NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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彼を傷つけた奴を、許さない ※エマ=バルツァー

■エマ=バルツァー視点

 

「……あの時は心の底から絶望しましたが、全てはこの時のためにあったのかもしれませんねー」

 

 得物であるバトルアックスを肩に担ぎ、わたしはあの日のことを思い出してくすり、と笑います。

 クソ女の存在を知り、わたしの想いが果たされないかもしれないとほんの少しだけ考えたりもしましたけど、頭の中に(うじ)が湧いているクソ女は思ったとおり(・・・・・・)自滅してくれましたよ。

 

 だってそうでしょう? ニコさんという世界でたった一人の、何物にも代えがたい最高に素敵な唯一無二の神すらも平伏す絶対的存在がいるのに、わざわざあんなクズカス――ユリアン=レッツェルを選んだんですから。

 

 ただ、この結果に至るまでわたしは、ニコさんの隣にいることはしばらくできないんだと絶望して、それでも少しでも(そば)にいたくて、ルミナス皇立学院ではヨゼフィーネ様に取り入って、取り巻きとして彼の教室に行く口実を作って。

 

 残念ながらニコさんはわたしのことを覚えていませんでしたけど、それでも、彼を眺めているだけで……同じ空気を吸っているだけで幸せでした。

 ……我慢できなくなって、こっそり体操着に顔を(うず)めたり、ゴミを持ち帰ったり、机や椅子を舐めたりしたことは内緒ですけど。

 

 でも。

 

「だからといって、あのクソ女とクズカスだけは、絶対に許せませんけどー」

 

 あんなにも優しくて素敵なニコさんを、どこまでも苦しめたクソ女。

 恨みなのかひがみなのか知らないけど、腹いせみたいにクソ女を寝取ったクズカス。

 

 そもそもクズカスがあんなにもクズカスなのは、この国の皇帝があのクズカスの父親を暗殺したことがきっかけ。

 つまり全ての元凶は、ルミナス帝国皇帝〝フリードリヒ=フォン=ルミナス〟ということです。

 

 だからクソバカ皇帝は、ちゃんと責任を取って後始末をしないといけませんよね?

 

 ということで。

 

「っ!? 貴様、止まれ!」

「何者だ!」

 

 皇宮に乗り込もうとするわたしに、城門を守る二人の衛兵が身の程知らずにも槍を向けます。

 つまり、死にたいってことですよね。

 

「んふふー。わたしはバルツァー辺境伯(・・・)、エマ=バルツァーですよ」

 

 わたしは口元に小指の先を当てて微笑み、バトルアックスを無造作に振るうと。

 

「「ぐはああああああああああっ!?」」

 

 二人の衛兵は情けない叫び声を上げて、そのまま吹き飛んでしまいました。

 こういうところ、領地にいるクソザコと同じですね。態度は偉そうなのに、口ほどにもない。

 

 それからは。

 

「と、止まれ! 止まれええええええ!」

「お、おい! 早く応援を呼べ! 俺達じゃこれ以上は無理だ!」

 

 次から次へと湧いてくる衛兵達。

 正直鬱陶(うっとう)しいですけど、衛兵達が阻止しようとするその先に、皇帝がいるんでしょうね。

 

 そういう意味では道案内をしてくれているようなものなので、無駄足にならず便利ですけど。

 

「ほらほら、どうしましたー? この程度じゃ、わたしを止めるなんて無理ですよー」

 

 バトルアックスを振り回し、わたしは皇宮の中を突き進みます。

 ニコさんに仇為す全てを、蹂躙(じゅうりん)するために。

 

「いいか! ここだけは絶対に守り抜け!」

「帝国兵として、意地を見せるんだ!」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!」」」」」

 

 豪華な扉の前に殺到し、突破されまいと意地でも守り抜く姿勢の衛兵達。

 きっと忠誠心とかすごいんでしょうけど、知ったことじゃないんですけど。

 

 でも。

 

「なるほどー、この中にいるんですね。……死にたくなければ、さっさとどけ」

「「「「「っ!?」」」」」

 

 ちょっとだけ本気ですごんであげたら、衛兵達のうち五割くらい失神したみたいです。

 ふむー……八割が失神する領地の兵士達と違って、それなりに使えるようですね。

 

 ま、関係ありませんけど。

 

「うおおおおおああああああああッッッ!?」

「く、くそおおおおおおおッッッ!」

 

 弾き飛ばされながら色々と叫ぶ衛兵達は全然足止めにもならず、わたしの前には誰もいなくなりました。

 あるのは、皇帝のいる部屋の扉だけ。

 

「んふふー、じゃあ入りますねー」

 

 床に転がる衛兵達が必死に伸ばす手を無視し、わたしは扉を思いきり蹴飛ばしました。

 

 すると。

 

「まあまあ。騒がしいと思ったら、あなたの仕業かしら?」

 

 部屋の中にいたのは、みっともなく土下座をする髭を生やした偉そうな男――クソバカ皇帝と、それを囲むように立つ、三人の男女でした。

 

 しかも。

 

(んー……どうしてクソ女とクズカスがいるんですかね?)

 

 全裸で正座しながら怯えた表情でうつむく、クソ女とクズカス。

 状況的に考えると、クソバカ皇帝を囲んでいるあの三人がやったんでしょうけど。

 

 まあ、それはちょっと後で考えるとして。

 

(……あの女の人、とんでもなく強いですねー)

 

 【地上最強の生物】のスキルを授かってから初めて相対する、自分と同格の強さを持つ人。

 向こうも同じことを思っているみたいで、冷たい視線をずっと向けてきます。

 

 まあでも。

 

「んふふー……わたし、そこで土下座してる人に用があるんです。ちょっと邪魔なんで、どこかに行ってもらえませんか?」

「まあまあ。実は私達も、そこで正座しているゴミ二人に関して、この無能(・・)に用事があって来たのよ。だから、少し待ってもらえないかしら」

 

 頬に手を当て、にこやかに微笑む女性。

 だけどその琥珀(こはく)色に輝く瞳は、わたしの一挙手一投足を見逃すまいと、捉えて離しません。

 

「駄目ですねー。わたし、どうしても許せないんですよ。……大切なニコさんを傷つけるきっかけを作った、そのクソバカ皇帝を」

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