Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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第23話 宇宙観測隊(ナギル・エグラータ) ~Unreasonable school~

 

お便り 届いてます。ラジオネーム:地道に頑張るマンさん。

 

 

こんにちは。

 

怪獣のせいでうちの会社も大ピンチです。

 

でも、僕は【怪特隊】を、そして ウルトラマンを信じて これまで通り 仕事に励みます。

 

日々 一生懸命に生きることが彼らへの恩返しになることを願っています。

 

 

 

がんばれえええええええ!

 

ウルトラマーーーーン!

 

がんばれえええええええ!

 

みんなあああああああああ!

 

 

番組の途中ですが、ここで速報です。

 

山間部に再び現れたガイリュウガの前にウルトラマンが出現。

 

戦闘を行うも、その後 ガイリュウガをわざと逃がすような動きを見せたとの情報が入ってきました。

 

 

大木田 ソラト’「それは私がすることではない」

 

大木田 ソラト’「それは私がすることではない」

 

大木田 ソラト’「――――――思い出せ」

 

大木田 ソラト「うわああああああああああああああああああああああああ!」

 

 

光波怪獣:ガイリュウガ 逃走!

 

 

ウルトラマンオメガ 失踪!

 

 

星見 コウセイ「ソラト?」

 

太平 ナダカ「どうしたんだ?」

 

アユム先生「……今までありがとう、私のウルトラマン」

 

 

ガイリュウガの行方は 現在のところ 不明。

 

このウルトラマンの行動に関し、【怪特隊】は見解を発表しておらず――――――。

 

 

星見 コウセイ「どうしたんだ、ソラト!?」

 

黒服「コウセイ氏! オメガに何が――――――?!」

 

百合園 セイア「いや、ソラトに何があったのか、コウセイにはわかっているんだろう?」

 

星見 コウセイ「それは……」

 

 

――――――ソラトは、()()()()()()()()と思います。

 

 

緊急ニュースです!

 

【ロストパラダイスリゾート】に怪獣が出現ですって!

 

しかも、今までよりももっととんでもない怪獣らしいですよ!

 

 

 

――――――時は来たれり!

 

 

――――――学園都市:キヴォトスの最終決戦!

 

 

――――――宇宙を揺るがすクライマックス!

 

 

 

――――――――――――

 

―――――――――

 

――――――

 

―――

 

 

ついに大木田 ソラト/ウルトラマンオメガは自分が何者なのかを全て思い出してしまった。

 

オメガの正体、それは“宇宙観測隊(ナギル・エグラータ)”であり、その名の通り、高度な文明が発達した多くの星々を見守り観測する存在とされる。

 

その目的は文明の発生から滅亡までのあらゆる記録を取り、それを元に未来永劫続く完全なる平和を築こうというもの。

 

しかし、宇宙観測隊が力を行使するのは侵略者や宇宙怪獣がその星に現れた時のみであり、基本的にただ“見守る”だけで“救う”ことは使命ではなく、『その星の上で起こったいかなる争いにも干渉してはならない』という決まりがあるのだ。

 

それは人類同士の争いだけではなく、土着の怪獣同士の争いや怪獣と文明との衝突にすら干渉が禁じられており、そのために宇宙に存在する数多の星々が“目覚めの刻”を迎えて滅んでいくのを救おうとはせずに、ただ文字通りに観測し続けているだけだと言う。

 

その真実を告げたのが「ソラ」から落ちてきて記憶喪失の宇宙人に服を用意してくれた“親切な人”の正体であるゲネス人最後の生き残り:アーデルであり、彼こそがオメガの記憶喪失の原因となった ゲネス復活の希望にして 現生人類抹殺のために送り込まれた生体兵器:ゾヴァラスの開発者であったのだ。

 

しかし、それは怪獣たちの“目覚めの刻”で自分たちの故郷:ゲネス星を自分たちの兵器で破壊し尽くした末に 長い旅を経てようやく見つけた新天地を我が物にするために 現生人類や復活を始める怪獣たちとまた戦おうとする同胞たちとはちがう道を歩もうとした苦渋の決断でもあった。

 

なぜなら、ゲネス星でも遠くから怪獣との戦いをずっと観測していた存在:宇宙観測隊(ナギル・エグラータ)が新天地と定めたこの惑星(キヴォトス)にも存在しており、その警告を無視したことで観測対象の惑星の文明を滅ぼす外敵と認定され、その圧倒的な戦闘能力によって単身でゲネス人の方舟は沈んでしまったのだ――――――。

 

高度な文明を誇っていたゲネス人は“目覚めの刻”で現れた怪獣たちから自分たちの母星を守りきれず、その果てに宇宙観測隊(ナギル・エグラータ)に歯向かったことで新天地を目前にして完全に滅ぼされてしまった――――――。

 

もはや、ただひとり生き残って残り少ない命の虚しい余生ということもあり、記憶喪失になって何も知らずに平穏に暮らしていくのなら、目の前にいる宇宙観測隊員によって同胞の全てを滅ぼされた恨みも忘れよう――――――。

 

ところが、そんな最後のゲネス人:アーデルの願いどころか宇宙観測隊の使命にも反し、“大木田 ソラト”“ウルトラマンオメガ”として観測対象の星で怪獣達を撃退していく禁忌を犯していくようになったのだ。

 

だからこそ、『なぜ宇宙観測隊員(ナギル・エグラータ)が本来不干渉であるべき観測対象の星で人類を守っているのか?』『ゲネスは見捨てられたというのに!』という疑問と怒りが湧き上がり、一度は月面でオメガを破った殲滅創世体:ゾヴァラスを刺客として送り込んだのである。

 

しかし、自身が開発した ゲネス復活の希望である 生体兵器:ゾヴァラスですら現生人類と力を合わせたウルトラマンオメガの前に敗れ去ることになり、完全に希望は閉ざされた。残されたものは自分の命だけだが、それさえも残された時間は残りわずかである。

 

そのため、終活に入ったアーデルは考えを改め、ゾヴァラスの脳波と同じ機構を用いたカプセル型端末を使って都市部に最初に水棲毒獣:ドグリドを出現させてソラトとコウセイを誘き出した後、

 

そこから各地に残した端末を辿らせることでオメガの出自を明らかにする証言と記憶復活の喚起、更に宇宙観測隊員としての立場から『現生人類を守る』ことの是非を問うメッセージをホログラムとして残し、最後に端末を用いた罠として甲虫怪獣:タガヌラーを出現させて襲わせたのである。

 

もちろん、この惑星(キヴォトス)にとって侵略者となった自分たちゲネス人に非があることは認めてはいるが、自分たちをただ観測するだけして救おうとはせずに 最後は自分たちのことを容赦なく滅ぼした 宇宙観測隊員(ナギル・エグラータ)にそんなことをわざわざ教えてやる義理はないだろうし、ゾヴァラスが倒された時点でオメガを倒せるだなんてことは微塵も考えていない。

 

けれども、アーデルもまた“優しい”からこそ最初に記憶喪失の宇宙人に手を差し伸べた“親切な人”となり、宇宙観測隊員としての本来の在り方に戻れるように遺言状を残していったのである。それは自分たちゲネス人を滅ぼされた恨みからの呪詛のようでいて道理を説いたものであるからこそ、与太話だと切り捨てることができなかった。

 

結果、目論見通りにオメガは本当の自分を思い出し、この惑星の現生人類たちとのふれあいの中で築き上げられた“大木田 ソラト”“ウルトラマンオメガ”としてのアイデンティティが完全に揺らぐこととなった――――――。

 

 

その後、精神が不安定なまま大木田 ソラトはすぐに光波怪獣:ガイリュウガが原因の謎の発光現象の調査に【怪特隊】として出動することになるのだが、

 

現地に出現したガイリュウガを前にいざ変身しようとした時、本来の自分“宇宙観測隊員のオメガ”と現在の自分“大木田 ソラト/ウルトラマンオメガ”の精神がせめぎ合い、ゾヴァラスの時と同じように錯乱して完全に調子を崩してしまったのである。

 

光波怪獣:ガイリュウガもまた強敵であり、俊足と怪力が自慢のメテオカイジュウ:トライガロンでさえも圧倒する強さに加えて、山一つ消し飛ばす光波ビームの威力には戦慄する他なかった。

 

しかし、地上に顔を出してみたら目の前に現れた脅威であるトライガロンを倒したことで満足したのか、あるいは本当は大した用もなかったのか、変身する前に失神したオメガの存在に気づかないまま、そのまま地中に潜って姿を消したのである。

 

 

――――――まさに命拾いしたわけであった。

 

 

それから後日、現場で倒れた怪獣博士:大木田 ソラトの不調は治らず、【怪特隊 特務班】の拠点である【太陽倉庫】に残して、【怪特隊 特務班】は【NDF】と協働してガイリュウガ撃破作戦を決行。

 

すでに光波怪獣:ガイリュウガが現場の土壌に多く含まれている隕石由来の高エネルギー物質:カエン102を主食とし、胸元に鋭い牙で覆われたような貯蔵器官があり、そこから抽出されたエネルギーで山一つ消し飛ばす威力の光波ビームの原理を分析できたことで【怪特隊】による解析がほぼ完了していたのもあった。

 

年末年始前に現れた昨年最後の怪獣:ガボラと同じくカエン102を求めて地中を動き回っていたガイリュウガを討伐する理由は極めて単純である。

 

同じエネルギーで刺激すると連鎖的に内部暴走を引き起こすカエン102をそのまま貯め込む貯蔵器官があるせいで、コーラを飲んだらゲップが出るっていうぐらい確実にガイリュウガが日常的に山一つ消し飛ばす光波ビームをぶっ放す害獣だからだ。

 

そのため、ガイリュウガを倒す方法は胃や食道に溜まった空気が口から排出される()()()()()()()であるゲップができないようにしてしまえばいい。

 

つまり、ガイリュウガの強さの源であるカエン102貯蔵器官への直接攻撃に他ならず、それによって体内のカエン102を爆発させて倒すという算段である。

 

しかし、山一つ消し飛ばす威力の光波ビームをぶっ放すのに耐える頑強さから通常兵器では傷一つつけることも叶わないと思われていたのだが、

 

そこでまさかの【万魔殿】からの技術供与で急ピッチで開発されたのがカエン102のエネルギーを利用した高出力レーザー砲であり、広い意味での【“雷帝”の遺産】の利用であり、ガイリュウガの光波ビームと同じ原理のものが準備できたのである。

 

しかし、いつもならば キヴォトス征服の野心を隠さない 自己顕示欲の塊である【万魔殿】議長:羽沼 マコトだったのだが、この時ばかりは【NDF】に技術供与した功績をこれでもかと喧伝してくるのかと誰もが身構えていた一方、

 

【“雷帝”の遺産】に数えられる今回の“カエン102の軍事利用”に対し、【アビドス】に隠されていた<列車砲:シェマタ>を総力を上げて完全に破壊し尽くした時と同じく、神妙な面持ちで現場に入っており、いつもの騒がしさが失われていたのだ。

 

同じ場に立つ【ティーパーティー】元ホストにして【怪特隊】代表を務める百合園 セイアもまた、今まで学園都市:キヴォトスの歴史には存在しなかった怪獣を倒すために、同じように学園都市:キヴォトスには存在してこなかった怪獣と同じ攻撃を繰り出す強力な兵器があっという間に完成した流れに思うところがあった。

 

それは時空漂流獣:クロノケロスの親子を助けるために時空を越えた怪獣博士:大木田 ソラトと怪獣使い:星見 コウセイが実際に見てきた破滅の未来のことであり、そこにはクロノケロスの親子を襲った謎の空中艦隊と、この惑星の技術の延長線にあると分析できる 怪獣生物学の知識を存分に活用した 怪獣への殺意に満ちた 未来の対怪獣兵器が存在していて――――――。

 

そのことを思えば、明日を掴み取るために絶対に避けては通れない 怪獣退治のためとは言え、隕石由来の高エネルギー物質:カエン102の軍事利用に成功してしまった今日という日があのような破滅の未来に繋がる地獄の扉を開け放ったように思えて――――――。

 

いや、さすがにガイリュウガの光波ビームと原理が同じ兵器を人に対して撃つようなことになるとは信じたくはない。そこまで人は愚かではないと信じたいが、カエン102の産地や研究の面では【“雷帝”の遺産】として受け継いでいる【万魔殿】が圧倒的に有利になっており、実質的な【ゲヘナ学園】のカエン102の独占状態に各学園が平常心を保てるかどうか――――――。

 

だからこそ、羽沼 マコトと百合園 セイアが見つめる先にあるのは通称:ガイリュウガ砲の設置を見守りながら、ガイリュウガ撃破作戦のシミュレーションを何度も繰り返す“キヴォトスを救った英雄”石堂 アユムという一人の大人の姿であった。

 

そう、すでにカエン102の取り扱いに関する法規制に乗り出しており、今回の高出力レーザー砲:ガイリュウガ砲が悪用されることがないようにしながら、人々の幸せな生活やよりより未来のために積極的に平和利用される流れを生み出そうと奮闘していたのだ。

 

正直に言って、未来がどうなるかはまったくわからない。カエン102を利用した新しい技術がキヴォトスに与えられたことで、山一つが消し飛ぶようなものを軽々しく玩具扱いして乱用した末に全てが崩壊するようなことは、百合園 セイアは無論、羽沼 マコトでさえも望まないことだ。

 

ならばこそ、ここは“キヴォトスを救った英雄”の采配に委ねて、目の前に迫った脅威を退けることに全速前進となっていた。

 

 

――――――そして、その甲斐あってガイリュウガ撃破作戦は一度は成功したのである。

 

 

ミサイル攻撃でガイリュウガを地上に誘き出し、胸部の貯蔵器官を特定されて誘導され、怪獣使い:星見 コウセイもメテオカイジュウ:レキネスを呼び出して作戦を強力に支援するのだ。やはり、俊足と怪力が自慢のトライガロンが真っ向勝負で勝てない力自慢の怪獣には念動力による搦め手が強力なレキネスが強い。

 

ポイントに誘い出されたガイリュウガはレキネスの念動力によって身動きを封じられた隙に、胸部の貯蔵器官目掛けて発射された 自分の名前を冠した ガイリュウガ砲の直撃を受けて見事に爆散したのである。

 

まさしく、これは正真正銘の人類の勝利であり、メテオカイジュウ:レキネスの支援があったとは言え、ウルトラマンオメガの力を借りずに強力な怪獣を倒せたことの意味は非常に大きかった。

 

それだけに、現場はついに人類の手で怪獣を倒せたことで大興奮に包まれており、沈黙を貫いていた羽沼 マコトも百合園 セイアもホッと一息つくことができた。後方で状況を分析し続けている調月 リオや明星 ヒマリも同じはず。

 

しかし、ひとり冷静に“キヴォトスを救った英雄”石堂 アユムの表情は決して晴れることはなかった。

 

もちろん、“怪特隊の母”としてはウルトラマンの力を借りずに怪獣退治できた成長を喜ぶ一方、今回の戦果によってカエン102の有用性が知れ渡ったことで“シャーレの先生”としては学園都市:キヴォトスの新たな戦争の火種が生まれたことを憂慮していた。

 

それ以上に、怪獣調査の専門家“SKIPのおねえさん”としてはウラン怪獣:ガボラに続いて隕石由来の高エネルギー物質:カエン102を餌とする怪獣が現れたことに危機感を募らせていたのだった。

 

特に、光波怪獣:ガイリュウガはカエン102そのものを体内に貯蔵してゲップをするかのように山一つ消し飛ばす光波ビームを気軽に撃ちまくるのだから、怪獣たちの間でもカエン102の有用性が知られていると見て間違いない。

 

そして、怪獣調査の専門家として『怪獣がなぜ出現したのか?』という問いに対する答えを必ず用意しなければならないのだが、これまで確認されてきた怪獣の中でその答えを明確にすることができなかった怪獣がいたことを思い出していた。

 

そのため、これまで出現した怪獣の侵攻ルートとカエン102の分布の関連性をあらためて調べ上げる必要性を感じており、“カエン102の軍事利用”の制限の枠組みも早急に取りまとめておこうと考えた矢先であったのだ――――――。

 

 

――――――なにやら一気に周辺温度が下がったと思いきや、そこに現れたのは無重力怪獣:ペグノスであった!

 

 

最初の1体目となるペグノスが出現した時は季節外れの謎の寒波が到来したわけなのだが、そう言えば ここ数ヶ月で過去最高の寒波が突如として発生していたニュースがあったことをすっかり忘れていた。

 

そう、怪獣は地中から現れるだけじゃない。こうして空からも突如として現れるのだ。そのことを忘れてはならない。

 

まさかの新手の出現に現場は浮足立つことになり、ペグノス出現による急な温度変化に体調を崩す隊員が現れ、迎撃態勢が整わない。

 

そのままガイリュウガを倒した直後のレキネスと交戦することになり、連戦となって消耗しているレキネスをかつてウルトラマンオメガを圧倒した空中機動で追い詰めてしまう。

 

しかし、そこに差し込まれるのが【怪獣防災科学調査所 SKIP】の戦力である自立AI搭載型サポートロボット:ロッピー・ザ・ロボットと連携した25式小型特殊戦術機甲獣:アークガロン(ミニ・アースガロン)の援護射撃であり、

 

それが嚆矢となって超音波威嚇装置:ソニッターと23式電磁小銃:RAR-23を装備した歩兵部隊による追撃も始まり、こちらは最初に確認された人喰い怪獣:テリジラスを撃退できる性能を目指して改良が施されてきているため、

 

今となっては“怪特隊の母”としての面に注目されがちだが、元から学園の垣根を越えて様々な部活の生徒たちを指揮してきた“シャーレの先生”であり“SKIPのおねえさん”の面目躍如であった。

 

そう、地球では実戦経験こそないものの、石堂 アユムは【SKIP】の職員として超音波威嚇装置:ソニッターを手にして怪獣と戦う覚悟が元からできており、

 

キヴォトスにおいても生徒たちに自分の命を刈り取るような鉛玉をぶつけないために、護身武器にソニッターを再現して、そこから放たれる閃光や超音波を活用して難所を切り抜けてきているため、

 

元が対怪獣用装備ということもあって射程をはじめとする基本性能は通常火器を遥かに凌駕しており、怪獣退治の最前線で活躍していたお墨付きのある性能を誇るのだ。

 

ペグノスはたしかにとんでもない影響力を持つ冷凍怪獣ではあっても、外見通りの極めて生物的特徴を残した怪獣でもあるため、ソニッターが放つ閃光の目眩ましがかなり効き、

 

その間に態勢を立て直したレキネスの念動力によって、最初の個体と同様に無数の岩石を下半身に纏わり付けられ、その影響で冷凍ガスの噴射による飛行能力を喪失し、ペグノスのアキレス腱とも言える機動力を完全に奪われたのである。

 

そして、歩兵部隊が装備した23式電磁小銃:RAR-23による一斉射でペグノスの体力を削り取ってフラフラになったところに、カエン102から抽出したエネルギーの再充填が完了した高出力レーザー砲:ガイリュウガ砲の第二射が放たれ、ペグノスの頭部を消し飛ばしたのであった。

 

自分からガイリュウガ砲の射程圏内に飛び込んできたということで飛んで火に入る夏の虫――――――、ガイリュウガ撃破後に続けざまに2体目の怪獣:ペグノスをも倒したわけであり、現場は過去最高の熱狂の渦に包まれていた。

 

一時はどうなるかと思われていたものの、元から歩兵戦力が主力であるキヴォトスでは23式電磁小銃:RAR-23を中心に怪獣の撃破が無理でも怪獣を追い払うぐらいはできるだけの火力と戦術の追求が最初に行われていたため、

 

これまで怪獣を倒し切る決定打に欠けていたところに それを可能とする切り札が登場したともなれば、これまで培ってきた歩兵戦力の戦闘能力の向上は 怪獣をその場に釘付けにして本命を叩き込む 戦術の要素にまで昇りつめたのである。

 

もっとも、そうした諸々の連携や的確な運用はまさに“キヴォトスを救った英雄”アユム先生にしかできないことであるが、咄嗟に現場の指揮を執ってペグノス撃破まで持っていってしまったのは【NDF】に対する【怪特隊】の越権行為であった。

 

そのため、【NDF】が成功させたガイリュウガ撃破作戦の直後に現れたペグノスへの対応は“シャーレの先生”としての超法規的措置で臨時に指揮を執って【NDF】を予想外の敵襲から救うために必要なことだったとして実質的にお咎めなしではあったものの、

 

今回のように万が一の予備戦力として用意した虎の子の歩兵戦力は追加の怪獣は1体という想定で運用されていたため、ペグノスを倒した後にまさかの3体目が出現ともなれば、それはスタコラサッサと逃げ出すのが状況判断としては正解で、あらためて装備を整えて作戦を練って出撃するのが正しい――――――。

 

 

――――――まさかの怪獣3連打! ガイリュウガ、再び現る!

 

 

というわけで、現場が沸き立つ中で光波ビームが地面を食い破って空に飛んでいったのに誰もが一瞬で言葉を失った時、【NDF】隊長:太平 ナダカは【怪特隊】代表:百合園 セイア、羽沼 マコト、アユム先生の方を見て 三人が頷いたのと同時に総員撤退の号令を下したのである。

 

ガイリュウガ撃破作戦を成功させた直後に乱入してきたペグノスを倒したら、もう1体のガイリュウガが更に現れたということで【NDF】は総員撤退となり、撤退を援護する体で 狙えたらラッキーというつもりで もう1体のガイリュウガ撃破作戦も始動する。

 

しかし、ガイリュウガの別個体は同胞の死を悟っていたのか、あるいはペグノスが現れたことに反応していたのか、最初から臨戦態勢であり、エネルギーの再充填を急がせていたガイリュウガ砲に対して本物の光波ビームを叩き込んできたのである。

 

そう、ガイリュウガ砲は試作の固定砲台である以上、撃ち合いになってしまったら成す術がない。本日2体目のガイリュウガが現れてしまった以上、『二度目は通用しない』と言うわけなのだ。

 

完全に破壊される前に相討ち覚悟で放たれたガイリュウガ砲の強烈なエネルギーの奔流は崩壊と共に無情にもそのまま天に向かうかと思いきや、ここでもレキネスの念動力が活躍を見せた。

 

その念動力はついには人工の光波ビームを捻じ曲げて光波ビームの本家本元であるガイリュウガの弱点である胸部に直撃させたのだから、メテオカイジュウと人類の連携はバッチリであった。

 

ところが、最初のガイリュウガと次のペグノスの時とちがうのは、完全に倒し切る前に砲台が崩壊してガイリュウガ砲の照射が途切れてしまったことに加えて、ペグノスとは比べ物にならないガイリュウガの頑丈な皮膚を貫ける攻撃手段を他に持ち合わせていなかったため、23式電磁小銃:RAR-23の一斉射があっても追撃で倒すことができないのだ。

 

そのため、『3体目の怪獣が現れる』という緊急事態を迎えた時には対抗できる戦力を投じていないので総員撤退という決まりに従って、惜しいけれども打撃を与えるだけ与えて死地から逃げ遂せることに全力疾走となった。

 

もちろん、同胞の死や敵の襲来を感じ取って臨戦態勢の上で人工の光波ビームの直撃を受けて死にかけたガイリュウガはその痛みや恐怖から暴れ狂い、四方八方に山一つ消し飛ばす威力の光波ビームを乱射しまくるのだから、レキネスも力を使い果たして消えた今、【NDF】の撤退戦に死神の影がチラつき始めた。

 

そんな時、ようやくウルトラマンオメガがお出ましとなり、最強形態:ヴァルジェネスアーマーでガイリュウガを撃破寸前まで追い詰めたものの、そのまま空中からの攻撃で仕留めるのかと思いきや、突如として落下してヴァルジェネスアーマーも解除。

 

そして、瀕死のガイリュウガが逃げていくのを追撃することなく棒立ちとなり、誰もがウルトラマンオメガの異変を察知する中、怪獣使い:星見 コウセイからメテオカイジュウを取り上げ、宇宙へ去っていったのである。

 

 

――――――それが冒頭の場面というわけである。

 

 

――――――――――――

 

―――――――――

 

――――――

 

―――

 

 

――――――救うことが私たちの使命ではない。

 

 

大木田 ソラト’「………………」

 

大木田 ソラト「……お前は誰なんだ?」

 

大木田 ソラト’「私はオメガ。本当のお前」

 

大木田 ソラト「……()()()()?」

 

 

ゲネス人最後の生き残り:アーデルの遺言で全ての記憶を取り戻してしまった大木田 ソラト/ウルトラマンオメガは蘇った本来の自分の人格に侵食されつつあった。

 

しかし、それを止めることは何者にもできない。たとえ、記憶喪失から築き上げられた人格がどれだけ拒もうと、その心を置き去りにして身も心も元の宇宙観測隊員(ナギル・エグラータ)へと戻り始めていた。

 

それがどういうことなのかはもう周りにいる人間は理解し始めていた。明らかに大木田 ソラトのものとは思えない拒絶を伴った言動が現生人類(キヴォトス人)との間に見られるようになってきたからだ。

 

だからこそ、新年を迎えて正月に一緒に楽しい思い出を作って今年も大木田 ソラトを交えての楽しい日々を思い描いていた人たちにとっては、あの温厚で陽気な性格の大人の男の人に突如として拒絶されたことに恐れ慄くのである。

 

 

実は、ガイリュウガ初遭遇からガイリュウガ撃破作戦までにはエルドギメラやゾヴァラスの時のように再戦までの日数が置かれており、

 

今回は【怪特隊】の調査中に倒れたということで【怪特隊】の病院に搬送されており、さすがにこれは何かしら異常があるとして精密検査を受ける予定になっていたのだが、

 

こうして最初に“宇宙観測隊員のオメガ(ナギル・エグラータ)”に遭遇して戦慄を覚えることになったのは【救護騎士団】団長:蒼森 ミネであったのだ。

 

患者のプライバシーは絶対に秘密にするということで口が固い上に心身共に頑健であるミネ団長に宇宙人である大木田 ソラトの精密検査を任せたのはアユム先生のお願いであり、

 

『この頃 記憶を取り戻してきて 何かしらのフラッシュバックで情緒不安定気味だから、もしかしたら検査中に暴れることがあるかもしれない』と言い含めると、ミネ団長の頭の中はまさしく“救護”でいっぱいとなった。

 

実際、保護者である従兄弟:星見 コウセイが電磁気遮断処理が施された頑丈なガラス窓越しに見守る中、MRI検査装置の中に入れられることしばらく、通常は最大で1時間程度で検査が完了とされるところ、10分経ったぐらいのところで突如として患者が目覚めて暴れ出したのである。

 

MRI検査装置は閉所恐怖症の人には辛い場合があるということで『こういうことも十分に起こり得る』とミネ団長が動じることなく、非常に高価なMRI検査装置をヘイローを宿していない人間の拳でみるみるうちに叩き壊して飛び出してきた患者に対して“救護”を実施するのだ。

 

曰く『ミネが壊して騎士団が治す』のが日常茶飯事のため、一般庶民のコウセイが青褪めるほどの高価な医療機器が目の前でぶっ壊されようと、それ以上にミネ団長の方がブレーキの壊れた救急車として“救護”という名の破壊活動を日常的に繰り出すのだから、『だから気にする必要はまったくない』とコウセイに優しい言葉を投げかけてくれる【救護騎士団】だった。

 

しかし、次の瞬間、【救護騎士団】としては信じられないものを見て驚愕することとなる。

 

患者を無理矢理にでも落ち着かせるために“救護”に取り掛かったミネ団長に対し、冷めた視線を向けながらオメガスコープで観察する“宇宙観測隊員のオメガ(ナギル・エグラータ)”にコウセイは悪寒を感じた。

 

その悪い予感は的中し、いくら相手がキヴォトス人ではないとは言え、患者の命を守るためには徹底的な“救護”を仕掛けてくるミネ団長を赤子の手をひねるかのごとく首絞めて持ち上げて投げ飛ばしたのである。

 

その破壊力は窓越しに今日の検査を見守っていたコウセイたちとを隔てるシールドガラスを突き破るほどであり、思わず【救護騎士団】の生徒たちが患者に銃を向けてしまうほどの衝撃があったのだ。

 

思わず銃を向けられたことに保護者である星見 コウセイが二人を隔てる壁がなくなったことで正気を失っている大木田 ソラトに まるで身を挺すかのように かまわず飛びついて必死に呼びかけると、患者はようやく正気を取り戻したのである。

 

しかし、ここが地球ならば一生ものの借金を背負うほどの損害賠償ものだが、ここはキヴォトスなので特に処罰されることはなかったものの、

 

【アリウス】に伝わる忌まわしい伝承:黙示録の天使を4体も抑え込んだ キヴォトスでトップクラスの戦闘能力を持つ【救護騎士団】団長:蒼森 ミネが完全に手も足も出なかったのだ。

 

病院に搬送された部下が暴れ出したと聞いて駆けつけた【怪特隊 特務班】班長も兼ねる“怪特隊の母”アユム先生に対し、ミネ団長は自らが対峙した患者のことを『戦士の風格がある』と評した一方で『まるで自分の方が患者であるかのように観察されている気分になった』として、明らかに本気ではなかった上であの強さであることに驚きを隠せなかった。

 

首を掴み上げられた瞬間に無力感が全身を支配した。黙示録の天使の攻撃を喰らったことで受けた 心が沈められるような感覚とはまるでちがう威圧感がそこにはあり、見上げるほどに巨大な存在のように見えたというのだ。それこそ、ウルトラマンのようであると。

 

そのため、相手がアユム先生やコウセイと同じ地球人だと思って侮っていた面があったとは言え、キヴォトスでもトップクラスに入る戦闘能力の持ち主をして絶対に勝てないと思わせるような圧倒的な力の差に初めてアユム先生が常日頃から感じている地球人とキヴォトス人の差を理解できたとも。

 

なので、正気を取り戻したソラトの診察をテキパキと済ませて 帰るべき場所【太陽倉庫】に送り届けた後、今回の出来事が尾を引くことにならないように アフターケアとして大量のぬいぐるみが置いてある部屋に連れ込んでミネ団長と可愛いものに包まれる甘い一時を過ごしたのであった。

 

実際、ミッション系のお嬢様学校のれっきとしたご令嬢の一人である蒼森 ミネと本当はコーヒー党だけれども並行世界の自分自身(イシドウ・アユム)の影響で紅茶を一緒に飲むようになったことで、今までよりもぐっと距離感が近づけたような気がした。

 

しかし、自分ばかりが相手に合わせるのも何と言うかアレなので、コーヒーフレーバーの紅茶を用意してコーヒーの良さを刻みつけようと画策し、バニラフレーバーの紅茶を飲むぐらいならバニラアイスを実際に乗せた紅茶フロートを飲むという遊び心も見せた。もちろん、バニラアイスをスプーンに掬ってあーんして食べさせることも“友達”だからやるのだ。

 

そして、極めつけは可愛いものが好きな可愛い子を『可愛い』と言って可愛がるわけである。

 

スプーンに付いた融けたバニラアイスを何の気なしを装って気高さと可愛さを兼ね備えた最強のご令嬢の頬に飛ばすと、肌に触れたヒヤッとした冷たさに思わず目を瞑った時の反応が本当に可愛らしく、すぐに指で頬についたバニラアイスを擦り取って 口の中に突っ込んだら吐いてしまうので 目の前でペロペロと舐め取るのだ。

 

その上で、バニラが古くから媚薬として使われていた歴史的事実を口にして、妖しく目を輝かせながら今度はスプーンではなく指でバニラアイスを掬って女の子の口の中に入れたのである。

 

それに対して、両手でその腕を大切に抱えてしっかりと口の中で味わうように舌の上で咥えた指を転がし、瞳を閉じて一生懸命に愛おしそうに指を口に含む姿はまさしく愛に溢れていた。

 

しかし、目の前の女の子の可愛らしい姿に昂りを感じながらも、この()()()()の頭の中では【太陽倉庫】であの二人が紅茶フロートを味わってくれているかを心配していたのだった――――――。

 

 

そうして運命の日であるガイリュウガ撃破作戦の決行日まで【太陽倉庫】もとい【怪特隊 特務班】ではいつもの調子を取り戻したように見せている怪獣博士:大木田 ソラトの様子を気にかけながら、努めて平静を装っていた。

 

時折【太陽倉庫】に遊びに来る生徒たちの対応を任せてはいたのだが、やはり大木田 ソラトのことを知っている生徒たちから見ると、何だかいつもより元気がない感じがするし、ボーッとしている時が多いように感じられたと言う。

 

だから、【ゲーム開発部】天童 アリスが『また一緒にゲームをして遊ぼう』と笑顔で約束すると、ふとした瞬間にソラトの目が据わっており、アリスに対してオメガスコープをしている姿を見かけたコウセイとしては肝が冷えるばかりだった。

 

他にも、外の世界でバイトに出かけているアリウス生たちの見回りをしている【ニコメディアトゥループ】梯 スバルも時折【太陽倉庫】を訪れ、日頃の感謝の印として手に入れることができた珍しいお菓子を持ってきて、一緒に食べ合うことをして、近況を聞いて、オメガダンスの練習に付き合ってもいたのだが、彼女に対してもオメガスコープ――――――。

 

そして、ガイリュウガの解析が終了して後は新兵器の完成を待つ段階ともなれば、基本的に怪獣博士の出番はほぼほぼ終わっているため、このまま【太陽倉庫】に残して作戦決行することが決まる。

 

だからこそ、一人の時間が増えることが怖くなった。一人の時間で居ると“本当のお前”が語りかけてくるのだ。耳を塞いでも聞こえてくる内なる声が心を掻き乱す。

 

 

大木田 ソラト’「特定の生命体に肩入れしてはいけない」

 

大木田 ソラト’「人間も怪獣も等しく同じ()()()()だ」

 

大木田 ソラト’「生命の活動を見つめ、行き着く答えを収集し続ける――――――」

 

大木田 ソラト’「それが宇宙の安定を導き出す唯一の手段だ」

 

大木田 ソラト’「私はウルトラマンなどと言う存在ではない」

 

大木田 ソラト’「数多いる観測者の一人に過ぎない」

 

 

だからこそ、それを振り切るために大木田 ソラト/ウルトラマンオメガは駆け出していた。

 

自分に出来ることに集中することができていれば、思い出すべきではなかった“本当の俺”のことを忘れられる。みんなと一緒に居られる。みんなの中にずっと居られる。

 

そう信じて、完全に継戦能力の限界を超えた3体目の怪獣としてもう1体のガイリュウガが現れ、光波ビームが所構わずにぶっ放される中を総員撤退している【NDF】の危機に一目散に駆けつけたのだが――――――。

 

 

 

邪魔するな! 俺はコウセイと一緒に戦うんだ!

 

 

オメガスラッガーにオメガメテオをセット!

 

 

 

シュワーッ!

 

 

 

――――――まさか、この変身で“ウルトラマンオメガ”であることを辞めることになるとは思いもよらないことであった。

 

 






眠りから覚める、起きること。

物事が動き出すこと。

より多くの怪獣たちが動き出そうとしている。

今よりもっとたくさん現れるようになる。

怪獣は特別なものではなく、ごく普通なものとなる。

そして、この惑星(キヴォトス)も変わる。

この惑星(キヴォトス)も目覚めるんだ。

それが、目覚めの刻。







長い間、現生人類を見つめてきた。

様々な者たちがいた。

強い者、弱い者、愚かな者、優しい者。

怪獣たちが目覚め、この惑星(キヴォトス)が変わろうとしている。

現生人類(キヴォトス人)はこの変化になにを思うのか?

受け入れるのか、拒むのか。

生き残ることができるのか。

見つめ続けよう。

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