NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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『Ⅷ』の間男はパワハラ生徒会長である。

「……やっぱりニコさんは、ニコさんですね」

 

 何故かエマは、そんな俺のくだらない自己弁護を聞いて、(とろ)けるような笑みを浮かべた。

 

「い、いやいや、これはあくまでも、自分のスキルがダメスキルだから、それを誤魔化したっていうか……」

 

 なんとなく気恥ずかしくなってしまった俺は、顔を逸らしてそんなことを言ってみる。

 というか、エマって俺に対して謎に評価が高かったりしない? いや、嬉しいけどさ。

 

「えへへ、いいんですー。ニコさんの良さは、わたしだけが(・・・・・・)知っていれば」

「そ、そう……?」

「はい♪」

 

 ああもう、こんなにニッコニコの笑顔でそんなこと言われたら、全力で勘違いするぞ。

 むしろレーアとか勝手に寝取らせておいて、俺は俺でエマと……って。

 

「コホン」

 

 いけない。見かねたヨゼフィーネに、ジト目を向けられてしまった。

 今はラブコメチックな空気を出している場合じゃなかったな。全部終わってからにしよう。

 

「それで、どうやって生徒会室に入るか、ですけど……フフ、いよいよわたくしの出番のようですわね」

 

 満を持して登場とばかりに、含み笑いを見せながらヨゼフィーネがずい、と前に出てくる。特にIカップのおっぱいが。

 

「生徒会室の鍵でしたら、ちょうど知り合いがおりましてよ」

「待って。その知り合いって、生徒会長とか言わないよな?」

「あら、どうして知っているのかしら」

 

 はいダウト。

 

 残念ながらルミナス皇立学院の生徒会長は、ヨゼフィーネがヒロインを務める『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』に登場する間男の一人である。

 というか生徒会の会長と副会長が揃って間男とか、この学院終わってるよな。

 

「悪いことは言わないので、それだけは絶対にやめような?」

「むう……納得いきませんわ」

 

 頬を(ふく)らませるヨゼフィーネもバチクソ可愛いが、そんなことをしたら間男に弱みを握らせるも同然。

 自分から脅迫の材料を提供してどうするんだよ。

 

 ……いや、まてよ?

 

「えーと……やっぱり生徒会長に頼るのも、一つの方法かもしれない」

「え……?」

 

 俺がそう(つぶや)いた瞬間、ヨゼフィーネは一転して顔を(ほころ)ばせた。メッチャ分かりやすいな。

 

     ◇◆◇◆◇

 

「それで? 私に頼みごとがある、とのことだが……」

 

 生徒会室で偉そうに腕組みしながら尋ねる、厳格そうな顔つきをした金髪オールバックの男。

 コイツこそが、生徒会長で『Ⅷ』の間男の〝バルトゥール=アルメハウザー〟だ。

 

 ちなみにこの男、ヨゼフィーネの母方の従兄(いとこ)である。

 

 『Ⅷ』では他の生徒会役員にパワハラをしまくっており、色々と(・・・)苦言を呈したヨゼフィーネに逆恨みして生徒会室に呼び出し、そこで強引に行為に及んで寝取りやがるクズ野郎だ。

 

「ええ。実はこの部屋の鍵を貸してほしいのですわ」

「生徒会室の鍵を?」

 

 ヨゼフィーネが偉そうに告げた瞬間、パワハラ男の眉がぴくり、と動く。

 相手が従妹(いとこ)とはいえ公爵令嬢で皇族の一人であるヨゼフィーネだけに冷静に装っているが、心の中では怒り心頭だろうな。

 

 コイツ、自分より偉い奴が心底嫌いだから。

 

「ええと、俺から説明します」

「……貴様は誰だ?」

「二年のニコラス=フリートラントといいます」

 

 (いぶか)しげに睨むパワハラ男に、俺は一歩前に出て名乗る。

 さて……ここからは、俺の口先でねじ伏せてやるとしよう。

 

「実は、この生徒会に会長を陥れようと考えている輩がいるようでして。……その、会長がこの学院始まって以来の優れた御方だからこそ、逆恨みされているようです」

「なんだと?」

 

 俺の言葉に、パワハラ男が険しい表情に変わる。

 だが俺には分かるぞ。お前、本当は褒められて嬉しいんだろう?

 

 何せコイツ、承認欲求の塊だからな。

 

「俺達は昨日、帝都の繁華街で偶然聞いてしまったんですよ。『あんな奴が会長なんて、この学院はもう終わりだ。今すぐ排除しなければ、僕達の未来もない』って」

「…………………………」

 

 おお、考えてる考えてる。

 犯人が誰なのか、気になって仕方ないんだろう?

 

「……それを言っていたのは誰だ」

「それが……俺達も偶然話し声を聞いてしまっただけで、その時は慌てて周りを確認したんですが、後ろ姿を見つけたもののその人はすぐに人混みに紛れてしまい、見失ってしまいまして……」

「フン、使えん奴だな」

 

 鼻を鳴らして言い放つパワハラ男。メッチャ腹立つ。

 

「だが、それと生徒会室の鍵を借りるのと、なんの関係がある」

「大ありですよ。だってその人、『アイツがいなくなれば次の会長は僕だろうね』とも言ってましたし」

「っ!?」

「つまり、生徒会役員の誰かってことですよね?」

 

 思い当たる節があるのか、パワハラ男がみるみるうちに険しい表情に変わっていく。

 俺はそれを、あえて挑発するように下から(のぞ)き込んで見やった。

 

「俺達、考えたんです。今の学院が素晴らしいのは、会長のおかげ。なら会長が生徒会を追放されてしまったら、この学院はどうなるんだろうって」

「…………………………」

「だから……俺達、この生徒会室に潜んで、会長を追い出そうとしている人を見つけ出してやります」

 

 俺は白々しくも、握り拳を作ってパワハラ男に訴えた。

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