三国時代まで生き残りたい   作:でねでね

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30話 五丈原の戦い2

226年 4月 五丈原

 

 五丈原。標高約500〜600メートルもの高さがあり、三方が切り立った崖となっている台地。この台地は南北に細長く伸び、北側を黄河最大の支流である渭水が流れ、南側を秦嶺山脈に臨む。また、東側は同じく渭水へと続く河川・武功水が秦嶺山脈より流れており、ちょうどアルファベットの『T』の様になっている地形。

 ここは北伐の要・長安まで距離にして約140km、歩兵の行軍でも2日程で辿り着くことが可能であり、数で劣る蜀漢が魏軍を見渡し迎え撃つ為の天然の要害である。しかし兵站線が伸びる蜀漢6万の兵を支える補給限界距離でもあった。

 

 ということで。『T』の左側におれ達は陣取ってるんですねーっと、独り言を呟きながら今日も諸葛亮が発明した木牛で水稲の苗を運び、地元民とせっせと田植えに勤しんでいたがついに魏軍襲来の一報が届いた。

 

 敵総大将は司馬懿。本来は長安を守護するのは大将軍・曹真であったが、親征してきている魏帝・曹丕が病に臥せっているため名代として長安から動くことが出来ず、諸葛亮の永遠のライバルとして名高い司馬仲達が20万もの大軍を率いて現れた。

 

 

蜀漢軍 6万

劉備、諸葛亮、龐統、関羽、張飛、趙雲、黄忠、田豫、呂玲綺、姜維他

 

魏軍  20万

司馬懿、張郃、郭淮、夏侯覇、夏侯恵、夏侯和、孫礼、鄧艾他

 

 

 司馬懿は武功水を挟んで蜀漢対面40kmほど離れた馬冢の高地に陣取った。蜀漢軍を潰すために戦を運ぶのなら、数の有利を取り渭水の北岸を抑え、広大な平野を利用して補給路や兵力の展開、それによる主導権を握る事こそ定石であった。しかし司馬懿の判断は渭水の南岸の死守、その一点。蜀漢の弱点は兵站の細さによる持久戦の不利、故に渭水南岸の魏軍後方に位置する大量の食糧庫を蜀漢に奪わせず、守るべき長安への主要道を抑える事が必勝であると見抜いていた。

 

 ここに絶対に戦わせたい諸葛亮と絶対に戦いたくない司馬懿の我慢比べが始まった!

 

 

 

「という状況ですな。孔明殿もあの手この手で敵軍に武功水を渡らせてコチラが地の利を使った防衛戦にて数的不利を覆したいところですが、なかなか敵の司馬懿も堅実ですな。暖簾に腕押しでしょう」

 

ほーん、あれだけの大軍だ。こちらから突っ込んだら武功水を渡り切ったあたりで包囲されるのは目に見えているだろうしな。それこそコチラ側が背水の陣になってまうなー。

 

「その通りですな。まぁ張飛将軍なら一矢報いて風穴ぐらい開けてくれそうですが、殲滅されるのは時間の問題でしょう」

 

うむうむ、そのために左翼・北の渭水側に配置させたんだ。アイツの独断専行だけはさせない様に言いつけておこう。

 

「それが上策でしょう。張飛将軍はその武に目が行きがちですが、戦運びが上手い。ですが機転が利く半面、短慮に進めてしまう癖があるので合図は此方に任せてもらいたいですな」

 

そうだな、ところで士元。このままでは敵の増援が涼州に行ってしまうぞ。孔明と『違って』おれと碁打って茶飲んでばかりだがお前は働かないのか?

 

「安心召されよ、この龐士元。孔明殿ともう策は仕込んでおります、細工は流々 仕掛けは上々後は仕上げを御覧じろ・・・といったところ」

 

ほ〜、流石だな。

でも事務ぐらいはやれよ、孔明が半ギレしながら仕事してるって姜維がボヤいてたぞ。

 

「なに、孔明殿はあれぐらいで調度良いのです。鞭打ち20回以上の刑罰執行も良いストレス解消になっている事でしょうな。わっはっは」

 

(´・ω・`)

 

 

 五丈原にて膠着状態になった両軍の状況に、長安の曹真は洛陽から到着した援軍を涼州・武威救援のために安定方面へ進める。安定は涼州東の玄関口であり軍事的な重要拠点、その本質は『異民族による中華への侵入経路』であった。

 

 鮮卑の部族長・軻比能は諸葛亮の使者と莫大な金によって蜀漢に呼応。魏の勢力圏であった安定へ矛先を向けていた。長安からの援軍は安定防衛のため足止めされ、馬超の一軍は遂に故郷の武威に辿りついたのである。

 そして、南東の虎も同調する。

 

 

226年 5月

 

 蜀漢軍は丞相・諸葛亮の号令によって戦いの火蓋が切られた。

「全軍これより攻勢を開始する。左翼・張飛将軍の部隊に渭水を北上させなさい、北の平原を押さえるのです。」

 

 張飛は歩兵主体で渭水を跨ぎ北岸へ渡り始めるが、魏軍・司馬懿も既に手を打っていた。当初は南の食糧庫を守ることを第一に、兵力の分散を避け各個撃破への対策をしていたが、郭淮の説得と進言により、その部隊を渭水北部の守備に回していた。諸葛亮と司馬懿が対陣する事1か月余り、ここに五丈原の戦いが始まった。

 

 緒戦の渭水を背に攻める張飛と堅守する郭淮の戦いは意外にも張飛有利に進んでいた。背水の陣での進軍はしない予定だったため即座に諸葛亮は張飛に南に戻るよう指示をしたが、魏軍の防備が急ごしらえで間に合っていなかった事に加え、戦闘開始後も司馬懿の動きが鈍かった事もあり、武力による突破で推し進めていた。

 攻める張飛に対して郭淮はよく守っていたが、諸葛亮は張飛の力戦に後退の指示を撤回、打つ手を止めず五丈原に残る部隊の大部分の兵力を左翼・渭水側に集中、その先陣に黄忠・呂玲綺の騎兵を配置した。蜀漢軍の動きを対岸で見ていた司馬懿は形勢が不利と見るや即座に主力部隊を率いて郭淮の援護に向かう。

 

 蜀漢は渭水北岸での決戦を狙っているのだ・・・

 

 

 

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