人工的天才の友人は超能力者   作:アオノクロ

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 あけましておめでとうございます!

 この作品ではあけおめです。どうも

 前回が盛り上がりの絶頂ポイントな気がしました。上がりに上がったハードルを潜り抜けられたらいいなと思います。


超能力者のいる学校

 空中に浮かぶPsychicの文字に二人の同級生。

 

「超能力者だ」

 

 告げられた言葉が、目の前の情景のすべてが集まれられた全員の脳の理解を超えていた。

 

「……………ほんとうなの」

 

 やはりというべきか、最初に動いたのは堀北だった。普段の凛々しさが欠片もなく、見開かれた目、震える言葉が彼女の状態を表わしている。それでも真っ先に動けたのは彼女自身の底力なのか、それとも、

 

「………………本当だ。これは嘘でもなんでもない、現実の事だ」

 

 聞かれた綾小路は何でもないといった風に返す。その様子を含めてどこからどこまでがネタなのかと頭を回すが、どうしても宙に浮くもの、目に移る全てがバグとして思考のノイズとなってしまう。

 

「坂柳」

 

 はっとした顔で葛城が浮いたままの坂柳に声をかける。もし先に知り合って共にタネを仕込んでいたのなら、そう考えたのは名案だとは思ったが実際には思考の出口を探した逃避に近い。だとしても、今いるメンバー全員がすがるしかなかった。

 

「…………ちが……い………………ます」

 

 実際に浮かされている坂柳の混乱は見ているものの比ではない。身体で感じる謎の力、どこからか引っ張られている感触もない。どれだけ持ち前の優秀な頭脳を働かせても理解ができない。答えが出ない。その事実に坂柳は震えた。

 

「渡辺」

「ん、あぁ」

 

 先に地に足を着けた渡辺によって、両手で抱えるように支えられるようゆっくりと下ろされる坂柳。足に力が入らず思わずふらつくが軽く抱きしめるように渡辺が支えた。

 

「急にごめん」

 

 支えながらそっとイスへ坂柳を座らせる。出会った時、この部屋に入った時の強さはどこにもなく。ただ一人の普通の少女のように身体から力が抜けて、背中をシートに預けていた。

 

 しおらしいその様子を見て葛城は演技ではなく、本心から震えているのだと判断する。判断したからといって何ができるわけでもないが。

 

 再び部屋を沈黙が支配する。この部屋にいるのは誰もがその優秀な能力を元にリーダーとなったもの。しかしそれは自分の頭脳で判断できるものに限られる。目の前で起きた超常現象など、優秀過ぎるがゆえに飲み込めない。

 

 渡辺への視線が少し変わってきた時、また彼女が声をあげた。

 

「………………渡辺君、聞きたいことがあるわ」

「あぁ、なんでも聞いてくれ」

 

 堀北が立ち上がると真っすぐに目の前の渡辺を見つめる。机越しだがその距離はないかのように、謎の超能力者ではなく、いつも通りのクラスメイトへかける声のままに。堀北は口を開いた。

 

「あなたはその力をどう使うつもりなの?」

 

 それは誰もが気になっていたことだった。しかし同時に聞けなかった。もしそれで口に出されたのが────だったら。そう考えると何も聞けない。むしろ聞いたことで自分へ悪意が向いたのなら、それはなんでもなく普通のことだが、簡単に言えば怖かったのだ。

 

 自分たちが思いつくだけで優に無限の方法で罪に問われない行動ができる。その事実が心を縛っていた。ゆえに動けない。

 

 しかしそれは堀北にとってなんでもないことだ。

 

「とくに? 何もするつもりはないけど」

「「「「「⁉」」」」」

 

 今日何度目かによる驚き、驚かないのは堀北と綾小路の二人だけ。

 

「さっきも言ったけど、俺は基本みんなに任せる。ただそのために信頼はないとダメだろ? だから教えた、おれはこんなことができるって。だってみんなはこんなことができなくても、おれよりたくさんのすごい事ができるんだし」

 

 何でもない渡辺の信念。少し変わっているというだけで平凡な人間である、それはもうずっとかわることはない。

 

 手に触れずモノを動かせる? 手を伸ばせばいい、体を鍛えたらいい、道具を使えばいい。

 相手の心が読める? 時間を築き上げれば読まなくても分かる。分かっていても答えが出せないときだってある。読めなくても考えて察して行動できる。

 

 あれもこれも、誰もが自分よりもっとできるのだ。人より少しだけ便利なだけ、それも専門家や職人には負ける。できないことに挑む熱意は誰にだってあるのだ。

 

 できるからこそできないことを、できないことでもやりたいことへ。それが人工的天才と平凡な超能力を繋げたのだ。

 

「せめて手伝いとか危険なときとか? そんな時はべつだけど試験とかで使う気はないよ。だってそれじゃあ勝ったことにはならない」

「そう……………………」

 

 静かだがさっきのような緊迫した空気はない。それどころか笑顔がこぼれるようになった。また珍しいものを見たと、隣にいたDクラスのリーダーは内心で驚く。

 

「ならそうね、あと確認したいのだけど」

「おう、なんでも聞いてくれ」

「それなら────」

 

 笑顔のまま口を開く堀北。隣にいた平田は珍しいがどこかで見たような気がした。

 

 

 

 

 

「以前私のカバンに落書きを潜り込ませたのはアナタかしら?」

「「「「…………………………」」」」

 

 全員の視線が前にいる超能力に向かう。

 

「…………………………」

 

 すごい汗をかいて視線を逸らしていた。

 

「堀北、何もかも渡辺を疑うの良くない」

「じゃあ綾小路君なのかしら?」

 

 天才も逸らした。

 

 さっきまで笑顔だったのに、いや笑顔のままなのに何か違う。具体的には圧とか、女子高校生がだしていいものではない。なんか周りの空気も歪んでいる気がするし。

 

 そって距離を取る平田と櫛田、そして冷汗が止まらない二人。リーダーたちはその優秀な頭脳で小学生でもわかる犯人を見つけ出した。

 

「おかしいと思ってたのよ。チャックは必ず閉めて最低限しか開けてない、何もされないよう気を張っていたのに奥底に仕込まれていたのは何故かと」

「それだけで犯人は決めつけが」

「ポンコツくーるびゅーてぃーと書くのがあなた達以外にいるのかしら?」

「渡辺だけの単独犯の可能性が」

「違うのなら最初から違うと言うわよね?」

 

 決死の抵抗も無駄だった。さっきまでの緊迫した空気とかもうどこにもない。ひたすらに悪戯がバレて叱られるだけの男子生徒がそこにいた。

 

「……………………まぁ、こんなもんよ」

 

 呆れたように言葉を吐いて背中をシートに預ける。氷も小さくなったグラスを傾け少しだけのどを潤した。

 

「ほかにもいろいろできるでしょうけど、本人たちはこの程度のものよ。気にすることはないわ」

 

 その言葉の真意に気づきようやく全員の方から力が抜けた。

 

「その、僕も聞きたいんだけど」

 

 続けて手をあげる平田、注目を浴びるがそこにはもう緊張も緊迫した空気もない。

 

「いいよー」

「渡辺君がすごいのは分かったけど、それを頼りにしてはいけない。ってことでいいのかな?」

「いや? できることあるなら協力するけど、あんま当てにはしないでほしい、ってくらい。テストとかイベントみたいな、勝敗が決まるものだと使う気はないかな。あえていうなら全体目標のために必要とか、さっきも言った通り命が危ないときとかなら遠慮なく使うけどまとめると」

 

 少しうなって考え出した言葉を全員に伝える。

 

「おれが必要だと思ったらする。みんなならおれよりもずっといい案を思いつくから」

 

 だから任せた、と気楽に投げる。投げつけられたリーダーたちは不敵に、照れくさそうに、自信たっぷりに笑った。

 

「つまり、そこのチビが怪しい動きをしたから制裁を加えるなんてこともできるわけだ」

 

 一人獰猛な笑みを浮かべて口にする龍園、その言葉にまた緊張が走る。再び注目を浴びた渡辺は少し考えると、手前にいた坂柳に目を向ける。

 

 跳ねそうになった肩を抑え、少し震える手を隠しながら渡辺を見上げる。

 

「あら、そんなことをするつもりなんて毛頭ないのですが。どんなことをされてしまうのでしょう」

 

 笑顔だがその内心は恐怖に溢れている。それでも小動物のような愛嬌を出しているのは理性が押しとどめているのか、それとも本能が恐怖からくる生存手段なのか。

 

「そうだなぁ…………たまたま坂柳が人目が多い場所でコケるかもしれない。運よくケガはないけど」

 

 渡辺の口から語られるシチュエーション、口にするということは実際にできるということなのだろう。改めて目の前にいる人物のすごさを認識する。

 

「そうしたらたまたまスカートがめくれるかもな」

 

 思っていたよりも小さい仕返し、内心安堵しながらもその程度で済むのならとどう過ごすかを考え出す坂柳。しかし年季の入った超能力の口はまだ止まらない。

 

「そんでたまたま履いていたプ〇キュアパンツが日の目を浴びると」

「それしたら全力で殺しに行きますからね?」

 

 妬みとか怒りともなにもない純粋な殺意が出た。超能力者? 恐怖? そんなもの知らない。もしそんなことをしたのなら自分のできる全力を持って命をとりにいく。そのあとで自分の命も断つ。超能力者ではないので記憶を消したりできないのだ。

 

 坂柳はここで人生をかけることを決意した。

 

「男の場合でも同じことするけど」

「「⁉」」

 

 驚いたのは無言だった葛城と大口を開けて笑っていた龍園、思ってもいない飛び火が来た。平田は苦笑いで勘弁してほしいと笑っている。女性陣はその様子を想像したのか顔を伏せて震えていた。

 

 誰が口火を切ったのか、ならお前が裏切ったらこうなるぞという言葉。

 

 そこから始まる好き勝手な言い合い。裏切ったらこうしてもらう、ああしてもらうと罰ゲームの大喜利会場となった。超能力者はのりのりでアドバイスを付け加えるが、堀北に睨まれて背筋を伸ばす。流れ弾が綾小路にも当たり、言葉のボールが槍が飛び交う戦場に。たまに飛んでいく飲み物の雫や丸められたごみは変な方向へ飛んでいき、また怒りの火の手があがる。

 

 笑ってはしゃいで大声で叫びあって、

 

 

 そこはもう秘密の企みをする選ばれし実力者たちはおらず、年相応の学生たちが青春を謳歌していた。




 新年一発目ですが大事なお知らせをと

 この先ですが、一旦最終回、というかエンドを書こうと思います。理由はそこまでの試験やらなんやらは考えているのですが、他にも二次創作やオリジナルを書いているとめっちゃ遅くなるからです。変なダラダラ続けるよりいったん終わらせて、その後に夏休み編、みたいに書いていこうかと。あと原作終わってないので途中で矛盾したらリカバリーきっついてのがあります、はい。

 一発ネタに近いものですが大勢に見られて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。

 完結するってだけで終わらないですからね? 忘れた頃にまた投稿します、一度話し自体を区切っておきますってだけなのでね? お気に入り登録はどうかそのままで(土下座)
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