NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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本音では盗撮したかったです。

「……私以外の女に使おうというのは、豚の分際で許せないわ」

 

 そう言うと、忌々(いまいま)しげにフーゴを(にら)んだ。

 おや? ひょっとしてこれ、女王様の嫉妬ってやつじゃないか? キモオタ枠の間男のくせに許せないんだが。

 

「だそうだが……まさかお前、リタさんがそう言ってるのに、他の女子を盗撮したりなんてしないよなあ?」

「ブ、ブヒ……」

 

 俺はフーゴの肩を組み、顔を近づけて某タイムリープもののヤンキー漫画に出てくる総長風に(あお)ってみる。

 当のコイツは、苦虫を()み潰した表情でうつむく。その反応からも、やっぱり他の女子を盗撮する気満々じゃないか。

 

「リタさん……これは俺からの提案なんですが、フーゴが作った魔導具、俺達で預かっておきましょうか?」

「っ!? だだ、駄目でござるよ! これは拙者が崇高な目的のために作り上げた努力の結晶……」

「黙りなさい」

 

 俺の提案にすかさず反対しようとしたフーゴだったが、女王様の放つ冷たい一言に押し黙る。

 気持ちは分かるが、俺だってお前の超小型高性能カメラが欲しいんだよ。なのでいい加減諦めてくれ。

 

「もちろん、二人がプレイのために魔導具を使用する際にはその都度お返しします。……それで、どうですかリタさん」

「……分かったわ」

「ブヒヒヒヒ……ッ」

 

 血と汗と涙の結晶である超小型高性能カメラを奪われることが決定し、膝から崩れ落ちるフーゴ。

 思ったんだが、自分で作った魔導具なんだから、もう一度作れば済むんじゃね? あえてそのことを指摘してやるつもりはないけど。

 

「交渉成立ですね。俺達は学院にお二人のことを絶対に告げ口しないと約束します」

「当然ね」

「じゃあ早速、魔導具を……」

 

 手を伸ばし、女王様からカメラを受け取ろうとした……んだが。

 

「んふふー。これは、わたしが預かっておきますね」

「エマ!?」

 

 なんと俺より先に、エマがカメラをかっ(さら)ってしまった。

 オイオイ、何するんだよ。

 

「心配いりませんよー。リタさんやフーゴさんがお使いになる時には、わたしからちゃんとお渡ししますし。……まさかとは思いますけど、ニコさんはこれを使うつもりじゃないですよねー……?」

「ももも、もちろん! 当然じゃないか!」

 

 笑顔だがハイライトの消えた藍色の瞳で見つめられ、俺は壊れた人形のように何度も(うなず)いた。

 もしここで選択を誤ったら、きっと俺は処されるに違いない。

 

「それじゃ、用も済んだし俺達はこれで」

「待ちなさい」

 

 そう言って部屋から出ようとした俺達だったが、女王様に引き留められてしまった。

 

「あなた達の提案を受け入れてあげたんだから、いくつか教えてちょうだい。……あなた達の目的って、結局は豚の作った魔導具を手に入れるためなのよね。だったらそれを使って、何をするつもりなのかしら?」

 

 女王様は俺達に鋭い視線を向け、尋ねた。

 困ったなー。まさかこれで、婚約者の寝取られの証拠を手に入れようと考えているとか、ちょっと言いづらい。

 

 というか、婚約者がいながら他の女子といかがわしい宿屋に来たのかよとか、色々と軽蔑(けいべつ)されそう。

 

「んふふー、わたし達はこの魔導具を使うのが目的じゃなくて、フーゴさんに魔導具を使わせないことが目的だったんです」

「それはどういう……」

「分かりませんかー? もし魔導具をフーゴさんがお持ちのままだったら、さっきニコさんがおっしゃったように、他の女子生徒を(のぞ)き見する危険がありましたよね? ……それを使ってフーゴさんが女性を脅すかもって言ったら、どうします?」

「っ!? ……そういうことね」

 

 いつもとは違う、どこか含んだような笑みを浮かべ、エマが告げる。

 女王様もそれを聞いて気づいたようで、すぐに納得の表情に変わって(うなず)いた。

 

 だけど、超小型高性能カメラの機能について何も説明していないのに、エマはよく俺の目的や懸念をすぐに理解したな。

 何気にエマって、メッチャ優秀な女子生徒なんじゃない?

 

「そういうことですのでー、この魔導具はわたしが責任をもってお預かりしますね。あと、念のためお聞きしますけど、他に同じような魔導具を持っていたり、簡単に作り直したりすることってできるんですか?」

「で、できるわけないでござるよ! その魔導具には特殊な素材が使われていて、一朝一夕で作れるものじゃないでござる! 世界にたった一つしかない、拙者だけのオンリーワンなのですぞ!」

 

 フーゴが怒り交じりに叫ぶ。

 その姿から、コイツが嘘を言っていないことは分かったが……いや、残念。

 

 スペアがあったり再製作が可能なら、別に入手……なんて思ったりしてないからな! ほ、欲しくなんてないし!

 

「それを聞いて安心しましたー。……もしそうじゃなかったら、フーゴさんを監禁しなきゃいけないかもって思ったところですし」

「ヒッ!?」

 

 エマから放たれる殺気に、フーゴがいつもの『ブヒ』ではなく純粋な悲鳴を上げた。

 いかがわしい宿屋で初めて見せる、地上最強の生物の片鱗。俺も今後気をつけよう。

 

「じゃあニコさん、今度こそ行きましょう。それではお二人共、ごゆっくりー」

「うおお!?」

 

 俺はエマに強引に引きずられ、呆気に取られる二人に見送られていかがわしい宿屋を後にした……んだが。

 

「ニコさーん。……わたし、色々とお話をお聞きしたいです」

「はい……」

 

 ニコニコ顔のエマにすごまれ、俺は観念して(うなず)いた。

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