「勇者が魔王に勝ったと連絡が入りました」

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第1話

「いや。マジでやったのか。あのバカ」

「そのようです」

 

 

 魔王討伐か。これで人の世は守られた。完!

 

「ってなるわけないわ。他の国はどこまでこれ知ってる?」

「恐らく距離的にも我が国が一番早いかと。ただ冒険者ギルドの支部長は、知っていてもおかしくないと思われます」

「だよねー。組織の都合もあって、アイツらの手は長いからね。ただこっちよりも民主的だから、意思決定には時間がかかるだろうし、そっちへの連絡は様子見かな」

 

 執務室の西側の窓を見る。東の隣国ワイハーは、我が国ヒィボン越しとはいえ、同じく魔王に悩まされ、同時に魔族の国セントラルと独自の連絡ルートを持つ数少ない国だ。ヒィボンが弱体化すると、次の標的になるのは間違いないため、長年友好的な関係を構築していた。

 

「ワイハーにはすぐに伝えるべきだろう。誠意を示すべきだ。そのためにも大まかな方針だけでも決めないとね。陛下はなんと?」

「おと……、陛下は『旧領の回復と難民の支援だけで良いんじゃね?』 とのことです。セントラルに正式に公表されている後継者はいませんし、誰も現れなければ、そのまま勇者に治めてもらうのもありと」

「旧領の範疇は、死んだ魔王即位宣言前の時点だよね。じゃあ、領土問題は……西次第か。パイの取り分は最小限と。で、勇者が神輿に乗った場合は大人しく担ぎ手に回るね。分かった。長年あくまで人間側であることを主張してきたのが報われたね」

 

 国交自体はそれなりにあるし、敵国とは言えホットラインは存在する。時には陣営に誘われたこともあったが、歴代の外交部は「お付き合いはしますが、我々は人間で、魔族の価値観を本当の意味で共有できるとは思えないのです。お互い正々堂々敵対しましょう」という態度を貫いていた。

 魔族と聞くと野蛮なイメージを持ってしまうが、別に年がら年中暴れたい訳ではない。人間とは違えど営みはあるのだ。魔族なりの倫理観もある。変にすり寄るよか、堂々と敵対している相手の方が、割り切った付き合いが出来る。

 そして多種多様な魔族をまとめ上げた魔王なだけあって、強大な力はあれど、妥協や生産性という面から話せる男だった。そうでなくては力こそ正義の魔族と言えど、種族を越えた王として戴かれるまではいかなかっただろう。

 何回か会談には参加しているし実際に会話したこともあるが、例え人間として生まれても、一国の長に成りうるであろう男だった。

 

「コウモリだった隣の西は、しばらく混乱するだろうな。その間に領土案も定めておかないと。……なんでオレこんな話してるの? 一介の事務屋だったはずなんだけど?」

「それはアナタが財務主任だからでしょう」

「いや、算数が出来たから事務募集に応募しただけで、会計係で一生終えるつもりだったんだけど? そもそもこの話自体、外務部の管轄だし、下手すれば大臣だけで決める話だよね?」

 

 前世日本人の記憶があったおかげで、四則演算や最低限の礼儀、読み書きの勉強には苦労しなかったからね。特別な才能はなかったが、算数が出来たからこの職に就いたに過ぎない。

 なんで予算の執行じゃなくて配分する係になってんの。しかも外交部と軍部の開発局にはしょっちゅう打ち合わせを求められるし。特に軍部はどう考えても魔法部案件のことまで聞いてくる。たかがライフルの概念と、うろ覚えの火薬の材料を教えただけだぞ。俺みたく魔法の才能のない人間が兵力として換算できるのは、たしかに魅力的なんだろうが。

 あとは有事の際の補給路と、通常時の備蓄について、腹割って話しただけだ。軍隊は金食い虫だから率直に、財政の現状と軍隊の重要性について遠慮なく言い合っただけである。

 

「外務大臣からは、アナタの意見と予算について聞いてこいと。財務大臣は任せるとのことです」

「なんで俺に全部任せるの? 滅ぶよこの国?」

「そうならないよう、頭を回してください。アナタの思考速度と概算能力の高さは、皆さん信用してますから」

 

 そう言って秘書官のアンナは、直立不動の仏頂面で続きを促してくる。

 あの時は気が付かなかったが、その赤髪と素面の時の目力は陛下そっくりだよな。目の色は緋じゃなくて琥珀だけど。

 後輩として入ってきて、ハニトラ仕掛けてくる前まではあんなにかわいかったのに。アンナだけに。ドジをするといつもオロオロしててなー。今じゃすっかり塩対応ですよ。

 既に故人と聞いている母親は他国の諜報員だったそうで、演技に関しては天性のものがあるのだろう。

 

「あの時君に手を出しさえしなければなー。下っ端でいられたのに。なんでよりによって陛下の隠し子なのさ……」

「仕事も生まれも、私は選べる立場にないので。とっとと予算を出してください」

「はいはい。一応準備はしてたからね。いくつかパターンがあるから、タイトルはちゃんと確認してね」

 

 彼女と寝た翌日、陛下に呼び出されたことは今も昨日のことのように思い出せる。何事だと思って私室に行くと、「アンナと寝た?」「はい」「実は余の隠し子なのよ」「はいぃ?」となった時は獄死を覚悟した。

 「身も心もこの国に捧げます」と誓ったら許してもらえたが、今の状況を考えると、そうじゃないのかもしれない。いくら表沙汰に出来ないとはいえ、実の娘だからね。

 なんやかんや今でも、うん。クソ忙しいから溜まるとインスタント感覚でこう、身近な、ね。いつもは抱えた書類の束で押し上げられているアレを、オレの肩に押し付けてくるときが、お誘いサインだったりする。この国にコンプラの概念はまだ出来てないからセーフ。

「一応勇者の神輿を担がないパターンも考えてみたから。ワイハーも恐らく担ぎ手に加わるとは思うが、セントラルの魔王がいなくなっても、ヒョードルが残ってる。まだどう転ぶか分からん」

「セントラルとヒョードルは魔族だから手を組んでいただけで、水面下では足を踏み合ってましたよね? 継承権の主張はするのでしょうか」

「一応するでしょ。同じ魔族だし。ただ、あっちは体はデカけりゃデカいほど良いと思ってる。俺があっちの人間ならとりあえず主張しておいて、時間が経って人間同士がゴタゴタし始めたら、適当な所かすめ取るけど、やっこさんは読めん。セントラルと違って、本当に一番強いヤツがトップになる国だから」

 

 王様決めるのに天下一武道会やる国だから。それがいやでセントラルに移住した部族も多かったそうだ。逆もいたらしいが。

 特に半人間の魔族の中でも、比較的人間に近い思考回路をもつエルフや獣人の一部。そこら辺は実際、この国にもいるしね。ウチの部署でも働いている。

 大抵はエルフかその混血だが、獣人でも軍部や諜報部で、それぞれの部族で特に「小賢しい」と言われ、居場所がなくなった者たちが活躍している。ルールさえ守ってくれるなら、この国は受け入れる主義だから。追われてきた位だから、下手な自国民よりも一生懸命やってくれるし。

 でも法整備が進んだのは最近なんだよね。自分も一枚噛んだが、難民でも自分の食い扶持は自分で稼いでもらわないと。我が国の基本的な説明マニュアルと順応期間、適正検査や職業訓練など、法による明文化は骨が折れた。グレーゾーンはまだ多いが、何もないよりマシだ。流石に自分だけで終わる仕事ではないから、あとは時代に合わせて変えてもらうしかない。

 これも法務と外交の仕事だよなぁ。なんで亡命者1人の最低限の生活保障の資料を提出しただけで、法律の草案の草案を書かされるんですかねぇ? そのうえ商工系や、農産系の知り合いと難民魔族の職業実習の必要経費の算出をしてたら結局、実践まで陣頭指揮取らされたのもなぜだ。

 

「横と上への連絡は頼むよアンナ。最終的な決定は陛下と大臣にしてもらわないと。セントラルが人間の領土に代わるなら、混乱は相当のものになる。これから難民がなだれ込んで来るだろうが、我が国の許容範囲は明確に示さないとね」

「あなたの提唱した難民の概念が、こうも早く現実になるとは……。何が見えてるんですか?」

「備えあれば嬉しいなってね。昔から難民はいたよ。ただそれを法で定めていなかっただけさ。難民に罪はない。だけど無制限に受け入れれば自国の民が苦しむ。ただ、幸いウチは前例とノウハウが多少ある。他の国よりキャパは多いし、難民受け入れを盾に、他を融通してもらえばトントンだ。他国に納得してもらうためにも、数字はきっちり出さないと」

「それは国家機密にしておくべき数値ではないのでしょうか?」

「形式的とはいえ、いずれどの国も行うようになる。だったら先手を取って公正さをアピールした方が良い。嘘を書く気はないけど、ホントのことも書く気はないから。なにより出すのは数字だけで、一番大事な国民の能力や性質までは書いてない。数字で信用を買えるなら安いものだよ」

「そういうものですか。とりあえず書類を陛下と各大臣に回してきます。では」

 

 そう言ってアンナが部屋を出ていくと、入れ替わりで窓口役のウェイカーくんが入ってきた。今日は来客の予定はなかったはずなんだけど?

 

「失礼します。主任、お客様、いえ。亡命者の方がお会いしたいと」

「亡命? だったらまず外務じゃない?」

「外務からこちらに来るよう言われたようでして。会えばきっと分かると」

「ん?  魔族の知り合いはいるけど、だったら私を直接訪ねてくるだろうし……いいよ。通して」

「分かりました。こちらへどうぞ」

 

 ウェイカーくんがするりと身を引くと、件の魔族が入ってくる。

 

「君は――」

「お久しぶりです……いえ。初めましてと言うべきですね。私は魔王ブライアンの娘、コンヴァリリア。どうかあの時のようにリリーとお呼びください」

 

 

 

 

 

 

 

 彼女とは面識がある。亡くなった魔王、本名がブライアンとは知らなかったが、非公式に会談を行った際、侍女として紹介された子だった。

 侍女ということで、宿泊場所の説明や緊急時の通路、一部日用品の買い出しの受注をおこなった程度の仲だ。お茶には誘われたけど。

 いや外務部だろとは思ったが、会談の準備で忙しかったのと、自分が魔族に比較的知識が多く忌避感が少ないということで白羽の矢が立ったわけだ。この状況から顧みるに、もしかしたら魔王からの依頼だったのかもしれない。あとでアンナ経由で聞いておこう。

 

「まさか貴女が王女殿下だったとは……、しかし亡命を決断するにはあまりに早すぎませんか? そもそも何故敵国、何故自分に?」

「順を追って説明いたします。それと今の自分に王女と言う肩書はありません。ただの亡命者、ただのリリーです」

「いえ。例え死したとしても、魔王は魔王です。そして正式な宣言がない以上、貴女は王女ですよ」

 魔族特有の四角い瞳孔が揺れる。アメジスト色の虹彩もあって宝石細工にも見えた。

「……そうですね。順を追ってと言っても、何から話して良いのやら……。まずこちらに亡命した理由ですが、あそこに私の居場所はないのです。そして、こういった事態が発生した時、父ブライアンは貴方を頼るよう言ったのです」

「居場所がない? いや、あの魔王がいなくなれば、氏族達は分裂を起こすでしょうが、貴女を害する以外にも、守ろうとするものもいらっしゃるでしょう」

「この耳を見ても?」

 

 そういって灰にも銀にも見える髪を優雅にかき上げると、現れたのは人間特有の丸みのある耳だった。

 

「魔王の妻は人間だったのですか?」

「いいえ。母は魔族、その中でも妖精の王族に連なる純血の魔族です。父の母……、私の祖母は人間だったのです」

「魔王が人間とのハーフというのは初耳だな。……君が表に出ると統治に支障が出るか」

「私の幼少期は、一般的な国の王女とはかけ離れたものだったのでしょう。ただ、私が分別が付く年頃になると、父は私を侍女として側に置きました。そしてこの背中の印の意味も、教えてくれたのです」

 

 上着を脱いで、背中を見せてきた。大きく開けたデザインのドレスだ。フワリと、花のような香りが鼻孔をくすぐる。そこにあったの滑らかな石膏のような肌、だけではない。

 人間の大魔道士や魔族の中には、魔術を行使したり、興奮したりすると魔力の影響でアザのようなものが浮き出る者もいる。そして特に魔族のアザは強大な力を持つものほど、大きく複雑、かつ遺伝しやすくなっていく。

 集落によっては最も大きく美しい印を持つものが、族長になる風習を持った一族もいたはずだ。

 彼女の背中のそれは、その胡散臭い風習に、説得力を持たせるに余りあるものだった。

 

「必要でしたらお腹側にもあるので、お見せしますが?」

「いやいやいや! 十分ですとも。女性にこんな真似をさせて申し訳ない。貴女が魔王の娘ということも人の血が流れていることも十分理解しました」

「ありがとうございます」

 自分も実は魔王の印を見せてもらったことがある。彼の場合は右肩が中心だったが、素人目にみても2人の印は似た雰囲気を持っている。ここまで見事に遺伝するものなら、魔王の娘として動かぬ証拠になるだろう。

 しかし2ヶ所に出るというのは余程だぞ。魔王の魔術もその気になれば地形を変えられると言ったが、下手をすればそれ以上ということだろう? 大きさや形と完全に比例するわけではないから、正確な所は分からんが。

 ……自分たちのトップが半分人間ですって分かったら、絶対受け入れられない部族が出てくるわな。その後どうなるかは火を見るより明らかだ。

 

「父が魔族らしからぬ政に精を出したのも、人の血が原因だと言っていました。おかげでセントラルは安定しましたが……、最後の最後で私というキズが生みだしてしまったのです」

「……余計な争いを引き起こす前に、国を離れたのだな。さぞ辛い決断だっただろう」

「いえ。自分の存在を正確に知っているのは、実の両親と育ての親、そして妹を除けば極々僅かなはずです。屋敷に愛着はありますし、父の葬儀があれば出席したいですが、メイド長以外の近しいものは、一緒に付いてきてくれましたので、国そのものは別に。これは父から託された文です。青い封がしてあるのは私的なもの、残りの赤い封がしてあるいくつかのものは、公的な効力のある文書だそうです。先に青い封のものを読んで欲しいと」

「では、拝読させていただきます」

 

 気になることはあるが、こっちを読み終えてから判断した方が良いだろう。封を開けると、この国の文字が見えた。

「これは……。魔王もただの父親の1人だったということか」

「父はなんと?」

「貴女の保護の依頼が記されていました。そしてセントラルを捨てるなら、普通の生活を送れるようにしてほしいと。最後に赤い封の文書は上手く使ってほしいという旨が」

「お父様……」

 

 それ以外にも娘を頼むようなことも書かれてたけどね! どうした魔王。いやブライアン。敵国の財務主任に娘を嫁がせるとか何考えてんの?

「とんだ厄介事が舞い込んできましたね。主任」

「アンナ。ノックぐらいして入ってくれ」

「私の部屋でもあるんだからいいじゃないですか」

「あのね。来客中」

 いつの間にか秘書官が手紙を覗きこみながら「王女様を脱がせるなんて、いい御身分ですね」とささやいてきた。あっちが勝手に脱いだんだよ! いや眼福だったのは認められるけどさ! こんなところでプロの技術を発揮しないでくれ。見ろ、王女殿下が驚いて目を丸くしてるぞ。

 あとワザとじゃないんだろうが、背中に当てるな。条件反射でムスコがスタンバイしちゃうから。

「失礼しました。秘書官のアンナと申します。このバカの補佐をしております」

「アンナさんですね。初めまして。あと主任様は聡明な方だと思いますよ?」

「王女様がそうおっしゃられるのでしたら、そうなのでしょうね?」

「お世辞をそのまま受け取るほど、俺は馬鹿じゃないよ。アンナ」

「いえ。世辞ではないのですが……」

 

 王女殿下はフォローしてくれているが、この話の裏で自分はアンナにひたすら足を踏まれていた。イタイイタイ! やめろアンナ!

 

「このスケコマシが……」

「いや手は出してないし。お茶にはお呼ばれしたけど

「で、どうするんですか? 馬鹿みたく死人の約束を守るんですか?」

「そりゃ当然だ。何故なら、この国は約束を守ることで生きながらえてきた国だからな」

 

 だからこそ魔王も敵国ながら娘を託したのだろうし。

 

「きっといつか破滅しますよ。そんな馬鹿正直なことやってると」

「アンナ。物事は信用があって成り立つんだ。国家間の条約はもちろん、政治や経済、当地も組織もね。どれも最後は相手を信じられるかだからね。この国は多くの苦難に見舞われてきたが、致命的な所で助かったのは約束を守ってきたからだよ。例え約束を守れなくなっても、しょうがないと納得できる程度には、身を切ってきた。今回もそれだ」

 

 ぶっちゃけ仮想敵は身内の意見をまとめられる分、まだ利用できるが、信用できない味方は負荷が増えるだけだからねぇ。そして今回の場合、個人的には最終的なリスクリターンは、リターンの方がなんとか上回ると思うんだよ。彼女が王権を放棄すれば、セントラルへ人間側が関与しやすくなる。これに関しては人類の総意に近い。そして人間同士の戦いになった時、彼女の存在は切り札となる。最悪は勇者へのカウンターも考えなくてはならない。

 

「アンナ。たしか勇者パーティにはダーサーン帝国の皇女もいたよな。魔術研究機関フォースきっての才女も」

「はい。ティンク教の聖女と冒険者ギルド本部長の一人娘も」

「これどうあがいても燃えね?」

「燃えるでしょうね」

 

 これ仮に勇者に統治権を割譲する形になったらどうなるんだ? それぞれの所属に戻るならそれなりで済むだろうが、情報によればそうはならんだろう。

 

「……ちなみに諜報部のトトカルチョは?」

「皇女様が1位ですね。次いでギルド長の一人娘」

「勇者様は、聖剣の扱いが随分とお上手なようで」

 

 コントロールミスって暴発したら大変なことになるだろなー(棒)。マジで聖剣はどうでも良いから、下半身のコントロールだけは何とかしろ。ウチの陛下含めて。

 

「アナタだけは言う資格がないでしょうね……」

「まあ、そこはなるようになるしかないか。話の腰を折って申し訳ありません。王女殿下。ところで先ほどおっしゃっていた妹様というのは……」

「はい、ルルダリア。ルルという妹がいます。私と違って人間族の身体的特徴がないので、王女としての教育を受けていたはずです」

「ですが、正式に後継者としては公表されてなかったはず。そもそも妻はともかく、娘がいたという情報は初耳ですよ」

「何故かは私にも……、私より頭が良かったですし、魔法の上達も早かったです。それに印のない綺麗な肌は羨ましかったなぁ」

「印がない……?」

 

 それはもしや……。

 邪な想像が掻き立てられた時、ノック音が部屋に響いた。

 

「申し訳ありません。至急の連絡が入りました! 陛下から緊急招集です」

「どうした、ウェイカーくん?」

 

 すると息を切らせて伝令役の獣人が入ってきた。

 今日もセンリは来ないか。彼女も勇者一行を監視しつつ、セントラル領内の情報をかき集めてる最中だろうから、来れるはずはないんだが。

 そろそろアイツのブラックスモーク柄のモフモフの耳と尻尾が恋しい。

「申し上げます! ルルダリアという魔族が、勇者を後ろ盾としてセントラルの魔王に名乗りを上げたとの情報が入りました!」




 なお他人の後始末は出来ても自分がやったことの後始末は出来ない模様。
 多分そんなに重い話にはならないと思います。個人的にはコメディのつもり。

 需要あるならコマ切れで書くかもです

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