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俺がロレッタから渡されていたベルを鳴らすと、ラーちゃんとロレッタは直ぐに部屋に戻ってきた。
ラーちゃんは…ソワソワしてるかな?多分ラーちゃん的には告白の答えを直ぐしてもらえる、それによっては…と思っている感じだろうか。
だか、ここで直ぐに返事をする訳には行かない。やはり、場所は大事だからな。
「アル、きめてくれた?」
「そうだね、決めたよ」
「なら……!」
「でも、もう少しだけ待って欲しいな」
「えっ……」
あー、呼ばれたのに待ってって言われたせいでラーちゃんが悲しそうな顔になってしまった。そりゃそうだよな。待ってもらう理由をすぐに伝えなくちゃ。
「ごめん、返事はすぐしたいんだけど……場所を変えたいなって思ってさ」
「場所を……?」
「うん、ここよりも相応しい場所があるから、そこでと思ってね」
「……わかった。ロレッタ、いい?」
「もちろんです、ラーナ様」
「助かるよ、ラーちゃん。向かうのは外だけど、それでもいいかな?」
「いいよね、ロレッタ?」
「はい。大丈夫ですよ」
「ロレッタ、ありがと……いこ、アル」
ラーちゃんとロレッタはすぐに部屋を出て行こうとしているので、俺も追いかける、
さて、ここからは先に進んだら戻れないだろう。色々な事が進むし、止まってしまうだろう。
エルナ母さんやノルド父さんには悪いけどね……
俺たち3人は屋敷の中では一言も話さず、玄関まで降りてきた。
靴を履いていざ外に出るぞ、というタイミングでロレッタが声をかけて来た。
「アルフリート様、向かいたいところという事ですが、馬車はお使いになりますか?」
「あー、大丈夫かな?庭まで行ければいいからさ」
「かしこまりました。それで向かいましょう」
俺がラーちゃんと行きたいところは、まあ王都の中ならどこからでも行けるからな。あまりシューゲルやフローリアのミスフィード家の人たちには見られたくないが……仕方ないか、
そんなことを考えながら俺たちはミスフィード家の大きな庭にたどり着いた。
「アル、ここからどうするの?お庭で答えてくれるの?」
「ううん、今から用意するよ」
そう言って俺は、先日ラーちゃん達と買い物に行った最後に使った無属性魔法、大量のシールドによって天空への階段を用意した。
目の前に大量のシールドが現れたことにロレッタは混乱している、
ラーちゃんは1回登っているからか落ち着いているし、何より
俺とラーちゃんは1つ約束をしていた。それは……
「アル、お空の上に連れて行ってくれるの?」
「そうだよ。一緒に着いてきてほしいな」
「やくそく、守ってくれてうれしい」
「俺もまたラーちゃんと空の上に行きたかったからね」
混乱していたロレッタだが、ロレッタも何回かは俺が使ったシールドの上を俺やラーちゃんが乗って移動した所を見たことがあるはずだ。
魔法については信頼されているはずなので、俺とラーちゃんだけの秘密の場所天空バージョンと言ったところなので、正直ロレッタは置いていきたい、やりたいこともひとつあるし。
「ロレッタ、到底許せない事だと思うけど……ラーちゃんと俺だけで上に行ってきていいかな?」
「……かまいません。アルフリート様にならラーナ様を託す事が出来ると思っておりますので」
「助かるよ。じゃあラーちゃん、行こうか」
「ん!」
ラーちゃんは俺の方に手を伸ばしてきた。何をして欲しいかなんて言わなくてもわかる。俺はラーちゃんと手を繋いで一緒に階段を登り始めた。
ああ……なんだろう、前回手を繋いだ時は何も思わなかったけど、ラーちゃんから告白されたり俺が考えてる事を伝えようと思いながらの手繋ぎは……とても心地よい。
ラーちゃんの年相応の手の小ささ、柔らかさ、それでいてしっかりと俺と手を繋ぐために力を入れているのか、ダイレクトにそれが伝わる。
なんか、変態っぽいな俺……あまり考えないようにしよう。
そんなことを思いながら前回と同じくらいの高さまで着いたので、前回同様少し大きめのシールドを作りしっかりとした足場にする。
「着いたねラーちゃん。相変わらずいい景色だ」
「うん!」
暫し俺とラーちゃんは
天空から王都の景色を眺める。この高さから安定して景色を見れるのは王城に住んでいる人か俺ぐらいだろう。
シールドを足場にする魔法はとても難しいと聞いたことがある。
そして、階段を昇った時の疲れと体の火照りが冷めてきた頃、ラーちゃんが声をかけてきた。……また、なにか決心したみたいだな。少し顔が赤い。
「アル!」
「どうしたの、ラーちゃん?」
「わたし、アルのことだいすき!!」
「ありがとう、ラーちゃん。そう言ってくれて嬉しいよ」
「えへへ……アルはわたしのこと……」
「ごめん、ラーちゃん。俺に言わせて貰えないかな?」
「……えっ?」
また、先に言われてしまったな。そろそろラーちゃんも我慢の限界だったんだろう。ここまで来たんだし、早く答えてあげなきゃな。
「ラーちゃ、いや違うな…ラーナ様」
「……」
「付き合っていただけないでしょうか?」
ラーナ様呼びをしたからなのか、ラーちゃんが不満そうな顔をしている……けど、一応最低限の礼節なりを持つとなると、こうなってしまう。慣れてないからこれがあっているとは言わないけど。
「……やだ!」
「え……」
こ、断られてしまった……え?!?
「ラーナ様なんて、アルに言われたくない!」
「……ですが、ラーナ様」
「やだ!いやなの!」
「それは…」
「だめ!アルはそんなのはだめなの!」
断られた理由は、多分俺が硬いから……だと思うんだけど、あってるよな…?
いつも通りの話し方で言わなくちゃいけないのか。でも、いいのか、それで…?
「アル、いいなおして!さっきみたいのはやだ!」
「……わかったよ」
……仕方ないか。まあ俺とラーちゃんの仲だもんな。ましてここには俺達しか居ないんだから、話し方なんて気にすることはないか。
「ねぇ、ラーちゃん?」
「なーに、アル?」
「俺と付き合って欲しいな」
「アル!ありがと!だいすき!」
「俺も……ラーちゃんが大好きだよ」
貴族同士、しかも身分の差があるのに、なんて軽い告白なんだろう。でも、きっとこれが俺達らしさなのかもな。
そして、ラーちゃんは満面の笑みで俺に抱きついてきた。
「これから、ずっと、ずーーっと!いっしょだよ!」
「そうだね……俺もラーちゃんとずっと一緒にいたいよ」
それは難しいのかもしれない。俺達の好いた惚れたが通用するかどうかは、ミスフィード家が決めることだろう。
場合によってはもう二度とラーちゃんと会えなくなる可能性もある。けれど今だけは……ラーちゃんと一緒に居よう。
……いや、違うな。もし親や家の都合、貴族の問題でラーちゃん一緒に居れなくなる時があるならば……その時はラーちゃんを連れて逃げてしまおう。
俺には、逃げるための力が、ラーちゃんとずっと一緒にいるための力があるのだから。
ラーちゃんにならば、俺の最大の秘密を教えても構わない。内緒にしてねと伝えれば、ラーちゃんは俺を裏切ることは無いだろう。
「ねぇ、ラーちゃん」
「なーに?」
「ひとつ、俺の秘密を教えてあげる」
「ひみつ?」
「うん。でもね、誰にも知られたくないことなんだ。ラーちゃん以外には。だから内緒にしてくれるかな?」
「うん!だれにもいわない!パパにもママにもロレッタにも、アレイシアにも!」
「約束だよ?」
「やくそく!」
さて、今まで誰にも明かしたことがない秘密……古代魔法の空間転移。
エリックやエリノア姉さんで試したことがあるから、俺以外の人間も一緒に出来ることは確認済。
「このまま、俺に掴まっててね」
「わかった!」
そういうとラーちゃんは抱きついている力を込めてきた。
「じゃあ、いくよ!」
そして、俺は足場のシールドを解除した。
もちろん、床が無くなれば俺とラーちゃんは自由落下を始める。
流石のラーちゃんも急に落下を始めたせいで混乱している。
「アル!?なにしてるの?!おっこちゃう!」
「大丈夫だよ。俺を信じて?」
「うぅ……!!!」
徐々に落ちるスピードが上がってきた。そのせいでラーちゃんが話せなくなってるけど、信じてくれるのか俺に抱きつく力が上がっている。
まあ、怖いよな。でも大丈夫だ、俺にはこの力がある。
俺は魔力を込め、ある場所をイメージ。そして俺とラーちゃんの体は上空から消えた。
「よっ……と。着いたよラーちゃん」
「……こわかった!アル!さきにいって!」
俺の体に抱き着いたまま、胸の中で少し泣いてるラーちゃんを宥めつつ、俺とラーちゃんがたどり着いた場所の景色を見せる為に声をかける。
「ごめんね、ラーちゃん。でもここに連れてきたかったんだ。後ろを向いてくれる?」
「……うん」
最後に俺の服で涙を拭ってからラーちゃんは振り向いた……その先は…
「…わぁ!!」
「綺麗でしょ?」
「うん、すごい!!」
俺が連れて来たのは、カグラにある春と修一と遊んだ神社の前。海も
見える絶景の場所。
「でも、ここどこ?」
「ここはカグラ、少し前に俺が来たことがあるんだ」
「どうやって……きたの?」
「これが俺の秘密の魔法さ」
「まほう!?」
「そうだよ」
魔法と聞いてラーちゃんがビックリしている。まあそうだよな。魔法一族の家系に産まれて居るのだ。幼いとはいえ魔法の種類やある程度の勉強はしているだろう。だが、この魔法は既に失われている古代魔法。もう少し大きくなれば知識のひとつとして教えられたりもするだろう。
「どんな魔法!?」
「これはね、古代魔法の空間転移だよ」
「くうかんてんい……?」
「ラーちゃんには少し難しいか。好きなところに行ける魔法だね」
「すごい……アル、すごい!!」
「まあね。これが俺の秘密の魔法さ。内緒にしてくれるかな?」
「うん!」
「ありがとう、ラーちゃん。でもそろそろロレッタが心配するだろうから今日は帰ろっか」
「そうだよね……」
カグラの探索をラーちゃんとするのも楽しいだろうけど……流石にこのままラーちゃんを連れまわす訳には行かない……めんどくさいからロレッタにも教えようかな……。
今までは俺だけでも、ミスフィリト王国からカグラまでだと1日1往復が限界だったけど、今なら3人同時転移した時でも持つと思うし。
「ラーちゃん。俺に掴まってくれる?」
「うん!」
また抱き着いてきた。可愛い子だ……
「またこようね、アル!次はロレッタも……」
「そうだね。ロレッタにも教えちゃえばカグラ観光もできるしね」
「……いいの?内緒なのに……」
「まあ、ロレッタならラーちゃんが頼めば内緒にしてくれると思うからね」
そう言って俺はラーちゃんを連れて、次はミスフィード家の家のラーちゃんの部屋を思い浮かべて転移した。
うん、魔力はまだまだ余裕がある。ラーちゃんとならもう一往復はできるくらいか?
「着いたよ、ラーちゃん。ロレッタに見つかるとまずいからとりあえずラーちゃんの部屋だけどね」
「わぁ、わたしの部屋だ!やっぱりアルはすごい!」
「さ、もう1回転移するよ。次は空の上に」
「うん!」
元の位置に帰らないとロレッタも混乱するだろうしな。転移してすぐにシールドを貼れば大丈夫だろう。
「よし、元に戻ってこれたね。どうだった、ラーちゃん?」
「ほんとだ……さっきアルと落っこちたところだ!」
「さて、ロレッタが玄関の前で慌ててるから降りよっか」
「わかった」
俺はミスフィード家の玄関の前まで大量のシールドを発生させ、降りるための階段を生成させた。
いざ降りるぞ、と今回は俺からまだ王都を眺めて反対を向いていたラーちゃんに手を伸ばし声をかけようとすると、ラーちゃんが振り向いて、
「わたし、アルが大好き!だーいすき!」
と。うん。ここは俺もだよな。
「俺も、ラーちゃんが大好きだよ」
と伝え、にっこり笑顔になったラーちゃんの手を掴み、俺とラーちゃんは階段を降り始めた。
これにてラーナ編これにて終了です。
この話を書き始めた理由として、ラーちゃんともう1回空の上に行くと約束していたのにそのまますぐ帰ってしまったからなんですよね。そこだけはどうしても納得できなかった。
別のヒロイン候補についても思い浮かべば書きたいと思います。ここまでありがとうございました。