NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが 作:ぜんはいざ
「うう……緊張する……」
俺は今、死刑宣告でも待っているかのように実家のタウンハウスで三角座りをして震えていた。
ちなみに、ルミナス皇立学院では入学すると寄宿舎生活を強いられるのだが、儀式を経てスキルを手に入れた生徒はその日だけ特別に実家への帰宅許可が与えられる。
もちろん、授かったスキルについて家族に報告するために。
「父上と兄上はともかく、母上を泣かせるのはやだなあ……」
俺の実家は、帝国でも名門と呼ばれるフリートラント侯爵家。
厳格な父上は物心ついた頃から笑った姿を見たことがなく、同じくその血を受け継いだ兄上も常に気難しい。知らない奴が二人を見たら、恐怖で泣き出すんじゃないだろうか。
一方で、母上はいつも
だからこそ、俺のゴミスキルのことを知ったら、ショックで寝込んでしまうかも。
「や、やっぱり、レーアとの婚約破棄については言わないほうがいいよな」
ただでさえスキルのことで家族をガッカリさせるのに、加えて婚約者を寝取られましたなんて口が裂けても言えそうにない。
というか、言った瞬間に家族より先に俺のメンタルがブレイクしそう。
「ハア……俺のスキル、ラノベみたいに突然チートスキルに生まれ変わったりしないだろうか」
などと思ったりするものの、当たり前だが【ステータスオープン】に変化はない。
しかも他人のステータスは見れるのに、自分のものは見れないというポンコツ性能っぷり。
まあ、自分のエロステータスを見たら見たで、きっと色んな黒歴史が蘇り、恥ずか死ぬことになりそうだけど。
すると。
「坊ちゃま。夕食の支度が整いました」
ノックをして入ってきたのは、フリートラント家に長年仕える執事の〝ヤコブ〟。
少し長めの白髪を後ろで
「分かった、今行くよ……」
俺はそう返事をすると、重い足取りで食堂へ向かった。
そこには。
「…………………………」
「…………………………」
「まあまあ! 久しぶりね、ニコ!」
入るなり、腕組みをして無言で
表情や態度こそ正反対だけど、三人から等しく強烈なプレッシャーを感じるんだが。
「し、失礼します……」
俺は緊張した面持ちで、ゆっくりと自分の席に座る。
お願いだから、こちらの一挙手一投足を凝視しないでくれませんかね。
だがそれ以上に俺は、家族には絶対にスキルの本当の能力について語ってはいけないことを確信した。
だって。
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名前:ユルゲン=フリートラント
性別:男
年齢:44
種族:人間
職業:侯爵
スキル:【百年に一人の逸材】
経験人数:1人
開発度(口):34
開発度(胸):100
開発度(膣):0
開発度(尻):24
好感度:30
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名前:サビーネ=フリートラント
性別:女
年齢:38
種族:獣人(狐)
職業:侯爵夫人、ルミナス帝国暗殺者ギルド長
スキル:【
経験人数:1387人
開発度(口):10
開発度(胸):10
開発度(膣):10
開発度(尻):10
好感度:30
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
名前:アレクシス=フリートラント
性別:男
年齢:21
種族:人間
職業:侯爵子息、皇室秘書官(第二皇子付)
スキル:【神算鬼謀】
経験人数:0人
開発度(口):0
開発度(胸):0
開発度(膣):0
開発度(尻):0
好感度:30
――――――――――――――――――――
両親のエロステータスを暴露したら、家庭が崩壊しちゃうだろ。
一方で、兄上のステータスは
だけどおかしいな……兄上にはれっきとした婚約者がいて、今は第二皇子付きということで忙しいから結婚が少し遅れているものの、かなりの長い付き合いなんだけどな。
……まさかとは思うが、実は兄上がゲイってオチはないよな……?
「それで……ニコよ、どのようなスキルを授かったのだ」
ゲンドウポーズを取り、尋ねる父上。
威厳たっぷりな雰囲気を醸し出しているが、あのステータスを見た後では
というか、実は父親がチクニー大好きチクニストだったなんてトラウマ級だろ。
「え、ええと……残念ながら、大したものではありませんでした」
「まずは言ってみろ」
「っ!?」
有無を言わせないとばかりに、威圧的に催促する父上。
悟られるな。悟られるなよ、俺。
「その、【ステータスオープン】といって、相手の個人情報が見えるというか……」
「ほう?」
そう聞いた瞬間、父の眉がぴくり、と動いた。
相手の情報が無条件で得られるんだ。普通ならレアスキルって思ってしまうのもやむなし。
「……残念ながら、分かるのは相手の名前と性別、年齢、種族、職業……あとはスキルの名前などです」
嘘は言ってない。言ってないぞ。
だからきっと、父とのやり取りをぽわぽわした様子で眺めている母上には気づかれてない……はず。
母ときたら、何も考えていないような雰囲気を
だけど、ステータスを見た後ならちょっと頷ける。
だって職業、暗殺者ギルドの長だし。
おまけに人間だと思っていたのに実は獣人で、何より経験人数がまさかの千人斬り。父上は母上だけに一途だというのに、この差は酷い。
にもかかわらず、開発度はどの部位も10で固定。父上を含め、男連中の夜のテクニックに満足できないということだろうか。
「……フン。ニコがスキルを与えられたので時間を割いて帰ってみたら、まさかそんな結果とはな」
兄上は吐き捨てるようにそう言って立ち上がると。
「アレクシス、どこへ行く」
「皇宮へ戻ります。まだあの男のお守りがあるので」
俺を一瞥することもなく、兄上は食堂を出て行ってしまった。
ちなみにあの男とは、ヨゼフィーネの婚約者で『Ⅷ』のサレ夫役のランベルト皇子のことである。
その後、残された俺達三人は、感情を隠すのが下手過ぎる父上のせいで、終始微妙な空気のまま親子水入らずの夕食を迎えた……んだけど。
「そういえば、婚約者の……」
「レ、レーアのことですか?」
「そうそう、レーアちゃん。彼女も元気にしてる?」
興味津々といった様子で尋ねる母上。
おかげで俺の背中は冷や汗でびっちゃびちゃである。
これ、どう答えよう。
「は、はは、もちろんです」
俺には愛想笑いを浮かべてその言葉を絞り出すのが精一杯だった。
とてもじゃないけど、寝取られましたなんて言えない。言えるはずがない。
「……そう。それならよかったわ」
「っ!?」
一瞬、母上からとんでもない殺気を感じた気がするけど、き、気のせいだよな……。
そうして俺は、この苦痛でしかなかった夕食会をかろうじて終えた。