「話がしたい」
ギレーヌにそう言われ引き受けた。
だが検討もつかない。
ギレーヌのことだからまた敵討ちに
アスラ襲撃…なんてことはしないだろうが……。
「さて、結論から話そう。
私が魔大陸に行くことを許可してくれないか?」
予想は外れた。
だが魔大陸であれば行かせても良いのか?
「理由をお聞きしても…?」
「……効率のためだ。
私が魔大陸で仲間集めをすれば再会も早まるだろ?」
なるほど。
だがギレーヌは現在、俺達の護衛を任されている。
ヒトガミが直近で動き出さないなんて根拠は無い。
そして戦力となる成人済というだけで
大きなアドバンテージに成りうる。
できれば行かせたくない。
「…その案は良いとおもいますが、
俺達の護衛はどうしますか?
鍛えきっていないエリス、
戦闘には自信がないシルフィ、
そして魔力は申し分ないけれど前回より
技術が劣っている俺…
本当に大丈夫でしょうか?」
「……そうか、確かにそれなら厳しいかもしれない。」
ギレーヌにも何か考えがあったんだろうが、
俺達はギレーヌが必要だ。
「ええ、ですので今回の件は却───」
──ジジジジ…………
突然着信があった。
候補として該当するのは三人ほど……
「……ルーデウスか?」
そして出た人物はその候補の中の一人
「オルステッド様!!」
オルステッドであった。
「……最近の報告が全く無かったが何かあったか?」
そして第一声は疑問から。
それに関しては完全に後回しにしていたところがある。
エリスの記憶が戻り、ギレーヌの記憶が戻り、
会議をして、
多忙だったが報告する時間は取れたかもな。
不覚。
「多忙でしたので遅れてしまいました…。」
「…………まあ良い。」
単調に返事を返した。
怒ってるかなぁ……
「俺が伝えたいのはもう帰還できるということだけだ。」
「ついに来れるんですか!」
ついにオルステッドが目的を果たしてきたのか。
やはりオルステッドが居れば心強い。
「ざっとあと三日ほどだ。」
しかも本当にすぐだ。
となればギレーヌは行かせても良いのかもしれない。
「でしたらギレーヌは魔大陸へ
行かせてもよろしいでしょうか?
ギレーヌから仲間集めを
分業したいという提案があったので。」
「…構わん。」
「オルステッド、感謝する。」
ギレーヌが頭を下げた。
安全を保証することなんて出来ないが
少なくともギレーヌは大丈夫だろう。
「それでは失礼───」
「む?お主が話しているのはアイツか?」
誰かの声が聞こえた。
周囲を見渡す。
だがそれらしい人物は見当たらない。
「…………これに関しては後々話そう。」
「ええっ!?ちょ──」
「……」
突然切られたが誰だったんだ…?
何やら甲高い声が聞こえたが…
「あれは恐らくキシリカ・キシリスだな。」
ギレーヌが答えてくれた。
キシリカ……魔眼をまた授けてくれるのだろうか?
でもなんでオルステッドはここまで連れてきたのだろうか。
別に魔大陸に行ってからでも良いのに。
「奴にも何か考えがあるんだろう。」
「なるほど…」
「そしてルーデウス。
私は今日のうちに旅立つ。
だから必ず…フィットア領を守ってくれ。
転移をどうか……止めてくれ、頼む……。」
ギレーヌが地面に頭を擦った。
土下座だ。
「顔を上げてくださいギレーヌ!
それは頼まれなくてもやります!」
「どうか……どうか」
こんなギレーヌは初めてだ。
よほど転移を起こしてほしくないのだろう。
そして、それは俺も同意だ。
「……必ず俺が守ってみせます。」
その後しばらくギレーヌは頭を擦ったままでいた。
───
翌日ギレーヌが旅立った。
エリスはショックをうけるかなと思っていたが
やはり強くなっていたようで悲しい顔一つ見せなかった。
だがそれでいい。
別れなんて悲しいことじゃないさ。
そして数日後、
ギレーヌと入れ替わるようにオルステッドが帰還した。
側にキシリカを備えながら。
それから腕をオルステッドに治してもらった。
「これはスクロールを用意しなかった俺のミスだ。」
と深く反省しているようだった。
「いえ、俺もバーディが攻めてくるなんて
思ってもみませんでしたから。」
「だがこれでヒトガミが動き出している
ということが分かったのは十分な収穫だ。
だから転移を止めた後は使徒を潰そうと考えている。」
オルステッドは使徒の可能性がある奴は全員仲間に、
元から使徒の奴は殺す。
そういう風にするそうだ。
「……長いのぅ、もう終わったか?」
ソファーの上で溶けているキシリカが横から口出しした。
なに、くつろいでんだか……
「大丈夫ですよ。」
「うし、分かった。」
そしてキシリカが目の前にやってくる。
まるでキスでもするのではないかというほどに。
「ずぶしゅー」
瞬間、左目に激痛が走る。
「うわぁぁ!」
だがこの感覚は二度味わっているから慣れた。
今回はスムーズに入れてくれるもんなのか。
「ほれ、わらわの計らいじゃ、ありがたく受けとるとよい。」
「あ、ありがとうございます…」
懐かしの魔眼。
再来である。
「それでキシリカ様、目的は魔眼ですか?」
「?、わらわは旨いもんを食べにここにきたのじゃ。
だからしばらくは滞在するぞ。」
「えぇ……」
声に漏れてしまった。
何かと家庭事情に口を挟んできそう……という気持ちが。
「何じゃ!その態度!」
「いえいえ……キシリカ様が居れば心強いですよ…!」
そうしてキシリカが仲間に加わった。
─前世の記憶のある人物─
・オルステッド
・リーリャ
・ロキシー
・パウロ
・ゼニス
・ザノバ
・バーディ
・ヒトガミ
・シルフィ
・エリス
・ギレーヌ
・ギース
・キシリカ