NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

40 / 106
間男と寝取られヒロイン、罠にかかる。

「……まだ来ませんねー」

 

 放課後、俺達は生徒会室から少し離れた場所にある、屋上へと繋がる階段の踊り場で、レーアとユリアンが現れるのを今かと待ち構えていた。

 

「もう午後の授業が終わって三十分以上経っていますわ。さすがにまだ来ないのは、おかしいのではなくて?」

 

 しびれを切らしたヨゼフィーネが、こちらにジト目を向ける。

 どうやら俺が、デマをつかまされたのではないかと疑っているようだ。

 

「わたしもはっきりと聞きましたから、間違いないですー。婚約者と副会長は、きっと来ると思いますよ」

「そ、そう? ならいいですけど……」

 

 おい、俺とエマじゃ扱いが全然違うんだが。ひょっとして俺、そんなに信用ない?

 ヨゼフィーネから受けた扱いに、ほんの少しだけ凹んでいると。

 

「っ!? 来たでござる!」

 

 生徒会室の中の様子をチェックしていたフーゴが叫ぶ。

 受信装置である水晶玉には、確かに二人の姿が映っていた。

 

「……それで、どうしますの?」

「俺とエマは、二人の会話を聞くために生徒会室に近づく。ヨゼフィーネ様達はこのまま中の様子を監視。フーゴ、録画は任せたぞ」

「もちろんでござる!」

「いつになったらわたくしのこと、呼び捨てにしてくださるんですの!?」

 

 どん! と力強く胸を叩くフーゴに送り出され、俺とエマは生徒会室へと向かう。

 ヨゼフィーネが何かを言っているが、無視しておこう。様付けのほうが悪役令嬢らしいから、絶対に呼び捨てにしてやらない。

 

 そして。

 

「この中で、二人が……」

 

 レーアとユリアンが、どんな会話をしているのかは分からない。

 ……いや。最悪、中でおっ(ぱじ)めている可能性だってある。

 

(覚悟、決めただろ。何ビビってるんだよ)

 

 俺は前世の記憶が蘇って、レーアのエロステータスを見て寝取られていることを悟り、婚約破棄をすると誓った。

 それに、『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』ではサレ夫の救済エンドが存在しない。

 

 だから俺には、レーアを見限るという選択肢しか残されていないんだ……って。

 

「エマ……?」

「大丈夫、大丈夫ですよ。わたしは最後までニコさんの隣にいるって、誓ったじゃないですか」

 

 いつもの間延びした話し方じゃないのに、その声は温かくて、優しくて、とても心地よかった。

 だけどそれ以上に、くじけそうになる俺の心に勇気の火を(とも)してくれて。

 

「そうだな。俺にはエマがついていてくれてるんだし、さっさとこんなくだらない茶番を終わらせて、昨日のやり直しをしないとな」

「はい!」

 

 ようやく顔を上げて軽口を叩く俺に、エマは向日葵(ひまわり)のような笑顔で応えてくれた。

 これでゲームじゃNPC(ノンプレイヤーキャラ)の取り巻きAで、しかも好感度がゼロだっていうんだから、色々と間違ってるよな。

 

「さあ、行こう」

 

 エマに周囲を見張ってもらい、その間に俺は生徒会室の扉にそっと耳を当てる。

 

 すると。

 

「ふふ……本当に、君の婚約者は馬鹿だな。寝取られた大事な彼女が、今もこうして僕の指示に従って、裸を(さら)していることに気づく素振りすら見せないんだから」

「…………………………」

 

 ……どうやらユリアンは、レーアに裸になるように強要したようだ。

 この後、いよいよ行為に及ぶんだろう。

 

「それで、婚約者を裏切っている気分はどうだい?」

「どうって……」

「まあ、身体は正直だね。今すぐにでも僕に抱いてほしくて、うずうずしてるんだろう? その証拠にほら、床がもう大変なことになっている」

 

 レーアの開発度は、あと一回でもセ〇クスしたら完堕ちする。

 どれだけ心が拒否したいと思っても、既に身体が抗えないところまで来ていることは分かっていた。

 

 だが、俺はそれを止めたりはしない。

 ちゃんと証拠として映像を収めて、それを突きつけて婚約破棄をしないといけないのだから。

 

 すると。

 

「……あなたは復讐のために、こんなことをしているんですよね」

「復讐? 一体誰に」

「あなたをここまで追いつめた帝国に、そして、あなたを傷つけたレッツェル侯爵に」

「…………………………」

 

 間男の一人であるユリアン=レッツェルの公式設定は、帝国の裏で暗躍するレッツェル侯爵家の子息で、表では生徒会副会長を務める人格者、裏では父親同様に様々な悪事に手を染めているというザ・悪人。

 

 皇室の落胤(らくいん)なんて事実も、ステータスを見て初めて知った。

 今のレーアの言葉から察するに、帝国もユリアンの存在を持て余しているんだろう。

 

 加えて、レッツェル侯爵家でもぞんざいな扱いを受けている様子。

 尻を含めた開発度を考えると、ひょっとしたら養父であるレッツェル侯爵あたりに、身体を差し出していた可能性もあるかも。

 

 そんな境遇だから、レーアに限らず女子を寝取っては酷い目に遭わせて、どうすることもできない現実への怒りと鬱憤(うっぷん)を晴らしていたのかもしれない。

 

 同情? そんなもの、するはずないだろ。

 ユリアンの奴がどんな目に遭って、どうやって生きてきたかなんて興味ないし、それで人の婚約者を寝取りやがったんだから、むしろ地獄に落ちろと思ってるよ。

 

 実際ゲームでも、救いようのないクズだったことは知ってるし。

 

「くだらないね。いいから君は、黙って僕の言うとおりにすればいい。そうすれば、全てが(・・・)上手くいくんだ(・・・・・・・)

 

 何偉そうに言ってやがる。

 オマエ等に待っているのは、破滅だけなんだよ。

 

「さあ、来るんだ」

「はい」

 

 低い声でユリアンが呼ぶと、レーアは躊躇(ちゅうちょ)することなく、間髪入れずに返事をした。

 さあ、あとは本番が終わるのを待つだけ……っ!?

 

「ニコさん、最後まで待たなくても大丈夫ですよ」

 

 見張りをしていたはずのエマがいつの間にか(そば)にいて、ぽん、と背中を叩きかぶりを振った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。