やはり彼女たちのアイドル活動はまちがっている 作:毛虫二等兵
かなり遅れてしまって申し訳ない。ようやく投稿できました。メッセージをいただいたので、今回はラブライブ×俺ガイルです。
ヒロインは海未と絵里の予定です。
いろいろ考慮した結果…辻褄が合わなくなってしまいそうなので、IFストーリーだと思ってくれると助かります。
世界観は、穂乃果達と八幡は同じ高校二年生という設定です。
8月の中旬に差し掛かり、夏休みも折り返し地点に入った。
遊びほうけていたDQN達は宿題ということを思いだし、じりじりと焦りを感じている頃だろう。既に宿題を終わらせ、それでも毎日の時間をもて余すくらいの生活をしている俺のような優等生は、きっといないはずだ。
しかし、優等生でれば学校にいるはずのない俺は、国語教師の平塚職員室に呼び出しをくらっていた。
冷房の効いた涼しい職員室には入るといつも通りの凛々しい表情で「よく来たな、勇者よ」とふんぞり返るラスボスのような覇気を纏いつつ、席に足を組んで座っていた。夏になっても変わることのない、いい脚をしている。
「よし、来たな」
「本気で帰ろうかと思っていましたが、やっぱりやめました」
「そうかそうか、お前もすっかり更正…してないようだな。初めて会った時と変わらない、相変わらず腐った魚のような目をしている」
呆れたようにため息をついて、褒め言葉を連発くださる先生に、俺は「ありがとうございます!」とでも言わなくてはいけないんだろうか。
「魚の目…ですか、あれってコレステロール値の上昇を防ぐ抗体が過剰になるのを防いでくれますし、アレルギー疾患を防ぐなどの効果があるわけです。つまり、俺は一定以上にいわゆるDQN共が増えることを抑えている働きを…」
「真面目に聞け」
平塚先生は俺をキッと睨み付け、俺は黙った。強い、絶対に強い。
「…すいません」
「いいか比企谷、お前には彼女達はどう見える?」
「はぁ…」
乱暴に投げつけられた雑誌を受け取ると、表紙には“第一回 ラブライブ本選スクールアイドルの最新情報!”と大きな赤文字で書かれていた。しかも少し前の記事だ。
「第一回 スクールアイドルの最新情報…ですね」
「違う、そこじゃない。10ページを開いてみろ」
言われた通りのページを開くと…” μ's(ミューズ)”といわれるスクールアイドルの特集が組まれていた。そこには9人についてのいろいろな情報が載っているようだ。というか凄いぞ由比ヶ浜、お前なんか眼中にないくらい派手な色をした髪の色の女の子が沢山いる。
「で、どうしたんですか先生?」
「…比企谷、君は何も感じないか?」
確かに顔は可愛い。が、こういう“アイドル”活動的なことをやっているグループには必ずと言っていいほど裏があることを知っている。つまり、表の顔ばかりを信じてはいけない。
「いえ、なにも」
「そうか…やはりその腐った瞳ではその輝きを見ることは出来ないのか…」
ほとほと残念そうに平塚先生はため息を付いた。さっきから俺の瞳について酷評しすぎじゃない?酷くない?そんなにDHC豊富そうな瞳をしてるの?俺の瞳って…
「…で、何が言いたいんですか?」
「そんなわけでな、比企谷には九月から音ノ木坂学院に半年ほど通ってもらう」
「なるほど…って…はい?」
平塚先生の表情はいたって真顔だ。にやけてもいないし、どちらかというといつも命令してくる時に高圧的な態度だと思う。いくら先生でも 女子高に通え というのは冗談ではすまないだろう。
「奉仕部の活動の一環として、君には音ノ木坂学院のアイドル研究部のお手伝いをしてもらおう思ってな。もう連絡はしてある。そして、これが特注の男子用の制服だ」
手渡されたの、あっちの高校の制服と思われる、青色のブレザーと、ズボン、赤色のネクタイだった。
「…ちょっと待ってください。音ノ木坂学院って女子高ですよね?しかも男子って俺一人だし、行ったとしても、俺寂しくて死んじゃうかもしれませんよ?」
「そんなことはないだろう。万年ボッチの化身である君が、今更うさぎのように寂しいなんて理由で死ぬわけがなかろう」
俺の意見は無視ですか、そうですか。確かに俺に友達はいない。でも別に苦に思ったことはないし、寂しいなんて思ったことない。ほんとだもん!
「いいですか、うさぎは少々体調が悪くてもギリギリまで表しません。我慢します。しかし、うさぎのように完全草食動物というのは、常に胃腸を動かしていないと、腸内の悪い細菌が活発に活動を始めます。体調が悪いと食欲が落ちますが、やがてまったく食べなくなると細菌が動き出し、うさぎを苦しめま…」
「はぁ……で、もういいか?」
さっきよりもさらに深い、もう救いようがない とでも言いたそうな呆れ果てたため息を付いた後、そんなことを言われると、凄いショックなんでやめてください。
「…すいませんでした」
「通ってもらうといったが、放課後に彼女たちの活動に参加してもらうだけだ」
淡々と言っているが、おかしい、絶対におかしい。職権乱用どころではない。
「そこに俺の意志はないのはおかしいと思うんです」
「もちろん君の意志は尊重しよう、あとは君が首を縦に振るだけだ」
「それって俺の意志はないんじゃ…」
「まあ聞け、その変わり奉仕部の活動は免除だ。先生に言って、お前の苦手な数学の教科の成績をあげてやることもやぶさかではない」
「…」
「どうだ?行きたくなったか?」と言いたいような表情をしているが、まだだ、まだ終わらんよ。一瞬揺らぎかけたが、俺の意志はそんなことじゃ曲がらない。先生と俺の目線がぶつかり、二人の間に顎の長い麻雀マンガのようなざわざわとした雰囲気が流れる。
「…戸塚並にかわいいメイドさんがいるとしても…いかないか?」
「はい、ぜひとも行かせてください!」
「よし、よく言った」
罠にかかった獲物を見て、ニヤッと笑うハンターのような愉悦の笑みを浮かべている。その時気付いた。俺は掛かったのだと。
「くっ…!でも書類にサインしてないし、そんな強引なこと…」
そしてとどめを刺すために…ポケットから録音器具を取り出した。
「ばっちり録音させてもらったよ、それにサインは私が書いた」
嘘だろおい、まじかよこの先生…悪魔だよ。破壊神ビルスだよ。
「…わかりました。放課後、半年間通うだけでいいんですよね?」
「そうだ。交通費は私が負担しよう」
本音を言ってしまえば面倒だが、半年間なんて案外短いものだ。それに放課後言って、帰ればいいだけじゃないか。
前書きというか、軽ーい説明みたいな回でした。
こっからメンバー達と合わせていこうかなーって思ってます。
ラブライブの別のSSも書いているので、こっちの更新はすこしゆっくり目になりそうです。