に対して一緒に戦おうと現生人類(キヴォトス人)に対して呼びかけをしてこなかったのがその証だ。

 

そう、私がウルトラマンオメガと名付けた真っ赤な巨人は、私が知る 地球を救った さいきょうのヒーロー:ウルトラマンアークとはまったく別の存在であり、

 

私がウルトラマンという存在の枠に当てはめたことでキヴォトスで市民権を得ることになったが、そんなのはウルトラマンアークに世界を救ってもらった地球人である私が勝手にそう言っているだけで、

 

太平風土記の古文書にその存在がかろうじて示唆されている程度しか現生人類の歴史に介入してこなかった“オメガ”が果たして現生人類(キヴォトス人)と暮らし、現生人類(キヴォトス人)のために戦い、現生人類(キヴォトス人)の幸せを享受しても良いのだろうか――――――。

 

初めて出会った時から“大木田 ソラト”という「ソラ」から落ちてきた記憶喪失の宇宙人は超人的な能力が明らかになる前から自称:怪獣研究家に相応の観察力に優れ、世事に疎いようで物事の本質を見抜く以上に、普段の楽天的とも言える性格が非常事態における冷静沈着さを際立たせてもいた。

 

事実、普段の態度からは想像がつかないぐらいに肝が据わっており、キヴォトスでも指折りの実力を持つ生徒たちからも戦士の風格があると評されているからには、記憶喪失になる前の“オメガ”は歴戦の兵であることがわかっていた。

 

だからこそ、様々な種族の住人たちが暮らしている学園都市:キヴォトスにおいて同じく異邦人である地球人の私にも故郷や家族が存在しているように、“オメガ”にもまた本来のやりたいこととやるべきことがあってこの惑星(キヴォトス)のことをずっと見つめていたことを理解しなければならない――――――。

 

そう、いつかはウルトラマンオメガも故郷に帰らないといけない日が来る。記憶を取り戻して本来の任務に戻る日がいつか来るはず。

 

あるいは、もっと人間らしい文明の社会人ということで、突如として身内の不幸があったり、予定通りに任務期間が終わったりとかで任地を離れる時がいつか来るかもしれない。

 

それぐらいの想像力を宇宙人に対して働かせないと、私たちはどこまでウルトラマンの存在に甘えてしまう。それが当たり前となってしまう。恩義を忘れてしまう。

 

だからこそ、ひとりの社会人として“オメガ”の労働者としての権利を尊重しないわけにはいかなかった。年中無休で無償で守られ続ける歪さもまた不信感に繋がるのだから、人というのはどこまでも自分に都合が良いように物事を見てしまうものだ。

 

 

――――――そして、その“さようなら”を言わなくちゃならない『いつか』とは今日のことであった!

 

 

 

マ・ドゥーク・オメガ(オメガ抹殺)

 

 

 

 

やあ、ひさしぶりだね。元気そうで何よりだ。

 

きみの活躍はずっと見てたよ、()()()()()()()()()

 

なぜきみがオメガだと知ってるかって?

 

私もこの星の人間ではないからだよ。きみが一緒にいる地球人たちが言うところの宇宙人というやつだ。

 

挨拶がまだだったね。私の名はアーデル。

 

私は 全部 知ってるんだよ。きみが“大木田 ソラト”を名乗り、何をしているかも。

 

そこで今回のことを思いついたというわけだ。

 

きみに伝えたいことがあってね、招待させてもらった。

 

ウルトラマンオメガ、私の話に興味があるなら手掛かりを辿ってくるといい。

 

 

 

アユム先生「やっぱり、自分の記憶を取り戻す選択をしたか、ソラトさん……」

 

アユム先生「そりゃあ、そうだよね。自分自身のことだし、ずっと気になることだったから……」

 

アユム先生「そして、向かう場所は公式の記録においては第3の怪獣:ペグノスが現れた場所――――――

 

アユム先生「今となっては懐かしいなぁ。電車に乗って2時間、そこから更に徒歩で…何時間かの山奥――――――、そこで私たちと同じ姿をした記憶喪失の宇宙人が裸の状態で目覚めた」

 

アユム先生「そこから紆余曲折を経て、コウセイくんが住み込みでバイトしている【太陽倉庫】に流れ着いたわけで、」

 

アユム先生「おそらく記憶喪失になって初めて対話したコウセイくんにオメガと共に戦うお供の怪獣:メテオカイジュウを操る能力があるだなんて――――――」

 

アユム先生「肉体が滅んで異形の怪物と化した並行世界の私自身(イシドウ・アユム)から大事なものを託されてきたのと同じぐらいスゴイことだよね」

 

アユム先生「私もひとりの地球人(異星人)としてこの惑星(キヴォトス)を見つめてきた」

 

アユム先生「ホント、運命ってよくできているよね」

 

アユム先生「だからさ、言うけどさ?」

 

 

アユム先生「私にはね、ゲネスとキヴォトスの運命はイシドウ・アユムと石堂 アユムの運命と重なっているように思えてならないんだ」

 

 

アユム先生「つまり、世界を救えなかったイシドウ・アユム(並行世界の私)の存在があって石堂 アユム()の未来が切り拓けたように、ゲネスの悲劇があってキヴォトスが巡り巡って救われる――――――」

 

アユム先生「そういう未来がやってくるんだって思わないと、自分たちの能力を過信して 対話の道を閉ざして 滅びの道を突き進んだ侵略宇宙人に成り下がったとは言え、あまりにも誰も報われないじゃない……」

 

アユム先生「私はそう思うんだ」

 

アユム先生「ねえ、アーデル」

 

 

 

ヴェス・ナギル・エグラータ(滅びよ、宇宙観測隊)

 

 

 

 

私の生まれた星は高度な文明を誇っていてね。

 

だが、“目覚めの刻”が訪れ、“怪獣(KAIJU)”たちが出現するようになってしまった。

 

その正確な意味は誰にもわからない。

 

人間と怪獣、どちらが星を治めるのにふさわしい存在か――――――、生存競争が始まる時ではないかと私は考えている。

 

“目覚めの刻”は生命がいる星々に 数千年に一度 訪れ、この惑星(キヴォトス)にも過去に一度あったようだ。もっとも、今回より規模は小さかったようだがね。

 

我々は戦い、怪獣を滅ぼす道を選んだ。

 

そのために、脳波で怪獣を操れる生体兵器(ゾヴァラス)も創った。私はその開発者だった。

 

こちらがより強力な兵器を造れば造るほど怪獣たちも強くなっていった。

 

戦いは激しさを増し、結果、私たちの星は人も怪獣も住めない不毛の地となってしまった。

 

そして、わずかに生き残った私たちは新たな故郷を探すための旅へと出た。長い旅に耐えられるよう、肉体をエネルギーに変換してね。

 

長い長い年月、私たちは宇宙を彷徨い続けた。

 

 

その中で知ったのだ、宇宙観測隊(ナギル・エグラータ)の存在を。

 

 

その名の通り、多くの星々を見守り、観測する存在だ。

 

彼らは高度に文明が発達した星を見守る。文明の発生から滅亡までのあらゆる記録を取り、それを元に 未来永劫続く 完全なる平和を築こうとしている。

 

純粋な記録を取るために対象となる星に侵略者や宇宙怪獣が侵入するのを防ぐ。怪獣のことを観測し、調べるのもその任務らしい。

 

 

だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 

星の上でどんな争いが起きようと――――――、

 

どれだけ命が失われようと――――――、

 

それを救おうとはしない。強大な力を持っていながら、()()()()()()()()

 

私たちの星でも怪獣との戦いを監視しているような存在が何度か確認されている。

 

旅の果てに、私たちの生存に適した“ある星”を発見した。

 

人類は存在していたが、科学力は私たちと比べ 相当 遅れている。

 

 

そして、“目覚めの刻”が近いこともわかった。

 

 

仲間たちは怪獣出現の混乱に乗じ、容易く侵略できると判断した。その星、またの名を学園都市:キヴォトスを。

 

私は反対した。だが、彼らは止まらなかった――――――。

 

下等な現生人類(キヴォトス人)を滅ぼし、怪獣も滅ぼし、ゲネスを復活させるのだと!

 

 

だが、この星にも居たのだ、()()()()()()が。

 

 

彼は この惑星(キヴォトス)に近づかないよう 警告してきた。

 

だが、仲間たちは無視した。

 

結果――――――。

 

私は崩壊する要塞からひとり脱出し、惑星に降り立った。

 

 

そこで出会ったのだ、()()()()()()()()()()()()と。

 

 

そして、彼を助けてしまった……。

 

なぜ助けたか、疑問に思うだろうね。

 

もう戦いを止めてしまいたかったのだよ……。

 

彼がこの惑星(キヴォトス)で静かに暮らすというのなら、そっとしてやろうと……。

 

だが、そうはならなかった……!

 

彼は現生人類(キヴォトス人)のために怪獣と戦い、“ウルトラマンオメガ”と呼ばれるようになっていった……!

 

私の中で疑問が湧き起こっていった。

 

 

なぜ宇宙観測隊(ナギル・エグラータ)が――――――?

 

なぜ現生人類(キヴォトス人)のために――――――?

 

我らの星:ゲネスは見捨てられたというのに!?

 

なぜこの惑星(キヴォトス)は守られ、我らの母星(ゲネス)は滅びたのか?

 

 

私は見つめ続けた。きみが現生人類(キヴォトス人)を守る姿を。ゾヴァラスを倒す姿も。

 

その間に私の身体もみるみる弱っていった。長い旅の果てに限界が訪れていたのだ。

 

弱りゆく身体をどうにもできないまま、私は考えを改めた。

 

 

ゲネス人が誰にも救われず、自分たちで道を選び、滅んだ。

 

現生人類(キヴォトス人)も“そうあるべき”ではないのか?

 

観測隊員(ナギル・エグラータ)は星の運命に干渉せず、()()()()()()()()()()()に戻るべきなのではないのか?

 

 

オメガ、私は命尽きる前に、きみに全てを伝えることにした。

 

本当は 直接 伝えたかったのだが、残念ながら、それは叶わないようだ。

 

今はただ私の話を聞き、きみが記憶を取り戻すことを切に願う。

 

 

――――――宇宙観測隊員(ナギル・エグラータ)として“正しい選択”をすることを。

 

 

――――――現生人類(キヴォトス人)が己の意思で道を選択することを。

 

 

 

 

 

甲虫怪獣:タガヌラー 撃破!

 

 

 

大木田 ソラト「うぁ……」バタッ

 

大木田 ソラト「」

 

星見 コウセイ「ああ、ソラトぉおおおおお!」

 

星見 コウセイ「せ、セイア! 聞こえるか、セイア!」

 

星見 コウセイ「罠だったんだ! あれはゾヴァラスの怪獣を操る脳波を利用して怪獣を誘き出すゲネス人の装置で、それで山中で怪獣と戦うことになって――――――!」

 

星見 コウセイ「ああ! ライトビートルだと着陸できない場所にいるから、早く救助に来てくれ!」

 

星見 コウセイ「ソラト! ソラトッ! ソラトぉ!」

 

星見 コウセイ「ソラト……」

 

星見 コウセイ「お、俺、みんなにどう説明したら――――――?」

 

 

――――――ソラトはいなくなっちゃうのかな?

 

 

ゲネス人の最後の生き残り:アーデルの必死の訴えも空しく、ホログラムが遺されたカプセルは過去の自分と現在の自分の間でアイデンティティが大きく揺さぶられる中、迷いを振り切ったオメガの必死の思いによって破壊されてしまい、甲虫怪獣:タガヌラーもヴァルジェネスハルバードの一撃によって撃破された。

 

こうしてこの惑星(キヴォトス)におけるウルトラマンオメガの戦いの銃爪となったオメガとゲネス人の因縁は断たれることになったのだが――――――、

 

しかし、この一件がきっかけとなって大木田 ソラトは本来の自分である宇宙観測隊のオメガ(ナギル・エグラータ)としての記憶や自我が完全に甦り、遂には“ウルトラマン”として地球を守ることを完全に放棄してしまうこととなる。

 

それ自体は“シャーレの先生”であり“SKIPのおねえさん”でもあり“怪特隊の母”である地球人:石堂 アユムが想定していたことであり、

 

ウルトラマンオメガと互角以上の戦闘能力を持つ生体兵器:ゾヴァラスを生み出した ゲネス人 最後の生き残りであったアーデルからの遺産を事前に継承することに成功したことから、別れの日が訪れることを誰よりも覚悟していた。

 

いや、無理矢理にでも納得させるものがあるとすれば、宇宙観測隊(ナギル・エグラータ)は観測対象である星の上で起きた戦争や災害には絶対に介入しないものの、侵略宇宙人や宇宙怪獣の侵入には対応してくれるというわけなので、宇宙からの脅威に対しては防衛力として信頼ができる――――――。

 

だが、アユム先生が危惧していた通り、現生人類(キヴォトス人)には“目覚めの刻”に備えるだけの時間が残されていなかったのである。

 

それ故に、ゲネス人:アーデルの生み出したものが遠因となって生まれ落ちた新たな怪獣が未曾有の危機を世界に齎すこととなり、

 

甚だ不本意ではあるのだが、アーデルもまた学園都市:キヴォトスの命運に甚大な影響を与えた存在となってしまうのであった。

 

 

――――――本当はそんな未来は誰も望んでいなかったはずなのに!

 

 

 

 

 

ジャキ!

 

あなたが「ソラ」から落ちてきた宇宙人:オメガに服を与えてくれた“親切な人”ですね。

 

そうです。噂はかねがね、“シャーレの先生”。

 

記憶喪失になったオメガ;裸の状態でこんな山の奥で目覚めた彼を見つけ出して、それで【ヴァルキューレ】に預けることなく一旦は匿い、銃犯罪が日常茶飯事と化している学園都市:キヴォトスに放り込んだわけですからね。

 

その結果、怪獣災害の専門家である地球人の私がキヴォトスで迎えたK-DAYに対抗するためにあの宇宙人に“ウルトラマンオメガ”の名前を与えてヒーローとして持て囃すことになりました。

 

そうすることで、今までどこで息を潜めていたのか、オメガ抹殺のために侵略宇宙人の生体兵器:ゾヴァラスが現れることになり、

 

記憶喪失だったオメガの記憶が戻りかけたことで、この場所にも意味が生まれると思って、監視の目を張り巡らせておいて正解でした。

 

――――――『犯人は現場に戻る』ってね。

 

いやはや、あなたは大変優秀な方だ。さすがは“キヴォトスを救った英雄”だ。

 

あなたならきっと“目覚めの刻”に対する解答を導き出せるかもしれないね。

 

知っていることを話してもらえませんか。助け合いの精神を知らない、血も涙もない、心のない侵略宇宙人なら、即刻排除します。

 

協力に応じないのならパスポートを提示してください。なければ、【キヴォトス連邦】の法の下において不法入国罪です。それぐらいの国際常識はどんな文明にもあると信じたいものですが。

 

いいでしょう。お話しましょう、アユム先生。

 

実は、ちょうどよく 記憶喪失のオメガに向けたメッセージを収録したところなので、まずはそれを見てもらえれば理解が早いです。

 

その上で、現生人類(キヴォトス人)に正しい選択をするように導いてやってください。

 

わかりました。

 

そうでした。でしたら、あなたの名前を聞かせてください。

 

そして、“友達”になってくれませんか。私、ウルトラマンオメガとも“友達”なんです。

 

おっと、これは失礼。名乗るのを忘れていたね。

 

 

――――――私の名前はアーデル。お察しの通り、ゾヴァラスを差し向けた ゲネス人 最後の生き残りだ。

 

 

 

 

 

そうでしたか。それが“目覚めの刻”の真相であり、オメガの正体は宇宙観測隊員(ナギル・エグラータ)……。

 

先生、私の命は残りもうわずか――――――。

 

アーデル……。

 

そんなこと言わないで。私たち、“友達”になったばかりなんだから、そんな気弱なことを言わないで、もっと――――――。

 

いいんだ。私が開発した生体兵器:ゾヴァラスのおかげでいくらか延命してこれたが、長い旅の果てにこの惑星(キヴォトス)に辿り着いて新天地を喜んだのも束の間、そこには元から宇宙観測隊員が居た上に“目覚めの刻”まで迎えようとしていた――――――。

 

そして、ゲネス復活の最後の希望であったゾヴァラスがゲネス人が下等生物と見下した現生人類(キヴォトス人)の作戦によって追い詰められ、本来の力を取り戻したオメガに敗北した時点で我々ゲネスの命運は完全に尽きていた――――――。

 

 

本当は、私もアユム先生に協力して“目覚めの刻”を乗り越えて、ようやく見つけることができたこの惑星(キヴォトス)の新天地で仲間として受け入れられて暮らしていきたかった……。

 

 

だが、ゲネス人 最後の生き残りだった私にはただただ時間がなかった。時間だけじゃない。想いを託す相手も、何も残されていなかった。

 

いや、ちがうか。アユム先生、愚かにも私は孤独だった。孤独を選んでしまった。

 

そう、記憶喪失になった宇宙観測隊員に最低限のものを渡して学園都市:キヴォトスに放してやった後、彼は 多くの幸運に恵まれて 実にたくさんの人たちと絆を結ぶことになった。

 

一方、私は宇宙観測隊員の禁忌を犯してウルトラマンオメガと呼ばれるようになった彼に対してひとり憎悪を募らせ、同胞たちの無念を晴らすべく ゾヴァラスを地上に呼び寄せて復讐の機会を窺い、現生人類(キヴォトス人)と繋がりを一切持とうとはしてこなかった。

 

………………。

 

皮肉なものだ。全ての希望が断たれた後、最期に何かを遺そうと動いた時に、こうして“友達”になってくれる人とめぐりあうことになるのだからな……。

 

もう喋らないで! 安静にして! ね! すぐに病院に連れて行ってあげるから!

 

先生! アユム先生!

 

何? どうしたの、アーデル?

 

私の――――――、いや、我々ゲネス人がやってきたことは間違いだったのか?

 

ううん。あなたたちは自分たちの未来を切り拓こうとしてきただけ。

 

こうしてあなたが遺そうとしてくれた警告が、今を生きる人々の胸に深く刻まれることになる。

 

 

私たちがそれを忘れない限り、きっと未来は変えられる! いや、変えてみせる! 奇跡なんて何度だって起こしてみせる!

 

 

先生、私は人生の最期に新たな未来を切り拓く英雄の姿を見た。

 

オメガの力に頼り切りになることなく、人々の想いを束ねて災害の化身である“怪獣(KAIJU)”と敢然と戦う姿と覚悟に、私は在りし日のゲネスを思い出すことができた。

 

あなたなら きっと やれる。あなたなら人々を導くことができる――――――。

 

なぜなら、あなたにはこの宇宙で誰よりも深い愛情と勇気がある。ゾヴァラスを使ってこの惑星(キヴォトス)を侵略しようとした凶悪な宇宙人を相手に“友達”になろうとしてくれたのだから。

 

だから、ありがとう。この惑星(キヴォトス)で最初で最後の“友達(とも)”よ。先生に最期に出会えてよかった。

 

なら、最期にこうしてみて。ハンドサイン。 ――――――親指・人差し指・中指のみを立てて手首を回す。

 

おや、何かな?

 

これ、シャンピーム系銀河からやってきた茸狩宇宙人:クロコ星人のハンドサインで、いろんな意味があるんだけど、『ありがとう』のハンドサイン。

 

……なるほど、道理で私のようなゲネス人のことも受け入れてくれたわけだ。それなら、もっと早くに出会いたかったな。

 

ちがうよ。こんなことになったのは残念なことではあるけれど、誰にも看取られないよりはずっとマシだよね。

 

だから、ありがとう、アーデル。ソラトさんだったら、きっとアーデルのことも“優しい”って言ってくれるはずだよ。

 

だって、記憶喪失になった宇宙観測隊員のことなんて完全に放っておいてもよかったじゃない。それは“優しい”から。

 

……そうか。そうだといいなぁ。我々ゲネス人は本当に大切なことを忘れてしまっていたのだなぁ。

 

………………。

 

…………。

 

……。

 

アーデル?

 

アーデル!

 

あ……。

 

 

――――――ゲネス人最後の生き残り:アーデルは 肉体が崩壊し エネルギー体となって霧散した。

 

 

 

 

アーデルの証言によって、この惑星(キヴォトス)を宇宙からずっと見つめてきた宇宙観測隊員のオメガ(ナギル・エグラータ)のこれまでの在り方がわかった。

 

“オメガ”は普段は月を防衛ラインにして外敵の侵入を防ぎ続けていたわけであり、

 

怪獣たちの“目覚めの刻”を迎える直前、遥か遠くの宇宙から新天地を求めてこの惑星(キヴォトス)の侵略を決意したゲネス人を警告が聞き入れられなかった後に要塞ごと殲滅したところ、

 

アーデルが開発した生体兵器:ゾヴァラスと交戦することになり、最終防衛ラインである月面での決戦に挑むことになったものの、怪獣を操る洗脳波動によってお供のメテオカイジュウ:ヴァルジェネスを奪われたことで敗北。

 

そのままこの惑星(キヴォトス)の引力に引かれて大気圏に突入し、「ソラ」から落ちてきた宇宙人となって記憶喪失の青年“大木田 ソラト”となり、

 

そのまま“目覚めの刻”を迎えて現代に続々と復活を果たす怪獣たちを撃破していくという、宇宙観測隊員にとって最大の禁忌を犯すことになったのだ――――――。

 

 

なので、『これ以上 観測対象の星の上での怪獣退治には協力できない』という事情には良識ある社会人として理解を示さなければならず、

 

むしろ、“目覚めの刻”が来る以前から外敵の侵入を人知れず防いでいてくれたことに感謝の意を示すのが筋であると、

 

“キヴォトスを救った英雄”としては悪趣味かもしれないが、もし“目覚めの刻”によって人類が怪獣に敗北して世界最後の日を迎える時――――――、

 

せめて今日まで人類を生き永らえさせてくれた恩人に対し、月からでも見えるメッセージを発信しようと考えていた。

 

そうすることで、きっと“オメガ”の記憶の中にこの惑星(キヴォトス)で懸命に生きたみんなの記録が生き続けるという、あまりにも消極的でも 最後まで戦い抜く微かな勇気を与えてくれる 最後の希望が芽生えるのだ。

 

 

正直に言って、あの“連邦生徒会長”ですら匙を投げた学園都市:キヴォトスの未来――――――、

 

いよいよ迎えた“目覚めの刻”でどのように学園都市:キヴォトスが滅びてしまうのかを想像した時、実にキヴォトス人らしい自滅の仕方をするのではないかと、思わずフフッと笑ってしまう自分がいた。

 

わかるよ。人類の叡智が創り出した兵器が通用しなくなったのなら――――――、

 

古来から人は野生動物を家畜にすることで自分たちの手足にして、人生の友にして、文明の成長の手段にしてきたのだから、そうした文明の成り立ちの原点に立ち返って()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のは手に取るようにわかる。

 

今、ちょうど『【怪特隊】に集められている怪獣の細胞片が大量に盗まれた』という報告が来たから、これはもう そういうフラグにしか見えないよね。

 

みんな、必死だね。そうだよ、必死だよ。

 

ならば、やれるだけのことはしておかないと、大人として示しがつかない。

 

まあ、こんなこともあろうかと細工はしてあるんだけどね……。

 

 

――――――だから、忘れないよ、ソラトさん。大木田 ソラト。大切な私の友達。

 

 

 

 

ねえ、ソラトさんのこと、貸して。

 

 

 

あれ、ここって、アユ姉――――――?

 

そう、ドグリドが初めて現れた場所。

 

コウセイくんから聞いたよ。立入禁止になっていたのを、超人的な身体能力であの橋を飛び越えて山の中に入っていったんだってね。

 

私にもやって欲しいな。それが御馳走してあげる条件の1つ。

 

 

そうそう、この座標。見覚えがある場所に来たよ。

 

ああ! 憶えているぞ、アユ姉! ここで俺とコウセイはアユ姉と会ったんだよな!

 

そう、ここで私たちは初めて出会った――――――。

 

 

あ、ここ! ここ、ここ! ここが記憶喪失の青年が“大木田 ソラト”になった場所だよ。

 

ああ! 懐かしいな! ここでこんなふうに座ってアユ姉からわけてもらった野菜スティックを齧ったんだっけな!

 

あの時、ソラトさん、普通に“オメガ”って言ってましたよね。

 

え?

 

あ、そうだった。俺の名前を訊かれたから、コウセイがその場で“大木田 ソラト”って名付けてくれたんだよな。

 

もう、すっかり「ソラ」から落ちてきた宇宙人:オメガは“大木田 ソラト”だね。

 

ああ。俺も気に入っているんだ、今の自分のこと。

 

 

ドグリドの巣、山を下って川辺、それからダム湖――――――。

 

まだ一年も経っていないはずなのに、季節の移り変わりもあって、遠い昔のように思えちゃう。

 

見て見て、ソラトさん! ソラトさんとコウセイくんのツーショット!

 

おお! たしか、戦った後に腹が減ってコウセイの肩を貸してもらっていたんだよな! だから、この辺でこう――――――!

 

………………。

 

……アユ姉?

 

ソラトさん。

 

ああ、何だ、アユ姉?

 

私のことを――――――、

 

………………。

 

………………。

 

 

コウセイくんと同じようにツーショット写真をお願いしてもいいかな?

 

 

ああ、いいぞ。俺たち、“友達”だもんな。

 

ありがとう、ソラトさん。

 

………………。

 

 

うん。ちゃんとバッチリ撮れたね。

 

大切にするから。

 

じゃあ、これで思い出巡りはおしまい。

 

アユ姉。

 

何?

 

もっと“友達”を頼れ。俺にできることをしてあげたいんだ。

 

ソラトさん……。

 

本当に? もしかしたら物凄い無理難題をお願いしちゃうかも、だよ?

 

最近のアユ姉、エルドギメラが現れた時のコウセイのように()()()()()ように思えたから。

 

そ、そうかな? そう見える?

 

アユ姉、本当はずっと不安でいっぱいなのか?

 

………………。

 

……アユ姉。

 

最後に1つだけ、ソラトさん。

 

この広い宇宙でこの惑星(キヴォトス)で巡り会えた 「ソラ」から振ってきた(その上、裸になった) 同じ宇宙人の“友達”として 前々からやって欲しいと思っていたことがあったの。

 

 

――――――私たちが守ってきた 愛すべきこの惑星(キヴォトス)を 空から眺めさせて。

 

 

 

オメガスラッガーにオメガメテオをセット!

 

 

 

シュワーッ!

 

 

 






観測は 物事をよく見て 調べること。

コウセイは はじめから“優しい”だった。

俺といっしょに怪獣と向き合うようになって、

誰かに認められたいって思ったこともあったけど、

それでも やっぱり 優しくて、

怪特隊に入ってがんばって――――――、


――――――ちがう。


()()()()()()()()()()()()()()()()()

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