NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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気づいた夏の日 ※ヨゼフィーネ=ヴァイデンフェラー視点

■ヨゼフィーネ=ヴァイデンフェラー視点

 

「……とても許せませんでしたけど、結果的にこうなって満足ですわ」

 

 帝都にも蝉時雨(せみしぐれ)が鳴り響く七月の午後、わたくしはお父様に呼ばれ、ヴァイデンフェラー家の馬車でタウンハウスへと向かっております。

 

 ご存知のとおり、ランベルト殿下……いいえ、今はただのランベルトでしたわね。あの男はカロリング王国ダミアン王子と通じていた責任を受け、皇籍を剥奪。平民に落とされましたわ。

 

 そして強制的に帝国の国境警備隊に配属となって、バルツァー辺境伯領の大森林で日々魔獣と戦っているのだとか。

 それはもうエマが、とても愉快そうに教えてくれましたわ。

 

 わたくしもはしたないとは思いましたけど、大声で(わら)い転げましたとも。

 何せあの男、現地で早速素敵な殿方に見初められたそうですし。

 

 きっと今頃は、寝食を忘れて仲睦まじく過ごしているはずですわ。

 

 ……などと言ってはみたものの、詳しい内容をエマが教えてくれないから、よく分からないんですけれど。

 ただ、あの男が殿方と結ばれて不幸な目に()っていると、そう聞かされているだけ。

 

 エマの言うことですので全面的に信用していますけど、つまりはそういうことですわ。

 それ以上、あんな男のことなんて考えるだけで野暮ですの。

 

 そして。

 

「待っていたぞ」

 

 重厚な黒壇(こくだん)の机に向かい書類を眺めていたお父様が、わたくしを見るなりすぐに筆を置いて顔を上げました。

 部屋の片隅には、植木鉢に植えられた木が、大きな花を咲かせています。

 

 今すぐにでも傷つけたくなる、世界で最も醜悪な花を。

 

「それでお父様、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「大した話ではない。……その、ニコラス=フリートラントとは、どのような男なのだ……?」

「はい……?」

 

 たどたどしく尋ねるお父様の表情は、怒りや不安、焦り、それに諦念(ていねん)といった感情が入り混じっているようです。

 

 ですけど、いきなりニコラスのことをお聞きするなんて、どういうことでしょうか。

 思わず呆けた声が漏れてしまいましたわ。

 

「……ニコラスは、一言で言ってしまえば大馬鹿ですわ。わたくしとあの男の中を取り持とうと、お節介ばかり焼いて」

 

 校医のヴァイトに騙されそうになった時も、颯爽(さっそう)と現れて助けてくれて。

 裏でランベルトとの婚約破棄のために尽力してくれて、その後もただ黙って背中を貸してくれて。

 

 挙げ句の果てにはカロリング王国軍を相手に、エマと二人で立ち向かうようなお人好し。

 

 こんなの、好きになるしかないじゃない。

 

「もういい、分かった」

 

 これ以上は聞きたくないとばかりに、お父様は難しい顔をしてわたくしの言葉を(さえぎ)ってしまわれました。

 お聞きしておきながら、どういうつもりでいらっしゃるのかしら。

 

「とにかく色々あって疲れただろう。今晩は部屋でゆっくりと休むがいい」

「は、はあ……」

 

 結局お父様がわたくしを呼んだのは、何故なんでしょうか。

 理由も分からないまま、わたくしは首を(かし)げつつ執務室を出ようとして。

 

『ア、アウウ……ッ』

 

 醜い大きな花が、断りもなく耳障りな(うめ)き声を上げましたわ。

 

「やれやれまったく……しょうがない奴だ」

 

 お父様は溜息を吐きつつ、机の引き出しから一本のナイフを取り出すと。

 

 ――ずぐり。

 

『ッ!? ギャアアアアアアアアアアアアッッッ!』

 

 醜い大きな花の幹に、勢いよく突き立てましたわ。

 フフ……見た目だけでなく、悲鳴も醜いですわね。

 

 きっと中身が腐りきっているから、これだけ醜いのでしょう。

 

「それにしても、どれだけ刺しても決して死なないとは、ストレス発散にはもってこいだな」

「あら、これ(・・)のせいで散々ストレスを溜め込んでしまったのですから、それくらいは当然ではなくて?」

 

 わたくしとお父様は顔を見合わせ、口の端を吊り上げます。

 

 この醜く大きな花の名は『ダミアン』。

 そう……この花は、かつてわたくしを狙った不届き者を養分として咲き誇っていますの。

 

 面白いことに、花は養分を得るために、何があっても死なないように、本人の意思に関係なく勝手に治癒してしまうのですわ。

 

「ヨゼフィーネ、お前もどうだ?」

「せっかくですけど、遠慮しておきますわ。そんなことをして、構ってもらえたと勘違いされても困りますもの」

 

 ええ、そうですとも。

 わたくしがこの花を傷つければ、それだけで喜んでしまいそうじゃない?

 

 なら、徹底的に無関心を貫いてあげますわ。

 所詮オマエなど、路傍(ろぼう)の石以下だということを分からせるために。

 

「それでは、失礼いたしますわ」

「うむ」

 

 わたくしは一礼をして今度こそ部屋を出て、自室に入ると。

 

「……ここなら邪魔者はおりませんわね」

 

 誰もいないにもかかわらず、わたくしは部屋の中を見回します。

 寄宿舎ではどうしても人の目や耳がありましたから、ずっと我慢しなければいけなかったけど、この部屋は壁も厚く声が外に漏れることもありませんわ。

 

 ということで。

 

「ハア……もうこれだけしかありませんわ……」

 

 鍵付きの小さな宝石箱から取り出した粉薬を包んだ紙を見つめ、わたくしは溜息を吐く。

 ヴァイトがニコラス達の手によって断罪された時に、医務室からこっそり拝借したもの。

 

 美容の薬だと騙されて使用して以降、わたくしは手放せなくなってしまって……。

 

 だけど、この薬が実は媚薬で、本来はそ、その……子作りのための行為をする時に使用するものだなんて、知らなかったんですもの。

 

「そもそも、うちの使用人達も使用人達ですわ!」

 

 幼い頃からずっと、子供はコウノトリが運んでくるって、ずっと嘘を教えてきたんですもの。

 もちろん彼女達を問い(ただ)して、本当は……あの、その、あの……殿方のアレ(・・)を、お股の前のほうに……って。

 

「な、何を言わせますの!」

 

 恥ずかしくなったわたくしは、ベッドに飛び込んで火照った顔を(うず)める。

 でも、そんなことを考えていたせいで、またお股が少しうずき出して、残り少ない薬の包装を開くと。

 

 ――ぺろ。

 

「……っ! ん゛、ん゛お゛……っ゛」

 

 薬を舐めた瞬間、高ぶったわたくしはすぐに胸の先と大切なところに指を滑り込ませ、はしたない声を漏らします。

 そして、思い浮かべますの。

 

 わたくしを救ってくれた、支えてくれた、ニコラスの笑顔を。

 

「は、あ……っ。ニコラス……ニコラス……っ」

 

 ええ、分かっておりますわ。

 ニコラスの(そば)には、わたくしの大切なお友達のエマが、いつもいることを。

 

 それでも、もうこの想いを止めることはできませんの。

 だから……わたくしも決して譲ったりはしませんことよ。

 

 わたくしの大切なはじめて(・・・・)を、彼に捧げるためにも。

 

 今は入り口と小さな突起を指で撫でるだけに留めておりますけど、この中に、ニコラスのものを受け入れることになるんですわよね……。

 だとしたら、今から練習をしておいたほうがよろしいのかしら。使用人達も、最初は痛いと言っておりましたし。

 

「で、ですけど、逆に練習したせいではしたない女だと思われて、幻滅されたら嫌ですわ」

 

 ニコラスのものを今すぐにでも受け入れたい思いと、幻滅されたくない思いが交錯し、わたくしはどうしていいか分からなくなる。

 やっぱり、現状維持のままのほうがよいということなのかしら……って。

 

 この時、わたくしは気づいた。気づいてしまった。

 

「……後ろの穴で、まずは試してみればいいのでは……?」




お読みいただき、ありがとうございました!
これにてヨゼフィーネ編完結です。

ということで、次のシリーズに向け作業に取り掛かるため、少々お待ちくださいませ。
なお、次のシリーズでは友人枠なのに空気よりも影の薄いテオと、そのポジを奪ったと言っても過言ではないフーゴが大活躍します。
でも、メインはエマ・ヨゼフィーネ様とのエロコメですのでご安心ください。

あ、ちなみに、次シリーズのヒロインは人妻です。

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