NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

64 / 106
畏敬する天使様って誰?

「さあ吐け。どうしてヨゼフィーネ様を狙った」

 

 ヴァイトの髪をつかみ上げ、俺は低い声で尋ねる。

 結構酷い扱いをしているけど、間男に人権なんていらないよな。

 

「ね、狙ったなんて人聞きの悪い……何度も言うが、僕はただ、彼女のためを思って……」

「この期に及んで、まだそんなことを言ってるのかよ」

 

 あくまでもとぼけるつもりのヴァイト。

 こうなったら、俺が全部話すしかないか。

 

「そうじゃないだろ。オマエはヨゼフィーネ様を畏敬(いけい)する『天使』に見立て、勝手に『怪物』認定しているランベルト殿下より先に彼女を寝取るため、手っ取り早く襲おうと企んだんだろ?」

「っ!?」

 

 そう告げた瞬間、ヴァイトは目を見開く。

 分かりやすい反応で助かる。

 

「ち、違う! 『天使』様も『怪物』も関係ない!」

「『天使』を様付けしている時点でお察しなんだよ。……とにかく、オマエは媚薬を使ってヨゼフィーネ様を寝取ろうとした。その事実は変わらない」

「く……っ」

 

 悔しそうにヴァイトは顔を(ゆが)めるが、証拠となる媚薬がこうしてあり、ヨゼフィーネに使用したことは事実。

 ランベルト皇子の名前まで(かた)ったんだ。これでコイツも終わりだろう。

 

「エマ、ヨゼフィーネ様、行こうか」

「はい」

「え、ええ……」

 

 笑顔のエマと戸惑うヨゼフィーネとともに、俺はヴァイトを教官室に連行した。

 

 ただ。

 

「…………………………」

 

 俺もエマも、この時にヨゼフィーネが媚薬をくすねていたことに、気づけなかった。

 

     ◇◆◇◆◇

 

 その後、ヴァイトが連行されたことにより、教官室は阿鼻叫喚の渦となった。

 無理もない。何せ先日も、レーアを狙う間男達……ユリアンにゴブリン、それにチャラ男による事件があったばかりだというのに、また不祥事が起きてしまったのだから。

 

 しかも未遂とはいえ、ヴァイデンフェラー公爵家の令嬢であるヨゼフィーネが被害に遭うところだったんだ。

 事態を重く見た学院は、これを即座に皇宮に報告。全容解明に向け、すぐに調査が行われた。

 

 その結果、保健室やヴァイトの住まいからは、媚薬だけでなく拷問器具や用途が分からない怪しい道具など、数々のいかがわしい代物が見つかったとのこと。

 

「まさか拙者のいないところで、そのようなことが起きていたとは……できればその道具の数々、この目で見てみたかったでござる」

 

 一週間後の昼休み、俺の教室にやって来ていたフーゴが、無念そうな表情を浮かべた。

 

 だけどコイツのことだ。本当は自分がエロアイテムを作る時の参考にしたいだけだろうな。あんなものを作るくらいなら、先に催眠アプリを発明しろよ。

 

「とにかくー、気をつけてください。一歩間違っていたら、ヨゼフィーネ様があの男の毒牙にかかっていたんですよ?」

「……本当に気をつけてほしい」

「わ、分かっていますわっ!」

 

 同じく教室に来ているエマ、ローザの取り巻き二人に詰め寄られ、さすがのヨゼフィーネもたじろぐ。

 彼女も今回ばかりは心配をかけたことを反省しているようで、素直に受け入れている……かどうかは分からん。

 

 何せ彼女、腐っても【悪役令嬢】だし。

 

「まあいずれにせよ、あのクズが排除されて何よりだ。下手をしたら、ヨゼフィーネ様だけじゃなく、もっと被害が出ていたかもしれないしな」

 

 実際のところ、既に被害に遭った女子生徒がいることは、皇宮の調査によって判明している。

 その中には、もうこの世にいない女子も。

 

 被害に()ったのが女子生徒じゃなく、人形とか標本とかだったらよかったんだが、残念ながらそういうわけにはいかなかった。

 

 あの男のエロステータスでも経験人数は五人となっていたし、結末を含め制作した同人サークルが意図的にそう設定したとしか思えないんだが。

 

 どうしてそこまで詳しく知っているかって?

 前世の記憶もあるけど、今回の一件に俺が関わっていることを知った兄上が、わざわざ手紙で教えてくれたんだよ。

 

 俺が今回の事件に絡んでいることは、ヨゼフィーネ達と一緒に教官室に連行したことでバレてるからな。

 

 それより。

 

(あれは、どういうことなんだ……?)

 

 兄上の手紙にあった、ヴァイトの供述内容。

 そこには、ヨゼフィーネに手を出そうとした動機や、事件の計画などが記されていたんだが。

 

彼女(・・)が教えてくれたんだ……! 『あの子こそ、あなたが求めていた畏敬(いけい)する『天使』様だって!』

 

 その言葉からも、ヴァイトの奴がヨゼフィーネを『天使』認定していたことが証明されたわけだが、何より気になるのは『彼女』の存在。

 つまり、何者かがヨゼフィーネを狙うよう、ヴァイトに教唆(きょうさ)したってことに他ならない。

 

「? ニコさん?」

「え……? ああいや、なんでもない」

 

 考え事をしていたせいで、エマに不思議そうに尋ねられる。

 レーアを寝取ろうとした間男の一人――チャラ男の一件の時は、ひょっとしたらエマが裏で糸を引いていたんじゃないかと疑ったが、さすがに今回については彼女が(から)んでいることはないだろう。

 

 何より、取り巻きAである彼女がヨゼフィーネを大切に想っていることを、俺はよく知っている。

 

(なら、一体誰が……)

 

 『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』に、女性キャラはメインヒロインのヨゼフィーネを除き、ドット絵のみのNPC(ノンプレイヤーキャラ)しか登場しない。

 その中でも彼女と関わりがあるのは、取り巻きであるエマとローザのみ。

 だから、他の女の影があるはずはない。

 

 ヴァイトに接触した女が誰なのか、考えを巡らせていた、その時。

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 レーアの一件の後に一度だけ学院に顔を出しそれっきりだった、ヨゼフィーネの婚約者であり『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』のサレ夫、ランベルト皇子が教室の中へ入ってきた。

 

 しかも。

 

「あの女子は……っ!」

 

 どういうわけか、ルミナスシリーズの外伝の『ルミナスを黒く染める日々』に登場する寝取られヒロイン、〝ソフィア=レルナー〟と一緒に。




お読みいただき、ありがとうございました!

「続きが気になる」や「面白い!」と思ってくださった方は、高評価、感想を頂けると更新のモチベに繋がるのでよろしお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。