NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが 作:ぜんはいざ
転生したら寝取られてました。
「ニコラス君、聞いているのかね?」
目の前にいる中年の神官が、怪訝な表情で声をかけてくるが、俺――〝ニコラス=フリートラント〟は、今それどころじゃない。
何せたった今、前世の記憶を思い出したんだから。
結論から言うと、どうやら俺は異世界に転生したらしい。
よりによって前世でプレイした、『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』という中世ヨーロッパ風ファンタジーを舞台にした、NTR系同人エロゲの世界に。
なんで『Ⅲ』なのかって? 関連作が外伝含め十二作もある大ヒットシリーズだからだよ。
というか、前世の世界はどんだけNTR好きが多いんだよ。脳破壊され過ぎだろ。
しかも転生先は、まさかの婚約者……つまりヒロインを寝取られるサレ夫だぞ? メッチャ凹むんだけど。
「ニコラス君! 聞いているのかね!」
「あっはい」
あまりに無視し続けるものだから、
だけど、こっちもショック受けている最中なんだから、もう少し空気を読んでほしい……と言いたいところではあるが、むしろ空気を読んでいないのは俺のほうなわけで。
何故なら俺は今、スキル授与式の真っ最中なのだから。
この世界では、十六歳になると誰もが『スキル』と呼ばれる能力を神から与えられる。
もちろんこれはゲームにも設定として存在しており、ヒロインをはじめとした登場キャラは、固有スキルを頼りに魔物達と戦う流れだ。
で、俺が魔物討伐をしている間に、主人公である婚約者はキッチリ間男に寝取られてしまう。
まあ、この手のNTR系エロゲにはよくあるパターンだな。
何より、俺が前世の記憶を思い出したのは、目の前に現れた
ということで、俺はもう一度
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名前:ヨッヘム=グルムバッハ
性別:男
年齢:48
種族:人間
職業:神官(枢機卿)
スキル:【光属性魔法】
経験人数:7人
開発度(口):76
開発度(胸):61
開発度(膣):0
開発度(尻):88
好感度:30
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……ステータスの内容が、見事にエロに特化してやがる。
もちろんこれは、『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』で表示されるものだ。
ただしゲームでは、ヒロインのエロステータスしか見れない仕様なんだけどな。
じゃあなんでヒロインじゃない奴のステータスが見えるんだよって問われると、逆にこっちが聞きたいところだが、おそらく原因は。
「ニコラス君! 早く君のスキルが何なのか教えたまえ!」
「あっはい。スキルは【ステータスオープン】です」
そう……どういうわけか、俺の与えられたスキルは【ステータスオープン】だった。
いやいや、これスキルって呼んでいいんだろうか。ゲームなら、最初から主人公に標準装備されてる通常コマンドなんだけど。
しかもだよ。
この世界の舞台がいくらNTR系同人エロゲとはいえ、エロステータスなんか見えても役に立たんだろ。
せっかく異世界転生したんだし、もうちょっとこう、ラノベに出てくるような最強系のチートスキルが欲しかった。
「【ステータスオープン】……? その、それはどういう……」
中年の神官の後ろに控えていた、イケメンな青年神官が尋ねる。
普通は【ステータスオープン】なんて言われても、意味分からんよな。
こんなスキル持ってる奴なんて、ゲームでも登場しないし。
ちなみにだが。
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名前:ナータン=トロイ
性別:男
年齢:21
種族:人間
職業:神官
スキル:【光属性魔法】
経験人数:1人
開発度(口):65
開発度(胸):43
開発度(膣):0
開発度(尻):11
好感度:30
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イケメン神官のステータスはこんな感じ。
というか彼と比較すると、さっきの中年神官のステータス、色々とおかしい。
男だし膣はないからゼロなのはいいとして、それ以外の開発度(特に尻)がかなり高かったんだけど。
「ヨッヘム様、これは……」
「……分からん。だが、そんな不安そうな顔をするな。せっかくの色男が台無しだぞ?」
困惑するイケメン神官に微笑みを浮かべ、慰める中年神官。
それに頬を染め、恍惚の表情で見つめるイケメン神官。
間違いない。この二人、デキてやがる。
ただでさえ前世の記憶が蘇って絶賛混乱中だっていうのに、なんで男神官二人のエロ事情を目の当たりにしないといけないんだよ。
しかもステータスから想像できる、イケメン神官が攻めで中年神官が受けとか、そんな情報知りたくなかった。
「あのー……とりあえず、スキルも無事授かったことですし、もう行っていいですかね……?」
「……早く行きたまえ」
見つめ合う二人におずおずと尋ねると、神官達は自分達の世界を邪魔されたと思ったのか、露骨にムッとして追い払うような仕草をみせた。
むしろこっちが被害者なんだよ。メッチャ感じ悪いんだけど。
などと思ったものの、一刻も早くここから立ち去りたいので、俺はそそくさとこの場を離れた。
◇◆◇◆◇
「ハアアアア……憂鬱だー……」
自分の教室へと向かう中、俺はクソデカ溜息を吐き、肩を落とす。
『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』の舞台となるのは、西方諸国の列強国の一つ〝ルミナス帝国〟が運営する〝ルミナス皇立学院〟。
俺やヒロイン、それに間男
その辺りは同人ゲームを作ったことがあれば分かる知識だし、細かいことは割愛しておく。
ん? 『間男
NTR系エロゲをしたことがある奴なら知っていると思うが、大体は間男が複数いる。
で、このゲームも王道NTR系同人エロゲのため、ご多分に漏れず間男が四人いるのだ。
「問題は、今がゲームのシナリオ的にどこまで進んでいるかってことだよなー……」
『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』は、俺達が十六歳を迎える年の春に本編が開始される。
今は五月なので、ゲーム開始から既に一か月が過ぎたことになる。
何が言いたいのかというと、まだ間男の魔の手がヒロインに迫っていないのであれば、寝取られを阻止できるんじゃないかと、淡い期待を抱いているのだ。
ただ。
「……このゲーム、ヒロインが寝取られないというエンドは存在しないんだよな」
一部のNTR系エロゲには寝取られを阻止する『純愛エンド』なるものが存在するものもあるが、残念ながら『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』はひたすら寝取られに特化しており、そんなものは存在しない。
あるのは、間男四人との寝取られエンドのみ。
前世の俺はブラック企業の社畜として色々と心が病んでいたため、NTRなどの脳破壊系エロゲを好んでプレイしていた。
怪我の功名というか、そのおかげでここがどういう世界で、自分が何者なのかをすぐに理解できたわけだけど、いくらなんでもサレ夫に転生するとかなくない?
なんで前世でもつらい思いをしたのに、転生してまで嫌な目に遭わないといけないんだよ。
「ハアアアア……とにかく、まずは今のシナリオ進行度を確認して、それからだな」
俺はもう一度クソデカ溜息を吐くと、自分の教室である『2-A』の扉を開いた。
すると。
「あ、ニコ!」
俺の姿を見るなり、ぱああ、と満面の笑みを浮かべ駆け寄って来る女子生徒。
美しい銀髪ロングを姫カットにし、アクアマリンのように輝く瞳。
整った目鼻立ちと透き通るような白い肌、ぷっくりとした桜色の唇。
エロゲヒロインらしくスタイルも抜群で、同人サークルの支援サイトに掲載されていたプロフィールでは、胸のサイズはGカップ。
――『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』ヒロイン、〝レーア=クライネルト〟。
「ねえ、どうだった? 君はどんなスキルが手に入ったの?」
「お、落ち着けって」
ずい、と身を乗り出し、瞳をキラキラさせて尋ねるレーア。
彼女の肩書きは伯爵令嬢で俺の婚約者なわけだが、加えて幼馴染でもある。
貴族令嬢、婚約者、幼馴染……よくよく考えたら、寝取られ属性フルコンボしてるじゃん。
「早く早く、教えてよ」
「そ、そうだったな。俺のスキルは【ステータスオープン】ってやつみたいだ」
「何それ」
やはりピンとこないらしく、レーアは小首を
まあそうだよな。神官達もそうだったけど、そんな反応するよな。
「まあいいや。それってどんな能力なの?」
「どんな能力って……」
エロステータスが分かるなんて、言えるはずがない。
もしそんなことがバレてみろ。俺は間違いなく変態扱いされて、この世界で居場所を失ってしまう。
「い、いや、大したことないぞ。精々相手の名前とか、年齢とかが見えるだけのもんだ」
嘘のない範囲で色々とお茶を濁しながら答えて、ふと思い立った俺は、おもむろにレーアのステータスを見てみる……んだけど。
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名前:レーア=クライネルト
性別:女
年齢:16
種族:人間
職業:伯爵令嬢(学生)
スキル:【
経験人数:1人
開発度(口):87
開発度(胸):89
開発度(膣):94
開発度(尻):26
好感度:100
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残念ながら既に寝取られた後だったよ。チクショウ。