【7/20オーバーラップ文庫から発売!】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした   作:ぜんはいざ

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ニコラスにフラグが立った日。

 あの後アルミンは、すぐに皇立学院に引き渡した。

 

 コップに続き、立て続けにまたもや不祥事を起こす格好となってしまった学院。

 関係者が頭を抱える姿を見て、俺は同情を禁じ得ない。

 

 とりあえず、恨むなら寝取られヒロインと間男とサレ夫が跋扈(ばっこ)する、このルミナス皇立学院そのものを恨んでくれ。……あれ? つまりこれ、ブーメランなのでは?

 

「あんなことがあったんですからー、さすがに先生も、ひき続き補習を受け持つことはないですよねー?」

「そのとおりですわ。こんな目に遭えば、学院としても休養を取らせようとするはずだもの」

 

 朝の教室で、おそらく来ないであろうクリームヒルト先生を待つ中、どこか期待に満ちた瞳で尋ねる、エマとヨゼフィーネ。

 クリームヒルト先生がいなくなれば、ストーカーのテオも補習に通うことはない。

 

 つまり、俺達の真の夏休みが始まることを意味する。……純粋に補習を受ける必要がある、フーゴを除いて。

 

「先生、あまり気に病んでないといいんだが……」

 

 教官としてあのショタを救おうと思ったのに、騙され、しかも裏切られたわけで。

 その心中、察するに余りある。

 

 すると。

 

「お待たせ。今から授業を始めるわよ」

「っ!? 先生!?」

 

 いつもの調子で教室にやって来た、クリームヒルト先生。

 俺は思わず、勢いよく立ち上がってしまった。そのせいで周囲から注目を浴びて、メッチャ居心地が悪い。

 

「ふふ……私は教官なのよ? なら、最後まで責任持ってみんなに教えるわ」

 

 俺の反応を見て、色々と察したのだろう。

 彼女は苦笑すると、ただそう答えた。

 

 そして。

 

「…………………………チッ」

「…………………………ふん」

 

 どうしてエマは舌打ちして、ヨゼフィーネは不機嫌そうに鼻を鳴らすのかな。

 クリームヒルト先生が無事で、喜ばしいことだろうに。

 

 まあ、それはそれ、これはこれっていうことなんだろうけど。

 

 そして、俺は。

 

「そのー……二人に、お願いしたいことが……」

「! お願い、ですかー?」

「もったいぶらずに、早くおっしゃいなさいな」

 

 彼女達に向き直りそう告げると、どこか(いぶか)しむエマと、少し呆れ顔のヨゼフィーネ。

 きっと面倒事だということを、理解したのだろう。実際そうだし。

 

「先日、教官室で先生に絡んできたあのクソイケメン、覚えてるだろ? アイツと、もう一人この学院から追い出したい奴がいるんだが……」

「ニコさんがそんなことを言うなんてー、珍しいですね」

「確かにそうですわね……降りかかる火の粉は払う主義とはいえ、自分のことでもないのに、こちらから積極的に何かしようなんて、あなたらしくないですわ」

「……かもな」

 

 最初は、結婚していながらショタ生徒に手を出す不貞ヒロインだからと、助けようなんてこれっぽっちも思わなかった。

 関わろうとしたのも、結局は間男なのに友人になってしまったテオの暴走を止めるためでしかない。

 

 だけど分かったのは、クリームヒルト先生が不倫なんてしてなくて、それどころか生徒に寄り添おうと頑張る優しい教官で。

 というか、ゲームの設定と全然話が違っていて、ルミナスシリーズを製作した同人サークルを小一時間ほど問い詰めたい気分。

 

 要は、何が言いたいかというと。

 

「クリームヒルト先生は、この学院で数少ないまともな教官だ。できれば、助けたい」

 

 結局、俺も甘いということだろうか。

 だが、これだけ関わってあの人のことを知ってしまったら、見て見ぬふりもできない。

 

「んふふー、ニコさんならそう言いますよねー」

「ですわね。だからこそ、ニコラスなのだもの」

 

 エマは、にぱー、とはにかみ、ヨゼフィーネがどこか誇らしげに頷く。

 何というか、その……そう言って俺に寄り添ってもらえると、申し訳ないと思いつつも、やっぱりバチクソ嬉しいわけで。

 

「ありがとう。全部片づいたら、その時は俺にできることなら、どんなことでもするから」

「「!」」

 

 あれ? 二人の雰囲気が、何よりその視線が、クッソ変わったような……。

 例えるなら、獲物を狙う猛禽(もうきん)類みたいな感じ?

 

「ニコさーん! 今の言葉、絶対に忘れないでくださいねー!」

「フフ……フフフ……ッ! ニコラスに、何をしてもらおうかしら……!」

「は、はは……」

 

 俺は少々早まったことを言ってしまったのではないかと、早速後悔の波が押し寄せてきた。

 

     ◇◆◇◆◇

 

「それでー、クリストフ教官を排除することは分かりますがー……」

「あなたの言うもう一人の男は、誰なんですの?」

 

 昼休みの空き教室で、お弁当を広げながら尋ねる二人。

 そして、当然と言わんばかりに俺の隣で腕組みをし、うんうん、と頷くフーゴ。今回もすっかり仲間入りのつもりなのだろうが、お前はまず補習を優先しろよな。

 

「それについてはおいおい話す。今はまず、あのクソイケメンを消し去ることを優先しよう」

 

 夏休みということもあり、まだ最後の間男は現れていない。

 ……といってもいつものパターンで、ゲームのシナリオを無視して、すぐ登場しそうだけど。

 

「だからフーゴ」

「ブヒ?」

「お前は引き続き、テオの動向を監視し続けてくれ。先生に近づく連中を排除している間に、あいつが暴走してしまったら元も子もないからな」

「グフフ、任せるでござる。……と言いたいところでござるが、それに当たってお願いがあるでござるよ」

「お願い?」

 

 どうしてだろうか。フーゴに死亡フラグが立ったような気がするのは。

 

「どちらか一つでいいので、正式に魔導具を返して……」

「「……は?」」

「ブヒヒヒヒ!? なな、何でもないでござる!」

 

 二人の底冷えするような声に、(すく)み上がったフーゴは即座に土下座した。




お読みいただき、ありがとうございました!

『NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした』

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今後も『NTRエロゲ』についてのイベント告知などが控えておりますので、どうぞお楽しみに!

それでは皆様、どうかどうか、本作のご購入をよろしくお願いいたします!!!
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