Blue Archive -Document SKIP feat.OMEGA and...-   作:LN58

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第4話 爪痕の謎を追え ~昨日と明日の私たち~

 

 

アユム先生「23式電磁小銃:RAR-23の初期不良もこれで完全になくなった感じかな」

 

アユム先生「どう、アスナ、ハナコ?」

 

一之瀬 アスナ「うんうん、最高の仕上がりだよ、ご主人様!」

 

浦和 ハナコ「これが噂に聞いていた並行世界の先生(プレナパテス)の武器なんですね。アサルトライフルにレールガンの機構が取り入れられていることで威力の向上はもちろん、射程距離の飛躍的な延長が見込まれます」

 

アユム先生「そう、これが【特殊怪獣対応分遣隊 SKaRD】の主力装備で、並行世界の私(プレナパテス)はその候補生で、歩兵戦力強化の研究を行ってたみたい」

 

アユム先生「具体的には23式特殊戦術機甲獣:アースガロンを小型した支援メカの開発を担当していたみたいで、」

 

アユム先生「このガロンちゃんこそが、並行世界の私(プレナパテス)からの遺産となる25式小型特殊戦術機甲獣:アークガロンってわけ」

 

アユム先生「本当は口からビーム(アースファイア)とか、AI対話システム(EGOISS)もあるんだけど、実装に向けて頑張っている最中で、今はMod.2:多目的武装ポッドでの火力支援ぐらいが精一杯かな」

 

一之瀬 アスナ「じゃあ、ロッピーちゃんがこれまで通りに偵察と分析を担当して、ガロンちゃんが攻撃担当なんだ」

 

アユム先生「たぶん、そうなっていくのかもしれないけれど、結局は現場で的確な攻撃指令を出す指揮官がいないとダメだから……」

 

アユム先生「だから、私はアスナとハナコに今回の怪事件の調査についてきてもらいたいの」

 

 

――――――私のことを、守って。お願い。

 

 

現在の首都:D.U.地区は行政府である【連邦生徒会】で起こっている政治的混乱から治安悪化の一途を辿っていた。

 

それは【カイザーコーポレーション】と癒着していた防衛室長:不知火 カヤが保留になっていた生徒会長代行である統括室首席行政官:七神 リンに対する不信任決議案を持ち出す形で失脚させ、自らが連邦生徒会長代行に就任する事実上のクーデターを敢行したのが原因であった。

 

そして、連邦生徒会長代行:不知火 カヤは自身を“超人”と豪語し、失踪した“連邦生徒会長”が強大すぎる権限を付与して残していった【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】を正式に傘下に取り込むべくアユム先生へ契約をもちかけるも、正真正銘の大天才;ギフテッドでかつサヴァン症候群であるアユム先生から繰り出される鋭い指摘の数々に圧倒されることになり、

 

更にはキヴォトスにK-DAYが到来し、初めて怪獣と真っ赤な巨人が現れたという未曾有の大混乱の中で、キヴォトスを救った英雄である“シャーレの先生”が再びキヴォトス中を団結させる采配を振るったため、連邦生徒会長代行:不知火 カヤは状況に対応しきれずに常に後手に回り続けて存在感を発揮することができずにいたのだった。

 

その“シャーレの先生”が本来ならば防衛室の管轄であろう怪獣災害対策の専門部署【怪獣防災科学調査所 SKIP】の立ち上げを提案した際は、それに賛同する各学園の生徒会長たちの圧力に屈することになり、“超人”であるはずの連邦生徒会長代行:不知火 カヤは著しくプライドを傷つけられることになったのだ。

 

そのため、怪獣災害という未曾有の危機に【怪獣防災科学調査所 SKIP】の所長を兼任することになった“シャーレの先生”が主導して対処に当たる流れが出来上がり、防衛室長として【ヴァルキューレ警察学校】の総指揮権を持つはずの不知火 カヤはまさに蚊帳の外となった。

 

それでいて、自分なら“超人”と謳われた 失踪した“連邦生徒会長”やその右腕だった七神 リンよりも上手くキヴォトスを導けると息巻いていたものの、その“連邦生徒会長”が選んだ地球人であるアユム先生から犯罪天国(ゴッサムシティ)と揶揄されていた学園都市:キヴォトスを治める立場に就くことの意味を問い質されてなお彼女は全てを甘く見ていた――――――。

 

結果、文字通り超人的な執務能力を前提とするワンマン体制な組織を運営していくことによる心身への負担や、まったく思い通りに動いてくれない現実;周囲の人間からの反発や陰口に精神を摩耗していくことになったのだ。

 

現在、首都:D.U.地区における表面上の犯罪率は減ったものの、重犯罪は増加の一途を辿っており、治安の悪化は明らかであった。

 

その原因というのが空が赤く染まるキヴォトス滅亡の時に“シャーレの先生”を助けに動いた【公安局】局長:尾刃 カンナに対する処分に反発した【公安局】の“ストライキ”と称したサボタージュであり、政権奪取の時点でオフィスはすでにもぬけの殻になっていたのだ。

 

そのため、“連邦生徒会長”が失踪したことで責任者不在で閉校になるのに【SRT特殊学園】の生徒たちが各地で抗議活動をしていたのを、連邦生徒会長代行を目指していた防衛室長:不知火 カヤが【SRT】の復権を約束したことでようやく収束したかと思いきや、

 

今度は防衛室長の隷下組織【ヴァルキューレ警察学校】が機能不全に陥るという、“連邦生徒会長”の懐刀である【SRT特殊学園】の反乱以上にキヴォトスの市民生活に直結する問題の対処に頭を抱えることになっていたのだ。

 

 

そんな混迷の真っ只中の首都:D.U.地区のビル街に()()()()()()()()()()()が刻まれる怪事件が発生するのだった。

 

 

ようやく自分のものになったと思った【連邦生徒会】のお膝元である首都:D.U.地区で怪獣災害が起きた可能性が非常に高いため、当然ながら【怪獣防災科学調査所 SKIP】実質的に【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】が調査に来るわけなのだが、

 

今の状況で何らかの実績を上げなければ『今度こそ自分は“シャーレの先生”や“連邦生徒会長”の引き立て役の無能のレッテルは避けられない』と精神的に追い詰められていた滑稽な独裁者(不知火 カヤ)は、あろうことか“シャーレの先生”を首都:D.U.地区への立入禁止にし、『調査が始まらなければ無能のレッテルを貼られることはない』という問題の先送りをして心の安定を図ったのである。

 

そのため、【連邦生徒会】からの名指しで調査のための現地入りができなくなった“シャーレの先生”はD.U.地区の境目で調査員を送り込むことにして、自身はオペレーターとして状況の分析に努めたのである。

 

それは詭弁でしかないのだが、“シャーレの先生”が自身の代わりに送り出した調査員を摘発する監視員が誰一人としていなかったのだから、その立入禁止令もまた空虚なものでしかなかった。

 

そして、得られた調査データを【怪獣防災科学調査所 SKIP】の特別調査員として協力を依頼していたソラトさんに送ると、すぐさま助手であるコウセイくん抜きでひとりでやってきたことに何かあったのか疑問に思うのだった。

 

 

大木田 ソラト「はじ、め、まして。大木田 ソラトです。今日はアユ姉に調査を頼まれたのと飯代のために頑張りますです」

 

一之瀬 アスナ「アスナだよ! ソラトさんだね、よろしく!」

 

浦和 ハナコ「浦和 ハナコです。これから色々とよろしくお願いしますね。良ければ、色々と聴かせてくださいね、色々と」

 

ロッピー「今日はよろしくですわ、ソラトさん」

 

――――――

アユム先生「無事に合流できたね、ソラトさん」

 

アユム先生「それじゃあ、爪痕が発見されたポイントをマーカーにつけたから、ロッピーも活用して調査をお願い」

 

アユム先生「私はD.U.地区の入口で移動指揮車(MOP)から状況の分析を行っているから」

 

アユム先生「とにかく、今のD.U.地区の治安は悪化の一途を辿っているから気を付けて。絶対にソラトさんのことを守ってね。一発の弾丸が命取りなんだから」

――――――

 

一之瀬 アスナ「わかりました、ご主人様。ソラトさんのことは必ず守ります」

 

浦和 ハナコ「はい。それが先生の頼み事でしたら、この浦和 ハナコ、先生のために喜んで一肌脱ぎましょう」ヌギッ

 

大木田 ソラト「お、どうして服を脱ごうとしているんだ、ハナコは? もしかして脱がないと入れないのか、この先? アユ姉が入れなかったもんな?」

 

一之瀬 アスナ「え、そうなの? じゃあ、私も脱がないと、なのかな?」

 

――――――

アユム先生「や、やめて! 変なことをアスナとソラトさんに吹き込まないでよ、ハナコ!」

――――――

 

浦和 ハナコ「ですが、『キヴォトスにおいて銃を持たない人は裸で歩いている人より珍しい』という分析結果がありまして、実際に武器を持ち歩いていないソラトさんが周囲に溶け込むにはそれしか方法が――――――」

 

大木田 ソラト「ああ、そっか! だから、この前アユ姉と行った山の中からコウセイがいる大屋日の出ビルまで裸で辿り着けたのか!」

 

浦和 ハナコ「へ」

 

大木田 ソラト「まあ、途中で親切な人に服を恵んでもらったから、最後まで裸ってわけでもなかったけどな」

 

一之瀬 アスナ「そうなんだ。ソラトさんも大変だったんだね。私も 着るもの全部 洗濯に出しちゃって、下着も 全部 入れちゃったから、バニーガールの衣装を着る他なかった時があったよ」

 

浦和 ハナコ「あ、あらら……?」

 

――――――

アユム先生「えと、場も和んだところで、調査開始! 調査開始! 調査開始!」

――――――

 

ロッピー「調査開始ですわ!」

 

大木田 ソラト「おー!」

 

一之瀬 アスナ「わーい!」

 

浦和 ハナコ「これは気を引き締めていかないとですね……」アハハ・・・

 

 

調査は犬のような直感力を持つ凄腕エージェントである【C&C】一之瀬 アスナと【ミレニアム】の役員にも引けを取らないほどの理解力と分析力を誇る才女の【補習授業部】浦和 ハナコを護衛に、【怪獣防災科学調査所 SKIP】特別調査員となったフリーの怪獣研究家:大木田 ソラトを移動指揮車(MOP)調査ロボット(ロッピー・ザ・ロボット)で支援する体制で行われた。

 

しかし、それ以前に爪痕から想定される爪の大きさと一致する怪獣の目撃情報があったものの、最初の怪獣:グライムが出現して以降、すぐに怪獣のフェイク動画がネット上に氾濫することで真実が隠れるようになってしまっていた。

 

そうした事情も踏まえて【怪獣防災科学調査所 SKIP】による裏付けられた真実が怪獣災害の時代において何よりも切望されることになり、アユム先生の活動は非常に意義のあるものであったのだ。

 

実際、首都:D.U.地区の治安を司る【連邦生徒会】の防衛室長:不知火 カヤによる新体制においても、今回の怪事件と怪獣の目撃情報の関連性の問い合わせがひっきりなしに届いており、その対応に疲弊した不知火 カヤは途中から【怪獣防災科学調査所 SKIP】に問い合わせるように盥回しにするようになり、カヤ自身も【SKIP】の調査報告を頼みにしているぐらいであった。

 

その後、大木田 ソラトがアスナ以上の嗅覚の鋭さで街中で一枚の巨大な羽根を発見し、先述した動画が本物と判定され、地球で言うところの長大な鉤爪が特徴の獣脚類:テリジノサウルスの進化体と見なされると、その直後にビルの真上にその姿を現し、街の人々を襲い始めたのである。

 

刃爪怪獣:テリジラスと 即刻 命名された怪獣の出現にアユム先生は躊躇うことなく移動指揮車(MOP)をフルスロットルで発進させてD.U.地区に進入し、25式小型特殊戦術機甲獣:アークガロンのMod.2装備のレールガンとミサイルランチャーで迎撃を行う。

 

本来は草食動物とされるテリジノサウルスが怪獣化したものに捕食されそうになっていた民間人の救出に間一髪で間に合わせると、

 

それと並行して、機能不全に陥っている【ヴァルキューレ警察学校】の生徒に対して【連邦捜査部 S.C.H.A.L.E(シャーレ)】の強大な人事権を行使して民間人の避難を指揮すると、【連邦生徒会】に連絡して現場の指揮を引き継ぐように要請したのである。

 

しかし、一室の中で混沌を極める【連邦生徒会】としてはそれどころではないらしく、街中に怪獣が実際に現れたというのに電話応対に疲れ切っていたことからイタズラ電話だと処理され、窓の外で怪獣が暴れているのを完全に見過ごす大失態を犯してしまうのである。

 

 

アユム先生「こんな時に防衛室長は何をやっているのよ!?」

 

アユム先生「ん、あれってコウセイくん? 危ない、待って、どうして――――――?」

 

一之瀬 アスナ「ご主人様! ご主人様、居たぁああ!」

 

アユム先生「アスナ! 無事だったのね!」

 

浦和 ハナコ「先生、申し訳ありません。ソラトさんを見失ってしまいました」

 

アユム先生「そんな……」

 

アユム先生「ううん。ソラトさんなら、きっと、大丈夫」

 

アユム先生「だから、今は【SKaRD】の装備で集中砲火して怪獣を追い払うのよ! 23式電磁小銃:RAR-23、使えるね?」

 

浦和 ハナコ「はい!」

 

一之瀬 アスナ「わかりました、ご主人様!」

 

アユム先生「ガロンちゃん! 相手は正真正銘の恐竜の生き残りよ! でも、ガロンちゃんだって負けてないってところを見せるのよ!」

 

アユム先生「――――――それが並行世界の私(プレナパテス)の願いでもあるのだから」

 

ガロンちゃん「ガオガオー!」

 

 

建物の柱に拳を叩きつけて大きなヒビを入れる!

 

 

これでここは俺の縄張りだ。

 

 

オメガスラッガーにオメガメテオをセット!

 

 

 

シュワーッ!

 

 

 

 

 

刃爪怪獣:テリジラス 撃破!

 

 

 

大木田 ソラト「今日はありがとな」

 

大木田 ソラト「来てくれて助かった」

 

星見 コウセイ「いや、俺の方こそ、なんか意地張っちゃって……」

 

星見 コウセイ「悪かったよ」

 

大木田 ソラト「コウセイの姿を見た時、なんかホッとした」

 

星見 コウセイ「なんだよ、それ」フフッ

 

 

一之瀬 アスナ「あ、ソラトさんだ! ご主人様、ソラトさん、居たよ! 無事だったよ!」

 

 

大木田 ソラト「おお、アスナにハナコ」

 

浦和 ハナコ「良かった。無事でしたか、ソラトさん」

 

大木田 ソラト「ああ。かなり手強かったけど、大丈夫。コウセイが来てくれたおかげでやっつけ――――――」

 

星見 コウセイ「わあわあわあわあっと」

 

星見 コウセイ「あ、はじめまして。俺、星見 コウセイです。ソラトの従兄弟ってことで……」

 

浦和 ハナコ「はい。はじめまして、コウセイさん。浦和 ハナコです」

 

一之瀬 アスナ「私はアスナだよ。一之瀬 アスナ。趣味は襲撃かな」

 

星見 コウセイ「ソラト、変なこと、してませんでしたか?」アハハ・・・

 

一之瀬 アスナ「ううん。そんなことなかったよ」

 

浦和 ハナコ「ええ。そんなに心配するようなことはしてませんよ」

 

 

浦和 ハナコ「それより、仲直りはできたみたいですね、ソラトさん」

 

 

大木田 ソラト「お、そうか? 仲直りできたか、俺とコウセイ?」

 

星見 コウセイ「へ、ソラト、お前、何を話した?」

 

一之瀬 アスナ「コウセイさんがね、『ソラトさんに頼りにされてないみたいで寂しそうにしてた』って話」

 

星見 コウセイ「は、はあああああああああああ!? ソラト、お前ええええええええ!?」カアア!

 

大木田 ソラト「え、ちがうのか? あんなにプリプリしてたのに?」

 

浦和 ハナコ「そうです。そうですよね。わかります、わかりますよ、コウセイさん」

 

浦和 ハナコ「まるで自分の気持ちが服を開けさせたように赤裸々になるのは羞恥心と共に興奮を感じますよね!」

 

星見 コウセイ「そ、ソラトぉおおおおおおおお!?」

 

一之瀬 アスナ「あ、そうだ、ソラトさん。いつもお腹を空かせているらしいじゃないですか」

 

一之瀬 アスナ「ご主人様――――――あ、先生がね、ソラトさんを自宅に送り届けるついでに美味しいものを作ってあげて欲しいって」

 

星見 コウセイ「え」

 

大木田 ソラト「お、いいのか、アスナ。助かるよ」

 

星見 コウセイ「あ、悪いよ。そこまでしてもらうのは……」

 

一之瀬 アスナ「ええ? コウセイさんは反対なの? 先生にそう言われてきたんだけどなぁ?」

 

浦和 ハナコ「ああ、なるほど。そういうことですか」

 

浦和 ハナコ「なら、こうしませんか、みなさん?」

 

浦和 ハナコ「コウセイさん、今晩は先生からもらった御駄賃で豪勢にしましょう。私たちはそのお手伝いをしますから」

 

浦和 ハナコ「でないと、私たち、先生からのお使いができなくて、先生におしおきをされちゃいます……」モジモジ・・・

 

大木田 ソラト「なあ、コウセイ。アスナとハナコがおしおきされるのはかわいそうだし――――――」

 

星見 コウセイ「わ、わかったって。それで先生に迷惑をかけるわけにはいかないし、しょうがないなぁ」

 

星見 コウセイ「じゃ、じゃあ! ありがとうございますッ! 今晩はごちそう(ゴチ)になります!」

 

大木田 ソラト「いえーい!」

 

一之瀬 アスナ「わーい!」

 

浦和 ハナコ「どうやら、納得してもらえたようで何よりです」

 

浦和 ハナコ「そうですか。あなたたちお二人が先生の中で今マイブームの……」ジー

 

 

その後、アユム先生は『決して無能な人物ではない』という評価で()防衛室長:不知火 カヤの孤軍奮闘に理解を示しながらも、大量破壊兵器を使って子ウサギタウンを周辺地区ごと吹き飛ばすことで恐怖政治を行おうとする前代未聞の暴挙に出た不知火 カヤによるクーデター政権を倒す手助けをすることになった。

 

そして、全てが終わって【矯正局】に連行される際に『いずれ本当の超人が現れ、誰もが私の意思を理解する』と主張し、その現場に本当にアユム先生(本当の超人)が駆けつけ、今となっては大罪人である不知火 カヤを力強く抱きしめたのが世間を大いに沸かせたのだった。

 

先生は本当に優しかった。それはエデン条約をめぐる内紛で【ティーパーティー】の権威が失墜した時も同様で、それぞれが最悪の選択をし続けた百合園 セイア、桐藤 ナギサ、聖園 ミカに対しても大人の女性が備える豊満な包容力を発揮して、【トリニティ総合学園】の大分裂の危機を文字通り体を張って繋ぎ止めたのだから。

 

もちろん、それは私に対しても同じで、“トリニティの裏切り者”を捕まえる際に決して少なくない代償を支払って【シスターフッド】に協力を要請した時も、それをその場で察知した先生は普段の温厚さからは考えられない強引さで迫ってきて、私の両手首を掴んで『無理をしていないか』と真剣な眼差しで見つめてきた時は胸の高鳴りをごまかすことができなくなっていた。

 

元々、コハルちゃんの趣味嗜好にも多大な理解を示してエッチなイラストをノリノリで描いてしまうような御人なのだ。私の悪ふざけにも乗っかってくることもあり、他人との距離の取り方も含め、先生とは本当に気が合う仲だった。

 

その上で、エデン条約締結に向けた応援イラストとして【万魔殿】議長:羽沼 マコトと【ティーパーティー】ホスト:桐藤 ナギサが両手を繋いで睦み合う“名画”を描いて、カップリング相性をまじめに分析し始めるぐらい、私が言うのもアレなぐらい ぶっとんでいる人でもあった。

 

ただ、本業が【怪獣防災科学調査所 SKIP】の技術開発者だったことを聞けば、怪獣災害と背中合わせの世界の出身ということで価値観やスケール感がキヴォトス人のそれとは掛け離れているのは当然の話で、危機的状況であればあるほど誰よりも勇敢で、私たち生徒に進むべき道を示してくれる人だった。

 

空が赤く染まった滅亡の危機を乗り越えた後、K-DAY;怪獣災害の到来さえなければ、先生を中心にして学園都市:キヴォトスの再建と結束が進むのだと誰もが希望を抱いていただけに、

 

K-DAYに対応した革新路線と期待された()防衛室長:不知火 カヤのクーデター政権が結果として短命に終わり、再び統括室首席行政官:七神 リンに連邦生徒会長代行となって【連邦生徒会】が旧態依然の体制に戻ったことへの落胆は大きい。

 

それでも、キヴォトスの未来を並行世界の先生(プレナパテス)に託されたアユム先生は今日も辛い現実から目をそらさずに前へと進み続け、大人としてあるべき姿を子供である私たち生徒に示し続けていた。

 

 

だから、キヴォトス中がアユム先生のことを待ち望む――――――。

 

 

その一方で、アユム先生もまた怪獣災害に対してどう足掻いても無力である現状から、怪獣と共にキヴォトスに現れた真っ赤な巨人:ウルトラマンオメガの活躍に縋るしかなかった。

 

それがとてつもなく悔しいことだった。オメガの活躍に 毎回 小躍りする姿は明らかに私たち生徒が頑張った時以上の喜びようで、オメガの活躍をあらゆるメディアに全力でPRするぐらいである。

 

たしかに、オメガが怪獣を倒すことで それ以上の怪獣災害の拡大が阻止されたことによって 被害が最小限になったと見れば、管理者側や責任ある立場の人間からすれば極めて喜ばしいことではある。

 

それでも、思わず嫉妬してしまうものがある。空が赤く染まるキヴォトス滅亡の危機をアユム先生の下でみんなの力を結集して乗り越えてきたというのに、その先に待ち受けていたK-DAYからはあの真っ赤な巨人の存在に先生の心が独占されてしまったのだ。

 

そんなわけで、今のキヴォトスではアユム先生のことが大好きな生徒ほど、あの赤く染まった空を思い出させる真っ赤な巨人:ウルトラマンオメガへの対抗心やその裏で嫉妬心を燃やすことになり、並行世界の先生(プレナパテス)からもたらされた対怪獣兵器の逸早い実装に取り組んでいたのだった。

 

 

だからこそ、【怪獣防災科学調査所 SKIP】の特別調査員として迎え入れられた自称:怪獣研究家の大木田 ソラトとその助手:星見 コウセイはいろんな意味で要注意人物に成り得た。

 

 

事前にそのことについて情報共有があったとしても、実際かなり怪しい。それは同行していた一之瀬 アスナさんも薄々感じ取っていた様子で、2人で共同生活をしているらしい狭い空間の中でそれ以外の何か(メテオカイジュウ)の気配を常に感じていたらしい。

 

なので、少なくとも先生に対する害意はないものの、キヴォトスの外から来たという得体の知れなさがあり、私は連絡先を交換して様子を探ることにした。

 

けれども、それがまさかコハルちゃんに『男の人と付き合っている!』『エッチなのはダメ! 死刑!!』と勘違いされることになるのは想定外で、

 

使い慣れてないタブレットの操作に悪戦苦闘しながら今日覚えた言葉を教えてくれるソラトさんの無邪気さがあまりにも微笑ましくて、ついクスッとなっていたみたい。

 

他にも、ソラトさんがキヴォトスのことを知ろうといろいろと訊ねてくるので、それに対する返信をどうしようかと考えてしまうぐらいには、それが最近のちょっとした楽しみになってしまっていたのだと思う。

 

だから、悔しいけれども先生がソラトさんのことを頼りにするのも納得で、助手のコウセイさんのことも含めて、そんなに悪いものじゃないと思うようになっていた。

 

そして、『ああ、きっと、お腹を空かせている頃なんだろうな』と思いながら、私はあるイラスト投稿サイトにあるアユム先生のメンバー限定ページに投稿されたソラトさんとコウセイさんの超精密な肖像画のスケッチを眺めるのだった。クリック操作でトレーシングペーパーを重ねるみたいに美味しいものがいっぱいの絵に早変わり。

 

 

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