天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
—ある教会にて
「...はぁ、どうしたものか。」
と私は教会の椅子に座りながら一人そう呟く。もはやカーンルイアと天理の戦いは避けられませんか...わかっていたことですがなんとか避けたかった。これでは私の悲願の達成は今回も無理そうですね。しばらくは様子を見ていていいでしょうがそこからどう動くべきか。どちらの味方にもなれるような立場でこそあれ、不用意に動けば逆に始末されてしまうでしょう。とそのようなことを考えていると、
「随分と悩んでるみたいですね。あなたらしくもない。」
とそのような言葉が後ろから聞こえてくる。おや、この声はこれまた珍しい方が来ましたね。とそのようなことを考えながら私は椅子から立ち上がりその声の主の方を向く。そして、
「おや、フロプタチュール。貴方がここに来るとは珍しいですね。また私の意見でも聞きに来たのですか?」
とそうその人物に話しかけるとその人物...フロプタチュールは、
「ええ、まぁそんなところです。他のサーヴァントよりも多くの世界を見てきたであろうあなたしか知らない情報もたくさんありそうですから僕としてはあなたは興味が尽きない対象です。」
とそう答える。フロプタチュール...侮れない存在の一人です。こんな自由な行動こそしていますが彼はマスターの一人、手の甲に輝く令呪がその証明です。自分のサーヴァントに苦労させられているとは聞きますが私も全てのサーヴァントを把握したわけではないのでどのサーヴァントかは判別はできませんね...などと私は考えながら、
「構いませんが運悪くここに天理側の誰かが来ても私は貴方を守るつもりはありませんよ。そこは自己責任でお願いします。」
とそう一応の警告をしておく。その言葉にフロプタチュールは特に気にした様子もなく私の近くまで歩いて私の近くの席に腰を下ろす。それを見た私も彼と少し間を空けて隣に座る。これがごく稀に彼が来た時の適切な距離だと、まだ数回の経験ながら直感を感じていた。そしてフロプタチュールは、
「僕が不死の研究をしているのはご存知でしょう。これがその研究のノートです。それを見て何か意見があればおっしゃって欲しいのですが、構わないでしょうか?」
とそう言ってくる。その言葉を聞いた私は少し驚いた。いつものように魔力や霊体についての質問をしてくるとばかり考えていたら、科学者が自身の研究途中のものを見せ、さらには意見を部外者に求めると言う行動は私を驚かせるには十分な内容であった。とは言え彼自身がそう言っているのであれば断る理由もなく、私はそのノートを軽く見る。内容は彼の言う通り、不死の研究について書いてあった。人体の構造はもちろん、厄ネタであろう力までさまざまなことを研究したのであろう。それを見た私は素直に感心しながら、
「よくまぁここまで調べたものです。とは言え、不死について、ですか。不死の定義にもよりますね。肉体的になのか精神的になのか。そしてこの内容からして肉体の方とし答えさせてもらうのであれば、ひとまずは自身の体を捨てる覚悟がなければ無理でしょう。今現在のこの情報だけではカーンルイア人の体を不老不死にするのは難しい。それならまだ魂を他のものに定着させる技術を作った方がいい。」
ととりあえずそう答えておく。...『天の杯』について語る必要はない。あれは彼が求める答えではないだろうし、何より私の目的が露見してしまう可能性が出てきてしまいますからね。などとそのようなことを考えていると、
「魂を他のものに定着....そう言うアプローチも試してみたいとは考えていたのですが肝心の魂を取り出す技術をが生み出すのに苦戦し、一時的に研究を停止しているのですが、あなたのその口ぶり、まるでその方法を知っているかのようですね。」
とフロプタチュールが言ってくる。...おしゃべりがすぎましたね。と私はそう反省しながら、
「さて、それはさておいて肉体についてですがやはり無限に再生する肉体を作る他ないでしょう。そのために必要な物は...焦らずともそのうちわかりますよ。貴方は必ずその方法を見つけることができます。」
とそうこれ以上は話す気はない、という旨を暗に伝えた。その発言の意図を汲み取ったのか、あるいは私の答えに満足したからなのかはわからないがフロプタチュールは椅子から立ち上がり、そして、
「そう評価していただいているのは光栄です。その期待に応えられるよう、精進するとします。ではまた何か聞きたいことがあれば尋ねさせていただきますね。今日はありがとうございました。」
と最後にそう言い、彼は教会から出て行った。本当にただ私の意見を聞きにきただけのようですね...まぁいいでしょう。先ほど彼が確信した部分はあくまで私が魂をどうにかする術を知っているという部分だけでしょうから問題はない。何をどう推理しても『天の杯』に辿り着くことはあり得ません。今はともかくこれからの方針について考えるとしますかね...