吾輩は猫妖怪である。   作:妖怪ウォッチ大好き人間

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 たくさんの高評価ありがとうございます!
 やっぱり、妖怪ウォッチは偉大だ⋯⋯!


初めてできた妖怪のともだち!

「⋯⋯せい、先生!起きるニャン!」

「⋯⋯ぅ」

 

 先生は自分を呼ぶ声を聞き、目を覚ました。

 どうやら後頭部をぶつけたらしく、痛みに顔をしかめながら体を起こし⋯⋯。

 

「あ、やっと起きたニャン?起きなくてそのまま妖怪になるかと思ったニャンよ」

「ひっ⋯⋯!?」

 

 目の前にいたジバニャンの姿を見て、飛び退く。

 

「そこまで怖がられるとちょっとショックニャン⋯⋯こんニャにプリチーな見た目の妖怪、なかなかいないニャンよ?」

「あっ、ご、ごめんね⋯⋯」

 

 悲しいオーラを出すジバニャンを見て、思わず謝罪する先生。

 

「ま、いいニャン。改めて自己紹介するニャン。オレっちはジバニャン。お前たち人間が言うところの、妖怪ニャン」

「よ、妖怪⋯⋯!?」

 

 妖怪。それは人間の理解を超える奇怪で異常な現象を引き起こすと言われている、科学では到底説明できない存在のこと。

 それが今、先生の目の前にいるというのだ。

 

「ま、驚いたり怖がったりするのも無理はないニャン。妖怪は普通、目に見えニャいニャン」

「え、でも⋯⋯」

 

 ジバニャンの話とは違い、先生は今、ジバニャンの姿や形、存在をしっかりと認識できている。

 その疑問は予想していたらしく、ジバニャンが説明してくれた。

 

「それは先生がさっき使った腕時計、『妖怪ウォッチ』のおかげニャン」

「妖怪ウォッチ⋯⋯?」

「人間とオレっちたち妖怪とのコミュニケーションツールニャン。それをつけて右のボタンを押せば、さっきみたいに光が出るニャン。その光で妖怪をサーチすれば、人間でもオレっちたちを認識できるようになるニャン」

 

 ジバニャンの説明を聞いた先生は、左腕につけた妖怪ウォッチを見る。

 

「⋯⋯あの、ジバニャン」

「どうしたニャン?」

「なんで渡してくれたのかとか、色々聞きたいことがあるんだけど⋯⋯とりあえず、これは返すね」

 

 妖怪ウォッチを外して、ジバニャンに差し出す。

 まさか返されるとは思っていなかったジバニャン、頭の中が真っ白になりそうになりながらも口を開いて先生に問いかける。

 

「な、なんでニャン⋯⋯!?デザインが気に入らニャいとか、そういう話かニャン!?」

「⋯⋯そのー、ね。私、ホラーとか、怖い話が苦手なんだ。もちろん、妖怪とかも」 

「ニャにーー!?」

 

 ジバニャンにとっての、衝撃のカミングアウト。

 まあ確かに、世の中には一定数そういう人がいるのは知っている。知っていたが、よりにもよって先生がそうだったとはジバニャンも思っていなかった。

 

(聞いてないニャン!これじゃあ、あの約束を果たせなくなるニャン!どうにかして、オレっちたち妖怪の凄さをアピールしニャいと⋯⋯!)

 

 今のジバニャンにとっての生きる意味である『約束』。その約束を果たすため、先生には妖怪ウォッチを持っておいてもらわねば困るのだ。

 そのために思考を巡らせたジバニャンは、何かを思いついたらしく口を開く。

 

「⋯⋯先生。何か困ってることとかないニャン?」

「えっと、いきなりだね?うーん⋯⋯あ、思い出した」

「お、何かあったニャン!?」

 

 妖怪の凄さをアピールチャンスが!とテンションが上がったジバニャンだったが⋯⋯。

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻さないと。ジバニャンに会った衝撃で忘れてたよ」

 

 相手は先生。生徒のことを第一に考えるのだ。

 先生はジバニャンに差し出すも受け取られなかった妖怪ウォッチを机に置き、シッテムの箱を起動しようとして⋯⋯。

 

「それなら、オレっちたち妖怪にお任せニャン!」

 

 それをジバニャンが止めた。

 

「え?」

「妖怪ウォッチ、ちょっと借りるニャン!」

 

 そう宣言して、先生が机に置いた妖怪ウォッチを手に取る。そして、腹巻の中を漁って一枚のメダルを取り出した。

 

「オレっちのともだち、出てこいロボニャン!妖怪メダル、セットオンニャン!」

 

 そして、そのメダルを妖怪ウォッチに差し込んだ。

 すると、何処からか流れてくる不思議な音楽と共に、謎のゲートが現れた。

 

ゴーケツ、召喚!

ゴーケツ!ゴーケツ!カンゼンムケツのダイシュウケツ!

 

『ロボニャンF型!』

 

 そして、召喚されたロボニャンF型。

 当然だが妖怪だから見えないので、ジバニャンは先生に再び妖怪ウォッチをつけさせて、ロボニャンをサーチさせた。

 

「ろ、ロボット⋯⋯?こ、これも妖怪⋯⋯?」

 

 見えるようになったロボニャンF型を見て、先生は首を傾げた。

 どう見ても妖怪という感じはしないし、無理もない。

 

『久しぶりだな、ジバニャン。何があった?』

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻したいニャン。どうにかできないニャンか?」

『フッ、未来のロボットである私に不可能はない』

「えっ?制御権を取り戻せるの?」

 

 二人の関係性が分からず黙って会話を見届けていた先生だったが、ロボニャンF型の言葉を聞いて目の色を変えた。

 

「流石ロボニャンニャン!」

「すごいね、妖怪って!」

「ニャハハ♪妖怪は怖いだけじゃニャいニャン」

 

 先生の妖怪を見る目が変化したことに気づき、作戦が成功したと満足げなジバニャンはにっこり笑顔だ。

 そんな二人を見つつ、ロボニャンF型は告げる。

 

『では、行ってくる』

「ニャ?どこ行くニャン?」

『サンクトゥムタワーを破壊してくる』

「ニャ?」

「待って?」

 

 とんでもないことを言い出したロボット妖怪を止める先生。

 止められたロボニャンF型は、不思議そうに首を傾げている。

 

「ダメだよ、それは」

『何故だ?制御権を取り戻すなんて面倒なことをせずとも、破壊して再建したほうが早い』

「建て直すのに何日かかると思ってるニャン!?ハッキングとかすればいいニャン!」

『今の私の装備ではハッキングはできない』

「不可能はないんじゃなかったっけ⋯⋯」

『不可能ではない。今はできないだけだ』

「それを不可能って言うニャン⋯⋯」

 

 子供みたいな言い訳を始めたロボニャンF型に呆れる二人。

 

『⋯⋯どうやら、今の私にできることはないようだ。では、さらばだ。アイル・ビー・バック⋯⋯!』

 

 ロボニャンF型はそう言って未来へのワープゲートを作り出し、颯爽と去っていった。

 残されたジバニャンと先生は、顔を見合わせ。

 

「⋯⋯シッテムの箱、起動するね」

「ニャ、それが一番ニャン」

 

 

 

 

 その後、シッテムの箱を起動した先生は、シッテムの箱の中にいたメインOSで先生の秘書を名乗る『アロナ』の協力を得てサンクトゥムタワーの制御権を入手し、制御権を連邦生徒会に移管。

 

 問題の解決を確認したリンからシャーレについての説明を受けた後、ユウカ・ハスミ・スズミ・チナツの四人に感謝を伝えて解散し、シャーレを取り巻く騒動は終結した。

 

 しかし、まだもう一つの問題が解決していない。

 

 ユウカたちと分かれた先生は、奪還したシャーレの部室でジバニャンと話をしていた。

 

「⋯⋯ジバニャン、教えて。どうして、私に拘るのか」

 

 先生は問いかける。

 しかしジバニャンは何かを考えているのか口を開かず、それから数分間の沈黙が流れる。

 

「⋯⋯あの子と約束したからニャン」

 

 そんな沈黙の中、ジバニャンが口を開いた。

 

「あの子っていうのは、誰なの?」

「教えられニャいニャン。それも、あの子との約束の一つニャン」

「分かった。それじゃあ、その約束の内容は?」

「⋯⋯それも、教えられニャい」

 

 どんな質問をしても、答えられないの一点張り。

 先生の望む答えは返ってこなかった。

 

 それだけ言って再び黙り込んでしまうジバニャンと、顎に手を当てて何かを考えている先生。

 

(⋯⋯やっぱり、妖怪はそういうものニャンね。むしろ、あの二人が特殊だっただけニャン)

 

 これまでも何度か、妖怪ウォッチを人に渡すことはあった。

 しかし、そのほとんどが妖怪のことを拒絶し、妖怪ウォッチを手にすることを拒んだ。

 

(あの子が言ってた先生ニャら、大丈夫だと思ってたけど⋯⋯)

 

 先生も拒絶こそしなかったが、妖怪を怖がっていることに変わりはない。

 きっと今も、ジバニャンを傷つけずに妖怪ウォッチを返す方法を考えているのだろう。

 

「⋯⋯ジバニャン」

「⋯⋯!」

 

 今まで黙っていた先生が口を開く。

 

「ごめんね⋯⋯考えてみたんだけど、やっぱり私は、妖怪が怖い」

「⋯⋯そう、ニャンよね⋯⋯」

 

 口から出てきたのは、妖怪が怖いという言葉。

 予想はしていた。けれど、辛いものは辛い。

 

 ジバニャンはそれを悟らせないように、明るい声を意識して言った。

 

「ごめんニャン。怖いのに、無理やりオレっちたちの姿を見せちゃって。でも、大丈夫ニャン!今からオレっちが『わすれん帽』って妖怪を呼び出すニャン。その妖怪に取り憑いてもらえれば、オレっちたちのことは綺麗さっぱり忘れられるニャン!」

 

 そう言って、持っていた妖怪ウォッチでわすれん帽を呼び出そうとして。

 

「でもね、ジバニャン」

 

 その手を、先生に握られた。

 

「知りたいと思ったんだ。妖怪のことを、ジバニャンのことを」

「ニャにを、言って⋯⋯」

「不思議だよね。今日呼び出したロボニャンF型って妖怪も、見た目はロボットなのに妖怪なんだから。他にもきっと、たくさんの妖怪たちがいるんでしょ?」

「⋯⋯そうニャン!知ったかぶりな執事の妖怪もいるし、ソフトクリームが大好きな妖怪、ウサギじゃニャいのにウサギの名前してるやつもいるニャン!とにかく、たくさんの妖怪がいるニャンよ!」

 

 初めてだった。

 自分のことを怖がりながら、知りたいなんて言った大人は。

 

「⋯⋯改めて、オレっちはジバニャン!これから、よろしくニャン!」

「よろしくね、ジバニャン!」

 

 だからきっと、これは必然なのだ。

 ジバニャンの体が光り、ソレが飛び出したのは。

 

 先生の手の上に飛んでき他ソレを、先生は受け取る。

 

「コレは⋯⋯」

「それは『妖怪メダル』だニャン。オレっちたちが『ともだち』になった証で、それがあればさっきオレっちがロボニャンを召喚したみたいに、先生もオレっちを呼び出せるニャン!」

「⋯⋯妖怪メダル、か」

「さっそく、オレっちを呼び出してみるニャン!」

 

 ジバニャンは、持っていた妖怪ウォッチを先生に手渡す。

 彼女はそれを受け取り、左腕に装着。そして、妖怪メダルを右手に持って、妖怪ウォッチに差し込もうとして⋯⋯。

 

「そうだ、これって呼び出す時に何か言うものなの?」

「自由ニャン。好きに呼べばオッケーニャンよ!」

「分かった。それじゃあ、行くよ!」

「ニャン!」

 

 先生は、右手に持ったメダルを高らかに掲げて言う。

 

「私のともだち、出てこいジバニャン!妖怪メダル、セットオン!」

「ニャー!」

 

 こうして、先生たちの普通じゃない日常が始まった。




・ジバニャン(憑依)
実は、今までも色んな人にもウォッチを渡してた。
先生の初めてのともだち妖怪。

・先生
怖がりなのは変わらない。
大人としては初めてのジバニャンのともだち。

・ロボニャンF型
結局何もせずに帰っていった妖怪。
不可能だったんじゃない。今はできないだけだ。
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