NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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同人エロゲでカップルが隠れる場所といえば、掃除用具のロッカーなのだ。

「……そういうことだから、明日の放課後は覚悟しておくんだな」

「…………………………」

 

 ひとしきり話し終えた後、ユリアンはVIPルームから出て行った。

 中には、一人残されて苦渋の表情を浮かべうつむくレーアがいる……ような気がする。

 

 そもそも中の様子が見えないから、適当に言っただけなんだが。

 

 で、俺達はというと。

 

「さ、さすがに掃除用のロッカーの中は狭いな……」

「仕方ないですー。ここしか隠れられる場所がありませんでしたし」

 

 そう。VIPルームのすぐ(そば)には、ここに隠れてくださいと言わんばかりに何故か掃除用のロッカーが置かれていたのだ。

 だけどさすがはNTR系同人エロゲの世界。全てがエロのために都合よく配置されてやがる。

 

 きっとこの部屋の中でヒロインが寝取られてオホ声(さら)しているところを、サレ夫が聞き耳を立てて泣きながらオナニーするというシチュを狙ったんだろう。制作した同人サークル、グッジョブ。

 

 そのおかげで俺とエマは互いの胸を密着させる状態になっており、Hカップのおっぱいを押しつけられて心を無にするのに必死である。

 そうじゃないと、俺のサレ夫スティックを逆にエマに押しつけることになってしまう。してみたい衝動に激しく駆られるが、そんなことをした瞬間に俺の人生が詰む。

 

「だけど、生徒会室か……」

 

 残念(?)ながら二人はVIPルームでおせっせしたりすることはなく、最後まで会話に終始していた。

 その内容というのが、明日の放課後、生徒会室に来いというもの。

 

 ただ、レーアが寝取られているのかどうかなど、そういった核心に触れる話は何もなかった。

 ユリアンに脅迫されているとか、そんな素振りもない。

 

 ひょっとしたら俺達がVIPルームに来る前に、寝取られに関する重要な話は全部終わっていたのか?

 

「ニコさん……」

「ああ。明日の放課後に、アイツ等の決定的な証拠をつかんでやる」

 

 そのためには、超小型高性能カメラを生徒会室に忍ばせ、二人の様子を全て収めないと。

 その時に――俺とレーアの関係は、綺麗さっぱり終わる。

 

 幼馴染からスタートした、長年の関係が……って。

 

「なんだよ。エマがそんな顔してどうするんだよ」

「ですけど……っ」

 

 俺は作り笑いを浮かべそう告げるが、エマは今まで見せたことのない悲痛な表情を浮かべた。

 これで好感度がゼロなんて、誰が信じられるかよ。

 

「大丈夫。……ただ明日は、一緒に結末を見届けてほしい」

「はい……」

 

 そんな願いを伝えると、エマは顔をくしゃくしゃにして(うなず)いた。

 

 あーあ、せっかくのHカップ美少女とのデートだったのに。

 全部終わったら、お詫びを兼ねて今日のやり直しをするかー。

 

     ◇◆◇◆◇

 

「どうだ、できそうか?」

「むむむ……でござる」

 

 いよいよレーアとの婚約破棄に向けたカウントダウンが始まった日の朝の始業前。

 隣のクラスにやって来た俺の質問に、フーゴの奴が腕組みをしながら難しい顔をする。

 

「なんだよ、使えない奴だな」

「その言い草は酷いでござる!?」

 

 まったく……こんなこともできないなんて、盗撮キモオタの風上にも置けない奴だ。

 生徒会室にカメラを仕掛けるくらい、チャチャッとやれよな。

 

「そもそも生徒会室にどうやって忍び込むでござるか! 絶対に鍵がかかっているでござるぞ!」

「それなー……」

 

 生徒会室への侵入は、誰もいない授業中に行うとして、問題はどうやって中に入るか。

 方法なんて、普通に考えたら生徒会室の鍵を入手するしかない。

 

「フーゴ、お前のスキルは【特級魔法技師】だろ? なら、どんな鍵でも開けることができる魔導具とか作れないのか?」

「そんなの無理でござるよ! 鍵なんて何パターンあると思ってるでござるか! それに、どうして拙者のスキルを知ってるでござる!?」

「あれ? 言ってなかったけ?」

 

 フーゴに指摘されて俺は思い返してみると、確かに学院ではレーアとテオにしか言ってなかった気がする。

 まあ、【ステータスオープン】の真の能力については、絶対に明かせないけどな。

 

「実は俺のスキルの能力、対象の名前と性別、年齢、種族、あとは職業とスキルの名前だけ知ることができるんだよ」

「ブヒ!? なな、なんですと!?」

 

 いや、そこまで驚くほどのことじゃないだろ。

 久しぶりに会った知り合いの名前を思い出す時とかには便利だとは思うが。

 

「まあ、使い道なんて何もない、ただのゴミスキルだ。気にするな」

「せ、拙者は破格のスキルだと思うでござるが……」

 

 お前だって【ステータスオープン】がエロゲ特化だと知ったら、これがいかにゴミスキルか分かるだろう。……いや、コイツならメッチャ喜ぶ未来しか見えんわ。

 

「ちなみにでござるが、エマ殿のスキルはどうでござるか? 先日の戦闘教練ではすさまじい強さでござったし、きっとすごいスキルが……」

「んふふー。余計なことを考えると、死んじゃいますよー?」

「ブヒヒヒヒ!?」

 

 ハイライトの消えた瞳で不気味に(わら)うエマ。フーゴは蛇に睨まれた蛙……いや、豚である。

 

「というか、スキルなんて別にどうでもいいだろ。それで人の価値が決まるなんて馬鹿げてる」

 

 などと格好いいこと言ってみたが、この世界はなんだかんだでスキル至上主義。

 決して自分がゴミスキルだから擁護しているわけじゃないぞ。本当だぞ。

 

「……やっぱりニコさんは、ニコさんですね」

 

 何故かエマは、そんな俺のくだらない自己弁護を聞いて、(とろ)けるような笑みを浮かべた。

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