メリークリスマス!
□王都アルテア 【
俺は今王都の大路を進んでいる。
ズヴェーリと<旧レーヴ果樹園>での金策からリアルで一週間経った。
彼との金策は一万リルも利益が出てウハウハだったので次の日も一人で行ったのだが、散々だった。
あの時はズヴェーリのエンブリオのスキルで状態異常にならず、実際に毒になったり多少のダメージも【
マスターには設定で痛覚の無効化があり、毒だけなら普通のRPGと同様に戦うことも出きるのだが、テイムモンスターはそうもいかない。
リアルで毒を受けたことはないが、種類によっては凄く苦しいとは聞くので、そんな状態でまともに戦えるはずもなく殆ど稼げないまま撤退せざる得なかった。
そう考えると、初めてでズヴェーリと組めたのは運が良かったと言える。
だか、そうなると別の金策を考えなければならず、どうしたものかと思いながらカフェで考え込んでいたら、初老の男性に声を掛けられた。
曰く、翡翠に一目惚れをしたと、その発言に思わず距離を取ろうとしたが機敏な動きで縋りつかれて渋々話を聞くと、彼はどうやら名の通った芸術家であるらしく、翡翠の姿にインスピレーションを受けて是非とも絵のモデルになって欲しいとのこと。
それから従魔師ギルドを通して依頼をしてもらい、モデルを受けた。
余談になるが、この時に初めて知ったのだが、クエストには幾つかの種類があって、従魔師ギルド等の特定とジョブに就いていると受けられるショブクエストと冒険者ギルドで誰でも受けられるギルドクエストがある。
ジョブクエストは知っていたのだがジョブに対応した専門的な内容も多く受けるにはまだ早いと判断し、初心者向けの物は余り儲けにならないと思い受けてこなかった。
ギルドクエストについては完全にリサーチ不足だった。
ジョブの系統毎にギルドが存在していたので何でも屋的な冒険者ギルドは見落としていた。
今度そちらのクエストも確認したい所だ。
この他にもクエストの種類はあるがその内話そう。
嫌がる翡翠を何とか宥めてモデルになって貰おうとしたり、躍動感のある絵を描くために実際に戦う所が見たいと言う依頼を護衛しつつフィールドに出て戦闘したりと大変だった。
それでも何とか依頼が終わり纏まった金額の報酬に加えて更にアイテムも1つ貰った。
【墓標迷宮探索許可証】
これは俺が今向かっている、王都アルテア内にあるダンジョン、墓標迷宮に入る為のアイテムだ。
入手方法は幾つかあるが、市場での価格は一〇万リルする中々に高額なアイテムだ。
とある理由から手に入れようと思っていたのだが想定外に早く手に入ったの僥倖だった。
変態とか思ってすいません、感謝してるよバレナントカさん!
そうしてたどり着いたのが<墓標迷宮>。
国が管理しているダンジョンの入り口は監視の為か騎士が居り、許可証を見せると問題なく中に入る事が出来た。
「
中に入って直ぐに黒曜を呼び出して探索を開始する。
<墓標迷宮>は前に探索した<旧レーヴ果樹園>と違ってモンスターが無限リポップするゲームっぽいダンジョンだ。
更に少数ではあるがwikiを編集している一部の有志によると一層から五層まではアンデッドが出てくるのだが、六層以降は植物系のモンスターにガラリと変わるのも他のダンジョンにはない特徴だ。
今回は他のマスターが居ないので不意打ちでテイムモンスターがやられない様に索敵能力が高い黒曜だけ出して様子見している。
少し歩くと一体のモンスターが出現する。
【シビル・スケルトン】と表示されたモンスターはボロボロの衣服に骨だけの体のアンデッドが威嚇しているのかカタカタと骨を鳴らしながら手を上げてこちらに近づいてくる。
<旧レーヴ果樹園>の巨大昆虫も中々に人を選ぶものだったが、デンドロのリアルなアンデッドは下手なB級ホラーよりも恐怖を煽る存在だな。
とは言え不意打ちで現れたなら兎も角、待ち構えた状態で現れた【シビル・スケルトン】を特別怖がる理由はなく、寧ろゆっくりと歩いてくるそれは的でしかなく三発程矢を射かけると経験値とドロップアイテムに変わる。
落ちたドロップアイテムと矢を回収して問題ないことを確認して先に進む。
回収したドロップアイテムは複数本の骨。
このドロップアイテムが<墓標迷宮>を探索する理由だ。
アンデッドモンスターのドロップアイテムを使いコドクのスキルで種族アンデッドのモンスターを造るのが目的だ。
アンデッドのモンスターは全てではないが食事が不要なモンスターがおり、上手く使えばテイムモンスターの食費を減らす事ができるのではないかと思い立ち調べたらアルター王国では安定してアンデッドモンスターがいるのはここしかないとのことで、【墓標迷宮探索許可証】が手に入ったのでこうして<墓標迷宮>にやって来たのだ。
折角なので、余裕のある内は≪解体≫スキルを活かす為になるべく黒曜以外は召喚しないで戦って行きたい。
【シビル・スケルトン】以外にも【ウーンド・ゾンビ】や【ホーンテッド・スピリット】等のモンスターとも戦ったが【ホーンテッド・スピリット】は身体が霊体だからか、矢等の物理攻撃が効かなくて焦ったが、魔法攻撃の出来るゴブマジを召喚して倒して事無きを得た。
毎回召喚するのは面倒だったので以降はゴブマジもパーティーに加えて探索を続ける。
それから一層を巡りアンデッドモンスターを狩り、モンスター素材のドロップアイテムが百を超えたので早速だがお試しでコドクをする事にした。
実際にどうなるかは別として、アンデッドモンスターをテイムするのに【
テイム出来なくても、経験値になるのでサクッと試してみよう。
「《蠱毒生成》」
左手の紋章から出したコドクを設置してスキルを発動する。
コドクに入れたアンデッドのドロップアイテムを一〇〇個選択して、HPMPSPを各五〇〇〇投入する。
ここで更にコドクが第二形態に進化した事で新たに増えた機能を使う。
それは武器の提供だ。
まぁ、提供と言っても準備するのは俺なのだが。
この機能は《蠱毒生成》時にモンスターだけだった壺の中に事前にコドクに入れた武器がランダムに出現するというものだ。
実験も兼ねて【リトルゴブリン】の素材ばかり使っていたせいであろう。人型のモンスターの使用率が高かったから武器を使わせてあげるコドクさんは優しいと言うべきか、もっと過激に殺し合わせる鬼畜と言うべきは判断に迷うな。
それぞれのコストが一体辺り各五〇とそれ程多くないが、初心者が相手にするような強さの為か、コドクの中で生まれたモンスター達は元の姿とほぼ変わらない状態だった。
さぁ、ここから最後の一体に成るまで戦うのだ……あれ?
コドクの中に現れたアンデッドモンスター達は特に戦うことなく彷徨っていた。何でぇ?
今回アンデッドモンスター達が争わなかった大きな理由は彼らの自我が薄かったことですね。
彼らは<墓標迷宮>の為に産み出されたアンデッドモンスター達は自我が薄く生存本能が弱いのに仮初め復活で更に薄まった為にコドクからのデスゲームしてね!というアナウンスに反応しないかつ、同じアンデッドを襲う理由がないので、戦闘しなかったとなります。
これが某山賊団頭目のネクロマンサーの様に死にたくねぇ!の感情が強かったり、違う種族のモンスターが居ればアンデッドの本能で別種族のモンスターを襲う事もあったでしょうが現段階では<墓標迷宮>産の弱いアンデッドのモンスターだけで蠱毒をするのは無理ですね。