Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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追憶2 夢見る少女(石堂 アユム)の真実 ~星元市での出会いと思い出~

 

ユピー「みんな、元気してた? ユピー、またみんなに会えてすっごく嬉しいよ!」

 

石堂 シュウ「お久しぶりです、ユウマくん、みなさん」

 

飛世 ユウマ「シュウさんもお久しぶりです」

 

伴 ヒロシ「こうしてまた星元市分所のみんなで集まることになるだなんてな」

 

夏目 リン「でも、あの頃の私たちの頑張りが星元市の地域興しに活用されるなら、こんなに嬉しいことはないです」

 

アユムちゃん「………………」

 

飛世 ユウマ「シュウさん、その子が――――――?」

 

石堂 シュウ「はい。事前にお伝えした通り、私の姪の――――――」

 

アユムちゃん「……石堂 アユムです」

 

飛世 ユウマ「はじめまして、アユムちゃん。僕は飛世 ユウマ。専門は怪獣生物学」

 

ユピー「ユピーはユピーだよ!」

 

夏目 リン「私は夏目 リンだよ、アユムちゃん。ユピーの開発者で、システム開発や機器開発を担当していたよ」

 

伴 ヒロシ「そして、【SKIP】星元市分所 所長:伴 ヒロシです。今日は【SKIP】星元市分所体験ツアーの体験職員としてアユムちゃんを歓迎するから、これからよろしく」

 

アユムちゃん「……よろしくお願いします」

 

 

石堂 シュウ「到着しました。ここが『ウルトラマンと防災未来センター』となります」

 

伴 ヒロシ「おお、アークの像だぞ、ユウマ!」

 

アユムちゃん「……これがアーク?」

 

夏目 リン「そうだよ、アユムちゃん。これがウルトラマンアーク」チラッ

 

石堂 シュウ「どうです、ユウマくん。完璧な再現度のはずですよ、ウルトラマンアーク」

 

飛世 ユウマ「そうですね。よくできていると思います」

 

アユムちゃん「――――――?」

 

石堂 シュウ「それだけじゃなくて、1時間毎に施設の上に銀色の巨人が飛び立つ際に描く虹色の円弧(美しいアーク)が架かるようにもなっていますからね、ユウマくん」

 

飛世 ユウマ「シュウさん」

 

アユムちゃん「………………」ジー

 

石堂 シュウ「まだグランドオープンしてないので、今回は職員用の入口から入ります」

 

 

石堂 シュウ「では、みなさん。お手元に資料と台本はあるでしょうか」

 

石堂 シュウ「今回は星元市の要請で、度重なる星元市での怪獣災害の記憶と星元市を救ったウルトラマンアークの活躍を後世に語り継ぐために設立される『ウルトラマンと防災未来センター』で館内放送されるドキュメンタリー番組の制作に協力してもらいます」

 

石堂 シュウ「そのため、館内には当時の【SKIP】星元市分所を再現したコーナーがありますので、分所内のパートの撮影はここで行います」

 

石堂 シュウ「監修には【怪獣防災科学調査所 SKIP】が全面協力し、私が所属する地球防衛隊 日本支部【宇宙科学局】も参加して、当時の調査記録も今回の収録のために提供してもらっています」

 

石堂 シュウ「そして、今回のドキュメンタリー番組ではこれまで私たちが星元市で遭遇することになった怪獣災害の中で巨鯨水獣:リヴィジラの調査が選ばれました」

 

石堂 シュウ「リヴィジラの調査、憶えていますか?」

 

伴 ヒロシ「ああ、よく憶えているぞ。ゆで卵に塩をたくさん振りかけていたのがヒントになって、怪獣から大量の塩が発生して山の中に海を作り出していたやつだったな」

 

夏目 リン「たしかに、『ウルトラマンと防災未来センター』で展示される怪獣の中からだと、リヴィジラの調査の時が一番【SKIP】の活動をわかりやすく伝えられる事例かもしれないです」

 

飛世 ユウマ「そうですね。他にも、ネズドロンやノイズラーなんかもいましたけど、工場の中だったり、夜中だったりで、分所の全員で力を合わせて調査できた わかりやすいケースを考えると、野外での撮影のしやすさも含めてリヴィジラ一択になるとお思います」

 

石堂 シュウ「そういうことです。みなさん、納得できたと思いますので、早速 撮影の準備に取り掛かりましょう」

 

飛世 ユウマ「わかりました、シュウさん」

 

伴 ヒロシ「それじゃあ、久々にみんなで集まったことで、アレ、やろうか」

 

 

――――――【SKIP】出動だ!

 

 

石堂 シュウに連れられて星元市を訪れた石堂 アユムは正確には石堂 シュウの姪ではなかった。

 

たしかに、石堂 シュウは幼少期はアメリカで過ごし、就学後も海外での生活が長かった帰国子女であり、その祖父は天才と呼ばれた物理学者であったことから、いわゆるエリートの家系として裕福な家庭の育ちであった。

 

そのため、親戚一同もまたエリートの家系として国内外で活躍しており、当たらずとも遠からずで石堂 アユムは石堂のシュウの親戚の子であったのだ。元の苗字は別のものだった。

 

それが石堂 シュウの姪として引き取られることになったのには人には言えない事情があったのだ。

 

 

実は、幼き日の少女アユムは両親の離婚の原因を作った“宇宙人”として両親に捨てられそうになっていたのだ。

 

 

そして、地球防衛隊 日本支部【宇宙科学局】で親戚の石堂 シュウが働いていたことを知られていたことで、強引に“宇宙人”の捜査を頼み込まれたことが少女アユムとシュウおじさんの出会いの始まりだった。

 

どう考えても【宇宙科学局】の特別調査員を派遣するような案件ではないと思いつつ、万が一にも事実だった場合も想定して、意を決してアユムちゃんと会った石堂 シュウは対話を重ねていくうちに、特別調査員としてではなく、一人の人間として強い怒りを覚えた。

 

なぜ両親から“宇宙人”呼ばわりされることになったのか;それは少女アユムが突如として両親の裸を写生しようとスケッチブックを持って迫ってきたからであり、その前に学校で成人向け漫画を描いて全校集会を開くほどの大問題を引き起こし、両親が呼び出されることになったからだ。

 

そのため、先生や親の言うことに素直に従ってきた“良い子”が突如として性に興味を持つ以上に大問題を引き起こしたことに対して、反省した様子がまったくないどころか、娘のために出張先から呼び戻された父親の股座にあるものを見たいとせがんで風呂場に突入してきたのだから、両親が正気を疑うのは無理もないことだった。

 

しかし、更に不幸だったのは、アユムちゃんがあまりにも性的な知識を蓄えていたせいで、シャツの襟首に隠れていた父親の首元にある赤い跡がキスマークであることに気づき、それを無邪気にも母親に教えたことで出張先での父親の浮気がバレてしまったのである。

 

そうして父親の浮気が発覚したことで父親の頬に全力でビンタをした母親に対して、今からSMプレイが始まるのではないかとスケッチブックを開いて期待する娘の姿があまりにも不気味であったのだ。

 

その結果、娘が卑猥なものに興味を持って学校で大問題となり、そのことで両親が学校に呼び出された その日の内に 父親の浮気が娘によって発覚するという、あまりの情けなさに母親の精神が完全に参ることになり、突如として幸せだった家庭の崩壊を娘に化けた“宇宙人”の仕業だと思い込むようになってしまったのである。

 

よって、父親の浮気が発覚したため、離婚協議に入っているわけなのだが、そこで問題となったのが娘の親権であり、どちらが娘を引き取るのかという話に当然なるのだが、どちらも子供の引き取りを拒否しており、

 

親権の放棄は原則できない以上はどちらかが折れるしかないにしても、無理に引き取らせても良くないことが起きるのは離婚協議を受け持った互いの弁護士の目から見ても明らかだったので、なんとかして“宇宙人”として処理されることを誰もが期待している そんな状況でもあったのだ。

 

ここまでが事前情報であり、離婚協議の都合だけじゃなく学校の醜聞を揉み消すために“宇宙人”としていなくなることを周りの大人から期待されている一人の少女と向き合った石堂 シュウは次第に少女の真実に触れることになったのである。

 

 

――――――少女アユムは正真正銘の天才;ギフテッドを併発したサヴァン症候群であったのだ。

 

 

サヴァン症候群とは知的障害や自閉スペクトラム症などの発達障害がある人がある特定の分野において特異的な能力を有している症状を指す一方、ギフテッドは発達特性の有無については前提せずに常人離れした才能が評価されている状態を指す。

 

この両者は稀に併発することがあり、一見するとギフテッドのようでいて実はサヴァン症候群でもあることが後々に判明することがあるようなのだ。

 

そして、少女アユムは先生や親の言うことをよく聞いて完璧な成績を叩き出す“良い子”であったのだが、それは周りにいる友人や知人の言うことにも素直に従ってしまうことにも繋がり、それが最悪の結果を招くことになったのである。頼みを断れないのではなく、断るということを知らない“良い子”だったのだ。

 

そう、学校で成人向け漫画やイラストを描くようになったのは、思春期を迎えて性に興味津々の生徒や背伸びしたい生徒たちに誘われて隠れた場所で成人向け漫画や大人向けの雑誌を見せられたのがきっかけであり、これまで“良い子”だったからこそ、そんな世界があることも知らずに生きてこられたのだが、それで性的なことに 人一倍 興味を持つようになってしまったのだ。

 

更に、サヴァン症候群の特徴として有名な『写真と見間違えるほどの正確な絵を描写する』美術の才能があったことから、友達に頼まれてその手のいかがわしい絵を描くようになったのも家庭崩壊へと転げ落ちる原因となっていた。

 

それは友達に絵が上手だと褒められたから、描いて欲しいと頼まれたから、性的なことが種の存続に必要不可欠であることが明白な事実だから、少女アユムは躊躇うことなく性的なことへの探求や絵の研究に没頭するようになったのである。

 

しかし、世の中には恐ろしいほどに趣向やジャンルというものがあるわけであり、読んでいて気分を害するものもいろいろあって脳が受け付けないこともあって、そこから無意識に友達がおすすめするものだけを摂取するようになっていった。

 

おそらく、この時の()()()()()()()()()()()()()()()()体験から記憶の前後関係を曖昧にすることで正気を保つようになっていったのかもしれない。

 

それもあって、悪いことをしている自覚などまったくなかった。世の中にはそういったものが氾濫しているし、エッチな描写のアニメやセクシーな女優や美人のアナウンサーを起用した番組が公然とテレビで放映されているのだから。

 

そういうことに気づくと、多くの生徒たちから憧れになっている社会科の先生が 特定の生徒に対してのみ ちがった雰囲気を出していることに気づき、実は隠れて生徒と付き合っていることを突き止めることになったのだ。

 

他にも、先生同士の職場恋愛の気配を察知して その恋路を応援することもしていたし、応援イラストもたくさん描いて渡していたのだ。

 

だからこそ、学校で隠れて成人向け漫画を読み合う会はアユムちゃんが描いたイラストが抜き打ちのカバンチェックで見つかったことで発覚することになり、学校で大量に出回っていたイラストの作者がアユムちゃんということで槍玉に上げられることになったのだ。

 

成績優秀で 先生の言うこともよく聞く 品行方正な生徒という これまでの評価が一瞬にして崩れ落ちるが、少女アユムにはそれの何がいけないのかがまるでわからなかった。

 

そもそも、学校で教わった内容ではないし、公序良俗に反することをしているのは人前でそのことを晒そうとしている管理者側ではないかと素朴な疑問を口にするばかり。

 

しかも、取り調べに対して訊かれたことには素直に何でも答えるのだから、まったく悪びれた様子がなくて反応に困る。

 

実際、友達に頼まれたイラストを描いて渡しているだけで、そのリクエストに応えるために資料集めに余念がないだけなのだ。

 

それだけじゃなく、職場恋愛や校内恋愛、不倫をしているのが誰なのかを次々と供述していくため、明らかに管理者側にとって不都合な真実の数々をアユムちゃんが握っていることがわかり、学校の醜聞を隠蔽するために取り調べの内容を捏造して報告されることになったのだ。

 

なので、周りの大人たちが事実を握り潰して寄って集って自分一人を悪者に仕立て上げようと必死になっている様子から人間の悪意というものを学習してしまい、両親の離婚も重なって人間不信や自暴自棄になる一歩手前にまでなっていたのだ。

 

ただひとり、星元市での【SKIP】の調査活動の中で『人の身になって考え、胸の内を思いやる』想像力を働かせることの重要性を学んでいた親戚の石堂 シュウだけは辛抱強く向かい合ってアユムちゃんの真実に辿り着くことができていた。

 

 

そして、石堂 シュウは決意する。親戚の子であるアユムちゃんを実家で引き取ることを。そのための根回しと準備も全て終わらせてアユムちゃんの手を取ったのだ。

 

 

こうしてアユムちゃんは石堂 アユムとなり、実質的な石堂 シュウの姪となったのである。

 

けれども、成績優秀で品行方正な生徒として評判だった今までの利発さは完全に鳴りを潜め、誰に対しても探るような目つきで言葉を発することを抑えた立居振舞は痛々しいものがあった。

 

自分自身のことを成績優秀な生徒だと自認していても完璧な人間とまでは思ってはいなかっただけに、実の娘のことを“宇宙人”呼ばわりして決して向き合おうとしなかった両親への失望感はいつまでも拭い去ることができず、それどころか両親の方が人として恥ずべき振る舞いをしていた怒りも籠もっていた。

 

だから、今回の件がなければ親戚の子としても決して会うこともなかった問題児のことをこの一件だけで引き取ってくれたシュウおじさんのことが大好きになり、それが成人向け漫画にあった叔父と姪の禁断の共同生活みたいで静かに燃え上がるものがあったが、それを堂々と表に出す勇気はなかった。*1

 

だとしても、他に頼れる人がいなくなったからこそ、アユムちゃんはシュウおじさんの心からの善意に縋るしかない。そうした環境で育まれた想いが慕情なのかはわからないが、少なくとも欲情でないことは確かだった。

 

そもそも、性的なものへの探究が原因で両親が離婚することになり、その際に自分は“宇宙人”として捨てられることになったので、そのトラウマから特に自分事になる恋愛や性的なことには忌避感を持つようになったのは当然のことだった。

 

人間の性として性的なものへの興味はあんなことがあった後でも抑えられないわけなのだが、そのゴールとなる結婚した夫婦の幸せな家庭生活が崩壊していく様を目の当たりにした以上は、もう結婚に自身の幸せを見出すことができなくなっていた。

 

なので、手本とすべき家族の理想像を失ってしまった石堂 アユムは、新たに家族になってくれたシュウおじさんとの距離感を掴めないでおり、石堂 シュウもまた自分が引き取ることになったアユムちゃんを不幸のドン底から救う糸口を模索し続けていた。

 

そんな中、星元市での度重なる怪獣災害の記憶と星元市を救ったウルトラマンアークの活躍を後世に語り継ぐために『ウルトラマンと防災未来センター』が設立される市のプロジェクトに【宇宙科学局】に監修協力の依頼が届き、石堂 シュウはこれに賭けることにしたのだった――――――。

 

 

伴 ヒロシ「よし、今日の収録はこれで終わりみたいだな。明日もよろしく」

 

夏目 リン「おつかれさまでした!」

 

ユピー「今日はまたみんなと一緒に【SKIP】の活動ができてよかったよ! また明日もよろしくね!」

 

石堂 シュウ「では、送迎が来るまで少し時間があることですし、館内を見て回ってみてください」

 

石堂 シュウ「アユムさんもどうぞ、自由に見てきてください」

 

アユムちゃん「うん」

 

 

スタスタスタ・・・

 

 

飛世 ユウマ「本当に懐かしいですね、シュウさん」

 

石堂 シュウ「はい。この部屋の中でいろんなことがありましたね」

 

飛世 ユウマ「そうですね。一応、【SKIP】が解決した事件にカネゴンのことがありましたけど、カネゴンが起こした経済危機でコーヒーが1日3杯しか飲めない節約キャンペーンってことで、僕を巻き込んでシュウさんが動画配信の投げ銭でコーヒー代を賄おうとしましたよね」

 

石堂 シュウ「そんなこともありましたね」

 

 

飛世 ユウマ「今日も怪獣を徹底解説! アルファです!」

 

石堂 シュウ「科学の知識で今日も美味いコーヒーを! オメガだ!」

 

 

飛世 ユウマ「あれからもしばらく続けていくことになりましたけど、いろいろとあって活動終了になりましたよね」

 

石堂 シュウ「まあ、コーヒーが1日3杯しか飲めない危機的状況を脱する当初の目的は果たされたので、それはしかたありません。今となっては良い思い出ですよ」

 

石堂 シュウ「あ、そうだ、ユウマくん! SKIP体操を踊りませんか?」

 

飛世 ユウマ「あ、いいですね! この部屋で撮影したものが星元市分所が閉鎖されるまでずっと公開され続けていたんですよね」

 

石堂 シュウ「ユウマくんが星元市のみなさんが怪獣災害から安全に避難できるように楽しく身体作りができるものとしてSKIP体操を考案してくれたわけですよね」

 

石堂 シュウ「なら、これも収録しておきましょうか。『ウルトラマンと防災未来センター』の開設を記念して復活ということで」

 

飛世 ユウマ「そういうことならユピーも踊ったことがあるから、モーションデータが残っているかも!」

 

アユムちゃん「………………」ジー

 

 

 

 

 

アユムちゃん「ん」バッ ――――――スケッチブックを差し出す。

 

石堂 シュウ「今日の感想ですか、アユムさん?」

 

石堂 シュウ「どれどれ」パラッ

 

アユムちゃん「………………」

 

石堂 シュウ「これは――――――」ピタッ

 

石堂 シュウ「ああ、見ていたんですね……」ハハッ

 

石堂 シュウ「でも、いいですね。そんな風に感じていてくれているんですね、アユムさん」フフッ

 

アユムちゃん「……うん」ニコッ

 

 

おじと姪;二人のコミュニケーションツールはスケッチブックだった。

 

ただ、スケッチブックに描きこまれるものはサヴァン症候群において顕著な写真と見紛うほどの線画(drawing)であり、本物そっくりの迫力があった。

 

しかし、そうしたリアル志向の写実的な絵は学校では受けず、友達がおすすめしてきた漫画やイラストの画風を模写することで好評を博していたため、石堂 アユムの画風は圧倒的な記憶力と画力の写実主義(レアリスム)パロディ(模倣と改変)に大別されていた。

 

そこに昔は木炭でスケッチをしていたことに着想を得て第3の画風をシュウおじさんが提案し、受けた印象を色彩で表現する;色付きのクレヨンで心の赴くままに表現主義的な描画(painting)も描くようになった。

 

受け取ったスケッチブックは日々改良が加えられており、原画となる超精密なスケッチの線画(drawing)の上にトレーシングペーパーを重ねてクレヨンによる塗り絵(painting)の作成を可能としており、

 

こうして超精密に原画を描いた後、じっくりとその事物に対する印象をトレーシングペーパーの上から色彩で表現することで、着実に感情の交流が図られるのだった。

 

実は、こうした色の印象で交流を図る手法こそが、地球防衛隊 日本支部【宇宙科学局】特別調査員:石堂 シュウが体得した未知の宇宙人とのコミュニケーションスキルの1つであり、宇宙人との対話のためのスキルが両親に“宇宙人”と恐れられて捨てられた少女のコミュニケーションに使われていることに複雑な思いを隠せなかった。

 

ただ、1を聞いて10を知る天才である石堂 アユムがこの短期間に何を見て、聞いて、感じて、そこから何を思ったのかを順番に理解するには最適な方法だったことには間違いない。

 

そして、今回のリヴィジラの調査を再現したドキュメンタリー撮影だけでも多くのものを瞬時に記憶していたことがわかり、

 

今日の分の収録のハイライトとも言える『石堂 シュウがゆで卵に塩を振りかけるのを見て、伴 ヒロシ所長が湖を海に作り変える怪獣の正体に気づく』場面は珍しくパロディ調で描かれており、子供心に響くものがあったことが伝わってきた。

 

しかし、ギフテッドにしてサヴァン症候群の稀代の天才少女:石堂 アユムの洞察力の高さを物語るものこそが、撮影現場となる『ウルトラマンと防災未来センター』に入る直前にあった飛世 ユウマを中心にした【SKIP】の面々の短いやりとりをスケッチした絵であり、

 

ウルトラマンアークの像を見上げる飛世 ユウマの方に全員が顔を向けているのだ。そこにトレーシングペーパーが重なると、『ウルトラマンと防災未来センター』の上部に時報と共に架かる虹色の円弧(美しいアーク)が加わるのだ。

 

それから1日接してみた【SKIP】の職員のスケッチと受けた印象を物語るトレーシングペーパーが続き、自分を“宇宙人”と呼んで親子の縁を切ってきた両親とは正反対の好印象なのが十分に伝わってきた。

 

ただ、職場の同僚だった【SKIP】のみんなとまた会えた;その中でも特に相棒だった飛世 ユウマと再会できたことをとても喜んでいる様子がトレーシングペーパーで見透かされていたため、シュウおじさんは思わず姪っ子の方を見たが、そこにはいたずらっぽい笑みを浮かべる少女の姿があり、シュウおじさんとしては笑って誤魔化すしかなかったのだった――――――。

 

*1
叔姪婚は3親等内の傍系血族同士の婚姻による近親婚を避けるために法律で禁止されている。

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