NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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間男の人生ハードモード。

「ヨゼフィーネ様ならご存知でしょう? ユリアンの実家……レッツェル侯爵家がどういう家なのかを」

 

 何度も言うが、レッツェル侯爵家は忠臣とは名ばかりの、帝国では禁止されている人身売買をはじめ、裏社会でかなり幅を利かせている貴族。

 『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』でも、ユリアンに寝取られたレーアはレッツェル家で経営している娼館に放り込まれ、その後は肉便器としての人生を歩むことを余儀なくされてしまうのだ。

 

「ええ……存じておりますわ。こう言ってはなんですが、ユリアンは帝国にとって厄介な存在でしかない。だからこそ皇帝陛下は、引き取り手のない彼をレッツェル家に押しつけたんですもの」

 

 そう言うと、ヨゼフィーネは唇を()む。

 これは同じ皇室の人間としてユリアンの存在を苦々しく思っているからなのか、それとも、ハードモードな人生を強いられているユリアンに同情しているからなのか。

 

 彼女がどのような感情を抱いているのかは分からないが、だからこそ俺達が……いや、レーアの婚約者であるこの俺が、あの間男を止めなければならない。

 

 そうすることが、サレ夫に転生したこの俺の、寝取られた婚約者へのせめてもの手向(たむ)けだ。

 

「……あなたの考えは分かったわ。確かにあなたの言うとおり、急がないといけませんわね」

「ご理解いただき、ありがとうございます」

 

 俺はヨゼフィーネに向け、深々と頭を下げる。

 これで俺達の認識は一致した。ユリアン断罪に向けて、不安要素はない……って。

 

「ど、どうかしました?」

 

 何故か不満顔のヨゼフィーネに、俺はおずおずと尋ねる。

 俺、何かまずいことでも言ったか?

 

「あなたはエマやローザ、それにそこの彼には気安く接しているのに、わたくしに対してはその……しょ、少々他人行儀なのではなくて?」

「えーと、それはー……」

「わたくし達はユリアンの悪事を止めるための仲間、そうですわよね! で、でしたら、仲間に対する言葉遣いというものがあるのではなくて!」

 

 腕組みをして立ち上がり、顔を真っ赤にして言い放つヨゼフィーネ。

 つまりあれか? もっと気安く接してほしいと、そういうこと?

 

 何この寝取られヒロインの悪役令嬢。バチクソ可愛いんだが。

 

「だったらヨゼフィーネ様も、俺のことはいい加減『あなた』じゃなくて、ちゃんと名前で呼んでほしいですね」

「~~~~~~~~~~っ!」

 

 そう言い返してやると、耐え切れなくなったのか顔どころか首まで真っ赤っかになり、ヨゼフィーネはうつむいてしまう。

 

 そして。

 

「…………………………ニコ、ラス(ボソッ)」

 

 はいいただきました。ヨゼフィーネの精一杯のデレ。

 これだけでもごはん三杯はいけるが、俺はこんなものでは満足しない。

 

「え? 今なんて言いました?」

 

 耳に手を当て、俺は(あお)るように尋ねる。

 ふっふっふ。恥ずかしさのあまり肩を震わせるIカップ悪役令嬢、最高過ぎるだろ……って。

 

「ニ……ニコラス! これでいいんでしょう! これで!」

「うおおおお!?」

 

 思いきり耳を引っ張り大声で叫ぶヨゼフィーネに、俺は驚きのあまり床にもんどり打つ。

 やべ、楽しくなってつい揶揄(からか)い過ぎた。

 

「……へえー。ひょっとしてニコさん、ヨゼフィーネ様のこと……」

「っ!? ちょ、ちょっと待てエマ! 落ち着け!?」

 

 藍色の瞳からハイライトが消え、ポキポキと指を鳴らすエマ。

 よく見ると青筋が立っていたその笑顔が、俺はこの世の何よりも怖いと思った。

 

 ――さようなら、みんな。(完)

 

     ◇◆◇◆◇

 

 やあみんな、ニコラスだ。

 地上最強の生物の温情により、かろうじて生き残り次の日を迎えることができたぞ。

 

 そんな俺は今、昼休みになったのでレーアの尾行をしている。

 もちろんエマも一緒だ。

 

 ちなみに、ユリアンについてはヨゼフィーネとローズ、それにフーゴが張り付いている。

 どうしてそんな組み分けになったかって? エマが決めたんだよ。

 

「んふふー、婚約者が尻尾を出したらいいですねー」

 

 などとご機嫌でそんなことを言ってくるエマ。

 好感度ゼロながら、俺と二人だけになったのがそんなに嬉しいのか? 嬉しいんだと思いたい。

 

「ところで、少しくっつきすぎじゃないか?」

「えー、そんなことないですよー。むしろもっと密着しないと、婚約者に見つかってしまいますから」

「そ、そうか……」

 

 俺は指摘するも、エマにそう言い返されては従うしかない。

 昨日のこともあるからっていうのもあるが、そもそもエマのHカップおっぱいの魔力に抗える奴なんて、この世にいないんだよ。

 

 そうしてレーアの後をつけること数分。

 

「あれは……」

「パンを選んでいるところですねー」

 

 なんてことはない。レーアはただ、購買に昼食を買いに来ただけのようだ。

 

 ただ。

 

(あいつ……いつもなら、食堂で友達と一緒に昼メシを食ってるのに……)

 

 俺の考えすぎなのかもしれないが、いつもと行動パターンが違うとどうしても勘繰ってしまう。

 寝取られているんだから仕方ないのかもしれないが、あまりそっちに思考が誘導されてしまうと失敗のもとだから気をつけないと……って。

 

「ユリアン?」

「ですねー」

 

 まるでタイミングを見計らったかのように、ユリアンも購買にやって来た。

 ただし、ユリアンは他に女子生徒数人を連れている。

 

 おいおい、レーアだけじゃ飽き足らず、他の女子にまで手を出しているのかよ。

 しかもよく見ると、レーアがユリアンを凝視してるじゃねーか。

 

「許すまじでござる。アイツは男の敵でござる」

 

 いつの間にか俺達の隣に来ていたフーゴが、ギリギリと歯ぎしりをしている。

 俺からすれば、間男のくせに女王様とシレッと童貞卒業しているコイツも敵なんだが。

 

「……ヨゼフィーネ様ー。わたし達と合流してしまったら、目立つじゃないですか」

「し、仕方ないじゃない! まさかユリアンも購買に来るなんて思わなかったんですもの!」

 

 ジト目で睨むエマに、必死に弁明するヨゼフィーネ。

 あまり大声を出されたら気づかれてしまうので、お願いだから静かに……っ!?

 

「ちょっと、邪魔なんだけど」

 

 なんとレーアが、いきなりユリアンと一緒にいる女子生徒に難癖つけ始めたんだけど。

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