NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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道化師の末路 ※ランベルト=フォン=ルミナス視点

■ランベルト=フォン=ルミナス視点

 

「くそっ! くそっ! どうしてこの俺が、こんな目に……っ!」

 

 バルツァー辺境伯領の国境にある大森林の中、俺は魔獣から逃げ惑いながら悪態を吐く。

 帝国に戦を仕掛けたカロリング王国のダミアン王子と繋がっていたことから、平民に落とされてこんな僻地(へきち)に追いやられてしまったのだ。

 

 よりによって、帝国内で最も危険な地域と呼ばれるところへと。

 

 建国当時より、ルミナス帝国は東の外敵の脅威に悩まされていた。

 それは隣国……ではなく、何よりこの大森林を跋扈(ばっこ)する魔獣達に。

 

 ある意味、そのおかげで隣国から攻め入られる心配こそないものの、そんなもの、危険な魔獣と比べれば大したことではない。

 

「貴様ああああああああッッッ! (おとり)もまともにこなせんのか!」

「ヒイッ!? すす、すみません!」

 

 今も生き絶え絶えで逃げ回っていることなどお構いなしに、上官である国境警備隊長の〝イェルク=バックハウス〟から怒号を浴びせかけられる。

 しかも、どうやら俺は新兵の中でも特に嫌われているようで、いじめ……いや、それ以上のしごきを受け続けていた。

 

(そ、そもそも、第二皇子のこの俺が、どうしてこんな泥臭い真似をしなければならない……っ)

 

 心の中で盛大に悪態を吐くが、最早この俺に付き従う者などいない。

 何より、側近であったはずのアレクシスが、いち早く裏切ってくれたのだから。

 

 そうして、国境警備隊の他の面々がようやく大型魔獣を仕留めたところで、今日の任務は終了となり、疲れた足取りで兵舎へ戻ってくると。

 

「え……?」

 

 なんと、そこにいたのはロムレス正教の聖女、ソフィア=レルナー。

 かつて俺の恋人だった女だった。

 

「ソ、ソフィア!」

 

 棒のようになっていたはずの足で勢いよく駆け出し、俺は大声で彼女の名を呼ぶ。

 するとソフィアは、まだ第二皇子だった頃に見せてくれた、あの慈愛に満ちた微笑みを向けてくれたのだ。

 

「やはり……やはり君は、この俺のために……っ」

「え? え? それは……」

「言わなくても分かっている! ソフィアは俺の境遇を知り、ここまで来てくれたのだろう?」

 

 ああ、そうだとも。

 きっと見かねた彼女は、ロムレス正教の力で俺をここから救い出そうとしてくれていることを。

 

 当然だ。俺達は数え着られないほど愛を確かめ合ったのだから。

 たとえソフィアが、人間ではなかったのだとしても。

 

「えーと、そのー……」

「? どうした?」

「すみません……私がここに来たのは、ランベルト殿下のためではないんです」

 

 ソフィアはそう言うと、申し訳なさそうに深々と頭を下げる。

 

「ど、どうして!? 俺達はあれほど……っ!」

「そのー……正直申し上げますと、別にあなたのことは異性として好きじゃないっていうか……ただ断ると面倒だったのと、生きるために食事(・・)が必要だったというか……」

「な……っ」

 

 その言葉に、俺は絶句する。

 やはり彼女はサキュバスでしかなく、この俺は彼女の餌に過ぎなかったということ、なのか……。

 

 それを理解した瞬間、俺の中に(あふ)れんばかりの怒りと憎しみが込み上げてくる。

 あの鬱陶(うっとう)しかったヨゼフィーネを捨て、魔物であるソフィアを選んだというのに。

 

「……ふざけるな」

「え……?」

「ふざけるな! 貴様がそのつもりなら、俺も容赦はしない! 聖女の貴様の正体がサキュバスであることを、世間に(さら)して……」

「それ、どうやってやるんですか?」

 

 今まで見たことない、凍てつくような視線を向けるソフィア。

 まるで嘲笑(ちょうしょう)するかのように、僅かに口の端を上げて。

 

「ここ、バルツァー辺境伯領の大森林付近ですよ? それを一体誰に、どうやって伝えるんです?」

「そ、それは……」

 

 彼女の言葉に、俺は言い淀んでしまう。

 そもそもこんなところにいるのは、俺を含めた国境警備隊か、あるいは森の中にうようよいる魔獣のみ。暴露しようにも、聞いてくれる者がいない。

 

 おまけに俺は、国境警備隊の中でも孤立している。

 隊長に嫌われているということもあるが、何よりここはバルツァー辺境伯領。つまり、あのニコラス=フリートラントの隣にいた、エマ=バルツァーという女の実家なのだから。

 

「つまりそういうことですよ。それにランベルト殿下……ああ、今はただの一兵士に過ぎないんでしたね。あなただってヴァイデンフェラー家からロムレス正教に乗り換えようと、私に近づいたのでは?」

 

 兄であるカール第一皇子との皇位継承争いにおいて、役に立たなかったヴァイデンフェラー家に見切りをつけ、ロムレス正教とカロリング王国の後ろ盾を得ようと画策したことは認める。

 だが言っておくが、生意気なヨゼフィーネではなく、ソフィアを愛していたのは事実だ。

 

「ま、待て。それは……」

「……そもそも私がここにきた目的は、あなたの現状について定期的に確認し、あの御方(・・・・)に報告するため。もちろん、それにかかる報酬(・・)もいただけるんですけどね」

 

 そう告げたソフィアの、エメラルドの瞳が妖しく光る。

 ああ……つまりこの女は、サキュバスとして他の男を漁りに来たというわけか。

 

 その証拠に、ソフィアの背後には今か今かと、国境警備隊の兵士達が手ぐすねを引いて待っている。

 きっとこの後、この女による一方的な精の搾取(さくしゅ)が行われるのだろう。

 

「では、そういうことですので……せめてあなたも、死ぬまでの間に楽しめるようになることを祈っていますよ」

 

 ソフィアは(きびす)を返し、警備兵達と兵舎の中へと消えていく。

 だが『死ぬまでの間に楽しめる』とは、どういう意味……っ!?

 

「む……むぐっ!?」

「大人しくしろ」

 

 突然背後から口を布で塞がれ、俺は引きずられていく。

 足掻(あが)くものの、相手の力が強すぎて歯が立たない。

 

 だが、誰がこんな真似をしたのか、声で分かる。

 国境警備隊長のイェルクだ。

 

「エマ様から、死にさえしなければ好きにしていいと言われている。……よかったな、これからオマエは、俺のオナホだ」

「むぐ……むぐううううううッッッ!」

 

 冗談じゃない。

 確かにソフィアとの逢瀬で後ろの経験こそあるが、だからといってどうしてこんな男に犯されなければならないのだ。

 

「なあに。前の奴はエマ様の逆鱗に触れて、それこそ人間ですらない奴を相手にさせられてるって話だ。それに比べれば、まだましだろ?」

 

 俺の顔をべろり、と舐め、下卑た笑みを浮かべるイェルク。

 

 そして――。

 

 ――俺は魔獣に食われてしまう半年後までの間、休むことなく(なぶ)られ続けた。

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