ようこそ理系女子と行く教室へ 作:絶対零度
8、9話からの分岐IFルート
3人が退学にならないルートです。
ほぼ堀北視点です。
「悪いがポイントを貸すつもりは無い」
Aクラスを代表する葛城君が平田君の頼みを両断する。
「そこを何とか…頼むよ、クラスメイトが退学になるかもしれないんだ」
「何と言われようと貸せないものは貸せない。競争相手が減るのであれば我々にとっては朗報だ。Aクラスに関わるな」
葛城君は扉を閉めた。平田君が項垂れる。
「駄目ね、他を当たりましょう」
「うん、けど、後は上級生くらいしか残ってないね」
平田君は疲れていた。諦めの混じった声色だった。
『放課後16時までに誰を残すか決めろ、それまで待ってやる』
茶柱先生は放課後まで待ってくれる事を約束した。私達は教室に戻り平田君と櫛田さんに不足額を共有した。
話し合いの結果、私と平田君はAクラスとCクラスに、櫛田さんはBクラスに不足分を借りる為に交渉に出向く事になった。
初めにCクラスに向かった。Cクラスのリーダーらしい一之瀬さんは多少話しを聞いてくれたが、いざポイントを借りるとなるとクラスメイトから止められ、結局借りられなかった。
彼らが言うには過去問の件で自分達を騙したDクラスと交渉する気は無いとの事だ。綾小路君はCクラスにも過去問を共有したらしい。彼の行動は完全に裏目に出ていた。
「櫛田さんの方はどうなってるんだろうね」
「あまり期待は出来ないわ、DクラスがBクラスにしてきた事を考えると論外よ」
「となるとやっぱり上級生だね、一応合流しよう」
櫛田さんを連れにBクラスへ向かう。
同時にBクラスの扉から彼女が出て来た。
「300万…か」
櫛田からの報告を聞いて俺は疑問符を浮かべる。彼女が言うには赤点の補填に足りない点数は100点を超えてるらしい。1点3万程度で売るつもりだろうか。随分とまけたものだ。
他に考えるられるのは既に綾小路が大金を誰かから借りている事。彼が借りられる相手は…
(堀北学か…)
恐らく彼しかいないだろう。綾小路の実力を認めているからこそ彼にポイントを貸したといったところか?
それでも茶柱先生は今回、1点10万では売らないつもりのようだ。堀北学も700万以上のポイントを綾小路に貸すとは考えにくい。恐らく300万が良いところ…。
茶柱先生が必要なポイントを減額しているのは、本来の正解である過去問に気付いていたからとか、そんな生徒に配慮した理由では無いだろう。恐らくAクラスを諦めない為に必要なポイントを減額したに違いない。綾小路や堀北を使って徹底抗戦するつもりのようだ。厄介な事になったな。
堀北達がBクラスに来た。櫛田を一旦彼らの元に戻し、状況を確認させる。堀北から隠れる。空手大会で兄を下した俺を見たら警戒するだろう。
何やら話し合っている。堀北と平田に断りを入れると櫛田が戻ってきた。
「上級生に借りるみたい」
想像していたが面倒な事になった。
上級生で300万ものポイントを貸せるであろう人物は限られている。
南雲雅。2年生で最も優秀な男。
学年を支配している男であり、作中屈指の危険人物である。加えて1つ上の先輩である生徒会長堀北学に異常な程、執着している。仮に堀北学の妹である鈴音が平田と共にポイントを南雲に借りに行ったとする。万が一南雲が鈴音を堀北会長の妹だと知ったら南雲がこれを利用しない手は無いだろう。
そうなった場合実質的に1年Dクラスは南雲の手に落ちる。南雲の息が吹きかかった彼らがどんな行動をしてくるかは全く読めない。加えて綾小路と南雲が手を組む可能性がある。ただでさえ強い綾小路が人海戦術を得意とする南雲と手を組むとか考えただけでゾッとする。
「…そうか。ちょっと待ってろ。龍園っ」
俺は教室の奥で待ってる龍園を呼ぶ。後はこいつに任せる事にした。
俺に呼ばれた龍園は口元に笑みを浮かべながら2枚の契約書を持って出て来た。そのまま櫛田と共に外に出る。
「300万を借りに来たのか、条件付きだが貸してやってもいいぜ」
そのままDクラスの教室へ向かった。
その日DクラスとBクラスの間で契約が結ばれた。
「今日もBクラスに行くのか」
「当然よ。契約は契約だもの」
7月の放課後、堀北は荷物を纏めてBクラスに行く用意をする。他にも何人かが同じ行動を取っている。
「このままだと期末試験で須藤達が退学になる」
「彼らに構ってる余裕は無いわ。休憩時間は私自身の勉強をしないと間に合わないもの」
「クラスポイントがまた0になるかもしれない。そうなると借金の返済も出来なくなるんじゃないか」
「貴方、誰のせいでこうなってると思ってるの」
オレを睨むようにして堀北は冷たく言い放った。そのまま背を向けて教室を出て行った。堀北の他にも櫛田、幸村、松下、平田、王美雨がBクラスに向かう。彼らのやる事は同じ。Bクラスに勉強を教えに行くことだった。
テスト期間が近づいたがDクラスでの勉強会は開かれなかった。平田や櫛田、堀北がBクラスの講師役として引き抜かれてるのだから当然だった。彼彼女抜きで須藤や池、山内、果ては篠原達が期末試験を突破出来るとはとても思えない。点数調整をするなら大幅に点を下げる必要があるだろう。
しかし平田は兎も角、他のメンバーにはその気は見られない。オレには今の堀北達がDクラスに貢献しようとしているようには見えなかった。
一体オレの知らないところで何が起きたのか。オレがそれを知るのは大分先の事だった。
『借金を返済するまでDクラスはBクラスに貢献しろ。これが条件だ』
龍園君はそんな内容が書いてある契約書を私達に見せて来た。平田君は条件を飲もうとしたが、私は待ったをかけた。これではDクラスはBクラスの実質奴隷になる事を示している。彼らのやり方次第ではDクラスは学校が終わるまでずっとBクラスの言いなりであり、借金も返済出来ない。私がそれを言うと、龍園君が私に近づいた。そして耳元で囁いた。
『堀北だったな。お前は優秀だって聞いてる。俺のクラスの地力を上げることに貢献したら、お前を俺のクラスに入れてやっても良い』
『馬鹿馬鹿しいわね。第一貴方にそんな権利無いわ』
『くくくっ…、そうでもないぜ。非常に高額だが他クラスから人材を買い取る権利がこの学校には存在するぜ』
『…そうだとしても貴方がそんなポイント持ってるわけないでしょう』
『くくくっ…、これを見ろ』
『えっ…』
彼の携帯に映されたポイントを見て私は思わず声を上げてしまった。そこにはこの時期ではあり得ないポイントが表示されていた。一体どうやってこんな膨大なポイントを集めたの?
『お前の事を知ってる奴がお前を買い取りたいと言ってたぜ。このポイントはそいつから渡されたものだ』
『…私を?』
『そうだ。どうする?雑魚の集まりのDクラスから逃げられるだけじゃなく、俺のクラスに来るなら幹部にしてやっても良いぜ』
彼の勧誘を受けて私は考えた。もし彼からポイントを借りなければ上級生からポイントを借りる事になる。だが問題は果たして貸してくれるかどうかだった。幾ら上級生でも落ちこぼれのDクラスに300万ものポイントを貸す人がいるとは思えない。
それだけじゃない。私は彼のクラスの誰かから実力を認められている。誰かは分からないがその人の期待に私は応えたいと思ってしまった。もし私がBクラスに入ればCクラスに勝つことは勿論、Aクラスにだって負けないクラスを作る事が出来る。そうすれば兄さんにも認めて貰えるかも知れない。
話しは決まった。
『分かったわ。Dクラスはその条件を飲むわ』
『くくくっ…、決まりだな。なら今日からお前達は俺の兵隊になって貰うぜ』
こうしてDクラスはBクラスの実質的な傘下になった。
数日後、私は龍園君の案内の元、私を知ってる人物に会った。
『よう、久しぶりだな』
『貴方は…!!!』
その人物は確かに私の知ってる人だった。
けど、その人物は私と親しい人物では無かった。寧ろ兄さんの最大のライバルであり、私が打倒したいと思ってる人物だった。
当然私は彼に対して親身になる事は出来なかった。味方と言うよりはライバルといった感じの人なのだから当然だった。
『俺達のクラスに入るんだって?心強いな』
『けど、俺は堀北と勝負したいと思ってる。内容はどちらが多くの部下を持つ人間に相応しいかだ』
『俺のクラスに来るようになったら俺の相手をしろ。どちらがクラスメイトに頼られる人間になれるかで勝負だ』
彼は私に宣戦布告してきた。私は当然彼の勝負を受けた。
どちらがクラスの学力を上げられるかといった曖昧な内容だが、数カ月後に勉強面で私と彼の何方が頼られるかを見て勝負をつける事にした。
予想通り彼は手強かった。彼はまるで櫛田さんの真似をしてるかのようにクラスメイトに優しく勉強を教えており信頼の面で最初私を圧倒していた。
他にも龍園君に私と同じ条件で声をかけられたらしい私のクラスメイトが勉強を教えていたが、彼と櫛田さん、そして平田君の講師力は一線を画していた。
私達のノルマはこの夏の期末試験でBクラスがCクラスに勝つ事。そして2学期の期末試験でAクラスに勝つ事だった。
私は焦るあまり、Bクラスの皆に辛く当たってしまい、反感を買うことが増えてきてしまった。彼に追いつけないどころか松下さんや王美雨さんにも信頼で劣るようになった。私は同じように焦っている幸村君と同様、Bクラスでも孤立仕掛けていた。
次第と私は批判されるようになり、講師役を追われるようになった。
私は精神的に疲れて図書室で休んでいた。読書をして気を休めていた。
『あれ、堀北さんですか?』
独特な声に顔を上げるとそこには勉強会を終えたらしいBクラスの女子生徒がいた。名前は確か…
『貴方は…椎名さん、だったわね』
『はい、堀北さんは読書が好きですか』
『ええ…休憩時間にはいつも読んでるわ』
『本当ですか!?でしたら私のおすすめの本を読んでくれませんか』
ぐっと一気に距離を詰めてくる彼女に私は面食らった。本好きと聞いてここまで親し気になるとは思わなかった。
『このジャンルの本は…』
それから私達は親しくなり、本について語り合うようになった。彼女は表情が柔らかく、私も彼女といると気が楽になるようになった。
『椎名さん』
『なんですか、堀北さん』
ある日私は彼女に聞いて見ることにした。
『私、貴方のクラスにスカウトされたの。けど、最近上手くいってないのだけど…』
『勉強会の事ですね。私には堀北さんがBクラスと合わない点が何となく分かりますよ』
『教えて貰えるかしら』
私は彼女の言葉に耳を傾けた。
『堀北さんはきっと自分にも他人にも厳しいタイプです。設定するハードルが凄く高いんだと思います。それが勉強会にも出ています。最初に飛び越えるハードルは同じでも次のハードルの高さがBクラスに合って無いんだと思います』
『もう少しだけ、焦らずにじっくりと皆の勉強を見てあげると良いかもしれません。うちのクラスの蒼空野君と何らかの勝負しているのは私も知っています。蒼空野君に勝ちたいのなら、1人と1人の能力にあった勉強法を設定して皆に合わせて行くと良いと思います。私から言えるのはそのくらいです。あまり人に勉強を教えた事が無いので分かりませんけど』
『そうだったわね…私は確かに焦っていたわ』
椎名さんに励まされて私は改めて自分を見つめ直した。彼との勝負に気を取られすぎて私は自分を見失っていたのかもしれない。焦っては駄目なのだ。Bクラスの皆の学力をちゃんと見てあげないといけない。
翌日から私は気を切り替えて講師役を務めるようになった。最初は皆私を怖がっていたけど次第と心を開いてくれるようになった。今ではBクラスで『堀北先生』と呼ばれる程親しくなった。
私は今日も自分の勉強を休み時間に終えてBクラスに向かうようになった。最近ではDクラスの私のポイントを案じてか私が勉強を教えた相手がプライベートポイントをくれるようになった。断っても『受け取って』と押し付けて来るので仕方なく受け取ってる。
金田君と椎名さんはそんな私を褒めてくれた。Dクラスにいた時よりも私の放課後は充実していた。
待ってなさいBクラス。いつか私が貴方達の力になるから。
何かを忘れてる気がしたけど今は勉強が先だった。
だから私は気づかなかった。隣からの救いを求めるような視線に。
IFルート。ほぼ堀北視点です。
このルートでは茶柱先生が全員救済の為に堀北達に時間を与えます。
その結果DクラスはBクラスからプライベートポイントを借りる事になり、対価としてDクラスがBクラスの支配下になっています。
そしてDクラスの何人か(櫛田、幸村、王美雨、松下、堀北)はBクラスのへの移籍を対価に講師役として買収されています。(平田は何も聞かされずに只DクラスはBクラスの支配下だから講師役をやらされている)
結果Dクラスでは期末試験で赤点を取る可能性がある生徒が続出し、期末試験で既に問題を抱えている状況です。
この状況はその後の無人島試験にも響いてきそうです。
上手く書けなかった。