【7/20オーバーラップ文庫から発売!】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした   作:ぜんはいざ

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つまりは優先順位の問題であって。

「クリームヒルト先生、その……大丈夫ですか……?」

 

 補習を終え教官室に戻ってきたクリームヒルト先生に、クソイケメンが案の定、神妙な面持ちで絡んできた。

 本音では彼女の心情なんてどうでもよくて、アルミンの一件を好都合だと思っているくせに。魂胆が見え見えなんだよ。

 

「……大丈夫とは?」

「もちろん、教え子があなたに手を出そうとしたことですよ」

 

 (いぶか)しんで尋ねるクリームヒルト先生に、クソイケメンは不用意に手を伸ばそうとして。

 

「っ!?」

「失礼。ですが、気安く触らないでいただけますか?」

 

 彼女に、ぺしん、と叩かれてやんの。

 というか、既にオマエに対する好感度は最低なんだから、いい加減諦めろよ。

 

「だけど、心配なんだ……きっとあなたは、傷ついて……」

「余計なお世話です。……それより、誰からそのことを聞いたんですか?」

 

 一瞬だけ顔が険しくなるが、すぐに眉根を寄せてアピールするクソイケメン。

 もちろんクリームヒルト先生は、けんもほろろにあしらうと、逆に厳しい視線を向け詰問した。

 

「誰って……もちろん、主任教官にですが……」

「嘘ですね」

 

 ぴしゃり、と言い放つ、クリームヒルト先生。

 そう言い切るだけの理由があるのだろうか。

 

「今回の件については、補習を受けている生徒達が動揺しないよう、学院には内密にしていただくことを私からお願いしたんです。もちろん、他の教官にも知らせないことも含めて」

「……………………………」

「学院としても、ここ最近続いた不祥事もあって、快諾してくれました。……なのに、主任教官ともあろう方が、約束を反故にして恥を(さら)したりするはずがありませんから」

 

 これはクソイケメン、墓穴を掘ったな。

 どんな手段を用いたか知らないが、そのせいで完全に疑われてやがる。いい気味。

 

「なるほど……あの男、そこまでしますのね」

 

 教官室を一緒に隣で(のぞ)いていたヨゼフィーネが、眉間にしわを寄せ、ぎり、と歯噛みする。

 クソイケメンが何をしたのか、同じ公爵家の彼女は理解できたのかもしれない。

 

 つまり。

 

「このことを知っている数少ない誰かに対し、公爵家の力をひけらかして脅迫か買収をしたってことか」

「ええ」

 

 というか、人妻を寝取るために権力を無駄遣いするなよ。最低だな。

 

「どうしますー? ……というかー、もうやっちゃいましょうか」

 

 表情こそ笑顔ではあるものの、ハイライトの消えた瞳でクソイケメンを見つめ、今すぐにでも飛び出しそうな勢いのエマ。

 

「……まだあの男の悪事の証拠をつかんでいないのに、手を出してしまえば逆にこちらが不利になる。今はまだ、我慢だ」

「分かりましたー……」

 

 渋々といった様子で、エマは引き下がった。

 

「ニコラス」

「ん?」

「あなたさえよければ、ヴァイデンフェラー家の力を使って、あの男を……」

「いや、それはしなくていい」

 

 ヨゼフィーネが言い切る前に、俺はその申し出を断った。

 

 表向きは国家や貴族の権力が及ばないこととされている、ルミナス皇立学院。

 そこに介入すれば、ヴァイデンフェラー家が帝国に目を付けられることになりかねないし、同じく公爵家であるシュプリンガー家と無用な軋轢(あつれき)を生んでしまう。

 

 クリームヒルト先生を救いたいのは間違いないが、俺にとっての優先順位は、エマとヨゼフィーネのほうが上だから。

 

「だけど……今後のことも(かえり)みずにそう言ってくれて、ありがとう」

「あ……べ、別によろしくってよっ」

 

 顔を真っ赤にし、ぷい、と顔を背けるヨゼフィーネ。

 やっぱりバチクソ可愛いかよ。

 

「そうするとー、やっぱり手っ取り早く身体に叩き込んだほうが……」

「だから、それはやめような」

「はーい……」

 

 またもや物理で訴えようとするエマを(たしな)めると、彼女は落ち込んだ様子でうつむいた。

 おそらくエマは、俺がヨゼフィーネに感謝したことで対抗意識を燃やしたんだろうな。

 

 本当にさあ。

 

「わっ!?」

「そんな顔しないでくれ。俺はいつだって、エマに救われてるんだから」

 

 少し……いや、かなり照れくさいが、俺はエマの頭を撫でた。というかこんなことをして、どこの勘違い系ラノベ主人公だよ。

 だけど、その言葉に偽りは何一つないし、彼女の落ち込んだ顔なんて、見たくないんだよ。

 

 だからさ。

 

「えへへ……」

 

 やっぱりエマには、そんなニコニコ笑顔が最高に似合うよな……って。

 

「エマばかり、ずるいですわ……っ(ボソッ)」

 

 今度はヨゼフィーネが、()ねて口を尖らせる。

 ああもう! 本当にもう!

 

「わわっ!?」

「これで公平だろ? もちろんヨゼフィーネ様にだって、俺は救われてるんだからな」

「あ……フフ……」

 

 クリームヒルト先生を見守らないといけないのに、それどころじゃなくなってしまった俺。

 だけど、二人とも幸せそうな顔をしているし……ま、いいか。

 

 などと考えていた、俺が馬鹿だった。

 

「な……あ、か、身体が……あ、つぅ……っ」

「っ!?」

 

 教官室からエロい吐息が漏れ、俺は慌てて中を見る。

 

 すると。

 

「やはり無理をされていたようですね。……安心してください。この私が、すぐに介抱してあげますよ」

 

 上気した顔でしなだれかかるクリームヒルト先生を抱き寄せ、クソイケメン――クリストフは、口の端を吊り上げていた。




お読みいただき、ありがとうございました!

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今後も『NTRエロゲ』についてのイベント告知などが控えておりますので、どうぞお楽しみに!

それでは皆様、どうかどうか、本作のご購入をよろしくお願いいたします!!!
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