Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...- 作:LN58
学園都市:キヴォトスから みんなのヒーロー:ウルトラマンオメガは姿を消した。
これ以降、星の上に姿を現した真っ赤な巨人:オメガは“目覚めの刻”を迎えてしまった
現在、学園都市:キヴォトスは“連邦生徒会長”失踪後のサンクトゥムタワーの暴走や空が赤く染まる滅亡の危機に続く 最大の試練を迎えようとしていた。
だが、端的に説明するならば、それはまさにキヴォトス人らしい失敗と自滅の在り方であり、
常識的に考えてやっちゃいけないことを自分本位に行って決して悪びれないキヴォトス人なら、『エルドギメラとゾヴァラスの細胞を掛け合わせる』だなんてこと、怪獣災害の第一人者であるアユム先生がダメだと言っても絶対にやらかしてしまうもんだから、
『怪獣を操る能力』を防衛に利用できないかと手を出したゾヴァラスの細胞に『他の怪獣の能力を獲得できる』ギメラ細胞を近付ける実験を行った瞬間、ギメラ細胞がゾヴァラス細胞を飲み込んで爆発的に増殖し、制御不能となったことで殲滅細胞怪獣:ゾメラが誕生したのはもはや
ゲネス人最後の希望であった生体兵器:ゾヴァラスの細胞よりもウルトラマンオメガを初めて敗北に追いやった強敵:エルドギメラの細胞の方が圧倒的に強かったというのは驚きであり、制御不能の細胞増殖の末に怪獣の姿を形成したゾメラはまさにエルドギメラの転生体であった。
もしも“目覚めの刻”で復活する怪獣ごと現生人類を葬って新天地を得ようとキヴォトス侵略を決意したゲネス人たちが
もちろん、意図せず人類が生み出してしまった人造怪獣:ゾメラの融合素材となるエルドギメラとゾヴァラスはどちらも【NDF】によって弱点を突かれた末にリベンジマッチを仕掛けたウルトラマンオメガに撃破されているため、その再現を第一次防衛線の作戦行動としていた。
しかし、そうは問屋が卸さないのが人知を超越した“
ゾヴァラスの弱点であるカラスの鳴き声を浴びせて怯んだところに、すかさず 無人のライトビートルからの対怪獣アンカーによる電撃でギメラ細胞を死滅させるエルドギメラの弱点を突いた流れは完璧ではあったのだが、
いかんせん、人類側にはウルトラマンオメガの代わりとなる
【ロストパラダイスリゾート】からキヴォトス本土に上陸してきたところを倒し損ねたことでゾメラの口から放つ光波ビームと火炎弾の反撃でビートル全機が返り討ちとなり、胸部のダメージを再生させると共に弱点を克服する進化を遂げてしまうのである。
そこからは大元となっているエルドギメラと同じように自身の餌となる怪獣を求めてキヴォトス各地で地獄の行進をすることになり、ゾヴァラスの能力である怪獣を操る洗脳波動で怪獣を呼び寄せたら洗脳しては、エルドギメラの尻尾の“第2の口”で捕食しては自身の血肉して新たな能力を増していくのである。とんでもなく相性が良すぎる能力の組み合わせである。
しかし、当初からギメラ細胞を使って悪さする人間が必ず出てくると予期していたアユム先生は冷静に第二次防衛線の展開を指示し、ゾメラが市街地や重要拠点に侵攻しないように エルドギメラ対策に考案していた『食い倒れ作戦』で可能な限り時間を粘り強く稼いだのである。
それは 安全な区域に怪獣の培養肉を大量に配置して 満腹中枢がイカれているゾメラを食欲の赴くままに延々と食べ歩きさせる 徹底した時間稼ぎとなっており、途中でゾヴァラスの洗脳波動で御馳走となる怪獣が来たのに釣られてエリア移動したら また別なエリアに誘導して延々とフラフラさせるのである。
所詮は食欲に支配された暴食の化身。そんなやつのおつむが良いわけがなく、単純な能力ではすでにエルドギメラ強化形態を遥かに超える厄災の化身となっていたものの、実は人間を捕食するようなことがないからこそ、怪獣の肉を差し出すことで人が住む場所への怪獣災害の直撃を避けることができていたのである。
――――――否、ただ時間稼ぎをしているだけではない。
防衛チーム【NDF】が真正面から戦っても太刀打ちできないからこそ、調査チーム【怪特隊】がわずかな手掛かりから逆転の一手となる希望を繋ぐのである。それこそ、エルドギメラやゾヴァラスの対策の時と同じように。
そのため、『食い倒れ作戦』では ゾメラの細胞片を得るべく 【NDF】による地の利を活かしたゲリラ攻撃が 度々 敢行されており、戦術の面においては知性を欠片も感じない暴食の化身を完全に圧倒していたのである。
状況としては何一つとして好転していないし、こうなったのもアユム先生の警告を無視してギメラ細胞に手を出した【NDF】の大失態ということで責任問題が発生しているわけなのだが、慌ただしくも現場の士気は常に高く保たれていたのであった。
各地から続々と【NDF】や【怪特隊】に支援や声援が届いており、ゾメラが上陸してから何日も手を拱いている状況が続いていても、驚くほど混乱と被害は抑えられていたのである。
もちろん、『食い倒れ作戦』にも限界はあり、ゴモラを捕食・吸収して得た超振動波によってゾヴァラスの洗脳波動が劇的に強化され、世界中の怪獣を一斉に目覚めさせて 酒池肉林という名の 人類にとっては生き地獄を地上に作り上げようとし始めたことで、ついに人類に残された時間は残りわずか――――――。
しかし、アユム先生は絶対にあきらめない。星見 コウセイもあきらめない。百合園 セイアもあきらめない。キヴォトス中の人たちもまたあきらめない。
怪獣が何だ。たかが50m程度の高層ビルよりもちっさい存在にキヴォトスが終わらされてたまるか。
人類は負けてない。最後まであきらめるな。必ず突破口は見つかる。また今度も奇跡を起こすのだ。
――――――想像力を解き放て!
アユム先生「コウセイくん。私はアーデルのことを看取って、ソラトさんとはお別れを済ませていたから、オメガが“
アユム先生「記憶喪失であることに付け込んで これまでタダ同然で働かせてきたことだし、それで莫大な賠償金を求められたらどうしようって思っていたから、何も言わずに“
アユム先生「まあ、今のは冗談というか、これまでずっと
――――――行って、コウセイくん。ソラトさんはきっと近くにいる。
アユム先生「コウセイくんが言うように、出現したばかりのゾメラと交戦したオメガの戦い方が“観測するもの”であった以上、」
アユム先生「たぶん、行ったところでどうにもならないとは思うけれど、それで一つの区切りがつくと思うから」
アユム先生「大事なことだよ。それが通過儀礼というやつ。出会いと別れを繰り返して人は成長していくもの」
アユム先生「お別れの言葉なんて言えなかったでしょう。大好きだったコウセイくんが作った焼きそばも食べずに行ってしまったのだから――――――」
――――――今度こそ悔いのないようにね。二人は“友達”なんだから。
アユム先生「それじゃあ、コウセイくんのことを守ってあげて」
アユム先生「はい。指向性マイクで音を拾ってきて」
アユム先生「間違っても『男同士の間に入る』だなんて無粋な真似はしないでね」
アユム先生「ゾメラのことはあくまでも私たちがやるべきことであって、二人が答えを出すことも待ってあげるべきことなんだから」
アユム先生「もちろん、何があっても勝つよ。それが託された側の責任」
アユム先生「だから、信じること。それが『試行錯誤』と『臥薪嘗胆』の本当の意味になる」
――――――ソラトさん、あなたはまだそこにいますか?
ソラト……。
ソラト……!
ソラトッ!
………………。
――――――あ。
――――――。
ソラト……。
………………。
………………。
もう力を貸してもらえないのか?
私は宇宙観測隊員。ゾメラは
でも、このまま放っておいたら、もっと大変なことに――――――!
人間だけじゃない! 怪獣だってどうなるかわかんないんだ!
ソラトがやるべきことじゃないってことはわかってる! 勝手かもしれない! もう一度だけ一緒に戦って欲しい!
頼む!
ソラトッ!
それはできない。
それでもいいのかよ、ソラト!?
ちがう!
あっ。
私は大木田 ソラトではない。
――――――オメガだ。
………………。
………………。
………………。
………………。
………………。
………………。
……わかった。無理を言って悪かったな。じゃあ。
………………。
………………。
………………。
………………。
………………。
………………。
ソラト! 初めて会った日のこと、覚えているか?
お前さ、俺のこと“優しい”って言ってくれて。
あれ、すげえ嬉しかったんだよな。
俺の作った
倉庫で一緒に働けたのも、怪特隊で働けたのも嬉しかった。
………………。
数千年生きたお前にとっちゃ ほんの一瞬のことかもしれないけど、
………………。
俺にとっては……、
………………。
スゴイ……、
………………。
スゴイ大事な時間だった……。
………………。
だから……、
………………。
お前と一緒に過ごした時間を無駄にしたくないから、
………………。
俺は俺のやるべきことをやる!
――――――今までありがとな、ソラト!
彼はもう“大木田 ソラト”ではなかった。そのことを確かめ合い、互いに背を向けた後、“宇宙観測隊員”は決して振り向かない。
けれども、何も言わずにその場を去ることはしなかった。最後にコウセイが言おうとしていることを足を踏ん張って聞き遂げたのだ。
そして、これまで自分探しをし続けていた 何者でもなかった 地球人が、涙を湛えて 二人で歩んできた思い出のために戦う決意をし、それから感謝の言葉を告げて去っていくのを背中越しに強く感じた。
その様子を離れた場所から息を呑んで見守っていた生徒たちは気づいていた。
二人の別離を象徴する すぐに手が届かない距離と決して振り向くことのない相手の背中であったのだが、別の視点からは決して声に出してはならない葛藤の表情と一筋の涙が見えていた――――――。
アユム先生「そう。お別れは済ませたんだね」
アユム先生「なら、宇宙観測隊員に見せてやらないとね」
アユム先生「そう、その意気だよ!」
アユム先生「コウセイくんの言う通り、みんな、あきらめるのはまだ早い!」
アユム先生「私たちにはまだ力がある!」
ドッゴーン!
太平 ナダカ「これで50回を超えるゾメラへの
百合園 セイア「今度こそゾメラ打倒に繋がる糸口を見つけてみせよう!」
アユム先生「いい! 何度だって言うよ! 怪獣災害に立ち向かう人間に必要な精神は『試行錯誤』と『臥薪嘗胆』!」
アユム先生「つまり、それこそがあきらめない心! Never Give up!」
百合園 セイア「これが私たちの最後の力だよ!」
――――――【怪特隊】総員調査、開始!
………………。
美甘 ネル「けど、実際 どうすりゃいいんだ、先生? 最初の作戦が失敗したのはウルトラマンオメガの代わりに火力を確保できなかったせいなんだろう? あれで仕留めきれなかったのがかなりの痛手だったよな?」
空崎 ヒナ「今は戦術面で 可能な限り 時間稼ぎはできているけど、怪獣はゾメラだけじゃない。いずれ、“目覚めの刻”で続々と怪獣が現れて対処不能になってしまうわ」
シロコ*テラー「ん、【ネフティス】が生徒会の谷に隠していた<列車砲>でもダメなの?」
アユム先生「その辺りの検証はリオとヒマリに丸投げしているから、私にはどうなのかはわからない」
アユム先生「けど、レーザービートルを使った最初の作戦が完全な失敗かと言えば、そうでもないかな」
小鳥遊 ホシノ「うへ~、おじさんには難しい話はわかんないよ~」
アユム先生「見て。これは古代粘菌怪獣:エドマフィラの時のように殲滅細胞怪獣:ゾメラを生み出すだなんてことをやらかしてくれた【NDF】研究所から回収できたデータ」
アユム先生「そして、ゾメラ出現直後に“観測”するために現れたオメガの戦闘データと、レーザービートルでの戦闘データね」
アユム先生「更に、確認できているゾメラに捕食・吸収された怪獣と反映された部位のデータを表示っと」
~殲滅細胞怪獣:ゾメラについて~
1,爆進細胞怪獣:エルドギメラ ……素体:他の怪獣を捕食・吸収して その能力を得る
2,殲滅創世体:ゾヴァラス ……顔の右側、左肩の発光器官、左手の鉤爪剣:怪獣を操ることができる
3,溶鉄怪獣:デマーガ ……右腕の鞭:デマーガの溶鉄弾
4,光波怪獣:ガイリュウガ ……胸部の貯蔵器官:ガイリュウガの光波ビーム
5,古代怪獣:ゴモラ ……背中の三日月状の角を含めた顔と鶏冠状の謎の背鰭:ゴモラの超振動波
|
鬼方 カヨコ「先生、このデータを並べているってことは、エルドギメラのように『吸収した怪獣の弱点がそのまま反映されている』ってことだよね?」
仲正 イチカ「ん? それっておかしくないっすか? ゾメラの場合はエルドギメラとはちがって攻撃を加えていったら弱点を克服して耐性を得てしまうから、『食い倒れ作戦』で時間稼ぎに徹しているんすよ、今?」
月雪 ミヤコ「一応、【怪特隊】の方でゾメラの細胞片を集めることはできていますから、薄皮を剥ぐようにして削っていけば理論上は倒すことは可能だと思いますが……」
早瀬 ユウカ「あ、もしかして――――――!」
アユム先生「お、気付いた?」
早瀬 ユウカ「先生! もしかして、ゾメラは――――――!?」
アユム先生「うん。どれだけ弱点を克服したと思ってもね、
早瀬 ユウカ「じゃあ、ゾメラを倒す最後の手段は――――――!」
アユム先生「そう。それが最後の手段になるだろうね」
早瀬 ユウカ「やっぱり! それなら、たしかになんとかなるかもしれない! ゾメラを倒せるかもしれません!」
アユム先生「失敗したら、それで耐性を得て、人類にはもう手立てはない。二度目はない。それに全てを賭けることになる」
早瀬 ユウカ「そんなのは【ミレニアム】の存在意義の千年難題の解決と比べたら、ずっと簡単な問題のはずです! イケますよ、先生!」
美甘 ネル「おいおい、天才同士で会話をすっ飛ばして話を進めるのはやめてくれないか? あたしらにもわかるように説明をしてくれよ? 何をどうしようとしているのかがわかんねえとやりようがねえだろう?」
空崎 ヒナ「何にせよ、私たちはウルトラマンのように真正面から怪獣と戦うことはできない。【怪特隊】の分析結果だけが頼りよ」
仲正 イチカ「そうっすね。情けない話っすけど、今は人類が生み出した最強の悪魔が食べることしか頭にない暴食の化身であることを突いて、積極的に腹を満たして矛先を逸らすので精一杯ですからね」
アユム先生「まあね。これが“シャーレの先生”にして“SKIPのおねえさん”でもある“怪特隊の母”が用意できる最終防衛作戦のあらましかな」
鬼方 カヨコ「……まるで、
アユム先生「バレちゃったか」
月雪 ミヤコ「さすが先生です。この短期間に他の方法もしっかりと用意していたんですね」
小鳥遊 ホシノ「それっていったいどんなものになるんだい、先生?」
アユム先生「ホシノやシロコは気に入らないだろうけど、【ゲマトリア】の秘術を最大限に利用した掟破りの秘策かな」
小鳥遊 ホシノ「――――――!」
シロコ*テラー「……先生! ダメ!」
アユム先生「大丈夫。私は
アユム先生「むしろ、私がそれに賭けているのは今回の怪獣災害の発端ともなった【NDF】で研究されていた『怪獣を操る能力』の利用を【ゲマトリア】で探究したものだから」
アユム先生「成功するかどうかなんてまったくわからないけれど――――――、まあ、やれないことはないかな」スッ
シロコ*テラー「先生、それってたしかソラトさんが首にかけていたもの――――――」
アユム先生「その模造品かな」カチャ ――――――オメガメテオのレプリカ。
アユム先生「私もやっぱり“崇高”を追い求める【ゲマトリア】の一員なんだって実感するよ」
――――――でも、これが私なんだ。“私のウルトラマン”をどこまでも求めてしまうのは。
アユム先生「シロコ、アレを出して」
シロコ*テラー「ん」スッ ――――――イシドウ・アユムの宝物:ブレーザーストーンのレプリカ。
アユム先生「私のはコレ」コトッ ――――――石堂 アユムの宝物:アークキューブのレプリカ。
アユム先生「ロッピー」
ロッピー「ロッピーにおぅまかせですわー!」 ――――――ウルトラマンアークの世界の遺産:ロッピー・ザ・ロボット。
アユム先生「ガロンちゃん」
ガロンちゃん「ガオガオー!」 ――――――ウルトラマンブレーザーの地球の遺産:ミニ・アースガロン。
アユム先生「これが
アユム先生「こっちが私がキヴォトスに持ち込めたデータの全てが入っているMOディスク」 ――――――SKIPディスク。
アユム先生「そして、これが今までの怪獣災害の記録の全てが収まったMOディスク」 ――――――怪特隊ディスク。
早瀬 ユウカ「いったいこれが何だって言うんですか?」
美甘 ネル「これ自体がゾメラを撃退する鍵になるわけじゃないんだろう?」
アユム先生「まあ、見てて」
――――――ここにバロッサ星人:
アユム先生「画面を見て。ようやくコレの仕様を把握できたんだ」 ――――――Xioデバイサーとサイバーカード。
小鳥遊 ホシノ「あ、怪獣だね~」
月雪 ミヤコ「見たこともない怪獣ですね。キヴォトスでは未確認の怪獣という認識で合っているはずです」
アユム先生「放電怪獣:エレキング。この怪獣自体は私が生まれ育った地球にも居たわけだけど、」
アユム先生「これをエレクトロ粒子で怪獣の姿や能力を再現できる出力機器がコレ。Xioデバイサーとサイバーカード」
アユム先生「サイバーカードは銃で言えば弾倉で、銃爪を引く行為が サイバーカードのコードを読み取って コードに対応した怪獣の能力を発揮させることに相当するの」
アユム先生「だから、デバイサーと接続した兵器にこのサイバーエレキングのカードを読み込ませると、エレクトロ粒子で再現されたエレキング電撃波を放つことができる。その威力は言うまでもなく」
アユム先生「このサイバーカードに描かれているのはサイバーエレキングって別の怪獣になっているけど、たぶん、これは自軍の戦力となっているエレキングを識別するためのアバターだと思って」
美甘 ネル「それ、本当かよ!? とんでもない奥の手を用意していたんだな、先生!」
早瀬 ユウカ「それなら、最終防衛作戦の成功率はもっと上がります! 完全にイケますよ、これは!」
小鳥遊 ホシノ「本当にどうにかなっちゃいそうだね、これは」
鬼方 カヨコ「うん。こういう形の怪獣の利用法なら、ゾメラのような過ちは繰り返されることはない――――――」
アユム先生「ごめん。糠喜びさせちゃったみたいだけど、話はそう簡単じゃないから」
早瀬 ユウカ「え」
アユム先生「サイバーカードに記録されたサイバー怪獣の利用法は電脳世界にあるサーバーのデータを現実世界に実体化させるエレクトロ粒子ありきのものなの」
アユム先生「つまり、現実世界に再現されるサイバー怪獣の能力は 当然
早瀬 ユウカ「あ」
鬼方 カヨコ「つまり、こういうことだよね」
――――――サイバー怪獣のサイバーカードは手元にあっても、怪獣の能力をデータ化したものがそもそもキヴォトスにないから、デバイサーで読み込んでも現状では何も起きない。
美甘 ネル「マジかよ。そういうことかよ」
空崎 ヒナ「サイバーカードを使うためには『まず怪獣を捕まえて』『次に徹底的に分析して』『最後にデータ化しないといけない』わけだから、オメガなしに怪獣を倒した実績が皆無の【NDF】だと宝の持ち腐れ……」
アユム先生「それと、サイバーカードで出力されるサイバー怪獣の能力に相応の莫大なエネルギー消費が必要だし、電脳世界のものを現実世界に具現化させる夢の粒子:エレクトロ粒子を発生させるだけでも発電所がヤバイです……」
仲正 イチカ「え、それならどうやって使うんすか? エレクトロ粒子の発生と供給に莫大なエネルギーが必要なら、それだけのものを賄える供給源がなくちゃ実用化なんて無理じゃないんすか?」
アユム先生「聞くところによると、生きた怪獣をソフビ人形みたいにしたスパークドールズから怪獣のエネルギーを供給することでエネルギー消費を大幅に抑えているみたい」
シロコ*テラー「それじゃあ、ますます夢物語だよ、先生。襲いかかる怪獣を倒すために生きた怪獣を人形にして利用すること自体が矛盾しているよ」
小鳥遊 ホシノ「うん。人形化して怪獣を無力化できるのなら、もうそれでいいじゃん」
早瀬 ユウカ「……先生ぃ?」
アユム先生「怖い顔をしないでよ、ユウカ。今のは前振りだから」
アユム先生「というわけで、みんな! じゃじゃーん!」
――――――キヴォトス初のサイバーカード:サイバーキングアリゲトータス!
早瀬 ユウカ「先生!?」
月雪 ミヤコ「そうでした! アユム先生率いる【怪特隊 特務班】の初出撃でキングアリゲトータスの捕獲に成功していたんです!」
アユム先生「うん! 捕獲していてよかった、キングアリゲトータス!」
アユム先生「おかげで、サイバーカード作成のノウハウができたので、
小鳥遊 ホシノ「おお! さっすが先生! やる~!」
鬼方 カヨコ「でも、3回か。3回しか使えないのか、3回も使えるのか――――――」
美甘 ネル「それ以上は増やせないのか、先生?」
アユム先生「それは無理かな。3回分のエネルギーとデータを確保できただけでも上出来ってところ」
早瀬 ユウカ「まあ、最初から当てにしちゃいけないってことね。本命はあくまでも人間の知恵と勇気で勝つことであって、ここまで来て怪獣の力に頼るのはなにかちがう……」
シロコ*テラー「ん。でも、待って」
シロコ*テラー「先生、どうやってサイバーカードのサイバー怪獣の能力を発動させるだけのエネルギーを確保したのかはわからないけど、」
――――――それより、いつサイバー怪獣のオリジナルを手に入れたの?
月雪 ミヤコ「たしかに。キングアリゲトータスのことはよく憶えているので、」
月雪 ミヤコ「とてもじゃないですが、多くの怪獣を捕食・吸収して強化された 人類が生み出してしまった 暴食の化身:ゾメラに対抗できるとは思えません」
早瀬 ユウカ「つまり、最初のサイバー怪獣はキングアリゲトータスだとして、この局面でゾメラに対抗できるだけのオリジナルの怪獣を捕獲していた――――――?」
アユム先生「どうやったと思う?」
鬼方 カヨコ「先生は虚言は言わない。『もう準備はできている』ってわけなんだね」
空崎 ヒナ「――――――そういうことね、先生」
アユム先生「ん」
仲正 イチカ「……『そういうこと』ってどういうことっす?」
空崎 ヒナ「みんな、思い出して」
空崎 ヒナ「アユム先生は誰とでも“友達”になれることを」
空崎 ヒナ「そして、私たちは知っているはず」
――――――ウルトラマンと一緒に戦う頼もしき仲間の存在を!
ソラト、俺は行くよ。俺に出来ることをしに。
………………。
女の子「どうぞ!」
おばあさん「ああ、でも……」
母親「私ももらってますから、遠慮しないでください」
女の子「はい!」
おばあさん「ありがとう。いただきます」
………………。
母親「大丈夫ですか?」
おばあさん「ありがとう。優しいねぇ」
女の子「――――――?」
――――――最初に怪獣が現れた日に助けた女の子がふと見つめた先には髪が長くて青い石のペンダントをしたおにいさんはもう居なかった。
永遠でさえ消せない一瞬に巡り合った
誰かが誰かを大切に思う 優しさの記憶が
見つけられずに求めてた答えを
創り出していくから
この惑星の人類は大きくなれない、
空も飛べない、戦う力もない。
ひとりでは怪獣に立ち向かうこともできない。
それでも、彼らはあきらめない。
無意味かもしれないのに、
無駄かも知れないのに。
答えが出る瞬間まで、挑もうとする。
それが彼らの力なのだろうか。