【7/20オーバーラップ文庫から発売!】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした   作:ぜんはいざ

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発売まであと3日!
オーバーラップ文庫から7/20ごろ発売!
後書きまでどうぞお読みくださいませ!


地上最強の生物は、悪役令嬢と分かち合う ※エマ=バルツァー視点

■エマ=バルツァー視点

 

「ちょっとよろしいかしら」

 

 寄宿舎の自室に戻るなり、ヨゼフィーネ様が訪ねてきました。

 だけど、どこか表情が険しいですね。

 

「もちろんですよー、どうぞどうぞ」

 

 部屋の中に招き入れ、とりあえずお茶を用意します。

 さて……きっと、ニコさんについて話があるんでしょうね。

 

 それに関しては、わたしのほうもありますけど。

 

「彼……ニコラスの様子の変化に、気づいてますわよね?」

「当然ですー。あの用務員、きっと何かあるんでしょうねー」

 

 おそらくあの男は、あのニコさんを裏切ったクソ女――レーア=クライネルトや、ヨゼフィーネ様の時と同じような、誰かを傷つけようとする最低な輩なのだと思います。

 実際、横を通り抜けただけで、ゴミカスの臭いがしましたし。

 

「これまでのこともあるから、学院側も素性はしっかり調べているとは思いますけど、それだけでは済まない何かをニコラスは感じ取ったようですわね」

 

 そう言った直後、ヨゼフィーネ様が口元を緩めます。

 きっとニコさんが助けてくださった時のことを、思い浮かべているんでしょうね。嫉妬でちょっとイラッとしました。

 

「……それでー、そのことをわざわざ話しに来た理由はなんですかー?」

「決まってますわ。わたくしとあなたで、彼を手伝って差し上げるのよ」

 

 意外でした。

 わたしはてっきり、抜け駆けをするために牽制しに来たのかと思ったんですけど。

 

「フフ……『意外』、とでも言いたげですわね」

「そ、そんなことないですよー」

 

 あっさり見抜かれてしまいました。

 普段はツンデレさんのポンコツさんなのに、何気に人の機微を読むのが得意なんですよね。それ以外の能力だって、公爵令嬢として申し分ないどころかハイスペ過ぎですし。

 

 ひょっとしたらこう見えて、彼女も色々と修羅場をくぐってきたのかもしれません。

 あのランベルト皇子が、どうしようもなく無能なボンクラだっただけに。

 

 ……この国、ヨゼフィーネ様が統治したほうが平和なのでは?

 

「大切なニコラスが何かをしようとしているのに、いがみ合ってなんていられませんわ。それに、わたくしが手を結ぶならエマとローザしかおりませんもの。何より、あ、あなただって、わたくしの大切なお友達ですしっ」

 

 ハア……こういうところですよ。

 基本的にニコさん以外はどうでもよくて、全て切り捨てるはずのわたしなのに、ヨゼフィーネ様はいつもこうやって可愛らしい姿を見せつけてくるんですから。本当にずるい。

 

 だからこそ彼女は、ニコさんに負けないくらい大切なお友達なんですけど。

 

「そうですねー。ニコさんを助けるためにもー、ここは一旦休戦ということで」

「ええ……ですけど、その点についても提案がありますの」

「提案、ですかー……?」

 

 一体なんでしょうか。

 普段は悪役令嬢みたいに振る舞うくせに、実は真っ直ぐな性格のヨゼフィーネ様だから、悪い話ではないとは思いますけど……。

 

「知ってますこと? このルミナス帝国は、貴族に限り重婚が認めていることを」

 

 ……なるほど、そういうことですか。

 つまりニコさんを独り占めするのではなくて、お互いに共有しようというのですね。

 

「もちろん、あなたがニコラスを独占したい気持ちも分かりますわ。わたくしだってそうですもの」

「…………………………」

「ですけど、わたくし達がいがみ合っていても何も得られませんし、むしろそのせいで、彼に迷惑をかけることになりかねませんわ」

 

 悔しいですが、ヨゼフィーネ様のおっしゃることには一理あります。

 ニコさんを独り占めしたいけど、そのせいで彼に迷惑をかけたくない。足を引っ張るなんて論外です。

 

「……すぐに答えを出してほしいなんて、急かすつもりはありませんわ。わたくしだって、元々は夏休みの間に、彼を振り向かせようと色々と画策しておりましたもの」

 

 真紅の瞳が妖しく光り、ぺろり、と唇を舐めるヨゼフィーネ様。

 とてもじゃないけど、ついこの間までどうやって子供ができるかも知らなかった女性の仕草とは思えません。

 

 誰かを好きになるということは、ここまで人を変えるものなのですねー……。

 わたしも、人のことは言えませんけど。

 

「……分かりましたー」

「! じゃあ!」

「ですけどー、わたしだってまだ気持ちの整理がつきませんし、とりあえずは夏休みが終わるまでー、保留にさせてください」

「そ、そうですわよね……」

 

 期待に満ちた表情を浮かべたものの、わたしの言葉を聞いてヨゼフィーネ様が肩を落とします。

 どうやら彼女の中では答えが出ているようですが、さすがにこちらとしてもすぐに決められるはずがありません。

 

 何せ七年前のあの日から、ニコさんのことだけをずっと想い続けているんですから。

 

「で、では、わたくしはこれで失礼……」

「待ってくださーい。……それで、あの男(・・・)はどうしますかー? わたしとしては、今すぐ排除してもいいんですけどー」

 

 あの男(・・・)とは、もちろんコップという名の用務員。

 ニコさんを(わずら)わせるような輩、消してしまっても問題ありませんよね。

 

「そうね……ヴァイデンフェラー家の力を使ってこの世界から抹殺するのは簡単ですけど、それはそれでニコラスが気に病んでしまうのではなくて?」

「それは……」

「だから今は、彼から求められるまで待ちましょう。……といっても、ただ待っているつもりはありませんけど」

 

 そう言うと、ヨゼフィーネ様は口の端を上げる。

 権謀術数に長けている彼女のことだから、きっと良い案があるのでしょうね。

 

 なら、わたしもそれに乗っかることにしましょう。

 

「んふ♪ ニコさんを困らせるような奴をー、どうやって消そうかな?」

「もちろん、この世界から存在ごと消し去りますのよ♪」

 

 わたしとヨゼフィーネ様は顔を見合わせると、口の端を吊り上げた。




お読みいただき、ありがとうございました!

『NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした』

オーバーラップ文庫様から7月20日ごろ発売!
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