細かいところに色々と気付けて楽しいので是非見に行ってね
飛行機の意味は未だに分からないです
追記 挿絵を追加しました
ナユタの発言の直後、2人は荷物も持たず家を出ていた。
チェンソーマンの心臓を求める相手ならいくらでも戦ってきた、しかしデンジには大切な人を守りながら戦う経験が殆どない。
だからこそ、その道のプロの所へ向かっているのだった。
「で、作戦はあるの?」
「まずは先生との待ち合わせ場所まで走ってナユタん事預けて、んで後は俺が戦う」
「何回でも言うけどさ、デンジも一緒に逃げた方がいいと思う」
「だいじょーV、俺死なねえし」
指をVの字にしてデンジはそう言う。
「……もしさ、腕切られたりしたらどーすんの。スターター引けなくなったら、どーすんのさ」
「そーならねえように戦えばいい!」
デンジは不死身とは言え、体の構造は人間と殆ど同じだ。
今までの戦いでも、復活できないように倒す方法で行動不能へと追い込まれた経験が何度もある。
「とにかく!俺ァ今回作戦立ててんだ!その通りにやりゃ……」
デンジが言葉を止める。
理由は単純、目の前にペラが立っていた。
なるべく人通りの少ない道を通ってきたつもりではあった。
周囲の警戒もしていた。
それなのに、彼女はデンジを見つけ、足音一つ立てずにいつのまにか立っている。
「……これも作戦のうち?」
「できれば逃げないでほしかったなぁ、デンジ君と……えーっと……」
ペラはどうやらナユタの名前を覚えていないらしく、頭を悩ませている様子だった。
「まっ、いいや支配の悪魔で」
「ひとーつ聞くけどよ、どうしてナユタん心臓欲しがってんだ?」
デンジは胸のスターターに指をかけながら問いかける。
「私はソ連から逃げてきた、所謂脱走兵でね。あいつらが絶対手出しできない、大化け物の住処を探してた」
「ナユタはそんなヤバい奴じゃあねえぞ」
「そう、そこが問題なんだよ」
デンジは未だよくわかっていないらしいが、ナユタは薄々勘付いてきた様子である。
ナユタの頬から汗が一滴落ちた。
「日本はマキマが居たから、いくらソ連とは言え簡単に手出しできなかった。せいぜい刺客を1人送るくらいが限界らしかったんだけど、マキマは死んじゃったし、その後継がこんな少女で困ってるんだよねぇ」
「シカク……そういや色々来た事あったっけ」
「デンジ君も多分会った事あるはずだよ。名前は確か……『レゼ』だったっけ」
デンジの表情が明らかに変わった。
それは過去の思い出による哀愁か、レゼの正体を知った事による驚きか。
「私の目的はね、マキマの復活。もっと言うと、私の心臓を支配の悪魔の心臓と入れ替える事、かな」
「……ナユタは殺させねえ」
「デンジ君がどうしてもって言うなら、その子をマキマみたいに育てるって方針も……」
「ナユタんことは先生に任されてっからな。そう簡単に渡せねぇよ」
覚悟を決めたかのように、デンジは胸のスターターを引く。
即座に頭と腕をチェンソーが突き破った。
「無理か〜、そりゃそうか。はぁ……デンジ君は殺そうと思ってなかったのに、仕方ない」
ペラの手が、首の後ろへと向かっていく。
髪の隙間からチラリと見えたのは、首に刺さった金色の鍵であった。
「皆殺しコースかな」
鍵を回すと、カチリという音の後、ペラの頭が蒸発する。
首の断面には肉と骨ではなく、ジェットエンジンのようなものが現れていた。
赤黒い血で頭部が形作られる。
その形はまるで戦闘機の前面を思わせるような流線形。
口に当たる部分には細長い歯が連続して生えており、口の端から小型の鋭いウイングのようなものが伸びている。
頭頂部から生えた半球状の配線は8:2ほどの比率で結ばれており、髪の毛のように風で揺れていた。
腕や脚は小さな部品で埋め尽くされていて、さながら機械の内部のようである。
ペラはゆっくりと左手をデンジに向け、5つの指を全て小さなミサイルのような形状に変化させた。
「ばん」
その一言と同時に、指は独立したミサイルとして発射され、内3本がデンジに、2本がナユタの方への向かう。
デンジは即座にナユタを庇う、だがその代償はミサイル5本の同時着弾。
爆風に混じって、デンジの背中の肉が吹き飛んだ。
「ナユタ殺したいってんならよぉ……俺んこと殺してからやってみろやァ!!」
「デンジ君のお言葉に甘えて……」
瞬間、ペラの体が消える。
正確に言うなら高速移動。頭の後ろと肘、そして脚に取り付けられたジェットエンジンによる超加速である。
「殺させてもらおっかな!!」
超加速のまま抱えられたデンジはペラと共に空中へと飛び立つ。
先程まで居た街が、手のひらに収まりきるほど小さくなっている。
「やってみろよバァーカ!!」
「あっはは!口わるーい!!」
ペラの背中にジェットエンジンが生える。
それが点火されると即座に彼女の体は回転し、手を掴まれたデンジはその勢いのままに円の軌道を描いていく。
高笑いしながらペラは、最高速に達したデンジを地面に向かって投げ飛ばした。
高速で地面へ向かうデンジを、再び加速したペラが追いかける。
1秒も経たないうちに、ペラは地面へと辿り着き、そのすぐ後にデンジが追いつく。
地面に叩き落とされるまでおおよそ1m、デンジの側頭部へとペラの足が叩き込まれる。
ふくらはぎからのジェット噴射で加速した蹴りである、もちろんそのままビルを3棟ほど貫通して、再び空へと吹っ飛んだ。
「ふう、流石にまだ死んでないかな」
デンジの通過した軌跡を眺めながらため息混じりにそう呟く。
「えっと、そうだナユタ、ナユタちゃん早く探さないと……」
地面には血とひき肉、ビルから飛んできたであろう硝子の破片が落ちていた。
ペラはその上を歩きながら、元いた方向へと飛ぶ準備をする。
「デンジの奴、また変なのに引っかかりやがって」
瓦礫の中から、突如一人の男が現れた。
「デビルハンターかな?民間っぽくはないけど……」
「今はな、公安はもう辞める」
左頬に走る縫い後、スキットルを持ったきつい酒の匂いがする男。
名を岸辺、自称最強のデビルハンターである。
彼はコートから古臭い通話機を取り出し、何処かの誰かへと電話をかけ始めた。
「岸辺だ。悪魔の出現場所は……」
「この状況で電話って、舐めてるよね」
敵前で武器ではなく通話機を手に取る岸辺を見て、ペラは少しイラついている様子である。
その怒りのままペラはふくらはぎのエンジンを吹かし、右の足での回し蹴りを顔に向かって繰り出した。
岸辺はその蹴りを、通話機を耳に当てながら体を仰け反らせてスレスレで回避する。
「ああ、頼んだぞ」
その一言と共に電話を切る岸辺。
ペラは回避されたことを確認し即座に脛からの噴射で勢いを殺し、停止した足を思い切り振り下ろす。
だがそれすらも岸辺は見切っていたのか、仰け反った勢いのまま後ろへと転がり見事に避けて見せた。
「えっ、今のも避けるんだ。なかなかやるじゃん」
「これでも衰えた方だ」
そんな驚きの声をあげながらも、ペラは岸辺の動きをしっかりと観察していた。
それは岸辺も同じであった。
(直線的な動きじゃ読まれる……能力使ってるだけで勝てる相手じゃないか。デンジ君が戻ってくるまでには終わらせたいし……)
(今の蹴り、クァンシの最高速を余裕で越えてきやがった。さて、デンジかあいつが来るまで耐えれるかどうか……)
ペラは能力仕様前提の構えから、格闘技を軸とした構えに移る。
岸辺はベルトに差したナイフを取り出し、相手との間を取るかのように構える。
「名前は?」
「岸辺」
「……ジェット」
名を交わしあってすぐ、双方の殺意が一層高まった。
ペラ
・ソ連の元モルモットでレゼとは同期。
髪は変装も兼ねて染めている。田舎のネズミに憧れているが本性は都会のネズミ、戦いでしか生きられない。デンジの事は普通に好きだし、憧れていた平穏な日常を得られ内心ウキウキではあるが、これ以上親密になってしまうと戦えなくなってしまうので無理矢理突き放した。心臓が戦闘機の悪魔のものになっていて、首の鍵を回す事で返信することができる。変身時に首の付け根からジェットエンジンが噴射され頭が蒸発する、凄く痛い。
『ジェット』
・戦闘機の武器人間。
右手で射撃、左手でミサイルを飛ばせる。身体のあらゆる場所にジェットエンジンを生やすことができ、最高速度はマッハ3.3。本人曰く、20Gくらいまでならなんとか耐えられるらしい。