キリアスを守りたい!   作:キリアス守り隊!

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矛盾があったら感想で教えてね


赤鼻のトナカイ

 

 

2023年4月8日

 

俺は今日もソロで狩りを続けている。

え?キリトはどこだって?

あの日だよ、あーのー日。月夜の黒猫団のあれ…つまりサチ登場だ。可愛いよねサチ。私も大好き。

それで話は戻るけど、キリトがどこで何をしてるかっていうと、原作通り11層で月夜の黒猫団を助けてギルドに誘われてるらしい。さっきメッセージが来た。「ナナも入ってくれ」だってよ笑

 

当然断った。俺がいたら、トラップに引っかかった月夜の黒猫団が生存しちゃうかもしれないしな。キリトの成長イベントのための礎になってもらいます…しくしく

 

正直迷ったんだよ、サチは可愛いしなぁ。助けたいと言われればそりゃ助けたいよ?でも、サチが生き残ったらキリトとくっつく可能性あるからね。キリアスが消えるかもしれないんだよ!?そんなのダメダメ。

 

っと狩りに集中しないとな。

 

「おりゃ!」

 

Critical!

 

たった一振りで目の前の敵が粉々のポリゴンになった。

両手斧はこれができるから楽なんだよなー。

 

Congratulations‼︎

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 LV UP! Nana

  49 > 50

 

やっとレベル50になったわ。

そうそう、俺にも転生者特典が色々ある。

 

まずこんなにレベルが高い理由。俺はほとんど毎日、朝から夕方までキリトというチートプレイヤーと2人で組んで狩りができる。と、ここまでは普通の攻略組が強い理由と同じだ。ここからが問題の転生者特典。俺はすでに死んでいるからなのか、"寝なくても"行動できる。それによって、24時間狩りができるってことだ。

 

でも疑問に思うだろ?そんなことしたらカーディナルシステムに何かしらの制限を入れられるって。

ここで転生者特典二つ目だ。まだ予想の段階でしかないが、俺はカーディナルシステムの影響を受けていない。というより、存在していないものとして扱われているのかも…?

 

まあともかく、転生者特典のおかげで攻略組でもそこそこの地位でいれるってわけだ。

 

ちなみにキリトと別行動をしている理由は、そりゃ"原作イベント"を崩さないためなんだけど本人にそうは言えないよな?だから、怪しまれないように「しばらくソロで旅してくる!!」とか言って2ヶ月くらいレベル上げることにした。

 

ってわけでこうして1人悲しく狩りをしているわけだけど、つまんねぇーww はぁ…キリトに会いたい。

 

「私はー、キリトきゅんにー、会いたいなーって?♡」

なんちって笑笑 あはははははwww

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトにメッセージを送っても返信が来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年6月12日

 

その日の夜に、いつも通りキリトにメッセージを送ったのだがいつまで経っても返信が来ない。…時期的にもそろそろだと思ってたが、今日なのか。

慰めるかどうか迷ってる。支えすぎるのも良く無いと思うんだよ、諸君。

やはり、キリトは曇ってこそというか…

それに好感度を上げすぎるのはよくないだろうしな!うんうん

 

まあそんなことはともかく、キリトは誰にも頼らず自分を責め続けるんだろうなぁ

 

よし、とにかくキリトに会いに行こう。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キリトside

 

 

扉を開けた瞬間、赤く染まった視界を、俺は一生忘れないだろう。

 

トラップ。アラーム。殺到するモンスター。

 

俺がレベルを隠して嘘を吐き、彼らを導けなかったせいで、みんな死んだ。

 

サチも、ケイタも、月夜の黒猫団の全員が。

俺のせいで。俺がビーターだから。

 

俺は一人、薄暗いベンチに座り込んでいた。

タフトの街は、何事もなかったかのように夜の喧騒に包まれている。それがひどく理不尽に感じて、俺はただ自分の膝を抱えていた。

 

その時だった。

カツン、カツンと、石畳を叩く小さな足音が聞こえてきた。

この階層に一人で、薄暗いベンチに来る物好きなんていないはずだ。

 

「……随分と、酷い顔してんな」

 

不意に、前から聞き慣れた声が降ってきた。

顔を上げると、そこには2ヶ月前と変わらない、透き通るような白髪の少女が立っていた。

ナナ。

唯一俺の本当のレベルを知り、俺の演技を黙って見逃してくれていたパートナー。

 

「ナナ……。みんな、死んだよ。俺が…殺したんだ」

 

掠れた声で告げた俺に、ナナは慰めの言葉一つかけなかった。

 

ただ、俺の隣にすとんと腰を下ろすと、背負っていた巨大な斧をベンチに立てかけた。

 

その瞳は冷たい。けれど、向けられた視線は俺を責めるものでも憐れむものでもなかった。

 

「……だろうな。この世界は、嘘をつく奴には優しくないんだよ。」

 

「っ……!」

 

突き放すような言葉。

 

いつもならあざといほど可愛く振る舞う彼女が、今はまるで俺の内面を見透かす老練な戦士のような、重い空気を纏っている。

 

「……もう、嫌なんだ。一人でいるのも、嘘をつくのも。……ナナ、俺は……」

 

俺は縋りたかった。

今、この瞬間…彼女に「大丈夫だよ」と抱きしめられたら、俺は二度と立ち上がれなくなるかもしれない。彼女を自分だけの避難所にして、この地獄から目を逸らして生きてしまうかもしれない。

 

だが、ナナは俺の手に触れることさえしなかった。

 

ただ、ポケットから安物のサンドイッチを取り出すと、俺の前に放り投げた。

 

「食え。食わなきゃ死ぬぞ」

 

「……いらない」

 

「なら、お前の代わりに俺が食ってやろうか? ……キリト、勘違いするな」

 

ナナは俺の目を真っ直ぐに見据えた。

その瞳に、吸い込まれそうだった。

 

「お前がここで朽ち果てても、消えた奴らは戻ってこないぞ」

 

「分かってる……そんなこと……」

 

「分かってない。本当に分かってるなら、その重い腰を上げて次の街へ行く準備をしろ。お前にはまだ、やらなきゃいけないことがあるだろ」

 

ナナはふん、と鼻を鳴らして立ち上がった。

 

俺の頭にポン、と一瞬だけ手が置かれた。

温かい…小さな手。

 

けれど、その手はすぐに離れていった。追いかけようとしても届かない、絶妙な距離。

 

「……2ヶ月間、一人で狩りをして分かった。私はお前がいなくてもレベルを上げられるし、一人で生きていける」

 

「ナナ……」

 

「だから、お前も一人で立て。……私におんぶに抱っこされるなんて、一億年早いんだよ。ガキが」

 

ナナはそれだけ言うと、一度も振り返らずに去っていった。

 

残されたのは、耐久値の減ったサンドイッチと、俺一人。

 

……ナナは、俺を優しく包んではくれなかった。

俺の罪を許してもくれなかった。

 

でも、彼女の引いたその冷たい一線が俺に踏み留まるための場所を与えてくれた気がした。

寄りかかることも、甘えることも許されない。

俺はこの罪を背負ったまま、自分の足で歩き続けなければならない。

 

いつか、このゲームをクリアするまで…いや、死ぬまで。

 

「……不器用なやつ」

 

俺はサンドイッチを、無理やり喉に押し込んだ。

味なんてしなかった。ただ…瞳の奥が少しだけ熱くなった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年12月24日

 

第35層《迷いの森》。

吐き出す息は白く、地面を叩くブーツの音だけが、寒空の下で虚しく響いている。

俺は今、イベントボス《背教者ニコラス》を追って、この深い森の奥へと足を踏み入れていた。

目的はただ一つ。

このボスがドロップするという、死者を蘇生させるアイテム。

 

「……本当にあるのかよ、そんなもん」

 

自嘲気味に呟いた声は、冷たい風にかき消された。

あの日以来、俺の心は半分凍りついたままだ。……いや、半分は溶けているのかもしれない。

あの生意気なパートナーのおかげで。

 

『……だろうな。この世界は、嘘をつく奴には優しくないんだよ』

 

あの日、絶望の底にいた俺にナナがかけた言葉。

突き放すようでいて、俺の罪を事実として横に置いてくれた彼女の存在。

そのおかげで、俺は廃人にならずに済んだ。

今の俺は、ただの死にたがりじゃない。……少なくとも、あいつが背負う巨大な斧を錆びさせない程度には、生きる義務があると思えている。

 

それでも。

もし、サチを戻せる可能性があるのなら。

俺は、地獄にだって手を伸ばす。

 

ドスン、と地響きがした。

目の前の広場、枯れ木の影から巨大な影が立ち上がる。

サンタクロースを歪に、悍ましくしたような姿。背教者ニコラス。

 

「……やるぞ」

 

俺は背中の剣を抜いた。

戦闘は、熾烈を極めた。

イベントボス特有の初見殺しなモーション。削りきれないほど分厚いHPバー。

だが、今の俺は一人じゃないような気がしていた。

あいつと組んで、最前線で修羅場を潜り抜けてきた経験が、俺の身体を勝手に動かす。

 

あいつの斧が空気を割る音。アスナの細剣が閃く光。

それらが俺の剣筋を支えている気がした。

 

「――おおおおお!!」

 

最後の一撃を叩き込み、ニコラスの巨体が青いポリゴンへと霧散した。

その場に残ったのは、一つのクリスタル。

俺は震える手でそれを拾い上げた。

 

「……サチ……」

 

だが、そのアイテムに記された説明文を読んだ瞬間、俺の指先から力が抜けた。

 

『死亡後10秒以内に使用すること』

 

「…………は、はは……」

 

乾いた笑いが漏れた。

10秒。あの日、あの時…俺が絶叫していたあの時間。

もう半年以上も前のサチには、届かない。

希望なんて、最初からなかったんだ。

 

 

          ◇

 

 

第49層、拠点都市の宿屋。

俺は自室のベッドに座り、ただ天井を見つめていた。

手元には、ニコラスから手に入れた無価値なクリスタル。

……やっぱり俺は、何も変えられない。

その時、ドアがノックもなしに勢いよく開いた。

 

「……よぉ、生きてるな」

 

ナナだ。

相変わらずの美幼女アバターに、身の丈に合わない斧。

彼女は俺の惨めな姿を見ても、驚きもしなかった。

 

「……ナナか」

 

「そのクリスタル、不発だったんだろ?まあ死んだ奴が簡単に戻るようなら、カヤバーンも苦労しないさ」

 

彼女は俺の隣にすとんと座ると、相変わらず短い足をぶらぶらさせた。

 

「……ああ。……俺の、負けだよ」

 

「負けじゃない。……確認しに行ったんだろ?それでいい。……ほら、これ」

 

ナナが差し出してきたのは、何の変哲もない、温かいココアだった。

 

「……何これ」

 

「クリスマスプレゼントだ。……あと、お前の共有ストレージに何か届いてるぞ。さっきメッセージランプが点いてた。じゃ、帰るわ。」

 

トコトコと素早く帰っていくナナを見ながら、俺はメニューを開いた。

そこには――時間指定で送られてきた、一つのボイスメッセージがあった。

再生ボタンを押す。

 

『……メリークリスマス、キリト。……これを聞いているってことは、私はもう死んじゃってるんだね』

 

サチの声だった。

どこか穏やかで、全てを悟ったような、優しい声。

 

『……キリトが、実はすごく強いこと。……レベルを隠して、一緒にいてくれること。……私、本当は気づいてたよ』

 

そのままボイスメッセージは流れ続けた。

俺がレベルを隠してまで、一緒に戦ってくれる理由が分からなかったこと。俺のレベルが高いと知って安心していたこと。サチが死んでも幸せに生きてほしいこと。

 

『だいぶ時間余っちゃったね。じゃあ、せっかくクリスマスだし歌を歌うね。』

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ナナside

 

 

キリトの部屋から啜り泣く声が聞こえる。きっと、この半年…ずーーっと苦しかったのだろう。月夜の黒猫団が死んだことに、責任を感じて、死ぬことすら許されなくて…

 

はぁーー最高…♡ やっぱりキリトは曇ってこそだよね!キリトが曇った時のかわゆいあの無力な顔…♡ 今後も、もっと私が曇らせてあげるからね♡

 

それにしても…冷静に考えれば、1番罪が重いのは俺だよな。助けようと思えば助けられた月夜の黒猫団。そんな人たちを、キリアスというカップルのためだけに見殺しにしたのだから。普通に考えれば頭がおかしい。その上、傷ついたキリトをまともに支えることすら出来ない。

 

後悔はしない、してはならない。このまま勝って、勝って…勝ち続けて…

 

必ずキリトとアスナをくっつけるんだ。

 

 

 




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