NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが 作:ぜんはいざ
■ヨゼフィーネ=ヴァイデンフェラー視点
――わたくしは、いかなる時も公爵令嬢であるべきですの。
ルミナス帝国最大の勢力を誇り、皇族の血を引くヴァイデンフェラー公爵家の長女として生まれ、家柄や血筋に相応しい令嬢になるため、日々努力を重ねてきましたわ。
わたくしには兄弟姉妹がいないこともあってか、お父様もお母様も大層可愛がってくださるものの、このまま婿を
ところが。
「……ヨゼフィーネ。お前とランベルト殿下の婚約が決まった」
九歳の夜。風邪を引いて床に臥していた私に、お父様は苦しそうな表情でそうおっしゃいました。
後で知った話ですけど、皇帝陛下たってのお願いだったそうで、断るに断れなかったのだとか。
「すまない……お前に相応しい男を、用意してやるつもりだったのだが……」
「お父様、そのようなお顔をなさらないでくださいませ。ランベルト殿下も第二皇子。きっと素晴らしい御方だと思いますわ」
わたくしの手を握りしめ、何度も何度も謝罪するお父様。
そんなお父様に、どうして婚約が嫌だなどと
……とはいえ、本当なら参加するはずだった皇室主催の子息令嬢のお披露目パーティーで、素敵な殿方を見初める予定でしたのに。
ですけど、まだランベルト殿下がどのような御方なのか、わたくしも存じません。
ひょっとしたら、それこそ理想の御方であるかもしれませんもの。
そうして、ようやく風邪が癒えた、十日後の午後。
「……貴様がヴァイデンフェラー公爵の娘か」
「ヨゼフィーネと申します」
彼こそが、わたくしの将来の夫となる、ランベルト=フォン=ルミナス第二皇子。
「いいか。父である皇帝陛下の、『貴様を妻に迎えよ』との命がなければ、貴様と婚約するなどあり得ないのだ。そのことを、よく肝に銘じておけ」
「……かしこまりました」
居丈高に振る舞うランベルト殿下に、わたくしとしても思うところがありますが、ここは我慢ですわ。
わたくしの感情などで、お父様に迷惑をかけるわけにはまいりませんもの。
それに。
「……なんだ? 俺の顔に何かついているのか?」
「いえ、そういうわけではありませんわ……」
わたくしには、ランベルト殿下の一生懸命虚勢を張っているお姿が、少々可愛いと思ってしまったんですのよ。
◇◆◇◆◇
「さすがはヨゼフィーネ様ですねー! 今回も一位ですー!」
「……ヨゼフィーネ様、すごい」
廊下に貼り出された定期テストの結果を見て、エマとローザがわたくしを誉めそやします。
あれから六年が経ち、皇立学院に入学したわたくしは、バルツァー辺境伯家の令嬢エマと、ビアホフ侯爵家の令嬢ローザとお友達になり、いつも一緒にいるようになりましたわ。
わたくしにとって、この二人は特別なお友達。
これまで社交の場では、ヴァイデンフェラー家の威光にあやかろうと、たくさんのお世辞を並べ立てて
そんな方々にうんざりしておりましたけど、エマとローザだけは、普通に同い年の友達として接してくださいましたの。
もちろん家格もありますので、表面上はわたくしの取り巻きみたいになってしまっていることは、とても心苦しいのだけど。
なのに彼女達ときたら、そんなことはあまり気にしていないようで、それどころかわたくしに対して何一つ遠慮もなくて、この前なんてローザに『……百合という新しい扉を開いてみたい』と、エマとキ、キ、キスをするように強制されそうになったりしますし……。
ま、まあ、そうは言っても得難いお友達であることには変わりませんので、いつも一緒に行動しているんですの。
でも。
「……今日も、ご出席なさいませんでしたわね」
教室の片隅にある、主のいない席を見つめ、わたくしは
幸いにも入学当初から同じクラスになることができたランベルト殿下。
でも、入学式の時に新入生代表のご挨拶をなさって以降、一度も学院にお姿を見せることはありません。
クラスメイトとして、お互いを知る良い機会だと思っていたわたくしにとって、これは少々寂しい気がします。
皇宮にいるお父様の部下達からの報告では、最近のランベルト殿下はわたくしのことを
心当たりがないだけに、どうすればよいのか分かりません……。
(……いいえ、わたくしのすべきことは一つだけですわ)
ランベルト殿下に相応しい婚約者となること。
そのためには、誰よりも努力し続けなければならないこと。
そうすればいつの日か、きっとあの御方もわたくしのことを見てくださる。そう信じて。
ですけど、結局一度たりとも見てくださることはなくて、それどころか二年生に進級するとクラスも変わってしまい、ますますお逢いすることができなくなってしまいました。
……クラスが変わろうが変わるまいが、学院にお越しにならないのですから、関係はないんですけれど。
それでも、ひょっとしたら今日はいらっしゃるかもしれない。
淡い期待を抱きつつランベルト殿下の教室を訪れては、肩を落とす毎日。
くじけそうになることもありましたけど、その時はいつもエマが励ましてくれましたわ。
そうしてまた教室を訪れた、五月の朝。
「残念ながら、ランベルト殿下は今日も出席されてないですよ」
これまで一度も言葉を交わしたことも、そもそも認識すらしたことのない男子生徒が、おずおずとそうおっしゃいましたの。