【7/20オーバーラップ文庫から発売!】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした 作:ぜんはいざ
オーバーラップ文庫から7/20ごろ発売!
後書きまでどうぞお読みくださいませ!
「それでー、これからどうするんですかー?」
補習の実施場所となる教室に入るなり、エマが尋ねる。
そういえば、まだ具体的なプランについて示していなかったな。
「テオの監視ももちろんだが、まず最優先にすべきは、用務員コップの排除だな」
もちろん『ルミナスの壊れた日々Ⅶ』の本編開始は夏休み明けだが、それより以前から、あの男は女子生徒を毒牙にかけようとしているはず。
幸いなことに、コップが用務員として配属されたのは、僅か一週間前。さすがにまだ、女子生徒を脅迫する材料を手に入れてはいないだろう。
「ですけど、証拠もないのに追い出したりするのは難しいのではなくて? ……もちろん、あなたが望むなら、ヴァイデンフェラー家の力を使って即座に排除して差し上げますけど」
そう言って、ヨゼフィーネがくすり、と
ボンクラ皇子との一件以降、スキル【悪役令嬢】の能力が開花している気がするんだが。
「もちろん、証拠はこれから手に入れる。あの男は狡猾ではあるが、どこか抜けているところがあるからな。だから、あの男を追い詰めるのはそれほど難しくないはずだ」
実際ゲームでも、コップがヒロインの脅迫に失敗するパターンも存在しており、その場合、言い訳にならないような言い訳を繰り返す。
アイツのステータスにあったスキル、【ナナハンで首都高】がまさにそれである。
「それに……」
「それに?」
「たしかに手を貸してほしいとお願いしたが、だからといってみんなに無理はさせたくない」
テオの暴走を止めたいというのは、言うなれば俺の
もちろん間男による被害を食い止める意味合いもあるが、結局はそういうこと。
なら、大切な友達に大変な思いをさせたくないと考えるのは、当然なわけで。
それが俺に好意を寄せてくれている女子なら、なおさらだ。
「心配しなくても、ちゃんと証拠は……んぷ!?」
「本当にもう……そういうところでしてよっ!」
突然ヨゼフィーネに抱きしめられてしまい、Iカップの胸に押し込められた俺は思わず窒息しそうになる。
こんなの、トラップとして優秀過ぎるだろ。どう頑張っても自力で脱出不可能じゃねーか。いつまでもこのままでいたい。
「ヨゼフィーネ様ー! 何をどさくさに紛れてそんなことしてるんですかー!」
「あ……そ、そういうつもりはなかったのだけど……」
強引に引き剥がしたエマの猛抗議に、ヨゼフィーネが思わず困惑した表情を浮かべる。
どうやらこの行動、無意識にしてしまったようだ。
「むー……気をつけてくださいねー。
「ご、ごめんなさいですわ……」
二人がどんな約束を交わしたのか、俺、クッソ気になります。
「相変わらずニコラス殿だけずるいでござる! 拙者もIカップにダイブした……ヒッ!?」
「……フーゴ、ちょっと黙ってくださる?」
「は、はいっ!」
余計なことを言おうとしたばかりに、ヨゼフィーネにぎろり、と
いつもの『ブヒ』も語尾の『ござる』も、忘れてしまうほどに。
悪役令嬢って、やっぱり怖いんだな。
◇◆◇◆◇
「ふう……以上で、今日の補習を終わります」
こめかみを押さえ息を吐く、クリームヒルト先生。
とりあえず補習は終わったが、既に窓の外が暗くなり始めていた。
「な、長かったでござる……」
生き絶え絶えといった様子のフーゴが、机に突っ伏す。
正直、俺も突っ伏したいが。
「クリームヒルト先生」
「……なんですか? って、ニコラス君でしたか」
「実は先程の内容のことで、ちょっと分からないところがありまして……」
露骨に顔をしかめる彼女だったが、俺と気づくとすぐに表情を崩した。
さもありなん。何せ補習を受けていた連中、フーゴを含めほとんど真面目に取り組んでなかったからな。
一方の俺はというと、真面目に受けていたぞ?
つまり彼女の態度が違うのも、そういうことだ。
「補習の内容は前期授業のおさらいに過ぎませんし、あなたは元々成績優秀者じゃないですか。なのに、分からないところが?」
「はい。ちょうど期末試験で、ミスをしたところだったので」
どこか揶揄うように告げるクリームヒルト先生。
だが、これは本当だ。
実は計算の際、桁を一つ間違えてしまったんだよなー。
そのせいで、学年首位の座を逃したと言っても過言ではなかったり。
「ふふ、分かりました。では、こちらへ」
くすり、と微笑み席に着くと、彼女は俺に着席を促す。
疲れて帰りたいところ悪いが、まだしばらくは居残ってもらわないと。
何故なら。
「…………………………」
教室の外で、クリームヒルト先生が出てくるのを、今か今かと待ち構えているテオがいるんだよなー。
「そういえば先生は、夏休みをわざわざ生徒のために補習を受け持ってくださったわけですけど、その、ご家庭は……」
「……余計なお世話です。それより、問題に集中しなさい」
「は、はいっ!」
打って変わり眉間にしわを寄せる彼女に、俺は慌てて返事をする。
きっと夫婦生活が上手くいっていないのだろうな。だからこそ、教え子のショタに手を出したんだろうし。
まあ、それはともかくとして。
「ですけど、俺達としても申し訳ないじゃないですか。本当だったら、ご主人と夏休みを過ごされるはずだったのに、それが俺達のせいで台無しになったわけですから」
「ニコラス君のせいじゃないですよ。……むしろ、この学院の体制が問題なわけで」
神妙にそう告げると、クリームヒルト先生はすかさずフォローしてくれた。
ただし、学院には色々と思うところがあるようで。
だけど、俺に対してあまり警戒していないようだし、これなら話を聞き出せそう。
「俺も友人のフーゴに付き合うと言った手前、こうして補習を受けてますけど、本当だったら家族と過ごすはずでしたからね。……先生は、ご主人は領地にいらっしゃるんですか?」
「ええ。だから帝都のタウンハウスには、私一人で暮らしているの」
今は帝都に一人だけ、と。
さすがにそれは、無警戒なんじゃないだろうか。
「で、ここはこうして……」
「ああ、なるほど。ここをミスっていたのか」
打ち解けてきたこともあり、柔らかい表情で親切に教えてくれるクリームヒルト先生。
とりあえず、今日はこんなところでいいか。
「ありがとうございました。すごく分かりやすかったです」
「いえいえ、どういたしまして」
頭を下げ感謝の言葉を告げると、彼女は嬉しそうに微笑む。
ショタと不倫はしているものの、教官としては悪い人ではなさそう。
「……だけど、ニコラス君って友達思いの努力家なのね」
「そうですかね?」
「ええ。……ねえ、よかったら、この後食事でもどう?」
……まさかのお誘いを受けてしまったんだが。
お読みいただき、ありがとうございました!
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