NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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はい論破。

「フフフ……甘いですわ! ええ、それはもう、うちのシェフが作るお菓子よりも甘すぎでしてよ!」

 

 勢いよく扉を開け放ち現れたのは、Iカップを勢い余ってブルンと振るわせた悪役令嬢――ヨゼフィーネ=ヴァイデンフェラーその人だった。

 

 ああうん。俺、別に悪役令嬢の登場とか求めてない。

 というより、フーゴ達と一緒にカメラの映像を見てたんじゃないのかよ。勝手に持ち場を離れるな。

 

「君は……っ!」

「あら、ご存知のようね。まあ? わたくしはヴァイデンフェラー公爵家の令嬢ですもの。知っていて当然ですわよね。……同じ皇族であればなおさら」

 

 射殺すような視線を向けるユリアンに対し、ヨゼフィーネは羽扇で口元を隠しながら(あお)(あお)る。

 その姿は、まさしく悪役令嬢そのものだった。

 

「わたくしが言いたいのは、あなたが事実をもみ消そうとしても、そんなことはさせないということ。大切な友達の婚約者を奪っておきながら、許されるとは思わないことね」

「…………………………」

 

 ぴしゃり、と羽扇を閉じ、今度は打って変わって険しい表情を見せるヨゼフィーネ。

 あれ? なんだかちょっと格好いいぞ。

 

「そそ、それに、証拠もあるでござるよ!」

「……生徒会室の様子については、フーゴ氏の魔導具で映像として収めています」

 

 ヨゼフィーネの後ろに隠れていた二人が顔を(のぞ)かせ、威勢よく言い放つ。

 堂々としたヨゼフィーネと違い、彼女の威を借る二人はなんだかちょっと格好悪いぞ。

 

「さあ……観念なさい」

 

 さすがに言い逃れできないと思ったのか、ユリアンはうつむく……かと思ったのだが。

 

「……馬鹿な女だね。たとえヴァイデンフェラー公爵家の令嬢だろうと、僕を裁くことなんてできない」

「? 何を言ってますの?」

「君は知らないだろうけど、僕には免罪符がある。この国で何を……どんなことでもしてもいいという、皇帝お墨付きの免罪符がね」

 

 そう言ってユリアンが取り出したのは、ルミナス帝国の紋章を(かたど)った金のブローチ……?

 あんなものが免罪符とか、何言ってんの?

 

「これが僕の手元にある限り、皇帝は黙っていることしかできないんだよ」

「何をおかしなことを……」

 

 自信ありげに(のたま)うユリアン。ヨゼフィーネは意味が分からず、胡乱(うろん)な目を向ける。

 

「だったらやってみせてごらんなさい。皇帝陛下なら、公平に裁いてくださるでしょ……」

「これが、僕の父……皇帝の兄である、〝ローレンツ=フォン=ルミナス〟の死の真相に繋がっているとしたら?」

「っ!?」

 

 ユリアンのその言葉に、ヨゼフィーネが目を見開く。

 そういえばコイツ、皇帝の兄の息子って話だったか。父親の死の真相を握っているってことは、ひょっとして……。

 

 い、いやいや、俺はあくまでレーアと婚約破棄をしたいだけなんだけど。皇室のどろどろした内情なんて一切興味ないんだが。興味ないんだが。

 

「そ、それを寄越しなさい!」

「渡すわけがないだろう」

 

 手を伸ばし詰め寄ろうとするヨゼフィーネをひらり、と(かわ)し、ユリアンは勝ち誇った笑みを浮かべる。

 

 なるほどなー。だからコイツは俺達に糾弾(きゅうだん)されても、ずっと余裕綽々(しゃくしゃく)だったわけだ。

 いざとなったら弱みを握られた皇帝の力で、簡単にもみ消せるから。

 

 だけど、まあ。

 

「はっきり言って、オマエの事情なんて知ったこっちゃないし、俺には関係ない。もみ消すっていうんなら、撮影した映像を学院中にばら()くだけだ」

「は? そんなことをしたところで、すぐに回収してみんなの口を(ふさ)げば、それで終わり……」

「そうだなあ。だけど、オマエ等の恥ずかしい姿が全校生徒に(さら)されるけど? 回収したところで後の祭りだろ」

「「っ!?」」

 

 素っ裸のレーアの乳首をコリコリしていたユリアンの映像を見たら、間違いなく男子は興奮して、女子は軽蔑(けいべつ)するだろうな。

 きっと学院中で、注目の的になるに違いない。

 

 え? 箝口令(かんこうれい)が敷かれて言論封殺されるかもって?

 そういうこともあるかもしれないが、生徒達の記憶には残り続けるんだよ。オマエ等の、恥の全てが。

 

 そんな中で、恥ずかしげもなくいつまでも学院に通い続けることができると思うか? 俺なら無理だな。恥ずか死ぬ。

 

「まあそういうことだから、権力使って口止めしようとするなら好きにしろ。こっちも勝手にやる」

「……君を学院から追放することもできるんだぞ?」

「やりたきゃやれよ。それよりも俺は、オマエ等を痛い目に遭わせて、晴れてレーアと婚約破棄したいんだよ」

 

 俺が本気だと分かったんだろう。ユリアンの奴、これでもかと睨んできやがる。

 

「だったら最初から、君達が証拠をばら撒くことができないようにして……」

「馬鹿かオマエ。そんなことしてみろ、国が滅ぶぞ」

 

 皇室関係者ではないが、俺だって実家は帝国内でも有力貴族の一つであるフリートラント侯爵家。エマの実家も辺境伯家、フーゴは伯爵家、ローザも俺と同じ侯爵家、ヨゼフィーネに至っては皇族の血を引く帝国最大の貴族、公爵家様だ。

 

 その子息令嬢に手を出したなら、どうなると思う? それぞれの実家は一斉に反旗を(ひるがえ)して、帝国内は滅茶苦茶だ。

 

「オマエのそのブローチにどれほどの効果があるのか知らないが、皇帝陛下もそこまで馬鹿じゃないだろ」

「…………………………」

 

 はい論破。

 どっちにしろ破滅するなら、皇帝だって自分の命を大事にしたいだろうから、切るとしたらユリアンのほうになるだろ。

 

 というか、前世でブラック企業の社畜をしていた時は、この口先で上司の数々のパワハラの弾幕をかいくぐってきたんだ。たかが十六歳の(こじ)らせ間男とは年季が違うんだよ。

 

「レーアの実家には、フリートラント家から正式に婚約破棄を通達する。もちろん証拠も添えて」

「…………………………」

「ああそれと、当然だけど学院にも証拠は提出するからな。こんなことになったのは、学院側の管理不行き届きでもあるんだし」

 

 これまでは皇帝を脅して好き勝手やってきたんだろうが、それをここまで言いくるめられたら、ユリアンの奴はぐうの音も出ないらしい。

 まあ、本当に俺達に危害を加えようとしてしまったら、いよいよ自分が終わってしまうことを理解したのかも。

 

 そうなれば、養父のレッツェル侯爵に尻を差し出してまで生き延びた意味がないもんな。

 

「じゃあな。みんな、行こうか」

 

 いずれにせよ、俺はもう疲れた。

 これで懸案だったレーアとの婚約破棄もできることだし、しばらくは実家に引きこもってニート生活でも満喫しようかな。

 

 なんてことを考え、みんなを連れて生徒会室を出ようとした。その時。

 

「ニコ!」

 

 悲痛な叫びが、背中越しに響く。

 

 ああ、振り返らなくても分かるさ。

 昔から散々、この声を聞いてきたんだ。

 

 そうだろう?

 俺の()幼馴染で、()婚約者――。

 

「お願い……ちゃんと、話をしよ?」

 

 ――レーア=クライネルト。

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