NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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わたしだけのもの ※エマ=バルツァー視点

■エマ=バルツァー視点

 

「……そういうことだから、無能」

「はい!」

「今度またこのクソガキ共をこっそり逃がすとかふざけた真似をしたら、その時こそオマエも帝国も終わるから。いいわね?」

「もちろんです! どうかお任せください!」

 

 クソバカ皇帝は勢いよく立ち上がって、左胸を叩いて宣言しました。

 まるでお母様に、忠誠を誓うかのように。

 

 お母様って、一体何者なんでしょうか。

 

「それじゃ用事も済んだし、帰りましょうか。アレクシスはあまり無理しないでね?」

「……母上が無茶をしなければ」

「まあまあ♪」

 

 どこか恨めしい視線を向けるお兄様に、お母様は笑顔でおどけます。

 元々クソバカ皇帝を始末しないのは、ニコさんやお兄様のため。ならひょっとしたら、今回のことはこれでもお兄様に配慮したのかもしれませんね。

 

「……ところで、お母様にお聞きしたいことがあったんですー」

「あらあら、何かしら?」

 

 部屋を出て行こうとしたお母様を呼び止めると、妖しい笑みを浮かべて振り返りました。

 

「お母様ほどの実力だったら、このクソ女がクズカスと浮気していたこと、最初から知っていたんじゃないんですか?」

「うふふ、答えはノーよ。……そこの無能がクソガキのことを内緒にしていたせいで、ニコに聞かされるまで分からなかったわ。それに、一応(・・)学院に関与しては駄目って、アレクシスの時の約束があったし」

 

 クソバカ皇帝との間にどんな約束があるのかは分かりませんが、ニコさんの件に関して知ることができなかったということですか……。

 ですけど、こんなことがあったわけですし、これからは学院内でのニコさんの行動を全力で見守りそうです。

 

 ……そうなるとちょっと困ることになりますけど、それはおいおい考えることにしましょう。

 さすがに表立って関与してくるようなことはないでしょうし。

 

「あともう一つなんですけどー……まさかとは思いますけど、わざと(・・・)黒い人をけしかけたりとか、してませんよね……?」

 

 学院側がクソ女に乱暴しようとした黒い人に尋問した時、謎の女が(そそのか)したって証言がありました。

 

 それって今から考えたら、お母様しかそんなことをする人が思いつかないんですよね。

 調べてみましたけど、ニコさんに近づこうとする馬鹿な女の影も特にありませんでしたし。

 

「あらあら♪ さて、どうかしら?」

 

 お母様は悪戯(いたずら)っぽく微笑むと、今度こそお父様と一緒に部屋を出て行かれました。

 それってもう、答えを言っているのと同じですよね?

 

 だけど……お父様、最後まで空気みたいに存在感がなかったです。

 

「ふう……やれやれ、母上にも困ったものだ」

 

 深く息を吐き、肩を(すく)めるお兄様。

 その様子から色々とご苦労が(うかが)えますけど、そういえばこの御方だけクソバカ皇帝のこと、最後まで『陛下』っておっしゃってたんですよね。

 

「さて……皇帝陛下」

「アレクシス……」

 

 抑揚のない声で呼びかけるお兄様に、地面にへたり込むクソバカ皇帝が泣きそうな表情で見上げています。

 

「今回はニコのために私も仕方なく折れ、母上を説得して我慢してもらいましたが、次はない(・・・・)ですよ」

「そんなこと言わんといて!?」

 

 お兄様が冷たく言い放つと、クソバカ皇帝は泣きそうになりながら変な方言で(すが)りつきます。

 知らない人が見たら、コイツが大国ルミナス帝国の皇帝とは絶対に思わないでしょうねー。

 

 ですけど、今の話だとお兄様もニコさんのことが大好きみたいです。

 お母様もそうでしたけど、きっとご家族にたくさん愛されているんだろうな……ニコさんなら当然ですよね。

 

「それで、君はどうするんだ?」

 

 クソバカ皇帝と適当にあしらったお兄様が振り向き、残っていたわたしに尋ねました。

 でもそんなの、決まってますよね。

 

「もちろん寄宿舎に帰りますー。明日も学院がありますから」

 

 学院はわたしがニコさんとお逢いできる、たった一つの場所。

 だから休んだりなんて、絶対にできませんよね。

 

「ですけどー、その前に」

「っ!?」

 

 わたしは項垂(うなだ)れたままのクソ女にゆっくりと近づき、目線を合わせるようにしゃがむと。

 

「んふふー。オマエ、本当に馬鹿ですね。よりによってこんなクズカスなんかを本気で好きになって、世界一素敵な唯一無二の絶対的存在であるニコさんを手放すんですから」

「…………………………」

 

 へえー……あれだけ前歯と一緒に心も折ってあげたのに、まだそんな目で睨むんだ。

 ひょっとして、まだ何とかなるとか、そんなこと考えていたりするんですかね。

 

「それで、どうでしたかー? クズカスと仲良くなった後、都合よく(・・・・)実家が借金まみれになって、仕方なくクズカスの言いなりになる(てい)で、色々と楽しめましたもんね」

「っ!? な、なんで……」

「んふふー、図星ですか」

 

 そうです。このクソ女がこのクズカスとこんな仲になったのは、実は実家であるクライネルト伯爵家が事業に失敗して借金を抱えるようになる前から。

 だからクソ女は、最初からニコさんを裏切っていたんですよ。

 

「クズカスもクズカスで、そんなに嬉しかったんですねー。誰もいないはずの校舎裏で、不用意に吐いた独り言をクソ女に聞かれて、同情されたことが」

「どうして知っている!?」

「どうして? なんとなく、そんな気がしただけですよー?」

 

 クズカスが驚いてますけど、いくら普段から人気が少ない校舎裏とはいえ、毎日のように悲劇の主人公みたいに愚痴っていたら、誰かに聞かれていてもおかしくないですよね。本当に馬鹿です。

 

「しかもそれがきっかけで好きになったクソ女を手に入れるために、誰かの(・・・)入れ知恵(・・・・)でクライネルト家を借金まみれにして追い込んだんですよね?」

「あ……う……」

 

 全部わたしに見抜かれて、クズカスが言葉を失ってますよ。

 

 それにしても滅多に人が来ないはずの校舎裏に、どうしてクソ女がいたんでしょうか。

 んふふー。きっとどこかの誰かが、クソ女を騙したりしたのかもしれませんね。

 

「まあそのおかげで、わたしはニコさんとこんなにも仲良くなれたんですから、感謝しかありませんけどー」

「あ……ま、まさか……っ!」

 

 クソ女が何か気づいたみたいですけど、知ったことじゃないです。

 そもそもコイツは、自分の意思でニコさんを裏切ったんですし。

 

 さて……クソ女とクズカスについては、これでもうおしまい。

 あとはせいぜい、お母様が用意される世界(・・)で、死ぬまで使い潰されればいいですよ。

 

「お兄様、それでは失礼しますー」

「お兄……!?」

 

 クソ女共への用も済み、わたしは軽やかに立ち上がるとお兄様にぺこり、とお辞儀をしました。

 でもお兄様は何故か驚いていらっしゃいますけど、お呼びするなら『お兄様』一択ですよね。

 

 だってわたしがニコさんと結ばれたら、必然的にそうなるわけですし。

 

 とにかく、これで全て片づきました。

 レーア=クライネルトという邪魔者(・・・)も完全に排除できたわけですし、明日からは全力でニコさんにアプローチしますよー!

 

 そして。

 

「んふ♪」

 

 きっときっとニコさんを、わたしだけ(・・・・・)のもの(・・・)にしてみせますからね?

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