美容整形外科医が起こした医療ミスがやがて人類の希望となる話

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癌VS美容整形外科医

その美容整形外科医は美容整形外科医で

ありながら医療史に大きな功績を残した。

 

事の始めは、最近流行りの脂肪溶解の施術を

とある中年女性に行ったところから始まる。

それ自体は彼の美容整形外科クリニック

では日常的に行われていた事だったが、

そこで痛恨の医療ミスをしてしまう。

本来彼のクリニックでは、デオキシコール酸と

他の薬剤を併用して注射するのだが、

他のクライアントに使う全く別の薬剤を

間違って使ってしまったのだ!

彼がそれに気づいたのはその中年女性が

帰った後だった。

正直に言って謝罪しようとも考えたが、

使用した薬剤が中年女性に悪影響を与えない

方にワンチャン賭け、黙っている事にした。

 

結果、整形外科医は賭けには勝った。

悪影響は出なかったのだ。

ただ脂肪溶解によるシェイプアップ効果も

なかった事で中年女性は激怒した。

怒った中年女性は整形外科医を効果のない

施術で金を騙し取ったと告訴してくる。

しかし、その告訴の過程で、いかに脂肪に

効果が出ていないかを証明しよう考えた

中年女性が別の医師の検査を受けた事で

事態が大きく変わる。

 

なんと、中年女性は腹部に癌が出来ていた

ようなのだ。

「ようなのだ」というのは、あくまで痕跡

が見つかっただけで、癌細胞は既に無かった

からである。言いかえると癌細胞は溶けて

死滅していた。

すなわち癌が治っていたという事だ。

 

この事実に世界中の癌医療が激震した。

それまで、切り取るか、薬で進行を止めるか、

放射線で焼き尽くすかの三択だった癌治療に

第四の選択肢が現れたのだから当然だ。

しかも、切除の様に手術はいらないから

患者への負担は少ない。

直接幹部に注射して癌細胞の水分に働きかけ

細胞膜を破らせ破壊する仕組みの為、

投薬の様に適性が合う合わないで効果が

左右されない。どんな細胞にも水分は含まれて

いるのだから。

そして、患部は直接注入する上、癌細胞の

一般の細胞よりも柔らかい細胞膜のみを

破壊出来る強さに調節出来るから、

放射線の様に周りの細胞まで破壊しない。

まさに夢の様な治療法だったのである。

 

日本のみならず世界中の医療機関から

注目されて、美容整形外科医は一気に時の人

となってしまう。

しかし、彼はあまり協力的では無かった。

せめて使った薬剤だけでも公表してくれと

周りは要求したが、のらりくらりと返事を

遅らせていた。

もちろん美容整形外科医も流石に薬剤の

管理はしていたので、間違って注入した

薬剤はすぐに分かった。

しかし、その薬品に問題があった。

日本のみならず多くの国で違法と

されている薬品だったのだ。

確かに夢の癌治療法を生み出した医師

として歴史に名を残す事に魅力を感じては

いたが、薬品の中毒性や危険性を考えると

今後の医師としての活動が出来なくなる程

のダメージを受けかねず、冒険して得られる

栄光より、金に不自由の無い現状維持を

選択しようとした。

 

当然、この期に及んでその様な希望が

通るはずがない。

各国の医療機関は共謀して新治療の存在と

彼の情報をマスコミに公表した。

美容整形外科医の逃げ場を奪ったのだ。

これにより、世界中の癌で苦しむ人や

その家族がその治療法を求めた。

彼らにとってはまさに命懸けである。

刺し違えてでも情報を聞き出そうとする

その迫力に負けて、ついに美容整形外科医

は薬品の名前を公表する。

しかし、これは全くの嘘であった。

一時的に事態を鎮静化させ、

その間に逃亡しようと考えたのだった。

なんなら美容整形外科医の腕を使い、

顔を変えてでも逃げてやる!と決心していた。

 

そして、逃亡しようと家に帰った所、

ヤクザが待ち構えていて、拉致される。

ヤクザの親分さんが末期癌なのだとか。

治療法が見つかっても実際に病院に

導入されるには長い時間がかかる。

そんなの待ってられるかという事で

拉致したらしい。

もう逃げ場はない。

ヤクザに洗いざらい話して赦しを乞う。

ところが流石はヤクザ。

違法薬品なんか物ともしない。

親分の命がかかっているのに法律なんか

知った事かと、逆に是非その薬品を使って

親分を治してやってくれと頭を下げられる。

ついに美容整形外科医はヤクザの親分を

治療する事なる。

 

施術は成功する。

元気になった親分は美容整形外科医に

闇で癌治療をやって金稼ぎをしようと持ちかけ、

元々逃亡予定だったし、

元の生活には最早戻れそうもない。

美容整形外科医は承諾する。

 

その日から美容整形外科医は隠れ家で

闇医者として活動した。

患者には色々な人が来た。

大富豪、経済界の重鎮、政治家、芸能人…

金のある奴は皆んな来た。

当然、闇医者の活動は違法だが、

患者には警察の上層部の人間も多くいた

から捕まる様なことは無かった。

流石はヤクザの采配と言った所だ。

 

そのうち医療関係者も患者として来る様になり、

乞われるがまま、患者の治療データを共有する

事になる。病院に赴き、医師たちの前で治療を

行うなど、治療法が認められだす。

そして、最大のネックとなっていた、

違法薬品についても密かに研究が行われ、

中毒性、危険性を抑えた代替え品が出来ると

美容整形外科医は再び表舞台に返り咲いた。

 

こうして死亡原因の半分が癌と言われた時代は

終わりを告げた。

美容整形外科医は癌治療の第一人者として

名を残した。

しかし、彼自身は再び美容整形外科医として

余生を過ごし、癌治療は二度と行わなかった

という。

 

 


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