そこでひろしは呪いの世界に巻き込まれることになる。
※注意 川口さんが死にます。
X(旧Twitter)の流行りに乗ってみました。
初投稿、一発ネタ小説故につづきません。
そもそも自分のアイデアでは無いのでアイデアを活用した小説や続きを書いてくださる方は誰でもご自由にどうぞ。
気絶から目覚めた野原ひろしは誘拐され地下に拘束されていた。身体が痛い。
目の前には黒スーツの男が立っている
説明を求める彼に対して目の前の黒スーツの男は全てを無視して話しかけてくる。
『野原ひろしだな。お前はこちらの世界を知り呪霊が見えるようになった。本来なら窓にするのだがお前には類まれなる呪術の才能がある。』
『今は非常事態だ。お前には呪術師になってもらう。断ってもいいが我々はお前の家族の避難場所を知っているとだけ言っておく。』
(な、なんでどうしてこんなことに!!)
野原ひろしは双葉商事に務める普通のサラリーマンだ。
野原ひろしは妻子を愛し日々真面目に働いていてきた。
何故こんなことになったのかの原因は薄々分かっていたのかもしれないが脳が理解を拒否する。
話は彼が目覚める十数時間前まで遡る。
その日ひろしは妻と2人の子供と共に家族旅行に来ていた。
10月頭の双葉商事恒例飲み会でビンゴ大会があり東京のホテルの宿泊券が当たったのだ。
双葉商事にしては豪華な景品で6名分の宿泊券であったが期限は1か月程。
6名分故に宿泊券は2枚余り、実の父母や義父母を誘おうかとも思ったのだが彼らが住んでいるのは秋田と熊本。
距離の問題もあるが急に決まった旅行故に予定が合わなかった。
宿泊券は期限が短い故に売れもせず、どうしようか悩んでいたのだが後輩の川口が羨ましそうな顔をしていたのを思い出したので2枚はやつにあげてしまった。
あいつは妙に上機嫌で誘いたい相手がいると言っていたが果たして上手くいったのだろうか。
ひろし自身も忙しく彼が東京旅行の日と決めたのは期限ギリギリの10月31日と11月1日の1泊2日。
泊まるホテルは【SUGO SUGO HOTEL SHIBUYA】渋谷の端っこにあるホテルだが5階建てでホームページを見た限りでは素晴らしいホテルだった。
春日部を朝早くに出発して東京を観光し16時にホテルにチェックイン。
ハロウィン飾りでホテルのエントランスが飾り付けられていたことが印象的だった。
貸し出しもしているようで動物モチーフのものから魔女の服、フランケンシュタインの怪物に吸血鬼など様々な仮装が用意されていた。
せっかくのハロウィンの渋谷ということもありホテルで仮装し家族で渋谷の街を練り歩く。
息子は象のコスプレをしてはしゃいでいた。家族とこうして過ごす時間の為に自分は働いているんだと再確認したものだ。
赤ん坊である娘を連れていることもあり人が密集する18時前にはホテルに帰った。
ホテルの温泉や絶品ディナーを楽しみ子供達と遊び寝かしつけた頃には22時になっていた。
外が多少騒がしかった気もしたがそれ以上にはしゃぐ子供達の対応に追われて何も気にならなかった。
子供達が眠り少し酒を飲みたいと思いホテルのBARに行くことにした。
妻に飲み過ぎないように注意されたので1杯ですませることにしたが流石はいいホテル、酒もツマミも美味い。
罪悪感はあったが2杯目にいこうとした時薄暗い店内で馴れ馴れしく後ろから話しかけられた。
『あれ〜?野原センパイ来てたんすかぁ〜?センパイもこの日だったんですね〜。ここいいっすか?』
なんと後輩の川口だ。やつもこの日に旅行の予定を組んでいたらしい。
こちらが返事をする前に隣にドカリと座り話し始めた。
『聞いてくださいよぉ〜!!幼稚園のまつざか先生を誘ったんですけど断られちゃって〜!今日は母親と来たんですぅ〜!!』
既に顔が赤い。相当飲んでいるようだ。
そのままからみ酒に1時間以上付き合わされた。せっかくのBARなのに注文しようとするたびに川口のやつの声で注文を潰され全然飲めなくて来たのを後悔したぜ。
その後川口が外の空気が吸いたいと言い出した。
川口は酔いが回っており1人にするのは憚られたので付き添いで外に出てからやつを部屋まで送ることにした。
時間はもう24時近い。こいつを部屋まで送ったら俺も部屋に帰り寝なければ。
先に外に出た川口が道路の先を見て何かを叫んでいるのがエントランスから見えた。
どうせ酔って興奮しているんだと思いゆっくり外に出ようとする。
川口はとうとうこちらに振り向き叫んだ。
『セ、センパイ!!バケモノがこっちにき』
川口の姿が轟音と共に一瞬で何処かへと消えた。慌てて外に出て右に左に首を振り目線を向ける。何処にも川口の姿はない。なんだこれは。
上から液体が降ってくる。
咄嗟に見上げるとホテルの壁に張り付いている黒いバケモノがいた。
トカゲのような形だが4m程の大きさ手足が極端に短い。なにより顔面が人間のそれだった。
口には皮一枚でかろうじて上半身と下半身が繋がっている川口が咥えられていた。
川口の体が千切れて上半身が目の前に落ちてくる。
口から血を流し明らかに川口は死んでいた。
「ハァァ!!???」
無意識に数歩後退りエントランスのドアに背中をつく。
直ぐにバケモノがホテルの壁面から跳び落ちた。
落ちた時の衝撃音や風はあったがトカゲ型だからなのか不思議とホテルの壁面や地面にはほとんど傷がない。
バケモノはひろしの7mほど先に落ちこちらに向かってくる。
訳が分からなかったがたまらずひろしはエントランスに逃げ込んだ。
エントランスにいた従業員達も外のバケモノを見て悲鳴をあげ上の階に逃げ出そうとしている。
ひろしが振り返るとバケモノは川口の上半身を喰べ終えこちらを見ている。
完全に目をつけられている。背中を向けるのが怖くなり後ずさりながらもバケモノから目を逸らせない。
遂にバケモノは動き出しエントランスのドアを破りホテルの中に入ってきた。
ドアは壊れたもののトカゲ型の薄い体と短い足で侵入は容易だったようだ。
バケモノに集中していたひろしにはそれが足に力をいれるのが見えた。
同時にひろしは横に全力で跳んだ。
”ガッシャーーン!!!バキ!ドカガガガ!!”
バケモノは受付に突っ込んでいた。避けきれなかった破片がひろしの額に掠り血が流れる。
ひろしにはバケモノがまだ此方だけを認識していると何故かわかった。
化け物は頭を瓦礫から抜くのに少し手こずっている。
バケモノがまだ頭を抜いてなかったので逃走経路を探るために目を逸らした瞬間だった。
目の端に黒いものが映りひろしはエントランスの壁に叩きつけられた。
痛みと衝撃で何が起こったのか判断しにくかったがどうやらトカゲ型のバケモノの尻尾がひろしを強かに打ちつけたらしい。
なんとか立ち上がることはできたが骨が何ヶ所か折れているのかそれ以上動くことはできなかった。
とうとうバケモノが頭を瓦礫から引っこ抜きこちらに反転してきた。
奴の顔がニヤニヤこちらを嘲笑っている。動けないことを悟ったのがゆっくりゆっくり近づいてくる。
ひろしの脳内には【死】という単語と共に走馬灯が流れ始めた。
面白いが下ネタ好きで女好きなところがたまに傷な父とお茶目な母の子として産まれケチだが時々優しい兄と健やかに育ち、就職し後に妻になる女性と出会い付き合い結婚。
ひろしの父の様に下ネタが大好きだが元気な息子が産まれ、可愛らしい娘も産まれた。
安月給ながらも幸せな家族として日々を過ごしていた。
なのに何故こんなところで死なねばならないのか。だが仕方ない。ひろしに抗う力はないのだから。
ふとこのホテルの上層にいる残された家族に思いを馳せた。
彼女達ははいまどうしているのだろうか。
この異常事態に気づけているのだろうか。
気づいていたとしてもエントランスにバケモノがいる以上逃げることはできないのではないかと。バケモノはもうひろしの目の前まで来ている。
自分は死んでもいい。だが家族が死ぬのは絶対に嫌だ。
その覚悟が彼の体を動かした。ゆっくりと口を開けこちらを噛み砕こうとする
ひろしの予想に反して
殴りつけた手を見ると不思議な何かが手を覆っている。
体の中から
吹っ飛んだ
その
そしてこの力に何か他の使い方があることも。
後にその名を知るがそれは野原ひろしの術式だった。
その感覚に従いひろしは目を瞑り
口は無意識に言葉を紡いでいた。
「【領域展開】昼飯ノ流儀」
瞬間世界にオレンジ色が広がりエントランスを塗り替える。
ひろしと
ひろしが
ひろしが気がついた時には
その後ひろしは家族の無事を確認しようと上の階に向かおうとしたがダメージと疲労からかそのまま倒れ気絶してしまった。
そして目覚めると拘束されていたということだ。
ひろしには黒いスーツの男の要求対して頷くしか選択肢がなかった。
彼らからごく短い期間に呪力や呪霊、死滅回遊について学び初任務へと向かわされた。
ひろしが向かうは岩手
そこでひろしは秋田県にいるはずの兄と再会したり自らの足の臭いが呪霊にも効果があることを知ったりするのだがそれはまた別の物語。
ひろしの術式は領域展開が最初から付属しているタイプをイメージしてます。
トカゲ型呪霊は1級〜2級で足から着地する分には肉体への反動なく接地面にダメージがなくどこでも張り付ける(ファンデルワールス力)術式です。
川口さんは被害者になりましたが嫌いではないです。