NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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さすがにそのスキルは駄目だろ。

「……おそらく、校医の〝ヴァイト=メンシュシャウエン〟先生だと思う」

「あの保健室のですかー!?」

 

 余程意外だったのか、エマは目を見開いて驚きの声を上げた。

 だけど、彼女の反応も無理はない。

 

 何せヴァイトという男、イケメンではあるものの虫も殺せないような、人畜無害な優男として認知されている。

 まさか第二皇子の婚約者を寝取るような度胸があるなんて、思いもよらないよな。

 

 だが俺は知っている。

 あの男の本性が、いかれたサイコパスであることを。

 

 そう……ヴァイトは、医師の仮面を(かぶ)った変態野郎。

 

 『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』では、ランベルト皇子との関係に悩んでいるヨゼフィーネに付け込み、男を惹きつける美容の薬があるなどと騙して保健室に呼び出し、媚薬などを彼女に飲ませ、意識が朦朧(もうろう)としている隙に寝取るのだ。

 

 その後も様々な薬や器具(言うまでもなくエロアイテム)をヨゼフィーネにこれでもかと使用し、苦痛と快楽に溺れさせ、見るも無残な肉便器に変えてしまうという、なんとも胸糞な寝取られエンドを迎えてしまう。

 

 というか同人エロゲで医者という設定だけで、展開を含めお察しではあるのだが。

 

 ちなみに、三人の間男の中でヴァイトが最有力だと判断した理由はただ一つ。

 ゲーム内で、ヨゼフィーネに最初に接触してくる間男が、ヴァイトだからである。

 

「そういうわけで、早速放課後にでもヴァイト先生を見張ろうと思うんだけど……」

「任せてください! もちろん、わたしもご一緒しますよー!」

 

 エマはHカップの胸を張り、力強く叩いた。

 そのマシュマロのような柔らかいおっぱいに彼女の小さな右拳が優しく包まれる様は、素晴らしいの一言。むしろ俺が包まれたい。今度はサレ夫ではなく、エマの右手に転生することを所望する。

 

「ありがとう、助かるよ」

「んふふー、お安い御用です。だけど」

「っ!?」

「……どうしてニコさんはあの人が怪しいと思ったのか、それが知りたいですね」

 

 お互いの鼻先が触れそうになりほど顔を近づけ、問い(ただ)すエマ。

 表情こそニコニコしているものの、いつもの間延びした口調は鳴りを潜め、その瞳はどこか俺の心を見透かしているような、そんな気がした。

 

「ほ、ほら、ヨゼフィーネ様ってランベルト殿下の婚約者として、毎日頑張ってるだろ? だから、美容とか健康について、色々とヴァイト先生に相談したりしてるのかなー、なんて考えたわけで……」

「嘘です。わたしは皇立学院に入学してから、ずっとヨゼフィーネ様のお(そば)にいますけど、そんな素振りを見せたことなんてありませんから」

 

 残念、信じてもらえなかった。

 確かに取り巻きAのエマが、ヨゼフィーネのことを把握していないはずがない。

 

「ハア……本当は、かなりの機密情報なんだけどな」

 

 俺はこれ見よがしに溜息を吐くと、エマを見つめて語り始めた。

 

 ヴァイトの父親が、かつてヴァイデンフェラー公爵家の専属医師を務めていて、不祥事により処刑されたこと。

 処刑の理由は、その父親が使用人数人を凌辱した上に、口で言うのも(はばか)られるような非人道的な実験を行ったためという、至極真っ当なもの。ヴァイトはそれを逆恨みしている。

 

 ただし。

 

(全部、表向き(・・・)の理由に過ぎないけどな)

 

 一応言っておくが、ヴァイトの父親の所業は嘘じゃない。

 『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』でも、ヴァイトの父親の所業がエロシーン付きでばっちり語られている。そのせいで、某電子販売サイトでは『超ひどい』のタグが付くくらいに。

 

「……フリートラント家では、過去にヴァイト先生の調査をしたことがあるらしくて、レーアの一件で実家に帰った際に忠告されたんだよ」

 

 もちろん忠告なんて受けていない。

 だけど、何気に母上は帝国暗殺ギルド長だし、兄上だってランベルト皇子の側近。これくらいの情報を持っていたとしても不思議ではないだろう。

 

 というか、最初から最後まで自分の芝居がかった台詞(せりふ)と演技力に、称賛を禁じ得ない。

 

「ん-……そういうことなら、そうなのかもしれませんねー」

 

 エマは人差し指を口元に当て、首を傾げつつも渋々受け入れる。

 納得はしていないようだが、とりあえずこの場さえ(しの)げればいい。

 

「分かりましたー。じゃあ放課後は、ヴァイト先生を見張って証拠をつかみましょう」

「お、おう!」

 

 俺はわざとらしく、気合を入れたふりをしてみせた。

 よしよし、これ以上余計なツッコミを食らわずに済んでよかった……って!?

 

「んふふー。一つ貸し(・・)、ですよ?」

「うぐう!?」

 

 俺の顔を(のぞ)き込み、エマは悪戯(いたずら)っぽく笑う。

 どうやらこの貸し(・・)、高くつくことになりそうだ。

 

     ◇◆◇◆◇

 

「ですけどー、本当にヨゼフィーネ様はここに来ますかねー」

「ああ、おそらくな」

 

 放課後。廊下の角から保健室を見張っている中そう呟くエマに、俺は答えた。

 『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』でも、ヨゼフィーネとヴァイトが接触するのは、放課後の保健室をおいて他はない。

 

 そうして二人で見守ること、十数分。

 

「あれは……」

「ヴァイト先生、ですねー……」

 

 現れたのは、ヨゼフィーネではなくヴァイト。

 といっても、保健室の扉から顔だけ出して周囲を見回しているだけだが。

 

 きっとヨゼフィーネが来たかどうか、あるいはこれから彼女にいかがわしいことをするために、周囲に怪しい奴がいないか警戒しているか、そのどちらかといったところか。

 

 そういうことで、俺はお約束のステータス確認を行う。

 ……おっと、好感度ステータスの対象は、俺じゃなくてヨゼフィーネにしておかないと。

 

――――――――――――――――――――

名前:ヴァイト=メンシュシャウエン

性別:男

年齢:28

種族:人間

職業:校医

スキル:【さよならを教えて】

経験人数:5人

開発度(口):18

開発度(胸):61

開発度(膣):0

開発度(尻):97

好感度(ヨゼフィーネ):100

――――――――――――――――――――

 

 さすがにそのスキルは駄目だろ。




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