NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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あの日の続きを、取り巻きAの君と。

「ニコさーん。それで、あの日(・・・)の続きはいつしますかー?」

 

 弁当のおかずを無理やり口に詰め込まれ、窒息して気を失った俺。

 意識を取り戻すと、エマはニッコニコで尋ねる。

 

 ご機嫌なようで何よりだが、その前に俺は君のせいでまた異世界転生するところだったんだけど。

 

「んー……それなら、明後日はどうだ? ちょうど学院も日曜で休みだし」

 

 この『ルミナスの壊れた日々Ⅲ』は、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界を舞台にしておきながら、一般常識は前世の世界のそれなのだ。

 つまり一週間は七日あって休日は日曜日であり、今日はちょうど金曜日ということになる。

 

「! も、もちろんですー! その……わたし、目いっぱいおめかししていきますねー!」

「お、おう……」

 

 俺の手を取り、向日葵(ひまわり)のような満面の笑みで喜びまくりのエマ。

 なんというか、俺、レーアと婚約破棄してから恋愛運が天元突破しているような気がする。

 

「ニコラス殿。まさかとは思うでござるが、エマ殿とデートするつもりではござるまいな……?」

 

 エマの弁当を食べる手を止め、フーゴがジト目で睨みながら尋ねてきた。

 デートするも何も、デート以外になんだっていうんだよ。むしろこれがデートじゃなかったら、世の中に存在する全てのデートという概念を否定してやる。

 

「そのー……どうなんですかー……?」

 

 何故かそんなことを聞いてくるエマ。

 藍色の瞳には、期待が込められている……ような気がする。

 

「ま、まあ……この前は屋台で買い食いだったけど、同じような感じになったらデート、と言えなくもないかもしれないな」

 

 好感度のステータスがユリアン視点固定のため、エマがどう思っているか分からない。だから俺は保険をかけるような、少し卑怯な答え方をした。

 というかもう何度目か分からないが、俺は前世も含めて童貞なんだ。豆腐メンタルを全力で守るのは当然だろ。

 

「えへへ……じゃあ今回は、どっちなんですかねー……?」

「それは、そのー……」

 

 嬉しそうにはにかみつつも、エマはどこか悪戯(いたずら)っぽく尋ねる。

 俺は思う。この世界、既にNTR系同人エロゲではなく、ラブコメラノベの舞台になったんじゃないかと。

 

「ま、まあ、日曜日になってみないと分からないな! うん!」

「えー! ……まあいいですけど」

 

 そう言って全力で誤魔化したことに不満なのか、エマは口を尖らせる。

 それでも彼女は、どこか楽しそうだった。

 

 もちろん俺も、明後日の日曜日がメッチャ楽しみだけどな。

 

     ◇◆◇◆◇

 

「ニコさーん! こっちですー!」

 

 あっという間にやってきました日曜日。

 待ち合わせ場所である大通りの広場の噴水前に既に来ていたエマが、俺を見つけて全力で手を振っていた。

 

「ごめん、少し遅れた」

「んふふー、大丈夫ですよ。まだ待ち合わせの時間じゃないですから」

 

 彼女の言うとおり、待ち合わせ時間まであと十五分ある。

 早めに出てきたつもりではあったけど、エマは一体何時から待ってくれていたんだろうか。

 

「それで、今日はエマの行きたい店があるって話だけど……」

「はい! すっごく可愛らしいカフェなんですー!」

 

 そう。実は先日エマから提案されて、俺も二つ返事でOKした。

 正直テオに聞いたりして店をリサーチしたりなんかもしたが、どうにもしっくりこなかったので、エマの提案は渡りに船だったのだ。

 

「それで、そのカフェはどこに……」

「こっちですー!」

「ちょっ!?」

 

 いきなり俺の手を引き、目的のカフェへ向かって歩き出すエマ。

 

 ただ。

 

(うおおおお……っ。メッチャ目のやり場に困る……っ!)

 

 よりにもよって、カフェは帝都の裏通りにある歓楽街を通り抜けた先にあるらしい。

 いや、いくらこの道が最短距離だったとしても、さすがに男女二人で歩くような場所じゃないんだが。

 

「早く早くですー!」

 

 だけどそんなことはお構いなしに、エマは俺の手をぐいぐいと引っ張る。

 とにかく俺は、いやらしいコスプレをしたお姉様方の客引きに耐えながら、うつむいて進んだ。

 

 すると。

 

「も、もう無理だよ! これ以上はやめて……あ゛、あ゛、あ゛、あ゛あああああああッッッ!」

 

 通り過ぎた建物……言わずもがな娼館なわけだが、その二階から助けを求める若い男の声が聞こえたかと思うと、すぐさま嬌声(きょうせい)に変わった。

 

 だけど。

 

(今の声、どっかで聞き覚えがあるんだけど……)

 

 俺はおそるおそる娼館を見ると、窓の隙間から触手……触手!? あれ触手だよな!?

 いや、確かにルミナスシリーズには触手なんかの定番魔物は登場するけど、娼館にいていい魔物じゃないだろ! こんな街中で、どんなプレイをしてやがんだよ!

 

「エ、エマ! 早くここを……っ!?」

 

 彼女の手を引いて急いでここを離れようと思った俺は、見てしまった。

 隣の部屋の僅かに(のぞ)いていた窓の隙間から、大量の黒い(むし)……間違いない。あれはGだ。

 

 しかも、そのGに埋もれる中に、女の子の顔があって、こっちを見ていたんだよ。

 言っておくが、俺はエロゲ紳士ではあるが、蟲関係だけは無理だ。どうしても俺の性癖に受け付けない。

 

 なのにあの女の子は、(むし)プレイに勤しんでいるわけで、このゲームのタイトルどおり、色々と壊れてるなと思う今日この頃。

 

 まあ、それは置いといて。

 

(あの女の子、どこかで……)

 

 (むし)に埋もれていてほぼ顔は見えなかったんだが、それでも、何故か見覚えがあるような気がする。

 

 俺の【ステータスオープン】なら、あの女の子が何者なのか、一発で分かる。

 そう思い、俺はスキルを発動させようとして。

 

(……いやいやいやいや、無理。気持ち悪い)

 

 もしも、万が一だよ。スキルを発動させたことによって、Gのエロステータスを見る羽目になったらどうなる? 俺はこの場で意識を失う自信があるぞ。

 

(ま、まあ、(むし)プレイを堪能している女の子のステータスを覗いたりしたら、失礼だよな)

 

 そんな言い訳をしつつ、やっぱり俺はエマの手を引いてこの場を足早に離れる……んだけど。

 

「…………………………んふ♪」

 

 エマが突然振り返り、娼館を見て(わら)ったような気がした。

 

「エ、エマ……?」

「? どうしましたー?」

 

 ……いや、気のせいだな。

 

「ごめん、なんでもない」

「えー、変なニコさんですー」

 

 少し眉根を寄せつつも(ほが)らかに笑うエマを見て、俺はさっき見たものは全力で忘れるようにしてカフェへと向かった。

 

 ――窓から俺を見つめて叫ぶアクアマリンの瞳の女の子に、気づきもしないで。

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