NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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間男と寝取られヒロインもデート中。

「レーア……それに、ユリアン……」

 

 婚約者とイケメン間男もまた、同じように繁華街でデートをしていた。

 

「……あれって、つまりそういうことですよね」

「…………………………」

 

 いつになく低い声で尋ねるエマに、俺は何も答えることができない。

 ユリアンに寝取られていることは分かっていた。だけど、いざ目の当たりにすると、やりきれない思いで一杯になってしまって……って。

 

「行きましょう」

「エ、エマ!?」

「ここで指を(くわ)えて見送っていても仕方ないです。それより、あの二人の証拠をつかむ絶好のチャンスですよ」

 

 先程までの笑顔も、いつもの間延びする話し方も鳴りを潜め、エマは俺の手を引っ張り二人の後を追おうとする。

 彼女の言っていることは正しい。そもそも俺は、レーアの寝取られの証拠を集めて婚約破棄することを目的に、これまで動いてきたのだから。

 

 なのに。

 

(どうして俺、NTR系エロゲのサレ夫みたいな気持ちになっちまってるんだよ……)

 

 いやいや、そもそも俺サレ夫だったわ。……なんてセルフツッコミは置いといて、やっぱりレーアが寝取られている様子を見たいとは思えない。

 というか、どんな感情でアイツ等がヤッてるところを見なきゃいけないんだよ。

 

「……別に全部を目撃する必要はないですよ。ただ、証拠になりそうなものを集めるだけでいいんです。例えば、例の宿屋を利用したなら、お店の人に証言してもらうとか」

「そう、だな……」

 

 慰めにも似た言葉をかけるエマに(うなず)き、俺は覚悟を決めて二人の後を追う。

 

 そして。

 

「……あの建物の中に入っていきましたね」

「ああ……だけどここ……」

 

 繁華街の裏路地を歩く二人は、何故か間にフーゴ達が利用していたようないかがわしい宿屋を素通りし、雑居ビルの中へと消えて行った。……なんで中世ヨーロッパ風の世界に雑居ビルなんてあるんだ?

 しかも、入口の前にはサングラスをかけた屈強な黒服の男までいるし。ここだけ世界観無視してるんだが。

 

 ……まあきっと背景にフリー素材使っているせいで、これくらいしかなかったんだろうな。

 

「わたし達も中に入ってみましょう」

「だな」

 

 (うなず)いてみるものの、入る時に黒服に止められる未来しか見えない。

 仮にエマが暴力で解決しても、その時は騒ぎを聞きつけた二人に逃げられてしまうんじゃないだろうか。

 

「ニコさーん」

 

 何の心配もいらなかった。

 エマってば、黒服が反応する前に意識を刈り取ってしまったよ。

 

 ということで、俺達は問題なく建物の中に入ると。

 

「ここは……」

 

 どうやら会員制のナイトクラブというやつのようで、天井にはミラーボールが輝き、ガラの悪い怪しい連中が酒を飲んだり踊ったりしていた。

 俺とエマは制服姿なだけに、場違い感が半端ない。

 

 すると。

 

「お。その制服、ルミナス皇立学院じゃねーか?」

「ほんとだな」

 

 目敏くこちらに気づいた見るからにヤバそうな二人組の男が、俺達に声をかけてきた。

 どどど、どうしよう。俺、こういう人種が一番苦手なんだが。

 

「ちょうどよかったですー。ここに、わたし達と同じ制服を着た二人組の男女、見ませんでしたか?」

 

 いつもの間延びした話し方に戻り、エマがニコニコと笑顔を浮かべて尋ねる。

 地上最強の生物だけあって、こんな連中など意に介さないんだろうな。メッチャ頼りになるんだけど。

 

「あん? それって……」

「あのVIPにいる奴等のことじゃねーの?」

 

 やはり二人は、ここの利用客に間違いない。

 しかもVIPルームって……エロゲだったら間違いなくヤリスポットじゃん。

 

「でもよー。その制服着てるってことは貴族なんだろうけど、あの部屋、普通の貴族程度じゃ入れねーぞ」

「あれ? つまりあいつ等、普通じゃねーってこと?」

「そうじゃね?」

 

 まあ、ユリアンは皇室の落胤(らくいん)だから普通じゃないよな。

 

 しかも裏社会で暗躍するレッツェル侯爵家の子息って肩書きもある。帝都のナイトクラブなんて、むしろ庭みたいなもんだろ。

 いやいや、ひょっとしたらこのビル自体、実家の持ち物かもしれない。

 

「ご心配なくー。わたし達も、普通(・・)じゃありませんので」

 

 おいおい、地上最強の生物のエマはそうかもしれないけど、俺はちょっとエロステータスが見えるだけの、いたって普通のサレ夫だからな。

 

「それより、ありがとうございますー。おかげで助かりました」

「いや、どういたしまして」

「まあ、なんか困ったことがあったら言えや」

 

 意外にも、ガラの悪い二人組はメッチャ親切だった。

 これからは人を見た目で判断するのはやめようと思う、今日この頃。

 

「じゃあ、行きましょうか」

「ああ……」

 

 俺達は、教えてもらったVIPルームへと足を運ぶ。

 

 そこには。

 

「ここから先は立ち入り禁止だ」

「学生共、酷い目に遭わされたくなけりゃさっさと……っ!?」

「少し眠っててくださいねー」

 

 指を鳴らし威嚇(いかく)する屈強そうなスキンヘッドの黒服二人だったが、声を上げることすらできずにエマに瞬殺された。

 どうやって倒したかって? 動きが速すぎて見えなかったから、俺には分からんよ。

 

「どうしますか? このまま一気に突入します?」

「そうだな……」

 

 もし今、二人がおせっせの最中だとしたら、アイツ等もさすがに言い逃れできないだろう。

 ついでに俺のメンタルもブレイクしそうだが、ここまで来てそうも言っていられない。

 

 何より、エマにここまで付き合わせてしまったんだし。

 

 かといって、二人が何もしてなかったらそれはそれで意味がない。ナイトクラブのVIPルームにいた程度じゃ、それを追及したところで軽くいなされて終わってしまう。

 あくまでも俺達は、アイツ等の証拠をつかみに来たのだから。

 

「……残念ながら、今はフーゴの魔道具もない。だから今日のところは、まずは二人の様子を(うかが)いつつ、決定的な証拠をつかむための()に繋がる情報を得ることに専念しよう」

「はい」

 

 俺の提案に、エマが(うなず)く。

 彼女もそのほうが賢明だと判断してくれたようだ。

 

 ……別に、レーアがアイツに寝取られている姿を見たくないからとか、そんなんじゃないからな。

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