丑の刻に食べるラーメンがいっちゃん美味い   作:産地直送の焼き鳥

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深夜二時に鏡を見れば、ポテトチップスが映っている。

お化けや、妖怪はこの世にいないと思う人〜!

 

おー、めっちゃ居るー!

 

はい、一人、二人、三人…、九人、一人足らんなぁ、ってか?

 

まぁ『物理法則』やら『力学』なんやらとか、かの偉人が考えた『E=mc^2』なんてものも、幽霊という存在の立証を邪魔しているかんね。

幽霊の立証なんざガチのオカルトやもん、私も信じとらんかったし。

 

まぁ私ガチ文系だから科学的に説明するとか無理なんだけどな、ガハハ!

 

お化けは浮いてるし、幽霊は見えないしね!

というかお化けと幽霊って一緒か、これ?わっかんね。

 

やっぱしどこの国にもそういった空想上の化け物っていうのはいるみたいでさ、生物が元来より持つ恐怖やら、原始的であり科学が未発展だったからこそ持っていた未知が、怪物へと昇華したんよ。

大地、天空、海やらを上位存在とか怪物に当てはめ、理解し得る存在にすることで恐怖を和らげていた、って言うこと。

 

そういった怪物っていうのは宗教的にも、神話的にも圧倒的な存在に力があることを簡単に理解させることができる。

 

だから世界各地でこの手法が進んでいったんだろうね。

科学が進んだ現代社会では信じている人は少ないだろうよ、知らんけど。『幽霊信じる?』とかのアンケートなんざ見た気がするけど覚えてねーべ。

 

でもさ、でもさ。

 

深夜二時の鏡を覗いてみなよ。鏡に映る自分の後ろの、端っこの方に何か写っていない?

 

夕暮れ時の田舎道でさ、少しだけ後ろを見てみなよ。おかしな人が居ない?

 

いつも座ってる学校の席でよ、なぜかわからないけど一人増えていないか?ちゃんと数えた?

 

遊園地で遊んでいる時、バレないように、歩いている人の顔を覗いてみなよ。しっかり()()ついている?

 

病院のなぜかある空室、大都会の中にある何年経っても取り壊されない石碑、いつの間にか衆人環視の中突然現れ死んだ人間、着た人が例外なく狂気的に死んでいく赤いドレス。

この世には今の科学で倒せていないオカルトがまだまだ沢山ある。

 

ビルに、廃病院に、黄昏時の街中に、なんてことのない普通のデパートに、山に、海に、廃村に。

 

なんてことのない日々のすぐ隣に、変なものがある。

分からないのが沢山ある。

 

さて、お化け・幽霊を信じないと言って手をあげてくれた君たちは全員人間かな?

 

これを見ている君らは自分が偽ものの人間じゃない、って証明できる?

 

一体全体全く分からない。

 

理解しなくてもいい。納得しなくてもいい。でも変なところには首を突っ込まないでね?

変なところに入ったり、何かに魅入られたり、何かになってしまう。

 

先輩からの忠告だぜ?

変なところに入っちゃったのが私。変な場所に入ってから一向に出ることができない。というか生まれた時からかな?変なところで生まれて、何かに育てられて、半分何かになっている。

変な場所に浸かってたから、ここから出られない。

 

役満じゃねえか。

大三元四暗刻字一色に放銃でぶっ飛びです。

 

それなのに自分の精神が化け物になっていないのは前世の記憶があるから。だからこそ染まらなかったし、何かに心の奥底まで侵されることはなかった。

 

変なところから出ることのできない私だけど、ぶっちゃけ言うて困っていることは特に無い。

 

腹が減ったら化け物食べて。

 

眠くなったら適当に寝て。

 

暇になったら武器を振るう。

 

変なところを歩いてたら、化け物を倒す変な奴らや化け物に遭遇した一般ピーポーに稀に会うから寂しくもない。

皆でわちゃわちゃする時間よりも、一人の時間の割合が多い方が好きな気性だからかもしれん。

 

強いて言うなら一つだけ。

叶えたいことがある。

 

「誰かポテチ寄越せやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ジャンキーが、食いてぇ

誰か下さい(泣)

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ひたひた、ぴちゃぴちゃとすぐ近くで音がする。

 

それが何なのか、それが人なのかは分からないけど会ったらダメだろうな、という漠然とした気持ちだけが心中に満たされている。

 

〇〇市立中学校に一緒に通っている同級生五人と『学校で肝試しをしよう』って言う話が出たのが始まりだった。

普通の学校はしっかりと鍵は施錠されているし、本来であればアコムとかの警備会社と提携して深夜に侵入者があれば通達がいくシステムが基本だ。だけど私たちの学校は結構田舎だった、ってのと警備員さんが適当な人だから、と物知りのタナカくんが言い出して『簡単に校舎内に入れるだろう』ってなったんだ。

 

親がもう寝た時間にバレないように家を出て、男子三人と私含めて女子三人の合計六人で懐中電灯を一人一個ずつ持って自転車で学校に行った。

昼のうちに開けといた教室の窓の一つから校舎に入って、明日の朝先生たちにバレないようにしっかりと靴を脱いで上履きに変えて。

暗い中、ドキドキしながら気になっている男子達と校舎内を探索して。その時は『私、青春してるなぁ〜』って思うだけ。

 

同級生の間で流行ってた、校舎内の七不思議を試しながら一周して『何も起きなかったね』と言いながら息を殺して歩くことを楽しんでいる中、入ってきた窓のところへと戻ってきた時だった。

 

『さぁ帰ろう』と、窓に手を掛ければ動かすことすら能わなかった。

『うちの校舎古いからな』と、他の窓から帰ろうとしても窓の鍵すら動かない。握力40kgが自慢だって言ってたカトウ君も、それどころか男子三人が協力して開けようとしても動きすらしない。

この時点で六人全員が『何かおかしい』って感じてた。

 

校内放送がなり始めた。

もう職員室の電気すらついていないのに。学校に入る際見た時はどこの部屋も電気がついていなかったはずなのに。

 

いつもよりもより鈍く、いつもよりも間延びした音声が校舎の中に響き渡る。

放送室の機械が壊れているのかな、と思ってしまうような不快な金属音。本来時刻を知らせるはずの鐘は、私たちをより一層不安にさせた。

 

 

『キーン コーン カァン コン』

『キーン コーン カァン コォォン』

 

 

夏の夜だから、と思っていたけどどこか周りの空気がじっとりし始める。

濡れた服を着ているような、そんな不快感が身体中に纏わりはじめる。そこにはいないはずなのに、周りには私たち以外いないはずなのにどこかから視線を感じる。

 

私はもうすでにここから逃げ出したい、と感じ始めていたけど皆は違ったみたいでまだ非日常を楽しんでいるような顔だった。

多分だけど『どうせ先生なんだろう』とでも思っているんだろうか。

私は早く帰ろうと急かしたけど、少し笑いながら『謝ればいいでしょ』と言うだけだった。

 

そして四回目のチャイムがなった時、誰かの声がスピーカーから聞こえてきた。

 

 

校舎内の皆様ぁにご連絡でゑす

 

 

耳の中を侵食するような、湿気だらけの空気の風が耳に入ってくるみたいな音。

とにかく、形容し難いとても気持ちが悪い音。

 

 

放課後なの学校が大好きな君たちには、課外授業を開始しまぁす。精々感謝しながらくたばってくださ〜い

 

 

私たちのいる教室の、向かいの廊下からひたひたと何かが近づいてくる。

 

教室内で、何かがぴちゃぴちゃと鳴らす音がする。

 

見たくすらないそれは、視界の隅の方に足が映った。悍ましく蠢きながらのたうつように、青白い肌の上を血管が走る。本来の生物であれば殆ど動かないはずだけど、蛇のように動いてる。暗いせいで滴っているのが何なのか分からないけど、ただの水ではないということだけは分かってしまった。

 

皆に『逃げて』と叫びたかったけど、もう遅かった。

すでに遅かった。

 

誰だったのか確認すらできなかったけど、男子の一人がそれに噛まれた。

つんざくような悲鳴が夜中の教室中に響き渡る。

 

私には一番近くにいた女子一人の手を取って走り出すだけが、精一杯だった。

 

 

 

 

そして私は普段は使っていない教室の、机をまとめているあたりの裏で息を殺していた。

 

今もなお、ぴちゃぴちゃ、ひたひたと音がなっている。

悲鳴が聞こえたのは最初の一回と逃げている間に一回、そして隠れている最中に一回。

 

チャイムは最初の四回、その後に二回。

 

一緒に隠れているカオリちゃんはずっとうわ言のように何かを呟いている。

ずっと震えながら、口元を抑え続け、体を抱えていた。

 

私は多分、正気、だと思う。

自分よりも正気じゃない人を見て正気を保つみたいに、カオリちゃんをみて何とかなっている。

 

でも私もそろそろダメだと思った。

 

だんだんと廊下の外から聞こえてくる足音が多くなってきている。

さっきそこの廊下で甲高い悲鳴が聞こえてきた。ずるずると、何かを引きずる音が向こうでなっている。必死に息を殺しながらバレませんように、と祈り続けた。

 

 

 

カオリちゃんが、息を漏らした。

 

すごくか細い声だったけど、周りの足音が一斉に止まった気がした。

 

責める気にも、咎める気にももうなれない。

 

水が漏れる音が隣で鳴るけど、すでに私は諦めていた。

ガラガラと扉を開け、ぴちゃぴちゃと歩いてくる音がする。

 

 

 

 

「ラーメンが食いたいんだよぉぉぉぉ!」

 

ついでに走りながら鉈を持って教室にスライディングしてきた女の人が視界に映った。

なんじゃこの人。

 

 

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